捨てたゴミは二度と拾いません

捨てたゴミは二度と拾いません【10話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「捨てたゴミは二度と拾いません」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【捨てたゴミは二度と拾いません】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「捨てたゴミは二度と拾いません」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...

 




 

10話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • プロローグ⑩

私とフィレンが応接室で口論したことは、人々の口を通じて領地内に広く知れ渡った。

「ウィリオット公爵様が新しく迎えた女中を、すごく可愛がっているそうだ。その女性がウィリオット公爵の愛人だという話だ。」

「そのせいで、お嬢様がかなりお怒りになったんじゃないかしら。その女性に服一着も渡さずに冷たく当たったそうよ。」

「ふん、当然でしょ。私だって、公爵夫人がいない間に愛人に服を渡したりなんかしないわ。」

「それじゃあ、うちのお嬢様はどうなるの?二人して途方に暮れているのかしら?」

「まあ、それはないだろう。貴族たちは元々、本邸と情婦をきちんと分けて管理しているじゃないか。」

「それはそうだね。」

……現在領地内で広まっている噂だった。

外部の人間の前でフィレンと声を荒げて言い争ったことが発端となり、噂が広まったのだろうと推測はしていたが、耳にするたびに心穏やかではいられなかった。

このような噂がいずれ、領地を離れてフィレンとその女性が一緒に首都へ行くという事実と重なることが、私の心をさらに不快にさせていた。

まだ終わらせていない用事も足を引っ張っていた。

すべて片付けてから行きたかったが、新皇帝の即位記念式に参加しないわけにはいかず、やむを得ず首都へ向かう馬車に乗り込んだ。

私は一人で馬車に乗り、フィレンとシスリーは一緒に別の馬車に乗った。

使用人たちは少し気まずそうな目で私を見ていたが、私は気にしなかった。

むしろ歓迎するところだ。

首都へ向かう道中、その女性と同じ馬車に乗るのはより不快だった。

むしろ彼らの注目を浴びるほうが、私にとってはずっと良いことだった。

ミサは一緒に行きたがっていたが、私の代わりに屋敷を管理する必要があったため領地に残った。

代わりにサラが同行してくれた。

公爵領地から首都までは馬車で4日ほどかかった。

移動中はただ座っているだけで、宿屋では十分な睡眠を取ることができたが、生まれて初めての馬車旅行は思ったよりも疲れるものだった。

「フィル、これを食べて。」

……いや、馬車の旅よりも私をもっと疲れさせるものがあった。

「ああ。」

それはまさにシスリーとフィレンのことだった。

シスリーが親しげにフィレンに手作りのイチゴを差し出し、フィレンは穏やかに微笑みながら受け取って食べていた。

それだけで終わらず、二人はまるで息の合ったように砂糖をまぶしてイチゴを分け合っていた。

同じ馬車に乗っている間、彼らはおそらくたくさんの話をしただろうに、何をそんなに話すことがあるのか疑問だった。

腹立たしさを抑えきれない表情で二人をちらりと見ていたところ、どこからかサラがイチゴを持ってきて私に差し出した。

「お嬢様もお疲れでしょうから、こちらを召し上がってください!」

「もういい。そのようなことをしても結局は無駄になるだけだから。」

「でも、でも……本当に腹が立つんです!」

サラが足をドンドンと踏み鳴らしながら声を荒らげた。

「ご主人様も酷すぎます!お嬢様が目の前にいるのに、あんな姿を見せるなんて!」

「フィレンは特に何も考えていないだろうさ。」

私は冷淡に窓枠を軽く叩きながら答えた。

「ただ、あの女性が与えてくれるから受け取っているだけだよ。」

「はぁ……。」

答えを探しているかのように、サラが拳をぎゅっと握りしめ、胸をパンパンと叩いた。

羨ましい。

あんな風に怒りを爆発させることができるなんて。

私はそうしたくても、それができないのだから。

フィレンとシスリーの視線での甘い仕草は、首都に到着するまで続いた。

なるべく見ないように努めたが、その努力が無駄になるほど、視界にしつこく飛び込んできた。

一部では、わざと私の前で見せつけているのではないか、と疑いたくなるほどだった。

彼らの甘い仕草と長い馬車の旅で、首都にある公爵邸に到着した頃には、私は体も心も完全に消耗していた。

「思ったより大変ですね。」

随行する騎士の手を取り、馬車から降りるときに呟いた。

耳元に響く声に反応して視線をそちらへ向けると、フィレンが疲れ切ったシスリーを支えながら馬車から降りているのが見えた。

言葉では説明しにくいが、まるで崩れ落ちる寸前のようだった。

シスリーを初めて見る首都の邸宅の使用人たちは驚きの表情を浮かべながら、シスリーとフィレン、そして私を交互に見比べていた。

その視線が少し重たく感じられ、早く休みたい気持ちで邸宅に足を踏み入れた。

「お部屋へご案内いたします、お嬢様。」

気が利く執事が一人の侍女に指示し、私を部屋へと案内させた。

そこは大きな窓があり、日差しがよく入る部屋だった。

今はその明るさが心地よいと思えたが、雨が降ればきっとどの場所よりも陰鬱な空間になるだろうと想像し、思わずため息をついた。

「別の部屋にしたいわ。窓がない部屋をお願い。」

「はい? 窓のない部屋ですか?」

侍女が驚いて問い返した。

反応を見るだけで、そんな部屋が存在しないことがわかった。

当然といえば当然だ。

貴族が使う部屋のほとんどは日差しがよく入り、大きな窓があるのだから。

侍女が使う部屋ですら、まったく窓がないということはなかった。

「それなら、窓が小さい部屋に案内してちょうだい。」

私の言葉に侍女は少し考えた後、西側の北端にある部屋へと案内してくれた。

この部屋も窓があったが、先ほどの部屋に比べると窓は小さかった。

「これでいかがでしょうか、お嬢様?」

「ええ、これで大丈夫よ。」

私の部屋はここに決まった。

使用人たちが慌ただしく荷物を運び、侍女たちが整理している様子を眺めていると、背後から誰かの気配を感じた。

「……レイラ?」

振り返るとフィレンだった。

隣にはシスリーもいた。

「レイ……いや、テベサ嬢。どうしてここにいるんだ?」

他人の目を気にした様子のフィレンが丁寧な言葉で尋ねた。

「ここが私の部屋として決まり、荷物の整理をしていたところです。」

「テベサ嬢の部屋は別の場所だと聞いていましたが。」

「そうだったのですが、こちらの方が気に入ったのでこの場所に決めました。

「……シスリーの部屋がすぐ隣だと知っていてこの場所に決めたのではありませんか?」

その女性の部屋がすぐ隣だったのか。

初めて知った。

もし事前に知っていたら、絶対にこの部屋を選ばなかったはずだ。

「知りませんでした。」

「本当に?」

「私がこのようなことで嘘をつくはずがありません。」

こんなことでまで誤解を受けなければならないのが面倒だったので、私は明確に答えた。

しかし、フィレンはどうやら私の言葉を信じていないようだった。

疑いに満ちた視線が私に向けられ、まるで私を見抜こうとしているように感じられた。

「いいじゃないですか、フィル。」

そんなフィレンの視線をそらしてくれたのは、やはりシスリーだった。

シスリーはフィレンの腕に寄り添い、甘えた声で言った。

「こうなった以上、私、フィルと一緒に部屋を使ってもいいですか?」

純真無垢な目を涙ぐませながらそっと近づいてきた。

シスリーはフィレンの腕に寄りかかるようにして言葉を続けた。

「正直なところ、慣れない場所に来て、一人で部屋を使うのは少し不安だったんです。子どもも心配そうでしたし、フィルがそばにいてくれるなら安心できると思います。」

「……そうだな。」

フィレンは一度私を振り返った後、シスリーの肩を優しく抱きしめた。

「そうしようか。」

異論はなくなった。

私はシスリーと一緒に去っていくフィレンから視線をそらすことができなかった。

「お嬢様。」

サラがそっと私を呼んだが、他の使用人たちが不満げな目で私を見つめる視線が感じられ、足を一歩も動かすことができなかった。

混乱という言葉がさらに近づいてきた。

もしフィレンと婚約をすることになったら、私は平凡なテベサ家の令嬢として戻ることになる。

家で歓迎されることもない、24歳の普通の伯爵令嬢ができることなんて何があるだろうか。

あれこれと考えてみたが、頭に浮かぶものは何もなかった。

それに、女性が就けるまともな職業である服飾デザイナーや刺繍職人を思い描いてみたが、貴族令嬢がそのような仕事に就くのは貴族社会では前代未聞のことだった。

それに加えて、私は手仕事が大の苦手だった。

15歳のときに仕上げた刺繍が5歳児の作品よりも劣るという酷評を受けたことさえある。

だが、そうした系統の仕事を職業として生計を立てるなんて到底考えられなかったし、それをしたいとも思わなかった。

私が得意とするのは哲学、会計、政治など、貴族の令嬢たちがあまり学ばない学問だった。

これを活かして家庭教師をすることも考えられるが、問題は家庭教師をするには結婚をしなければならないという点だ。

未婚の家庭教師は純潔な子どもたちを誘惑する危険があると言われ、貴族たちは好まなかった。

しかも家庭教師は安定した収入を得られる仕事でもなかった。

それなのに、私はなぜ早くも破談のことを考えているのだろうか。

まだ破談したわけでもないのに。

私は小さくため息をつき、苛立ちを抑えた。

ここ数日間、フィレンの態度が曖昧でショックだったのは確かだ。

まるでテベサ伯爵夫人が訪れたことにも気を取られているかのようだった。

まだ起きてもいないことに、気疲れしてしまっている。

代替案を探すよりも、目の前の立場を守る努力をする方が賢明だという結論に至った。

どんな手段を使おうとも、この立場を守らなければならない。

手段や方法を選んでいる余裕などないのだ。

そう考えると、テベサ伯爵夫人からもらった流産薬のことが頭をよぎった。

それを使えば確実に立場を守れるはずだが……やはり使う気にはなれなかった。

「難しいわね。」

どちらにも踏み切れない状況に陥ってしまった。

気分転換に外を散歩したかったが、簡単には出て行けなかった。

シスリーが太極をピンゲルの邸宅の庭園に占拠していたからだ。

彼女と顔を合わせても良いことなど一つもないので、極力関わりたくなかった

「……邸宅の外に出れば彼女に会うこともないでしょう。」

そうか、それならそうすればよかった。

なぜこの考えが浮かばなかったのだろうか。

煩わしい気持ちを解消するためにも、外に出るのは良いことだと思い、サラを連れてすぐに邸宅を出た。

邸宅を出るとすぐに、煩わしい心が晴れた。

「お嬢様、笑顔を見るのは久しぶりですね。」

傍らに座っていたサラが目を輝かせて私を見つめて言った。

「都にいらしてから、こんな表情をされるのは初めて見る気がします。」

そうだったのか。

私も知らず知らずのうちに口元がほころんでいた。

「首都には面白いものがたくさんあるそうですよ。美味しいものもたくさん!だから気分が完全に晴れるまで楽しんでいきましょう、お嬢様。」

そうして気分を少し和らげた状態で邸宅に戻ると、そこには何の変化もなく、ただの静けさが広がっていた。

例の女性とフィレンの顔を見た瞬間、また気分が沈んでいくのが分かった。

彼らのことを考えるだけで、一時的に良くなった気分が再び重苦しいものに戻ってしまったのだ。

その事実を無理にサラに伝えて彼女の気分を損ねる必要もないと思い、軽く嘘をついてごまかした。

「そうだね、そうしよう。」

しばらくして、馬車は人々で溢れる通りに到着した。

馬車が通るには十分な広さはあったが、群衆が多すぎて先へ進むことができなかった。

「ここから歩いて行くことにしましょう。」

「長く歩くことになりそうですが、大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。」

そうなることを予想して、あらかじめメリージェーンの靴を履いてきた。

適度に長く歩くことには全く問題がなかった。

私が馬車から降りると、護衛の騎士が後をついてきた。

「サラだけを連れて行くわ。あなたたちはついてこないで。」

「しかし……。」

「大丈夫。まさか私の命令を無視するつもりじゃないでしょうね?」

私が厳しい表情で言うと、護衛の騎士は反論できず、後退した。

私は護衛の騎士もいないまま歩き始めた。

サラだけを連れて人混みの中に入っていった。

サラは後れを取らないように私の後にぴったりついてきた。

入口だけが混雑していたが、中に進むとほとんど人がいなくなり、静かだった。

さらに奥に入ると閑散としていた。

はっきりと私は辺りを見回し、ここが商店街ではなく住宅街であることに気づいた。

「道を間違えたみたいね。」

「そうですね。早く戻りましょう、お嬢様。」

サラの言葉に同意しながら、私は歩き始める向きを変えた。

「・・・して!」

どこからか少女が叫ぶような声が聞こえた。

その声のする方へ私は目を向けた。

振り返ると、顔に傷跡がある粗野な男が、一人の少女の腕を掴んでいるのが見えた。

「私のお姉ちゃんを放して!」

少女より幼く見える子どもが、必死に男の脚を掴んでいた。

「なんでこんなガキが、しつこく絡んでくるんだ!」

男は子どもの顔を一瞥すると、片足でその子の腹を強く蹴りつけた。

「きゃっ!」

子どもは宙に舞い、そのまま地面に投げ出されるように落ちた。

「リリー!」

少女は涙で濡れた顔で子どもの名前を悲しげに叫んだ。

男はそんな少女の腕を無理やり掴み、強引に引っ張った。

その拍子に少女は地面に倒れたが、男は全く意に介さなかった。

「無駄なことをせずについて来い!お前らがどれだけの金を借りてるか分かってるのか?!」

男はさらに少女の髪を掴んで引きずろうとした。

会話の内容から察するに、少女が男から金を借りているらしい。

しかし、それでも男の行動はあまりにも過激だ。

子どもに向けられる無慈悲な暴力に、私は眉をひそめた。

サラもまた目を見張りながら彼らの様子を見守っていた。

厄介ごとに巻き込まれるのが大嫌いな私だったが、この状況を放置するわけにはいかなかった。

「ちょっと待ってください。」

しかし、このまま見過ごすわけにはいかなかった。

 



 

 

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