こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は129話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
129話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- side ヨハネフ三世
「発作」が起きたことに気づいたロイスが慌てて呼びかける。
ヨハネフ三世はしばらく胸を掴み呻き声を飲み込んだ。
幸い、すぐに収まったのか彼は首を横に振ってニヤリと笑った。
「久しぶりの発作だね。薬をたくさん飲んでいるから、しばらくは大丈夫だと思っていたのだが」
ロイスが哀れな目で見ると、ヨハンは軽い口調で話した。
「そんな風に見るなって。発作が起きたのが一日二日のことでもないし、これは仕方がないことだ」
「陛下・・・」
ロイスはため息をつく。
彼はヨハネフ三世が持病についてこれ以上話したがらないことに気づき、話題を変えた。
「それで、これからどうなさいますか?私の考えでは、すぐに西帝国に戻った方がいいと思います。もう私たちが敢えて東帝国に残る必要はありませんから」
妙な意味の言葉。
「どうせ最後の計略は準備を終えているので、私たちが東帝国に残る必要はありません」
ヨハネフ三世も軽い表情を消し、特有の不気味な表情を浮かべた。
「そう、今までのことは軽い挨拶程度だった。本当の災いは、まさに今回のものだからね」
ロイスもヨハンの言葉に同意する。
「ええ、東帝国の首都は大きな混乱に陥るでしょう。しかし、よろしいのですか?」
「何が?」
「もし今回のことを陛下が企てたことが明らかになれば、史家たちは陛下を歴史に二度とない悪魔として記録するかもしれません」
ヨハネフ三世はニヤリと笑う。
「バレなければいい。証拠もないじゃないか?」
「確かに・・・」
「そして、私が少し悪口を言われても『計画』が成功し、西帝国の子孫が少しでも幸せになれば、それは価値のあることじゃないか?あれこれ言っても、私もそれなりの君主だからね」
ロイスはうなずく。
敵には陰険な陰謀家として指差されるヨハネフ三世だったが、西帝国の民たちは彼を名君と呼び讃える。
結局、陛下の計画も究極的には西帝国の民のためのこと。
ロイスはふと気になることがあって尋ねた。
「陛下」
「うん?」
「陛下の計画は、ひたすら西帝国の民のためのものですか?」
「西帝国の民のためのものでもある」
妙な意味の答えだ。
「その言葉の意味は?」
「民のためのものでもあるが、私の個人的な野望も混ざっている。当然のことじゃないか」
ヨハネフ三世はニヤリと笑いながら率直に話す。
「死ぬ前に私の個人的野望も成し遂げ、それによって西帝国の民の暮らしも良くなって。まあ、そういうことだよ」
ヨハネフ三世らしい答えだ。
持病を患っている彼に残された時間は多くない。
だからこそ、このように無理をしてまで仕事を進めているのだ。
自分が死ぬ前に全てのことを終えるために。
(現在の医術では手のつけられない病気)
名医中の名医である西帝国の医者は、ヨハネフ三世の持病を突き止めた。
しかし、むしろ知らない方がマシだった。
この時代の医術では手がつけられない病気だから。
(時代を超える名医でも出てきたら分からないだろうが)
ロイスは一瞬思いついたことを心の中で訴える。
もちろん、そのような名医が世の中に存在するはずがない。
ヨハネフ三世の病気を治療できる人は世界中の誰もいないだろう。
その時、ヨハネフ三世が口を開いた。
「とにかく良かった。ここの仕事は台無しにしたけど、うちの有能な宰相は計画を着実に進めているから」
「ええ、結局大事なのはクローヤン地方のことですからね。ちょうどクローヤン地方で色々な災害が発生したおかげで、大きく時間を節約できたようです」
彼らの会話は驚くべき事実を暗示した。
最近悪化を繰り返していたクローヤン地方の状況が、もしかしたら西帝国と関連したものかもしれないという事実をだ。
「それで、これからどうなさいますか?すぐに西帝国に戻りますか?」
ヨハネフ三世は首を横に振る。
「帰ると約束したから帰らなければならないだろう。でも、もう少ししたら帰るよ」
「え?どうせ最後の計略はもう始まっているので、敢えている必要はないじゃないですか?」
ヨハンは深い笑みを浮かべた。
「私の心の中のフィアンセに挨拶をしたい。離れている間、私を忘れないようにね」
帝国の経済を揺るがすところだった賭博事件は大きな問題もなく幕を閉じた。
いずれもマリのおかげで。
「どうもありがとうございます、ヒルデルン卿」
「我が家門は決してこの恩を忘れません」
シュレーアン大公家をはじめとする4家の家主たちは、皆マリに直接頭を下げて感謝の意を表した。
そうするしかなかった。
彼女がいなかったら、家全体が滅びるところだったから。
マリは曖昧な表情で彼らの挨拶を受ける。
実際、彼女は彼らの家族を助けようとしたというよりは、彼らが没落することによって生じる帝国の被害を防ぐために乗り出しただけだから。
(そもそも自業自得な面もあるし)
ヨハネフ三世が意図的に接近したとしても、家門が飛ぶほど賭博に陥ったのは結局、彼らの過ちだ。
マリのおかげで事なきを得たが、彼らは決してしてはならないことをした。
その考えは皇太子も同じなのか、彼は冷ややかに口を開く。
「ヒルデルンに対する感謝とは別に、あなたたちの過ちはどのように責任を負うつもりだ?」
彼は何も言えなかった。
「そしてヒルデルンがカタラク伯爵からお金を取り戻したのだから、あなたたちの財産は全て厳密に言えばヒルデルン卿の所有になる」
ヨハネフ三世の最後の計略。
悪魔と呼ばれるかもしれない策とは?
4家の家主たちは、どのように処理するのでしょうか?