大公家に転がり込んできた聖女様

大公家に転がり込んできた聖女様【68話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。

今回は68をまとめました。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【大公家に転がり込んできた聖女様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

68話 ネタバレ

大公家に転がり込んできた聖女様【67話】ネタバレ こんにちは、ちゃむです。 「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。 今回は67話をまとめ...

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 双子の誕生日会⑥

久しぶりのパーティーに浮かれるジュディは、宴会場のあちこちを歩き回った。

そんな中、獲物を見つけた動物のように目を輝かせる。

宴会場で一番奥まった席。

それで誰も目を向けていない隅に塊のように体を丸めて座っている人がいた。

「セバスチャンじゃないの?」

ジュディはそのまま突進し、セバスチャンの耳に向かって大声で叫んだ。

「おい!」

普段ならびっくりしたり、打ち返したはずのセバスチャンが、何の反応もしなかった。

ジュディの声を聞いても、幽霊のように少し頭を上げただけだ。

甚しきは泣いたからか、目は真っ赤で涙の跡が残っている。

「ああ、びっくりした。あなたどうしたの?」

その格好があまりにも深刻で、冷静なジュディの同情心まで刺激した。

「・・・」

「とうしたの。ちょっと話してみて。おい!」

セバスチャンは魂が抜けたように首を横に振る。

見るに見かねたジュディがセバスチャンの顔の前で手を振ってみたが、セバスチャンはずっとすすり泣くばかりだった。

「何だよ、あなた、失恋でもしたのかい?」

ジュディなりには、本当に何の意味もなく、ただの冗談のように言っただけ。

しかし、失恋という言葉にセバスチャンが目を見開いた。

それから唇をかみしめて目頭を赤くする。

「・・・エスターは太っている人が嫌いだと言ったことがないそうだ」

「今、なんでその話が出てくるの?」

「私にはすごく重要だったんだ!それで運動も本当に頑張ったんだよ」

突然急変したセバスチャンが問い詰めるように言い放ち、ジュディをにらみつけた。

「全部無駄だよ」

セバスチャンの目から涙一滴がぽろぽろと流れ落ちる。

「おい・・・あなた泣いてるの?本当に泣いてるの?ああ、あまり強く叩いてもいないのに。やばい、本当に」

突然セバスチャンを鳴らしたジュディは、途方に暮れて隣にうずくまった。

「泣いていない」

「泣いているのに」

「違うって」

セバスチャンは服の袖で目を拭きながら、ついにジュディを見た。

「私、ちょっと前にあなたの妹が誰かといるのを見たよ」

「誰?」

「彼氏みたいだけど」

セバスチャンは元気よく見ていたことをジュディに全部話した。

約30分前。

エスターにパートナーを断られて外に飛び出したセバスチャンは、風に当たるのを兼ねてベンチに座った。

「今日、すごくきれいだったよ」

断られたことはあったが、きれいだったエスターを思い浮かべながら笑っていたが、突然
エスターがバルコニーに出てくるのを見た。

その次に庭にいたノアがエスターに近づくこと、花束を渡すことまで全てだ。

後ろにいたのでノアの顔は見なかった。

しかし、恥ずかしがるエスターの顔だけははっきりと見た。

「私を見た時とは全く違ったと。それは確かに彼氏だった」

「エスターに彼氏がいるって?」

ジュディは酷くなり、セバスチャンの隣にしゃがんだ。

「誰だ?」

ジュディは懸命に首を横に振ったが、誰も思い浮かばなかった。

エスターには友逹がいないから。

「君が見間違えたんじゃないの?」

セバスチャンが勘違いしたと思ったジュディが叱ると、セバスチャンは「絶対違う」ときっばり言った。

「私がエスターを他の人と勘違いするわけがないじゃないか。確かだよ」

エスターの件にここまで熱を上げるセバスチャンが怪しく、ジュディの目が細くなった。

「男はどんな顔をしているの?」

「それは見てないし、黒髪だった」

「ふむ。エスターに聞いてみよう」

二人の間の雰囲気が重く沈んだ。

セバスチャンをからかいに来たジュディもぐったりした。

「彼氏って・・・」

ジュディは信じられないようにつぶやきながら口をとがらした。

セバスチャンの言葉を信じるわけではないが、誰なのか想像するだけでも嫉妬心が燃え上がっていく。

「いや、でもお前はそれがこんなに深刻な問題なの?なんでお前が大騒ぎなんだ?」

火の粉はセバスチャンに飛んだ。

ジュディはいらいらした声でセバスチャンをにらみつけた。

「私の妹を狙うなって言ったよね?」

「いや、私は・・・」

セバスチャンは何も言わずに目を伏せる。

雨にぬれた哀れな子犬のようだった。

「他のやつもだめだが、お前は絶対だめだ。だから、これでも食べて」

ジュディは通りかかった侍女からジャガイモを切って作った薄いチップをたくさん取ってセバスチャンに差し出した。

今日のパーティーのために数日まともに食べることもできなかったセバスチャンは、自然にポテトチップスに向かって手を伸ばした。

「ああ、駄目だ」

その一方で、手はすでにお菓子を一握り取って口に入れた。

味見をした後は、うっとりとして、「もう知らない」とそのまま飲み込んだ。

「おい!全部食べたらどうするんだよ!」

「止めるな。今まで我慢したものを今日全部食べるんだよ」

このようにでも憂鬱なことを解決しなければならないとし、セバスチャンは食べ物がいっぱい用意されたテーブルに向かって走って行く。

 



 

パーティーは無事に終わった。

人々を送りかえして展示会場で家族同士で.ささやかな祝賀まで終えると、とても遅い時間だ。

「うぅ、疲れた」

一日中、息苦しかった化粧を落とし、腰を締め付けていたドレスまで脱いだら、生き返ったような気がした。

入浴を終えて部屋に戻ったエスターは横になろうとしたが、ベッドに腰をかけて足を下ろす。

「足もむくんでるね」

「靴が不便だったようですね」

「少しだけ」

足だけでなく全身が疲れてくたくたになっていた。

だめだと思っても、そのままベッドに倒れ込むように横になる。

「お疲れでしょう?」

「うん。すぐ寝そう」

エスターがすでに半分ほど閉じた目をこすりながらあくびを垂らした。

朝の行進から双子の兄の誕生日パーティーまでとても長い一日だった。

こんなにたくさんの人に会って話をしたことがなかったのに。

時間がどのように過ぎたのか分からないほどだ。

「それでも楽しかったでしょう?」

ドロシーはにっこり笑って布団を引き寄せ、エスターの首まで寒くないように覆ってくれた。

エスターは柔らかいウサギの人形をぎゅっと抱きしめながら顔をこすった。

「うん。面白かった」

自分についてひそひそ話す人もいたが、少数だ。

心配したよりずっと楽しい、面白かった。

踊っていた瞬間の震えと、自分を歓迎してくれた人々の好意まで。

忘れたくない思い出ができた気分だ。

死ぬ前の幸せだった瞬間を振り返るなら、きっと今日があるだろう。

 



 

一日を振り返ってみると、すべての瞬間が夢のようだった。

にっこり笑っていたエスターが飛び起きてドロシーを見る。

「今日は私がキラキラしてた」

「はい。うちのお嬢さんが一番きれいで輝いてました」

目をきらきら輝かせながら話す姿が愛らしくて、ドロシーが我慢できずにくすくす笑った。

「そして、これからも輝き続けると思います。今よりずっと」

「私が?」

「そうですよ。うちのお嬢さん。だから早く寝てください。もう遅いですから」

エスターはぼんやりした表情でドロシーの手を受けてベッドに横になる。

「もうカーペットで寝るのはしないんですよね?」

「・・・知ってたの?」

誰も知らないうちに隠したと思っていたエスターがびっくりして問い返す。

「そうですよ。よく眠れるか確認するためにドアを開けてみることが多かったですから」

「そうだったんだ」

絶対にばれなかったと思った自分がバカのようで、きまり悪そうに隅のカーペットを眺めた。

「初めて来た時は、あそこじゃないと眠れなかったんだけど」

いつの間にか柔らかいベッドに横になって暖かい布団をかけて寝るのが当然になるほどになったとは不思議だった。

「うん。私はもうベッドで寝るよ」

「よかったです」

ドロシーはエスターの隣に座り、胸をなでおろした。

「ねえ、ドロシー」

今日に限って特に口数の多いエスターだ。

そのおしゃべりが嬉しくてドロシーの声にも笑いが込められた。

「はい、お嬢さん」

ドロシーが耳を近づけると、エスターはじっと見つめながら小さな声で呟いた。

「・・・私がこんなに幸せになってもいいかな?」

子供から出る言葉ではなかった。

それでもこのようなことを尋ねるエスターの表情があまりにも何ともないように見え、ドロシーがさらに泣きそうになる。

ドロシーは悲しい気持ちでエスターの手をぎゅっと握った。

ドロシーの手に半分も支障のない小さな手だ。

「いいえ、これではだめです。もっと・・・もっと幸せにならないと」

「今よりもっと?え今も私はとても幸せだから不安だな」

エスターは目を丸くして、すぐに首を軽く横に振った。

今の幸せもエスターにはあまりにも過分だった。

それで、幸せであればあるほど不安になった。

自分にこんなに幸せな瞬間だけ続くはずがないから。

割れる直前の薄氷の上を歩いているようだった。

「不安がらないでください。私たちがいるじゃないですか」

「うん」

幸せで不安だったのだ。

もうここを抜け出した人生は想像もできないから。

こんな光を感じた以上、これ以上過去のような闇に戻って生きることはできなかった。

ドロシーはその後もしばらくエスターの話を聞いてから部屋を出た。

長い一日の終り。

人々の中で賑わって一人になったエスターは、今日に限ってもっと寂しさを感じながら天井を見つめていた。

「全部夢のようだ」

心がそわそわして寝返りを打ちながら横になると、ちょうどテーブルの上に置いたネックレスが目につく。

ノアがプレゼントしてくれたダイヤのネックレスを持ってきて置いたが、窓際の月明かりを迎えてほのかに輝いた。

「無事に帰ったかな?」

ノアのことを考えると、また恥ずかしくなって枕に顔をうずめた。

 



 

長いパーティーも終わりました。

セバスチャンも次の恋に頑張ってほしいですね!

 

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