残された余命を楽しんでいただけなのに

残された余命を楽しんでいただけなのに【48話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【残された余命を楽しんでいただけなのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...

 




 

48話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 犯人は誰?③

「お父さん……」

イサベルの澄んだ瞳に、ぽろぽろと涙がこぼれた。

さっきは怖くてそうだったなら、今回は少し違う。

ロンもそれをはっきりと感じ取ることができた。

イサベルの表情が変わっただけでも、ロンは嬉しかった。

「私を許してくださるんですか?」

「許すとか許さないの問題じゃない。俺がプレゼントを用意しただけなのに、なんでお前が謝るんだ?」

イサベルは、ロンが嘘をついていると思った。

プレゼントを72日前から用意していたなんて。

『お父さんはお父さんなりのやり方で私を思ってくれてるんだ。』

そこまで考えが至ったイサベルは、涙をボロボロこぼしながら言った。

「うええぇん!」

身体は大きくなったけど、彼女はまだ子供だ。

完全にしゃくり上げていて、一度あふれ出した泣き声を理性で抑えるのは簡単なことではなかった。

ロンは少し驚き、イサベルの様子をうかがいながら、そっと彼女を抱き上げる。

そしてイサベルを慎重にしっかりと抱きしめた。

「とても疲れたな。」

力強い手でイサベルの小さな背中を優しく叩いてやった。

疲れたと口にしながらも、ロンの表情には疲れの影すらなかった。

しばらくの時間が流れた後、ロンはイサベルをそっと下ろした。

「皇女がそんなに泣き虫でどうする?」

「泣き虫じゃないです!」

「その顔を見てごらん。それが泣き虫じゃなかったら何なんだ?」

ロンはティッシュを取り出し、イサベルの目元をトントンと優しく拭ってやった。

「鼻もフンってかんで。」

パン!

イサベルはまるで魔法にかかった人のように、思わず「フン!」と鼻をかんだ。

思ったよりちょっとたくさん出てきて驚いたが、ここで恥ずかしがるほうが変だと思って、何事もなかったふりをした。

「泣き虫。」

「う、泣き虫じゃないですって。」

「本当に?」

ロンはイタズラっぽい表情でイサベルを見つめた。

第三者が見ていたら驚いたに違いない。

鉄血の皇帝ロンに、あんな表情があるなんて信じられなかっただろうから。

「本当に違います!」

「本当に違うのか?」

「……」

「私が見る限り、世界で一番の泣き虫に見えるけど?」

イサベルは「ふん」と唇を少し尖らせた。

『なんか調子狂うな。』

今は感情の波に流されて理性が身体に戻ってきてはいたが、とはいえ彼女の精神年齢は20歳だ。

時間が経つにつれて徐々に理性を取り戻してきた。

ある程度理性を取り戻したイサベルは、結局あっさりと認めた。

「やっぱり泣き虫かもしれません。」

「やっぱりな?」

すべてを諦めたように認める娘を見て、ロンはぱっと笑みを浮かべた。

イサベルはその微笑みを見つめながら、両目をパチパチと瞬かせた。

『お父さんが……あんなふうに笑える人だったの?』

くすっと笑う姿は何度か見たことがある。

それでも、それさえも陽の光のようだった。

だけど今のは、陽の光ではなく、まるで太陽を直視したような感覚だった。

ああ、これは反則だ。

「うっ、まぶしい。」

イサベルの心の奥底から思わずこぼれ出た。

理性をこれだけ保っていたのに、本心が出てしまったということは、それだけイサベルがその言葉に心から感じ入っていた証だった。

ロンはふと後ろを見つめた。

不幸なのか幸運なのか、窓から日差しが差し込んできていた。

かなり強い日差しだった。

『目がまぶしいな。』

ロンは窓の方に歩いていき、カーテンを引いた。

そしてこう言った。

「そんなに深く考えなくていい。ただ、シンプルに考えればいい。」

ロンの目に映るイサベルは、少し慎ましやかに見えた。

ときどき子どもらしい姿を見せることはあったが、ロンはそれがイサベルの本当の姿だと思っていた。

『お前は、まだわずか7歳の子どもだ。』

7歳の子が、無理して17歳のように生きる必要はない。

ロンの目には、イサベルが毎日17歳のように振る舞おうと努力しているように見えた。

「いつかミムルが皇宮の宝物庫で盗みをすると思っているのか?」

「そ、それは……」

考えてみればおかしなことだ。

どうして、あんなに可愛い蜂蜜の音が宝物庫を破ったというのか。

それも、厳重に警備された王宮の宝物庫を。

「こんな簡単なことまで、いちいち教えなきゃいけないのか?本当に疲れる仕事だな。」

「ご、ごめんなさい。」

「今後、“ごめんなさい”は禁止だ。」

他の言葉は何でもよかったが、イサベルから“ごめんなさい”という言葉は聞きたくなかった。

なぜか、それだけで気分が悪くなった。

イサベルの肩がしょんぼり落ちるのも、イサベルが自分の顔色をうかがいながら怯えるのも、見たくなかった。

「これからまた“ごめんなさい”って言ったら、辞書からその言葉を消してやる。皇命だ。」

「………」

「返事は?」

「は、はい。わかりました。」

そこでようやくロンはにっこりと笑った。

「ボルクルを呼んでみなさい。お前が名前を呼べば飛んでくるはずだ。」

「え、ボ、ボルクルをですか?」

「心配するな。そんなに怒りはしない。」

イサベルは「ラーちゃん!」と大声で叫んだ。

『本当にボルクルが現れるかな?』

声がちゃんと届くのだろうか?

そんなふうに悩んでいたのが馬鹿らしくなるくらい、ボルクルはすぐに姿を現した。

タッ!タッ!

窓の外から音が聞こえてきた。

ロンはカーテンをもう一度開けて、窓を開けながらにっこりと笑った。

「ここは8階なのに、よく登ってきたな。」

ロンはキムバルクルが現れたことに、あまり驚いていなかった。

「イサベル、ちょっとキムバルクルと話がしたいんだ。下の宮殿に行って待っていなさい。こいつと話をしてから、すぐに行くから。」

ロンが手を差し出すと、イサベルもその手をぎゅっと握り返した。

そのおかげで、少し安心できた。

「うん、わかりました。翻訳魔法をかけてあげますね。」

イサベルは翻訳魔法をかけたあと、慎重に言った。

「キツく怒らないでください。怒られたら、悲しくなっちゃいます。」

「心配するな。」

ロンはイサベルの頭をやさしく撫でてやった。

不思議とその手のぬくもりは、イサベルに大きな安心感を与えてくれた。

彼女は安心して、アレナ宮へ戻っていった。

 



 

 

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