こんにちは、ちゃむです。
「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。
今回は54話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
54話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 嫉妬
翌朝。
王妃デビナはいつものように夜明けに目を覚ました。
軽く体を起こすと待っていたのか、年配の侍女が近づいてくる。
大王妃の実家であるレノックス侯爵家の人で、デヴィナが結婚して以来、ずっと彼女のそばを守る女性だ。
お互いに習慣に近い朝の挨拶を交わし、簡単に洗った後、彼女はデビナの服を着替えさせる。
「昨日、公爵から何かお話はありませんでしたか?」
するとふと、侍女が質問をした。
何でもないかのように軽い声だったが、デビナはびくっとして顔を上げる。
(昨日・・・私についてきたの?)
デヴィナが侍女たちに内緒でマクシミリアンに会いに行った時のことだ。
うんざりするような視線にも、侍女は淡々とした顔でデビナの裾を引っ張りながら手入れを
続けるだけだった。
「・・・はい、ありませんでした」
そしてデヴィナは声を低くしてこのように付け加えた。
「王妃殿下が心配することは、少しも」
「・・・」
侍女はやっと頭を上げてデビナを見つめ合った。
露骨に疑う覗線が混ざっていることから見て、昨日公爵と交わした話は少しも聞いていないようだ。
「殿下は敢えて公爵の腹を探るために一人で接近したのですか?」
「私の夫の安定のためなら、私は何でもします。そして、それは・・・」
デヴィナは侍女の手に握られたスカートの裾を引っ張り、数歩後ろに下がる。
「王妃殿下も同じでしょう」
大王妃殿下であっても、この場所では何とか公爵の意中を探ってみたはずだという答えにm侍女は反論できなかった。
大王妃は、マクシミリアンの心臓を開いてでも、その中を知りたがっていたからだ。
「退いてもいいです」
「はい、殿下」
露骨に王妃を疑う発言をしておきながら、レノックス家の侍女は謝罪の一言もしなかった。
デビナは彼女の職務が実は「デビナの監視」という点を改めて悟った。
(・・・もどかしい)
デビナは幼い頃から「必ず王妃になれ」という親の教えを受けて育った。
彼らはデビナにいつも「王妃は最も高貴な女性だから、誰よりも自由で幸せだ」と教えた。
だから幼い日の苦労は王妃になる瞬間に終わるだろうと。
幼かったデビナはその言葉を固く信じてきた。
王妃が楽に呼吸すら吐き出せない席であることも知らずに。
「こうなると分かってたら・・・」
デビナはごついシェリデンの壁を手で掃き、タブーな想像を続ける。
もし彼女がこのシェリデンの女主人だったらどうだっただろう、という。
ちょうど開いた窓越しに囚人の女の子の手を握って庭に出てきたブリエル・シェリデンの姿が見えた。
動きやすいシャツとズボンをはいた彼女は、庭に落ちた汚い落ち葉などをたくさん集めている。
そこで少し煙が出るのを見ると、火でもつけて遊ぶようだ。
「品位がないことを・・・騎士や臣下がこのような姿を見るだけでもマックスがとても恥ずかしいだろうに・・・」
デビナがそんな心配をする時、ちょうど彼らの周りを騎士が通り過ぎた。
しかし、彼らは奇怪な行動をする公爵夫人を少しも恥ずかしがっている様子ではなかった。
むしろ「奥様、栗を持ってきました!皮を少し剥いておきました」と小さな炎の中にポンと
投げ入れるのではないか。
彼らだけではない。
城の使用人たちも、通りすがりの公爵家の臣下たちも、彼女を恥ずかしく思わなかった。
かえって喜んで火に当たり、おやつを持ってきて一緒に分けて食べている。
デビナはとても変な気分になった。
どうして彼女自身が見捨てた不格好な席がむしろ自由で幸せそうに見えるのだろうか?
デビナは朝食後、シェリデン邸を出ることにした。
せっかく3番目の壁を出たのだから、彼女が幼少の時を過ごした故郷に立ち寄るつもりだ。
両親や近所の貴族、そしていとこたちに会うと、シェリデンで感じた不思議な気持ちをすぐに振り払うことができるだろう。
彼らは大変な地位に就いたデビナを誉めてくれたものだから。
皮肉なことに彼女は3番目の壁の内側よりも、実家のベクスリー伯爵家でより王妃らしい扱いを受けていた。
デビナは馬車の前に立ち、玄関まで自分を見送った公爵を振り返る。
彼は婚約していたときと同じように無邪気な目で自分を見ていた。
「お気をつけて」
その丁寧な挨拶が必ず「早く行ってしまえ」という催促に聞こえてきたので、デビナはなぜか心臓の片方が痛くなる。
いくらなんでもかなり長い間婚約関係だったのに、もっと泊まって行けという話もなしに挨拶ばかりするのはひどいと思って。
「マックス」
その名で呼ぶのは彼女なりの復讐だった。
案の定、滑らかだったマクシミリアンの眉間が不快感で歪んだ。
「昨日はありがとうございました」
別の意味でも解釈になるような言葉をかけながら、デビナはブリエルの顔色をうかがう。
できれは彼女が傷つくことを願う気持ちで。
「・・・」
しかし、ブリエルは特に反応がなかった。
マクシミリアンを疑ったり不安がると思ったが・・・。
(昨日のことに対する誤解はもう解けたの?)
しばらくそのような気がしたが、デビナはそんなはずがないとし、これを否定した。
彼女は誰よりも長い間マクシミリアンをそばで見守ってきた。
彼は誰かの誤解にこだわる人物ではなかった。
他人の感情や考えを敢えて前に出て左消したくないと言って、勝手に誤解させるのがまさにマクシミリアンではなかったか。
デビナはブリエルの前に大股で彼女の両手をつかんだ。
長い銀髪をただ垂らしただけのダサい女はびっくりして両目を丸くする。
「あの、殿下・・・!」
「奥様にはお詫び申し上げます。昨日のことで驚いたようでずっと気になっていました」
デビナはなぜか期待感があった。
これでブリエルの顔に醜い感情の一部が流れ出るのを見ることができるのではないかという気持ちで。
「いいえ、そうではありません。全然」
しかし、デビナの期待は外れた。
ブリエルがむしろ幸せいっぱいの笑顔で答えてきたのだ。
(まさか、昨日のことくらいは気にしないってこと?)
デビナは落ち着いて答える。
「公爵夫人がこんなに心が広いのですから、これから何度でもマックスと楽に会うことができます」
この程度ならとても腹が立つだろうか?という思いでかけた言葉にも。
「もちろんです!」
溌剌とした答えが聞こえてきた。
「よろしければ、次はもう少し長く滞在してください。殿下に見せたいシェリデンの素敵な場所がたくさんあります」
それにさらに一歩進んだ答えまで。
デヴィナはブリエルが自分をからかっているのではないかと思った。
しかし、嬉しそうな笑みを浮かべた顔からは、どうして悪意など少しも見当たらなかった。
(どうしてそんなことができるの?)
デビナはマクシミリアンの婚約者だった。
それもとても長い間。
ところが、ブリエルがその事実を少しも気にしていないように行動することが何だか少し不快だった。
「今度は・・・公爵夫人が首都に来てください。いつでも別宮を出して差し上げます」
デヴィナは平静を装った。
「あなたが見習うべき上品な奥さんたちを何人かご紹介しましょう。何かは学ぶようになるでしょうから」
それはブリエルが上品でないという非難の言葉でもある。
しかし、ブリエルはデビナの意図をあえて悩んだりもしないのか、今回も軽く答えるだけだった。
「ご配慮ありがとうございます」
「・・・」
「しかし首都では主に具合の悪い母のそばを守らなければならなので・・・いろんな日を付き合うのは少し難しいかも知れないです。申し訳ありません、殿下」
一体何だ?
デビナが喧嘩を売っているという事実を全部知っていながらこうしているのか?
それとも本当に知らないのか?
「でも、一度くらいは必ず伺います。ご招待ありがとうございます」
「・・・これで失礼します」
デヴィナはさっと身を乗り出してすぐ馬車に乗り、侍従に出発するよう催促する。
公爵とブリエルが窓越しに彼女に深く腰をかがめているのが見えた。
十分な礼を尽くす姿を眺めているのに、なぜか気分が悪くなり、彼女はカーテンを閉めてしまい、唇を噛んだ。
デヴィナの馬車が完全に遠ざかると、ブリエルはマクシミリアンを振り返った。
「最後に王妃殿下が多少不愉快そうに見えたけど・・・もし私が変なことを言ったのではないでしょうか?」
実はブリエルはデヴィナとの会話の途中で正気ではなかった。
昨日「あんな」ことがあって以来、マクシミリアンと初めて出会う場だったので。
彼女はそばに立っている男の心を気にするために自分の口から何が出てくるのかも知らなかった。
そして、しどろもとろにこぼれた言葉に大したミスがないことを願うだけだった。
「あなたはおかしくありませんでした」
「それならいいのですが・・・」
「幸いではありませんが、もらったものは返したので大丈夫ですね」
「え?私が殿下に何を返しましたか?」
「ええと、何でもありません」
ブリエルは適当な話に「詳しく話してくれ」と要求しようとする。
だが、瞬間ブリエルの手を包んで握った彼が手の甲の上に唇を傾けたので、何も言えずにその場で固まってしまった。
「ブリエル・シェリデン」
昨日と少しも変わらない感情の声に、ブリエルはもう慌てて手を引くのはやめて背後に隠してしまった。
「あ、あの・・・クラリスとまた庭で会うことにしたので!」
ブリエルは燃え上がる顔をどうすることもできずに慌てて振り向いた。
しかし、すぐに何かを思い出して、彼女は再びマクシミリアンの前に戻ってくる。
しばらくためらった後、彼女は何か大変な決心をしたかのようにうなずいて言った。
「わ、私も実は惹かれていたんです」
「え?」
「だから、昨日は私があまりにも驚いたあまり答えなかったようで・・・もし公爵様が私のようなことのせいで不安になってはいけないから。・・・ああ、もう!」
ブリエルはまた、しどろもどろな話をして両手に顔を埋める。
どうも彼をまともに眺めることができなかった。
「・・・私がまた変なことを言ったようです」
「あなたはおかしくありません。今回もいただいたものを返していただいただけでしょう。優しいですね」
マクシミリアンはなぜか楽しそうだった。
王妃が怖いですね・・・。
デビナの嫌味もブリエルには効果がありませんでした。
マクシミリアンとブリエルの関係が更に深まってくれて嬉しいです!