できるメイド様

できるメイド様【228話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「できるメイド様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【できるメイド様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「できるメイド様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっておりま...

 




 

228話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 一つになるために⑨

一方、帝国軍の状況は王国軍にも伝わっていた。

戦闘を控える敵ということもあり、同情的な視線は皆無だ。

むしろ病気にかかった人数が500人程度に留まったことを惜しむ者もいた。

いずれにせよ、誰も特に関心を持つ者はいない。

帝国にどんな被害が生じようと、それは敵国の問題でしかなかった。

しかし、王国の中でたった一人だけ、別の考えを抱いていた。

『知らないふりをしてもいいのだろうか?』

それは、他でもないマリだ。

彼女は帝国で発生した伝染病の報告を聞き、深く悩み始めた。

『プルンゴンパイの薬を支援すれば、多くの命を救えるはずだ。』

マリは自分の考えに驚いた。

まるで自分が猫が鼠を心配するようなことを考えているようで、その矛盾した感覚に自嘲するしかなかった。

『けれど、病にかかっているのは全員が兵士ではない。一般の民衆にも大きな被害が及んでいる。それに、私たちの軍に薬が不足しているわけでもないし。』

マリは深い息をついた。

帝国軍は侵略軍だ。

彼らを助けるのはあり得ないこと。

しかし、一方で、病にかかり命を落としている人々の姿が頭から離れなかった。

戦争が原因とはいえ、彼らに罪があるわけではないのではないか?

『もしかすると、今回の助けが和解へのきっかけになるかもしれない。』

もちろん、一度助けたところで状況が劇的に改善するとは限らなかった。

しかし、この行動が平和への第一歩になる可能性もあると考えたのだ。

状況が劇的に変わることはないだろう。

しかし、何かきっかけとなる可能性があるかもしれない。

『いや、それでも、死にゆく人々を助けることには意味がある。』

ついにマリは心を決め、迅速に行動を開始した。

「帝国側に使者を送るということですか?何のために?」

「今回の伝染病について議論するためだとお伝えください。」

バルハンは怪訝な表情を浮かべた。

クローアン王国では既に伝染病の問題は解決されている。

なのに、まだ議論することがあるのだろうか?

『まさか?』

バルハンはマリの意図を察し、大きく目を見開いた。

マリは困惑した表情で言った。

「どんな敵国であっても、伝染病で多くの人が命を落とすことを考えると気になってしまって……。薬が不足しているわけでもないですし……。でも、それでも止めるべきでしょうか?」

それでも確信が持てなかったマリは、バルハンに意見を求めた。

バルハンは悩んだ末に答えた。

「本来であれば敵国を助ける必要はありませんが、殿下のご判断にお任せします。どうせ助けないことなど、殿下には耐えられないことでしょう。」

マリはぎこちない表情を浮かべた。

彼の言葉は的を射ていた。

バルハンは軽くため息をついた。

「まあ……殿下のそういうところが、私たちの忠誠心をさらに強める理由でもあります。」

こうして、王国と帝国の間に会談の場が設けられた。

指定された場所に向かったマリは、帝国から現れた人物を見て目を見開いた。

「お久しぶりです。もう殿下と呼ばなければならないのですね。」

端正な顔立ちの見慣れた顔。

オルンが帝国の代表として姿を現したのだ。

オルンは冷たい表情で彼女を見つめた。

「こういう形で再びお会いすることになるとは……。」

マリの顔にも複雑な感情が浮かんだ。

最後に彼を見たとき、こんな再会をするとは全く思いもしなかった。

「とりあえず、個人的な話は後にしましょう。ここは両国を代表して話し合う場ですから。」

「何のために話し合いを求めたのですか?」

「現在進行している伝染病の件で話し合いをしたいと思い、お呼びしました。」

「伝染病ですか?クローアン王国は既に伝染病を解決したと聞いていますが?」

オルンは不審そうな表情を浮かべた。

伝染病について話し合う?

クローアン王国は何の被害もなく伝染病を解決した状態で、一体何の話だというのか?

「帝国では現在進行している伝染病の患者をどのように治療しているのですか?」

「できる限り医師たちの尽力を頼っていますが、治療薬がないために犠牲者が相当数出ています。」

冷静に答えていたオルンは一瞬動きを止めた。

彼女がどんな意図でこの話題を持ち出したのか、慎重に見極めようとしていた。

「まさか?」

マリは静かに、しかし確固たる意思を持って答えた。

「はい、その通りです。話し合いを求めた理由は、我が王国と帝国で使用している『プルーンゴンパイの薬』について取引を提案するつもりだからです。」

「……!」

オルンは目を大きく見開いた。

彼女の言葉をすぐに受け入れることが難しかったのだ。

『プルーンゴンパイの薬?どういうことだ?』

帝国の立場からすれば、拒む理由のない提案だった。

プルーンゴンパイの薬さえあれば、多くの患者を救うことができる。

マリは彼に丁寧に言葉を重ねた。

「確かに戦争の最中ではありますが、病に倒れた人々には何の罪もありません。救える命を見捨てるわけにはいかない、それだけなんです。」

「……」

「もちろん、無償でとは言いません。相応の対価をいただきます。」

オルンは彼女の言葉に何も返すことができず、ただ黙って口を閉ざしたままだった。

そして彼女の目をじっと見つめた。

以前に別れたときと変わらない、透き通るようなまっすぐな瞳。

オルンはまるで嘆息するように口を開いた。

「……あなたは変わりませんね。」

彼は、彼女がラエルの従者であったころのことを思い出していた。

彼女はその時も常に善意に基づいた行動を取っていた。

そんな彼女が敵軍に薬を支援するというのは、言葉にもならない行為だと思われるだろう。

「……あなたが皇后になっていたら、とても良かったのに。」

オルンは少し言葉を詰まらせて、口を閉ざした。

自分でも知らず知らずのうちにその考えが口を突いて出たようだ。

「ご存じですか? あなたがいなくなり、王女としての身分が明らかになったとき、私は本当にあなたを恨みました。」

マリは黙って彼の言葉を聞いていた。

「帝国に大きな損害を与えただけでなく、敗北感を叩きつけるような苦痛も与えました。そのために恨み、そして本当に多くを後悔しました。自分の心が揺らぐたびに、どうしてもあなたを捕らえて引き止めるべきだったのではないか、と考えたこともありました。」

オルンはわずかに口角を引き上げて苦々しく笑った。

「それでもやはり、憎むことは難しいですね。」

「……。」

「陛下の提案に対して、帝国を代表して感謝を申し上げます。皇帝陛下も非常に喜ばれることでしょう。薬の代価は不足なくお支払いします。」

こうして薬品支援についての協議が成立した。

王国はプルンゴムパン薬を提供することになり、帝国はそれに対して相応の金額を支払うことに同意した。

オルンは帝国の陣営へ戻る前に、最後にこう言った。

「陛下。」

「お話しください。」

「本日のご厚意に改めて感謝します。」

マリも彼に向かって一礼した。

「どうかお気をつけてお戻りください。」

プルンゴムパン薬は即座に帝国に送られ、患者たちに投与された。

この薬は「魔法の霊薬」という異名が付けられるほど、驚くべき効果を発揮する。

瀕死の状態だった患者たちが次々と回復し始めたのだ。

「私……生きているの?」

「どうして? 確実に死ぬと思っていたのに……。」

高熱で苦しんでいた患者たちが回復し、意識を取り戻した。

その様子に医者たちも驚愕した。

かつて絶望的だと思われていた状況が、ここまで劇的に好転するとは信じられなかったのだ。

しかも回復したのは一人や二人だけではなかった。

まるで奇跡が起きたかのようだった。

「天使様でもいらっしゃったのか?」

患者たちは戸惑いながらもそう尋ねた。

しかし彼らの疑問はすぐに解けた。

「クローアン王国のモリナ女王がプルンゴムパン薬を支援してくれたそうだ!」

「あり得ない。どうしてそんなことが?」

彼らは互いに顔を見合わせた。

帝国はクローアンの敵国であり、ただ関係が悪いだけでなく、戦争を目前に控えた宿敵同士だった。

それなのに、このような支援があるなんて?

「……やはりヒルデン様は。」

患者の一人が、自分でも気づかないうちに口を滑らせた後、急に驚いて自分の言葉を訂正した。

「あ、いや。以前、都で助けられた時のことを思い出しただけです。」

帝国の誰もが、いや、マリ・フォン・ヒルデレンを覚えていた。

彼女はかつて帝国のために多くの功績を残し、帝国民全員から愛されていた女性だった。

帝国民の全員が彼女が自分たちの皇后になるものと信じて疑わなかった。

「……」

過去の出来事が蘇り、兵士たちの間には一時的に重苦しい雰囲気が漂った。

不思議なことに、彼らが誰に向かって剣を向けているのかを改めて思い出したのだ。

驚くべきことに、かつて皇后になると信じられていたマリ・フォン・ヒルデレンが彼らの敵となっていた。

彼らは彼女の命を守るために剣を握ったこともあったが、今回、彼女は再び説明のつかない善行を示した。

兵士たちは言葉を失い、説明できない複雑な感情で立ち尽くした。

「……なんという恩だ。」

「……これが本当の話なのか。おかげで多くの者が命拾いをした。」

こうして、帝国軍全体にマリの善行が広まっていった。

その知らせを聞いた兵士たちは、感謝と複雑な思いを抱かざるを得なかった。

そして、帝国軍に対するマリの支援はこれで終わりではなかった。

プルンゴムパウィ薬を投薬しても回復しなかった国境地帯の患者たちを、王国軍の陣営で直接治療まで行ったのだ。

実際、マリ自身もそこまで行うつもりはなかったが、優れた医術を持つ彼女の存在を知った患者たちが助けを求めて訪れるのを無視することはできなかった。

こうして、戦場には不似合いな美談が再び帝国に広がり、帝国民の心の中でマリへの感謝の念がさらに深まる。

「どうして敵国にこんな助けを……ヒルデレン様は本当に天から降りてきた天使なのか?」

誰かがつぶやいた声に、場の全員がしばし沈黙した。

そして同じように思う者は一人や二人ではなかった。

しかし、それが即座に両軍の雰囲気を改善したわけではなかった。

相変わらず、両軍は緊張した状況を維持していた。

ただ、一つの変化が生じた。

それは帝国軍の中にマリに対する憧れが芽生え始めたことである。

帝国の人々は皆、かつての皇后候補であったマリを記憶していた。

この出来事をきっかけに、当時の記憶が呼び起こされ、彼女を再び懐かしむ者たちが現れたのだった。

その頃、帝国の国境付近にある村で、正体の知れない男が静かに酒を飲んでいた。

フードで顔を隠したその男は、体つきが非常にがっしりしており、周囲から聞こえてくる話に耳を傾けながら、ぼんやりと考えにふけっていた。

「やっぱりすごいな。」

聞こえてきたのは、モリナ女王に関する話だ。

男はその話を聞きながら、口元をわずかに歪めた。

フードの下から見える彼の顔立ちはどこか異様だった。

顔立ちは女性のように美しかったが、その一方で、顔には何かで裂かれたような深い傷が刻まれていた。

また、首元にも深く刻まれた傷跡があった。

男は再び酒を口に運びながらつぶやいた。

「やっぱりモリナ女王だ。大したものだ。」

そう言った彼の声には、苦しげな響きがあった。

「会いたい。」

その声には、抑えきれない激情が込められていた。

 



 

 

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