こんにちは、ちゃむです。
「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。
今回は59話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
59話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 苦い過去②
少女はクラリスにすぐ気付き、手をたたいて喜んだ。
「王子様!この子です!私に傘を貸してくれたという下女のことです」
「・・・下女」
王子は小さな少女の話に軽く顔をしかめた。
改めてクラリスがこの王室にふさわしくないと思ったようだ。
(ああ、どうしよう・・・)
クラリスは裾をしっかりと掴んだまま、自分のつま先だけを見下ろした。
「私にきれいな砂利もプレゼントしてくれました。この砂利です」
王子とクラリスの間の冷たい雰囲気に気付かなかった少女が、はつらつと話をする。
「本当にいい子で・・・どうしたんですか、お父様?」
その間、貴族の男性はクラリスの正体を見抜いたようだった。
すぐに自分の娘の腕を引っ張って口をつぐんだ。
「その口を閉じろ。君があえて殿下を不快にさせるつもりか!」
「わ、私はそんなつもりではありませんでした!」
びっくりした少女は、王子の顔色を見て、頭を下げた。
王子はやっとクラリスから視線を落とし、小さな笑みを浮かべる。
「いいえ。母親が卑賤ですから、あの子も下女に見えるのは当然のことでしょう。あなたの娘は血統まで調べる観察力を持っているようです。」
「ああ、寛大なお言葉に感謝いたします。何をしているのか?早く殿下に感謝をしないか!」
貴族の男は自分の娘の頭を押しつぶした。
「か、感謝・・・差し上げます、王子・・・様」
「いいえ、ただ心配ですね」
王子はあごをいじくり回してしばらく悩み始めた。
「男爵、あなたの娘はあの雑種と友情を分かち合いたいようです」
「そんなはずが!」
男爵はびっくりして娘の手に握られた砂利を奪った。
今にもこれを投げ飛ばす勢いだったので、王子は手を上げてこれを引き止めた。
「あなたがこれを返してくれても何の役にも立たないでしょう」
王子は男爵の手から砂利を奪い固め、再び少女の手によってくれた。
「あなたが返してください」
「・・・え?」
「あの雑種にふさわしい方法で返すようにという意味です」
それはつまり、クラリスに石を投げろという意味だ。
王子の意図を理解できなかったのか、少女は砂利を持ったまま美しい王子の顔をじっと見つめるだけだった。
「あなたがそうしてくれるなら、明日またお茶を飲む時間をとってもいいです」
ばらまきのように渡した言葉に、少女の父親である男爵が非常に焦った。
「何やってんだ!殿下が慈悲を施してくださったのに、すぐに言うことを聞かずに。早くあの雑種に石を投げなさい!」
少女は石をしっかり握ったまま自分の父を振り返った。
「はあ、でも・・・」
どうしたらいいか分からなくてもじもじする子供に対し、貴族は石を荒々しく投げつける真似をした。
「こうしろということだ!こうやって!」
「あの、私は・・・!」
びっくりした子供は再び王子を振り返った。
本当に父の要求が正しいかどうかを確認するために。
「そもそも身の振り方ができなかったあの子が悪いんですよ。早く適当な罰を与えてください」
王子は穏やかな笑みを浮かべてそう言った。
「で、でも・・・王子様」
「嫌ならすぐに領地に戻ればいいですね。この汚い血筋と友情を交わす子なんて・・・不快です」
「早く投げろ!何してるの!?怒られたいのか?」
「・・・」
びっくりした少女が石を持った腕を生半可に持ち上げる。
しかし、それだけだった。
大きな目に涙をいっぱい含んだだけで、少女はそれを投げることができなかった。
「・・・帰ろう」
王子が歩を踏み出そうとした瞬間。
父親の鋭い視線に耐えられなかった少女の手から、丸い石ころが投げられた。
硬い砂利はクラリスの頬を正確にぶつけて床に転がり落ちる。
「・・・」
クラリスは自分の頬をそっと手のひらで拭いた。
熱くてひりひりする感じがした。
石の粗い面に引っかかれたのか血が出ているようだ。
痛かった。
本当に痛かったが、頬が痛いのではなさそうだった。
クラリスはやっと頭を上げて少女を見る。
いっぱい涙が溜まってる瞳とぶるぶる震える肩があまりにも切なくて、クラリースは誰かあの子を温かく抱きしめてほしいと思った。
「・・・あ、あの・・・」
震える唇で少女がリンゴを渡そうとする。
しかし、それはあまり良い考えではなかったはずだ。
兄を怒らせるだけだから。
クラリスはにやりと笑った。
「へヘ」
その笑いに驚いた少女がすぐに口をつぐんだ。
「あの馬鹿な子供は、石ころで頭を打たれても自分の過ちを知らないようだね?」
王子は舌打ちをして、くるりと向きを変えて別の道に向かった。
「あんな汚いものともう一緒にいたくないです。散歩は他の所に行ったほうがいいね」
男爵がさっと彼の後を追う。
ただ、少女はその場に立ったままクラリスを眺めているだけだった。
このままだと少女がもっと怒られるんじゃないかな?
クラリスは床に落ちた大切な砂利をさっと拾い上げ、むやみに反対方向に走り始める。
「私は泣かない。全然痛くない」
すぐにそのような考えが浮かんだのは、おそらく、むっと漏れるような泣き声を何とか抑えるためだったのだろう。
別宮の部屋に戻ると、別宮はがらんとしていた。
下女は掃除と整理を終えて先に帰ったようだ。
クラリスはもぞもぞ布団に入る。
温かいものが頭からつま先まで彼女を包み込むと、初めて震える呼吸が長く抜け出た。
「恥ずかしい」
さっきのことで、少女がクラリスをどう見たか想像してみると、あまりにも恥ずかしい。
「うん、考えるのはやめよう」
彼女は石を握った手にぐっと力を入れ、押し寄せる感情を無理やり暗い箱に詰め込んだ。
思い出すほど心臓を鋭いものでちくちく刺すようだったから。
クラリスはポケットから石を取り出し、手のひらに置く。
慣れた感触と温度を何度も撫でていると、少しずつリラックスした気持ちになった。
「・・・ありがとう」
クラリスは砂利の上に唇を傾けた。
ちょうど頬をかすめた時、血が少し滲んでいた箇所だ。
「あなたは私の・・・大切な友逹よ」
そのように囁きながら再び砂利を胸の上に抱え込む時は、なぜ全身から力が抜けてまぶたが重くなった。
緊張が解けたせいだろうか?
クラリスは自分の体がどこかおかしいと思ったが、すぐに気を失って深い眠りに落ちてしまった。
「こ・・・お」
寝耳に聞こえてきた可愛い声の正体が何なのか、少しも考えられないままだ。
クラリスの過去が切なすぎる・・・。
この少女も戦争の時に亡くなったのでしょうか?
モチが生まれたきっかけが垣間見えましたね。