こんにちは、ちゃむです。
「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。
今回は60話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
60話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 目覚めのリンゴパイ②
部屋の中は静かだった。
マクシオンは特有の無表情な顔をしてぐっすり眠っている。
巨大な体格に特有の灰色の髪と厚い肌、閉じた目とまっすぐに立った鼻、固く閉ざされた口元は、彼の性格を代弁するかのように黙々とした印象を与えた。
彼の隣に立っていたルイーゼはトレイをサイドテーブルの上に置き、前の椅子に座る。
ルイーゼはエドワードの助言通りに用意した言葉を切り出した。
「ねえ、マクシオン。あのね。私、今日遊んでまた足首をくじいたの」
「・・・」
「お風呂もしなきゃいけないのに、見張りをしてくれる人がいないし」
「・・・」
「怒ってるの?私が悪いことをしたら怒らないで。アップルパイも作ってきたんだよ」
「・・・」
「君でなければ助けてくれる人がいないことを知っているじゃないか。だからもう寝ていないで起きて」
しかし、マクシオンは少しの動きも見せない。
エドワードはマクシオンに過去の彼女を思い出させる方法が良さそうだと言った。
ペリルスにある小屋で過ごした時を懐かしむほど、自分に大きく残念なことがあったのだろうか。
ルイーゼは半信半疑だったが、まずは彼の意見に従うことにした。
今のところ、これといった手立てがなかったからだ。
ところが、もしこの方法も答えでなければ、マクシオンは一生このように眠ったまま生きることになるのだろうか。
その事実を認識した瞬間、ルイーゼは怖くなる。
これまでは漠然と解決策を見つければ、彼が目覚めるだろうと信じていた。
丈夫で強い友逹だから、当然すぐに立ち上がって彼女のそばにいるだろうと。
でも、そうでなければ?
ルイーゼの顔に切羽詰った気持ちが露わになる。
彼女の目元が赤く染まった。
「マクシオン、起きて。あなたがあのように去って私がどれほど悔しかったか知っている?また会えて本当に嬉しかったのに、こんな風にまた逃げてしまうなんて。私にあなたを代替できる人はこの世のどこにもいないんだよ」
泣き声が混じった声の先が震えた。
彼女はしかめっ面をした。
紫色の瞳をいっぱいにした涙が、すぐに彼女の頬を伝って流れる。
「まさかこのまま一生横になっていようとしないよね?」
口に出してみると、もっと恐ろしいことだった。
マクシオンがペリルスを去った後、ルイーゼは漠然と彼が元気に過ごしていると思いながらも、彼を本当にたくさん懐かしがっていた。
住所もない家なので郵便配逹員が来られなかったせいか、マクシオンは彼女に手紙を一通も送らなかった。
連絡さえ取れずに時間を過ごした。
レイアードについて首都に来て、二度と彼に会えないかもしれないと思ったが、偶然再会した時はどんなに嬉しかったか。
これからはずっとマクシオンと昔のような友逹になれると思っていた。
ところがまた彼はこんな風に彼女から逃げた。
涙がルイーゼの肩を震わせる。
「何か言ってよ・・・。あなた本当に憎い。寂しいと言ったら寂しいと言うか。人のことを心配させて」
涙で目の前が曇ってよく見えなかった。
彼女が手のひらで適当に拭いたが、一度爆発した涙は堤防が爆発した川の水のように絶えず流れる。
「あなた、本当に悪いのは知ってるよね?私はあそこであなただけ待った。いつか立ち寄るだろうと言ったじゃないか。どんな知らせでも必ず伝えに来ると言って。君があまりにも遅れておいて、私があなたに来る前に首都に発ってしまったとデモでもするの?」
ルイーゼはため息のようにつぶやく。
「私はこんなにまた君を待っている・・・」
その時、硬くて荒い手のひらがルイーゼの頬に触れた。
「・・・ルイーゼ」
低い声が響くと同時に、彼女の顔を全部覆っても、人に合う大きな手が上手に彼女の涙を拭った。
「え・・・?」
「なんで泣いてるの」
ルイーゼは涙を拭い、マクシオンを見つめる。
いつの間にかベッドで上体を起こした彼は、当惑した顔で彼女を眺めていた。
久しぶりに出会った黒い瞳に心が置かれた彼女が、彼を抱きしめて再び涙を流した。
「あなた、何日ぶりに目が覚めたか知ってる?」
「私が長く寝たの?」
「そうだね。三日昼夜、寝てばかりいたんだから」
「どうりで、起きたら体が重かったよ」
「お腹は空いてないの?」
「すいた」
ルイーゼはトレイに置かれたアップルパイを取って彼の口に押し込んだ。
食パンを2つ重ねて作ったアップルパイが彼の口の中にすっぽり入る。
彼がもぐもぐしながら言った。
「・・・久しぶりに食べるとおいしいね」
「あなた、私に寂しい思いをしたことがある?」
「ないよ」
「嘘つかないで。私が君を去ったことがないのに、どうして君が喪失感を感じるの?」
「それはまたどういうことだ」
マクシオンが知らない顔で彼女を見た。
ルイーゼは一部始終を説明する。
マクシオンが眠った瞬間から黒魔法の原因を見つけた話まで、すべての内容を聞いたマクシオンの顔色が暗くなった。
「だから私は君がどうしてそう思ったのか分からないといけない」
涙で赤くただれた目を見開いて、ルイーゼはマクシオンをにらみつけた。
「正直に言うべきだ」
頑強に出てくるルイーゼを眺めながら黙々と席に座っていたマクシオンが久しぶりに口を開いた。
「君のそばに」
彼は這い込むような小さな声で付け加える。
「私の席がなくなったような気がして・・・」
「・・・え?」
「もともとは全部私の役目だったじゃないか」
「そうだね。あなたしかなかったから」
「今は違う」
「・・・」
「それが残念だった」
ルイーゼは驚いた顔をして、すぐに目を細め、背中をぴしゃりと殴った。
「あ」
「マクシオン、よく聞いて。さっきも言ったけど、あなたに代わる人はいないよ。私の中の君の席はいつも同じ大きさで位置しているんだよ」
「・・・」
「私の周りにいくら多くの人ができても、それは絶対変わらない。だから、これからそんなことで悲しまないように私もよく面倒を見てあげるから。寂しい時はこんな魔法に陥らずにそのまま私に全部言って」
マクシオンは驚いたようにルイーゼを見る。
彼が彼女に初めて会った時、ルイーゼの世界は森の中の小さな小屋で終わりだった。
マクシオンはその小屋を支える柱と同じくらいルイーゼにとって大きな存在だった。
しかし今、ルイーゼの世界はそれよりはるかに広くなった。
そこには首都と華やかな邸宅、彼女が知ったすべてのことが新しく位置した。
それでもまだ彼女の中にはその小屋がある。
彼らが一緒に過ごした時間のように変わらない姿のまま。
ルイーゼはその小屋を以前のように大切に思っていた。
「・・・そうだね」
マクシオンが薄笑いすると、ルイーゼは明るい顔で向き合った。
「ところでエドワード様は今どこにいらっしゃるの?」
「ドアの外に」
トントン。
待っていたかのようにノックの音が聞こえてきた。
「お入りください」
ドアを開けて入ったのはエドワードだ。
彼の顔にはいつもの例の笑顔がかかっている。
無事にマクシオンが目覚めて安心しました。
ルイーゼは彼を親友と思っていますが、マクシオンの方は?