こんにちは、ちゃむです。
「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

103話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 隠し部屋③
「確かに言葉が通じるように見えました。」
「それはただのふりです。特にこの遺物は今、村の全ての人の精神とつながっています。だからこそ、人のように動くことができるのです。」
「なるほど。」
ルイーゼは落胆した表情で遺物をエイヴンに渡した。
「私は愚かだったようです。」
エイヴンが遺物を持って下へ向かうと、まるで導かれるかのように遺物の残骸が床へと降りていった。
「副団長様、私が押さえておきますので、剣を抜いて遺物を破壊してください。」
「そうしよう。」
ルイーゼは複雑なまなざしで遺物を見つめた。
遺物は依然としてエイヴンの手の中で震えていた。
そんなルイーゼの隣にエドワードが近づく。
「まだ気持ちが晴れないようですね。」
「それが不思議なんです。」
「何がですか?」
「もし遺物に意志がないのなら、どうして私があのように行動すると気持ちが弱くなると分かるのでしょう?」
ルイーゼの視線がエドワードへと向かった。
彼女を見つめていたエドワードと目が合った瞬間、ルイーゼの頭の中に明確な答えが浮かび上がった。
「…ああ、分かりました。」
ルイーゼは両目を固く閉じた後、大きく息を吐いた。
「なぜ急にそんな目で見るのか、聞いてもいいですか?」
「なんとなく……誰かに似た行動だったと気づいたら、遺物に対する執着がきれいさっぱり消えたんです。」
「まさか、私ではありませんよね?」
「……。」
「本当に私ですか?」
ルイーゼは答える代わりに喉を鳴らした。
するとエドワードがくすっと笑い、遺物を覆い隠した。
「どんな理由でその答えに至ったのかは分かりませんが、私に似ているせいなら、もう少し愛着を持ってもいいと思いますよ。この遺物、今まさに処分される寸前なのですから。」
「本物はここにいるから大丈夫です。遺物は偽物ですし。なんとなく可愛かったんです。」
淡々と話したルイーゼは、自分が何を言ったのかに気づくと、驚いた表情で口を閉じた。
エドワードが面白そうに口元を歪めて尋ねた。
「今、なんて言いました?」
「分かりません。覚えていません。」
ガキン!
ルイーゼが柄を握った瞬間、空気を切り裂く鋭い音が響いた。
二人は、音が聞こえた方向に目を向けた。
マクシオンが厳しい表情で剣を抜いた。
「頑丈ですね。」
「防御魔法を使ったようです。魔法使いの仕業ですね。」
「記憶を失い、魔法だけを学んだかのように……。」
エイヴンがエドワードを見て言った後、
「……そうですね。村に魔法使いがいたようですね。」
冷静な表情で立ち、彼らの行動を観察していたカールロが、自然な仕草で柄を握った。
「単純な物理的な力では壊せないということですか?」
「はい。」
「では、魔法が効かなければいいのですね?」
ルイーゼがエドワードの腰にかかっている短刀を手に取った。
「エドワード、この短刀があるじゃないですか。」
「……なるほど。魔法が効かない剣ですね。」
「これなら呪いを解くことができるでしょう。」
エドワードが腰の剣鞘から短剣を抜き、ゆっくりと構えた。
これはルイーゼが彼に贈ったものだった。
最初の使用を他人に任せたくなかった。
そして彼は考えを巡らせながら、狡猾にルイーゼを利用したあの黒魔法が気に入らなかった。
もしそれが彼自身を模倣したものなら、なおさらだ。
ルイーゼをあのように操ることができるのは、神の領域でなければならない。
「私が直接処理しよう。」
「……呪いがまた天を操ろうとしているかもしれません。」
「それでも、これは君には任せられない。」
エドワードが鋭い視線でマクシオンを見つめた。
「もしかして、今、動揺していらっしゃいますか?」
「いや、まったく冷静な状態だ。」
「でもなぜ……。それに、その剣はどこで手に入れたのですか?」
マクシオンは疑わしげな視線でエドワードを見つめた。
彼はエドワードが動揺しているのではないかと疑った。
ルイーゼが慎重に手を挙げた。
「それ、私があげたの。」
「君が?」
「うん。カードゲームの勝利記念のプレゼントとして。」
「………」
「ああ、まあ。恋人がくれたプレゼントを他人に預けるわけにはいかないだろう?」
マクシオンを見つめた。
どうやら、この中で正常なのは彼だけのようだった。
エドワードは右手で剣鞘から短刀を抜いた。
彼が鎖を断ち切るために短刀を高く掲げたときだった。
キーイイイッ、ドン!
皆の視線が、音が響いた村の集会所の扉へと向かった。
「な、何をしているのだ?」
片手に槍、もう一方の手に錠前を持った村長が、不気味に首を傾げたまま立っていた。
「守れ、守るのだ。」
村長の背後には、農具や鎌のようなものを持った村人たちが、虚ろな目をしたまま村の集会所の中へ入ろうとしていた。
多くの人が一度に中へ入ろうとし、村の集会所の扉に詰まる状況だった。
エイブンが口を開く。
「……呪術が作用しているようだ。」
「はっ、別に驚きはしないね。」
「私が片付けます。ルイーゼ、お前はエドワード様を守れ。カルロ、一緒に防ごう。」
マクシオンの言葉に、カルロが疑わしげな表情をした。
「え、俺?逃げようかと思ってたんだけど?」
「追加で10ゴールド。村人たちが怪我をしないよう、扉を押さえて気絶させるんだ。」
エドワードが淡々とした声で言った。
10ゴールドは、中産階級の平民の3ヶ月分の給料に相当する金額だった。
「喜んでやりますよ!さすが大貴族のお客様、金払いがすごいですね!」
彼が指を離して扉を両側に押し開いた。
二人が扉に向かって駆け出すと、村人たちは洪水のように押し寄せて中に入ってきた。
マクシオンとカルロは村人たちの後ろに回って気絶させつつ時間を稼いだが、入口は狭くても敵の数が圧倒的に多かった。
「エリオット、早く!」
エドワードが高く持ち上げた剣先を正確に呪術に向けて振り下ろした。
しかし、刃先が呪術のすぐ上に達した瞬間、動きが止まった。
パチッ。
呪術と剣先の間に白い電流が流れ、しばしの間、静かになった。
剣を握っている彼の右手の甲に血が滲んだ。
思うように体が動かないのか、エドワードが眉間にしわを寄せる。
彼が剣を握る右手の上に、もう片方の手を添えようとしたときだった。
「一緒にやりましょう。」
ルイーゼの手がエドワードの手の上に重なった。
「一度で振り下ろすんです。エリオットが途中で止まっても、私は押し続けますから。」
「……ああ。」
エドワードは再び剣を振り上げ、呪術へと向かって力強く振り下ろした。
強烈な力が剣を押し込んだ。
パジジジジッ!
電流のような白い光が、さらに激しく弾けた。
しかし、今回もエドワードの腕に制御がかかり、剣は依然として呪術の端で止まったままだった。
自分は相変わらず、誰も救えず助けを必要とする無能な主君だ。
エドワードの顔に影が落ちた。
「……私が手を離します。」
「嫌です。」
ルイーゼの簡潔な返事に、エドワードは驚いた目を見開き、彼女を見つめた。
夜明けに染まる空のような青紫の瞳が、エドワードをまっすぐに見つめていた。
「私が贈った剣じゃないですか。それならエリオットが初めて使うのも当然ですよね。」
「今、大事なのは……。」
「私にとって大事なのは、もともとこういうささやかな瞬間なんです。あなたが私たちを救う、この瞬間が。あなたならできる。私はそれを信じています。そして……。」
ルイーゼは残った手を剣の柄の上に重ねた。
「私は、そんなあなたを助けます。」
呪術と剣の間に閃光が走った。
ジリッ。
刃先が触れた呪術の表面に、小さなひびが入った。
その瞬間、ようやくエドワードの体に感覚が戻った。
エドワードは右手に力を込め、強く押し込んだ。
ジジジジジッ!
呪術が裂けると同時に、あふれ出した光がすべての視界を白く染めた。
「……ありがとう。」
目の前の顔さえ見えなくなるほどのまばゆい光の中で。
小さく低いが、はっきりとした声が聞こえた。
ルイーゼがそっと息をのんだ。






