こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は194話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
194話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 王女の復活
差し迫った続報が続々と伝えられた。
「デウン城が占領されました!」
「第3軍団がセーペン城を焦土化させたそうです!」
クローヤン地方全体がパニックに陥った。
第3軍団なら、東帝国の西部地方に駐屯し、クローヤン地方を保護していた軍団だ。
そんな軍団が急にクローヤン地方を攻撃するなんて?
しかも、第3軍団が口にした言葉も信じられない話だった。
帝国の予備皇后で総督であるマリの真の正体がモリナ王女であり、彼女の首を切るためにクローヤン地方を攻撃する?
まるで乾いた空に雷のように到底受け入れられない話だった。
しかし、第3軍団の攻撃は本物だった。
今この瞬間にも進軍経路にある村が火に燃えている。
「閣下!閣下!これは一体どういうことですか!?」
総督府の役人はマリに叫んだ。
しかし、マリも今回の事態だけは落ち着きを維持することができなかった。
(第3軍団がなぜクローヤン地方を、いや、どうして私の正体を知っているの?)
頭が真っ白になって考えが続かなかった。
まるで寒さに打ちのめされたように指先がぶるぶる震えてしまう。
その時、ある官吏が悲鳴をあげるように叫んだ。
役人はまだ彼女がモリナ王女であるという噂を信じていなかった。
「閣下!カウン城がまた燃え上がったそうです!」
マリはこぶしを握りしめながら尋ねる。
「ポンティル男爵から消息はありませんか?」
彼女を護衛していたポンティル男爵は第3軍団を制止するために走り去った。
「第3軍団に着いたのですが、ろくに話もせず拘束されたそうです!」
マリはつばをごくりと飲み込んだ。
状況が理解できなかった。
(一体何だ?何がどのように回っているの?)
第3軍団は、皇帝ラエルの命令に従うだけだ。
しかし、あの攻撃がラエルの意思であるはずがない。
明らかに何か問題が起こった。
一瞬、彼女の頭に一つの可能性が浮かんだ。
(まさか第3軍団長のアルベロン伯爵が西帝国と結託?)
マリの体が雷に打たれたように震える。
十分もっとも可能性のある話だった。
(もし第3軍団のアルベロン伯爵がヨハネフ3世と結託したなら、すべてが説明される!私を狙うのは言い訳で、クローヤン地方を西帝国に渡そうという下心なんだ!)
マリはつばをごくりと飲み込んだ。
ヨハネフ3世がどのような奸計を巡らしたため、アルベロン伯爵が西帝国に渡ったのかは分からない。
アルベロン伯爵はもともと出世欲が多かった者だから、後に莫大な補償を約束したのかもしれない。
とにかく普通の深刻なことではなかった。
「第3軍団を阻止する権限を持った方は陛下しかいません。帝国の支援があるまでは何とか持ちこたえなければなりません!」
「はい、閣下!」
第3軍団が異常行動を見せた瞬間、皇居にも消息があったはずだ。
だから今頃、ラエルが行動に出た確率が高かった。
支援が来るまで何とか持ちこたえなければならなかった。
「陛下」
マリは切実な思いで彼を呼んだ。
マリの予想通り、第3軍団の異常行動はすぐに皇居に伝えられた。
「あり得ない!?」
「すぐにアルベロン伯爵を送還しなければなりません!」
皇居の大臣たちが立ち上がって叫んだ。
「皇后さまがモリナ王女だなんて!アルベロン伯爵が狂ったに違いありません!」
大臣たちは「とんでもない」という反応だった。
マリがモリナ王女という事実は、ラエルとともに一部だけ共有している秘密。
一般の大臣としては初耳の話だった。
「しかも無断でクローヤン地方を攻撃するなんて!ありえないことです!」
その時、上座でじっと聞いていたラエルがじっと口を開いた。
「西帝国と結託したのだろう」
「・・・陛下?」
大臣たちはぎくりと顔を引き締めた。
皇帝の声があまりにも冷たかった。
なぜか怒りよりはまるで肉が切れるような寒気が感じられた。
「それは、第3軍団長のアルベロン伯爵が西帝国側に裏切ったということですか?」
その問いに対する答えは、オルン公爵がした。
「現在としてはその可能性が最も高い。そうでなければ、第3軍団長のアルベロン伯爵の今の行動が説明されないからだ」
その言葉に大臣たちがもっと怒って叫んだ。
「今すぐアルベロン伯爵を罰する討伐軍を送らなければなりません!」
「そのとおりです!しかも、予備皇后さまがモリナ王女だというデマを流すなんて!」
「絶対許せません!」
大臣達は彼らが尊敬する予備皇后マリ・フォン・ヒルデルンを冒涜したアルベロン伯爵を激しくののしった。
「私たちの予備皇后がモリナ王女であるはずがない!」
「そのとおりです!」
ところが、大臣たちがマリを擁護すればするほど、ラエルとオルンの顔は固まっていった。
ついにラエルが口を開いた。
「退出してくれ。考えを整理しないと」
大臣たちが退くと、御前にはオルンとラエルだけが残るようになった。
「陛下・・・」
オルンはラエルの表情をのぞき込んだ。
ラエルの顔は硬くて肉が切れるような寒気が漂っている。
それだけ今の事態に対して怒っているのだ。
「状況が良くないようです」
ラエルはうなずく。
最悪のことが起こってしまった。
このままでは、クローヤン地方は西帝国の手に渡るだろう。
そして彼女も、彼の愛するマリもどうなるか分からなかった。
「出征を準備しなさい」
ラエルは口を開いた、極寒の声で。
「私が直接アルベロン伯爵の首を切る」
「・・・」
オルンは固い顔で頭を下げた。
「わかりました、陛下」
しかし、皮肉な運命のいたずらなのだろうか?
その瞬間、また別の急報が伝えられた。
「陛下!陛下!大変です!」
顔が死色になった伝令が御前に飛び込んできた。
「どうした?クローヤン地方のことか?」
「いいえ!南部地方のことです!」
ラエルとオルンはお互いを見つめ合った。
南部地方の急報なら予想されることがあった。
「イ—ストバン伯爵家の件か?」
「はい、そのとおりです!イーストバン伯爵家が軍を起こしました!」
驚くべきニュースだった。
西側ではクローヤン地方が混乱しているのに、南側ではイーストバン伯爵家が反乱を起こしたとは・・・。
ただ、ラエルとオルンは今回だけはそれほど驚かなかった。
すでに予想していたことだからだ。
「予想通りだね」
「はい、レイチェルの一件からイーストバン伯爵家が西帝国と仲間だというのは予想していたことですからね」
イーストバン伯爵家は、過去の競合当時、姦悪な陰謀を企てたレイチェルの家門だ。
彼らがいつでも問題を起こすと予想していたことなので、彼らはあまり驚かなかった。
「前もって準備した通りに鎮圧すればいいと思います」
「ああ」
彼らはイーストバン伯爵家への取り組みを語った。
どうせ備えていたことだから大した問題はないだろう。
ところが、伝令の表情がおかしかった。
相変わらず青白い表情だったのが息が切れるような顔だった。
「陛下、もう一つ報告したいことがあります」
「何だろう?」
「ひ、東から・・・!」
伝令は悲鳴を上げるように叫んだ。
「東方教国の艦除が押し寄せています。なんと15万人の大軍です!」
絶望のような声だった。
クローヤン地方だけでなく南部の反乱、そして東方教国の侵攻まで!
東諸国に未曾有の危機が迫ってきた。
「まさか。どうしてこんな危機が一気に?」
クローヤンの首都コモン城で消息を聞いたマリは、全身を震わせる。
(偶然こんなことが重なるわけがない。これはすべて西帝国の陰謀だ!)
マリはヨハネフ3世の顔を思い出した。
(どうしよう?どうすれは彼を助けることができるの?)
今この瞬間、彼女の頭の中に浮かんだ考えは、彼に対する心配だった。
苦境に陥った彼を助けたかった。
心配で胸が張り裂けそうだった。
(とりあえずクローヤン地方の問題でも私が解決しなければならない)
マリは唇をかんだ。
もし、クローヤン地方が西帝国の手に渡ると、東帝国は終わりだった。
止めなければならなかった。
(でもどうやって?第3軍団は寄せ集めの海賊ではない)
前回の海賊は機知を発揮して退けることができたが、帝国の精鋭である第3軍団はそのような臨機応変な相手ではなかった。
(第3軍団の表面的な目標はまさに私だ。私が行って談判をしなけれはならないのか?)
しかし、彼女はすぐに首を横に振る。
自分が行って解決される状況ならば死を覚悟してみるが、そのような状況ではなかった。
(どうしよう?」思い出してよ、マリ。お願い、お願い・・・)
しかし、マリの望みとは違って、状況はさらに悪化していった。
リン男爵、いや、西帝国のラキッド・ストールン伯爵が企てた陰謀が傍点を打ち始めたのだ。
「閣下!閣下!大変なことになりました!早く外に出てみてください!」
「・・・」
「王国民が集まって閣下を探しています!」
マリは王城の城壁に駆け寄った。
そして、集まった群衆を見た彼女は、くらっとした。
数え切れないほど多くの人が集まってきて、彼女を探していたのだ。
「今この状況を解明してください、総督閣下!」
「いったいこれはどういうことですか!?なぜ帝国軍が私たちを攻撃するのですか?」
群衆は混乱と恐怖におびえていた。
(何て釈明すればいいんだろう?)
マリの顔が真っ白になった。
彼らに言えることは何もなかった。
「い、一応落ち着いてください。事態を解決中だから・・・」
彼女はたとたどしい口を開いた。
しかし、群衆のざわめきはさらに大きくなっただけ。
やがて、このような質問が出た。
「閣下がモリナ王女に伝えてほしいという噂があります。 それは本当ですか!?」
「そのとおりです!答えてください!」
「閣下、私たちがあれほど切望していたモリナ王女殿下でよろしいでしょうか?」
マリの体がこわばっていく。
「あ・・・」
群衆の目には恐怖の中でもかすかな期待が漂っていた。
絶体絶命の状況だが、自分たちが尊敬する総督である彼女がモリナ王女であれは良いという期待が。
「閣下がモリナ王女なら、あの帝国軍なんて何の問題もありません!」
「そのとおりです!王女殿下が導いてさえくれれば、私たちが勝利することができます!」
群衆の中から一人二人、二人と叫び始め、その叫びはすぐに王城全体に広がった。
「お答えください!」
「王女殿下が正しければ、私たちを導いてください!」
まるで城壁が突き破られるような熱気。
マリは青ざめて何も言わずに群衆を呆然と見る。
(あ、ダメ。彼らを落ち着かせなければならない。私がモリナ王女だということを知ったら、彼らが私を女王に推戴しようとするだろう)
彼女が最も望んでいない、しかし、十分可能性のある話だった。
「わ、私は・・・」
あまりにも緊張したからかな?
いつもと違って声がちゃんと出なかった。
ところが、その時だった。
思いがけず彼女の言葉を遮る人物が現れる。
「閣下の具合が悪いので、私が代わりに答えます」
「・・・」
マリは目を大きく見開いた。
女性のように美しい顔、薄い白金髪。
リン男爵だ。
(リン男爵がなんで?)
リン男爵はまず彼女に微笑みかけた。
いつも端正に笑っていた普段とは違って、濃い、まるでヘビのような笑みであり、マリは背筋に冷たい不吉な予感がした。
(まさか?)
マリは手を伸ばして彼を止めようとする。
しかし、一歩遅れた後だった。
リン男爵、いや、西帝国のラキッド・ストールン伯爵がこのように宣言してしまったのだ。
「皆さんのおっしゃる通りです。この方の真の身分はクローヤン王家の最後の末裔モリナ王女殿下で、クローヤン王国の真の独立のために今まで正体を隠していたのです!」
「・・・」
瞬間、マリは空が崩れるようだった。
彼女の全身がチョウセンスズのように震える。
「わ、私はそ、そうじゃない・・・」
ストールン伯爵は彼女ににっこりと微笑んだ。
まもなく奈落に落ちる彼女の姿が期待されるようだ。
奇異な快感と悦楽が混じった笑みだった。
「王女殿下は、まさにこの瞬間のために、正体を隠したままうずくまっていました。もう時が来ました!モリナ王女殿下の名の下、クローヤンは真の王国として生まれ変わるでしょう!」
その言葉に王国民は烈火のような声を叫んだ。
「ワアアア!」
「モリナ殿下万歳!クローヤン王国万歳!」
やがて人々の間でこのような叫び声が起こった。
「私たちは王女殿下を待っていました!」
「私たちを導いてください!」
「王女殿下、いや、女王殿下万歳!」
一人、二人の間から出てきた女王という単語は、津波が来るように群衆を襲う。
多くの国民が一丸となって叫んだ。
「私たちの王になってください!」
「女王殿下万歳!」
「クローヤン王国万歳!」
そしてその叫びを聞くマリは。
「あ・・・」
足の力が抜けてどっかり城壁にひざまずいた。
(どうしてこんなことに?)
なぜ状況がこのように変わったのか分からない。
しかしこの瞬間確かなことがあった。
最悪の状況が迫ってきたということを。
そうして彼女の世界が粉々になってしまった。
その日、帝国中に驚くべきニュースが広がった。
クローヤン王国のモリナ王女が現れたというニュースが。
その正体は信じられないことに、マリ・フォン・ヒルデルン。
崇められていた帝国の予備皇后で、王国民の支持の中で独立クローヤン王国の女王に推戴されたと、全帝国に広まった。
そんな嵐の中、マリは、いや、モリナはクローヤン王国の女王となった。
マリにとって最悪な事態になりました。
ますますラエルと再会するのが難しい状況に・・・。