できるメイド様【１４１話】ネタバレ

その夜、マリはなかなか眠れなかった。

どうすべきか判断がつかなかった。

彼女は宿舎のベッドに横になり、苦悩に陥る。

今この瞬間にも患者は増えている。

時間がなかった。

そのように悩んで、彼女はうっかり眠っていたが、夢の中で目を大きく開ける。

まるで現実のように鮮明な覗野、はっきりとした感覚。

夢を見るようになったのだ！

彼女に能力を与える不思議な夢を。

「死者が増え続けています、先生！」

「もうロンドン市内の感染者が1,000人を突破しました」

夢の中の背景は病院だった。

数多くの患者が病室に横になって病気に苦しんでいたが、ある医師が苦悩に満ちた表情をしている。

「このままではだめだ。このままだと1次大流行の悪夢を繰り返すだけだ」

「政府で伝染病の原因である毒気を除去しているそうです。だから伝染病も治まるのではないでしょうか？」

ある医療スタッフの言葉に、医師は首を横に振る。

「この伝染病の原因は毒気ではない。第1流行の時も毒気を治めたが、死者は増え
続けるだけだった。この伝染病を誘発した本当理由を見つけなければならない」

そして医者は言った。

「地図を持ってくるように」

「地図ですか？」

医療スタッフの問いに、医師は固くうなずく。

「調査を通じてこの伝染病を誘発した真の原因を見つけなければならない」

医師、後日コレラの退治者であり「疫学の父」と呼ばれることになる「ジョン・スノー博士」は固い声で話した。

そこまで夢を見たマリは、目を覚ました。

「今回の伝染病と関連した夢で間違いない！」

彼女の顔が興奮で上気する。

「何の能力を得ることになったの？」

マリは自分の手を見た。

残念ながら人を治療できる能力を得たようではない。

得た能力はまさに「疫学者」の能力！

まさに伝染病専門調査家の能力だった。

「この能力なら首都に広がる伝染病を解決する方法を見つけられるかもしれない！」

マリは急いでベッドから起き上がる。

まだ旱朝だったが、横になっている余裕がなかった。

今この瞬間にも患者は増え続けている。

彼女は今すぐ疫学者として伝染病を調べることにした。

「すぐに始めよう」

彼女が向かったのは行政府。

伝染病について調査した資料がすべて行政府にあった。

早朝、突然のマリの訪問に行政府の職員は驚いた表情をする。

「フォン・ヒルデルン？」

「私が話した責料を準備してください。できるだけ早くお願いします」

マリは緊急に必要な責料を説明した。

行政府の職員は怪鰐な表情をしたが、文句なしに資料を持ってくる。

「ここにあります」

「ありがとうございます」

大きなテーブルに地図を広げた彼女は、資料を対照しながら伝染病パターンを分析し始めた。

「ところで、今何をされているのですか？J

「伝染病の地図を作成し、伝染病の共通点と特性を調査しています」

行政府の職員は首をかしげる。

よく理解できなかったが、他の誰でもないマリだ。

きっと何か意味があるのだろうと考える。

マリはそのデータを地図と照合しながら分析した。

「貴族の居住地に主に発生し、そこの共通点は・・・」

そうして夜が過ぎ、夜明けが過ぎ、朝日が昇ってからずいぶん経った後、彼女は結論を出すことができた。

「これだ！これが伝染病の原因だよ！」

マリは疫学者として判断する。

彼女は自分の推測がほぽ正しいと確信していた。

「これからこの原因さえ解決すれば、追加的な患者発生することを防ぐことができる」

マリはすぐに獅子宮に向かい。

彼女の判断を確認するには皇太子の助けが必要だった。

しかし、獅子宮に到着した彼女は意外な難関に直面することに。

「殿下が寝所に召し上がったんですって？」

「そう、昨日ー賎中対策を話し合って、今寝所に入った」

オルンが言った。

マリは皇太子の容態を心配する。

非常時にこのように寝所に入る皇太子ではなかったが、体調がさらに悪くなったようだ。

（昨夜も顔色がとても悪かった。よくならないといけないのに）

「ところで殿下には何の用があるの？急用なら私に話すように」

マリは躊躇う。

彼女もオルンが自分を好まないことは知っていた。

それで彼に自分の意見を話すのが嫌だったのだ。

しかし、躊躇う事案ではない。

「上水道を調べさせてください」

「上水道？急にどういうこと？」

オルンはしかめっ面をした。

「今回の伝染病の原因が都市に供給される上水道である可能性が高いようです」

疫学指導で判断したところによると、今回の伝染病の原因は人々が買って用する水である可能性が高かった。

「伝染病は大部分皇居と貴族の居住地で発生しました。それらの地域はすべて同じ上水源を使用しています。上水源か水路のどちらかが感染源によって汚染されている可能性が高いです」

しかし、オルンは彼女の意見に簡単には頷かない。

伝染病の原因が水というのは、この時代には通用しない概念だったためだ。

「水が汚染されたって？そんなはずがあるの？伝染病は悪い空気、すなわち毒気によって広がる。賢い君が知らないはずはないんだけど？」

オルンが話した内容は毒気説で、遠い後日19世紀までヨーロッパを支配する伝染病理論だ。

当時、ヨーロッパの人々はすべての伝染病は毒気によって運ばれると考えた。

（だけど、今回の伝染病ではない。空気で伝染する病気と伝播する形態が全く違う！）

マリーは右の言葉に首を横に振った。

「この病気は他の伝染病と違って悪い空気によって広がるものではありません。その根拠で、病気の分布形態が水道全体に広がらず、一部の地域に限られており
、その範囲が特定の上水道の供給範囲と正確に一致します」

そう説明したが、内心はドキドキしていた。

（私の説明を受け入れてくれるのだろうか？）

オルンの自分に対する反感はさておき、水に伝染病が移るということは革命に近い発想。

したがって、果たして彼が受け入れるかどうか心配だった。