こんにちは、ちゃむです。
「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。
今回は50話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
50話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ブリエルの困惑
ブリエルは階段を急いで降りて玄関を通り過ぎ、庭に抜け出した。
「あれ、どうしたんだろう?」
当惑でいっぱいの心には、ただ答えの分からない疑問だけが咲いていた。
王妃殿下がマクシミリアンと非常に長い間婚約関係にあったことはブリエルも知っている。
ただ、この前の首都行きでは母親を看護するのに時間を全部使ったため、デヴィナとマクシミリアンが一緒にいる姿は見られなかった。
(何よりそのことを気にしないようにしてたけど)
誰でも過去はあるものだった。
ブリエルも思春期の頃には一人で大切にしていた片思いがあった。
ただ、マクシミリアンの場合、あまりにも高貴な方なので、そのような関係が公然と表れているだけだ。
だから、そのようなことに一つ一つ神経を尖らせるのは正しくないと思った。
(いや、そもそも私に嫉妬する資格があるだろうか?)
実の親さえ知らないため、出身が不明な下女である自分とベクスリー伯爵家出身の高貴な王妃様を並べることはできない。
「・・・だから」
ブリエルは優しく彼を呼ぶ美しいデビナを思い出す。
失くした婚約者がまた優しくしてくれて、ちょっとでも嬉しかったのかな?
それとも・・・。
(あの方の感情がとちらであれ、私が割り込む場はない)
いつの間にか息がぐっと上がった。
そろそろ力が抜けるかと思った時からは、ずんずんとしたスカートの裾が足に絡まってきて、庭のど真ん中で倒れてしまった。
それもまるで子供のように床に倒れながらだ。
ばちばちと音を立てて落ちたランプの明かりが消え、四方が暗くなる。
「・・・」
あごと手のひら、そして足が床の石に擦れてかなり痛かった。
「あ・・・ふ・・・」
ブリエルはうめき声をあげてゆっくりと立ち上がる。
月が雲に遮られた夜で視界が暗かったが、彼女の服がボロボロに裂けて汚くなったことは確かに分かるような気がした。
「どうしよう?」
このまま屋敷に入ると、みっともなく倒れたのをみんなにバレてしまうのに。
それに、もし王妃様が連れてきた首都の奥さんたちがこんな姿を見たら・・・。
確かにシェリデン公爵夫人が足りない人だと騒ぐかも知れないことだった。
これはマクシミリアンの名誉に傷がつくことなので、気になった。
(あ・・・それが問題じゃない)
ブリエルはその名誉よりも大切なことに気づいた。
クラリスが外出したということだ。
「もし星を見て、帰り道にガラスを踏んだら大変なことになる」
やや恥ずかしい格好ではあったが、早く人を呼んでこの周辺を几帳面にチェックし、鋭いものをすべて片付けなければならなかった。
ブリエルはゆっくりと起き上がる。
「うっ」
しかし、すぐに傷ついた足がずきずきするせいで、彼女はその場でふらついてしまった。
ポン。
その時、背後で誰かが彼女の両腕をつかんでくれた。
「・・・」
腕を完全に包み込むような大きくて熱い手の主を・・・ブリエルは振り返らなくても知ることができた。
「・・・」
そして彼女は困った。
(公爵様のせいでしきりに・・・期待するようになってしまう)
それもブリエルの分に合わない錯覚だ。
このような気がするのは、すべて彼の行動のためだった。
強く握った手と髪の毛の間に染み込む彼の緊迫した呼吸音のようなものだ。
ブリエルを捕まえるために駆けつけてくれたような・・・。
(あり得ない)
ブリエルは恥ずかしい思いをしようとして先延ばしにした。
(公爵様はそんな方じゃない・・・)
「ブリエル」
彼女がどうしても振り払うことができなかった錯覚と死闘を繰り広げる時、すぐ後ろに立った彼から低い声が聞こえてきた。
「お詫び申し上げます」
「私に謝る必要はありません」
ブリエル自身も驚くほど硬くて冷淡な口調だ。
「どうせ私は・・・本当に公爵夫人でもないんですから」
自分まで傷つく言葉を頑張って渡すと、彼女を握っていた彼の手から力が抜けていく。
ブリエルはその時を逃さずに2、3歩前に進み、彼から遠ざかった。
十分に距離を広げて振り向くと、巨大な男のシルエットが見えた。
彼は空っぽの手を見下ろしている。
暗くて表情は見えなかったが,ブリエルはなんだか彼が傷ついたのではないかと思った。
(・・・どうして?)
この状況で傷つけられるのはブリエルだった。
あえて片思いをしてしまった男の過去に向き合ってしまったので。
それも非常に隠密な雰囲気の過去を。
しかし、彼が傷つくはずがない。
(何よりも私たちは偽物・・・夫婦なのだから)
いつか彼も言ったのではないだろうか。
『幸い私たちは婚姻を『無効』にすることができるので、あなたの名誉に傷がつくこともないでしょう』
離婚が過去を整理し、新しい道を探す素晴らしい旅の始まりなら・・・。
無効は彼らの結婚が存在すらしなかったかのように完全に削除することだった。
それはある結婚にはこのような「無効」が必要なこともあるだろう。
(・・・でも)
ブリエルはそっと頭を上げる。
夏の風になびくマクシミリアンの長い髪越しに巨大な冬の城の姿が両目に入ってきた。
(ここが本当に・・・気に入ってる)
婚姻が無効になればこんな心さえなかっただろう。
それだけではない。
優しい城の人たちに「雪花の女王」と言われて、恥ずかしいばかりの称賛を受けたことも。
クラリスと一緒に庭の雪かきで全身が汗まみれになったことも。
そして時々、扉の隙間から伝わってきた無愛想な手紙も。
すべて・・・なかったことになるのだ。
ブリエルは寂しさを抑えようとした。
すると、本心とは全く違う言葉が自然に出てきた。
「本当に大丈夫です。公爵様と王妃様は大切な関係だったじゃないですか。だから特別にもっと喜ばれると思います!そうですよね?十分に理解できます。そ、それが・・・私も以前好きな人ぐらいはいたから、わかります!」
「・・・ハリーという男のことですか?」
「え?」
ブリエルは思いもよらない質問に少し驚いて問い返した。
彼はさらに一歩近づく。
「首都までお母さまをお連れして来たというあの男の事です」
「え?そんなことないです!」
ブリエルはびっくりして両手を振った。
兄妹のように育った友逹にそんな気持ちを抱くはずがない。
「・・・違うのですね」
すると、彼がなんだかちょっと憂鬱な声で答えながら、ぽろりと頭を下げた。
「あなたには他の誰かがいるのですね。私が知らない・・・」
それは当然だ。
ブリエルはここに来るまで使用人社会の一員だった。
当然、彼女が知っている人のほとんどは王室の王子様には分からない人々だけだった。
(ところで、それをどうして気にするの?)
ブリエルが彼に対する心を簡単にはできないのは、おそらくこのような部分のためだろう。
しきりに勘違いさせることだ。
「とにかく・・・」
マクシミリアンは咳払いをしては頼まない釈明をした。
「少し前のことは、王妃殿下が私にクラリスの去就について助言をしたことだけです。その意見が多少・・・王室の意に反する傾向がありました」
「・・・」
「王妃様とは形式的な婚約関係でした。今さらその関係を念頭において対話を交わすこともありません」
だから、なんでこんなことを一つ一つ言い訳するんだろう。
この高貴な王子様は、このような度にブリエルの心がどれほど強く揺れるのか分からないに違いない。
だから、ブリエルははっきりと話しておくことにした。
お互いに誤解し合っている二人がもどかしいです・・・。