こんにちは、ちゃむです。
「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。
今回は42話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
42話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 出征
翌日、リンデマン大公邸の別館は綺麗に空いていた。
ルイーゼはお金とかばん、剣だけを持って日が昇る前に出発した。
エドワードはベッドの上にきちんと並べられていた紫色のドレスを手に取る。
こうなると知っていたら、初めてこの衣装を着て出てきた彼女に本当に美しかったと話でもするつもりだったのに。
どうしてぼんやりとじっとしていたのか分からないことだ。
トントン。
エドワードは開いたドアを軽くたたく音に首をかしげる。
マクシオンは固い表情で席に立っていた。
「ルイーゼが発つ前に私のところに寄りました。私も共犯なのかと聞かれました」
「それで何と答えたの?」
「そうだと言いました」
「・・・ごめんね」
エドワードは沈んだ顔で持ち主を失ったドレスをベッドの上に置く。
「エドワード様のおっしゃるとおり、どうせルイーゼは私たちの仕事に合いませんでした」
「・・・」
「別館は片付けておくように指示します」
「ほっといて」
「・・・はい?」
「このままにしておけ。そうでなくても、出征準備のためにみんな忙しいじゃないか。戻ってきてから片付けるようにしよう」
「そうします」
エドワードとマクシオンは約束でもしたかのように、何も言わずにベッドの上に置かれている紫色のドレスを凝視した。
ルイーゼが皇室の宴会から一人で去ったという事実はすぐに広まった。
彼女が首都を離れる姿を見たという人々まで続出し、皇室宴会以後、エドワードとルイーゼの間が大きくこじれて別れたという噂が流れる。
噂の中心にいたルイーゼが首都を離れ故郷に帰ったという話が出ると、人々はすぐに彼らから関心を離した。
どうせ大公はすぐ出征することになるだろうから、しばらく彼もまた社交界には顔を出すことがないだろうから。
すでに終わった話題を除いても、首都には面白いことが溢れているから。
「エドワード様」
「あ、水差しの数が足りないって?」
「はい。そして、指示された通り、古い品物の中で変えなけれはならないものを整理してきました」
「うん」
エドワードは書類を確認し、決裁の署名を残した。
ルイーゼがいなくなって以来、彼はしばしばどこかねじが外れているかのように振る舞った。
朝起きるやいなや習慣的に別館にに向かうか、昼食後に秘密演舞場に向かう途中、止まることを何度も繰り返した。
もう二度と使わない演舞場を点検しに立ち寄って、彼と出くわしたマクシオンが不思議な顔でエドワードを見る。
「なぜここにいるのですか?」
「散歩する道だよ」
「敢えてこの道へ。ここには何もないじゃないですか」
「庭園だけを歩くのは退屈だから」
「・・・」
出征を2日後に控えた時点だ。
騎士たちは出征に必要な物品を点検しながらコンディションの調節に入っている。
「テントが一つ残りますね。ああ、ベニーという検査と一緒に行こうと思って買っておいたんですよね?彼は出征から抜けると言ったのでこれも置いていきます」
「・・・取っておくようにして」
最後に出征品を点検しに出てきたエドワードが心の知れない顔で話した。
「これをあえてですか?」
「一つぐらい余分を置くのもいいだろう」
「え?あ、はい・・・。でしたらこの寝袋は」
「それもそのままにしておいて」
似たような会話が何度も交わされる。
見ていられなかったマキシオンがエドワードに近づいた。
「以前は消耗された品物は途中で村に立ち寄って購入したと覚えています。今物品も余裕を持って使用しているので、不良品が出てもいくらでも代替可能です」
「そ、そうします」
「エドワード様」
マクシオンが真剣な声で呼ぶと、エドワードの視線が彼の方へ向かう。
「ルイーゼは去っていきました」
「・・・クッションもなしに痛いところをよく叩くな」
「私の知っているルイーゼは頑固で、一度下した決定を覆すことはありませんでした。今回は決定的な対話まで聞いた状況なので、なおさらです。たとえそれが嘘混じりの真実だったとしても、おそらく戻ってくることはないでしょう」
「・・・そうだね。どうせルイーゼちゃんは行かせなければならない人だったんだ」
エドワードは忙しく動く騎士たちを見ながら話を続けた。
「残りの点検は君に任せるよ」
「分かりました」
マクシオンと騎士たちの挨拶を受けながら、エドワードは演舞場を抜け出して本館に向かう。
彼は無表情な顔でうなり声を上げた。
「物足りないのか」
わずか数日一緒に過ごしたからといって、その間に親しくなったのだろうか。
彼の視線はルイーゼが滞在していた別館に向かった。
ただ一人が消えただけなのに、あそこがあんなにみすぼらしく見えるとは。
「数日前まではかなり素敵に見えたような気がするのに」
いざ立ち去れと背中を押してひどいことを言ったのは自分なのに、いつも彼女を思い出すなんて。
本当に不思議なことだった。
エドワードはがっかりしたように微笑み、再び足を蓮んだ。
夜明けが明ける早朝、首都の街には空飛ぶ鷹が描かれた旗がはためいていた。
皇帝の見送りを受けた大公の騎士団が首都の中心街を越える。
ワアアア!
銀灰色に白い糸で飾られた騎士団服を着た騎士たちを見て、国民が拍手と歓声を送ったが、いざ騎士たちの表情は明るくなかった。
国民はそれさえもやはりリンデマン大公の「銀色の鷹の騎士団」と言って謹厳だという賛辞を送ったが。
しかし、実状は謹厳と遠い騎士団だった。
「また出征ですか?皇帝は私たちが生きている姿を見ることができないようです。傷が治るや否や、また死地に追い込んで」
首都を引いている城壁を越えるやいなや、暗褐色の髪の騎士が黒い仮面を脱ぎながらぶつぶつと言った。
彼の目は暗い茶色の髪の治療師で、名前はロビン。
平凡な外見に比べて他の騎士より体格が小さい方なので、騎士団内でも目立った。
そのおかげで、ベニーの代役としてぴったりなので、今日、ルイーゼの代役を務めたこともある。
「ハハハ!もともと人生というのはそういうものじゃないか」
その横でヘンドリックは豪快な声で言った。
青銀の足に碧眼を持った彼は、マクシオンのような北部出身で、大きな体格と銅色の肌を持っている。
騎士団内では珍しく貴族の家系出身の騎士だ。
「・・・すぐ怒られそうだけど」
一人で呟く騎士の名前はエイヴンで、黒い髪の毛に黒い目をした少し暗く見える印象の男だった。
前髪が目を覆うように長く、ややもすると陰気な印象を与えたりもしている。
「静かに。まだ城壁にいる人々が見ている」
マクシオンの忠告に騎士たちは口を閉ざした。
彼らはエドワードの後ろ姿を見て、先頭で最も大きな黒馬に乗っているときに目配せをした。
エドワードはいつもなら何か一言は言ってもよかったが、今日はずっと静かだ。
彼らの主君はもともと責任感が強い方だった。
そうでなくても少し無理な感があるように計画を進めていたところだったが、再び首都を離れることになったので、気持ちが良くないようだ。
そのために騎士団が苦労していると考えることは明らかだった。
いざ部下たちが顔色を伺う張本人は他のことを考えているのだが。
(空の色が彼女の目に似ているね)
ルイーゼの瞳を見ながら黎明に染まった空を思い浮かべた時があった。
彼女の神秘的な色の銀髪も透明な紫色の目ももう見られないと思うと、中が空っぽのようだった。
別れに慣れたと思ったが、ルイーゼの不在は数日が過ぎたにもかかわらず、依然として現実感がない。
「大丈夫ですか?」
彼の状態を心配したマクシオンがエドワードに近づく。
「大したことないよ。気になるほど私の状態がおかしく見えるのかな?」
「・・・よろしかったら幸いです」
「マクシオンは私をガラスのように見ているんだな」
エドワードはくすくす笑ってスピードを上げた。
この丘の上から下まで続く平原を渡って小さな森を一つ過ぎると、夕方には村に到着するだろう。
立ち去った人を思い出しながら生きていくことはできなかった。
騎士団が城壁から抜け出し、芝生に覆われた高い丘に到逹した時だった。
真っ先にそこに到着した彼の表情が固まる。
「・・・あの銀色は」
もう幻想でも見ているのだろうか。
彼の目の前に見えるはずのない人が現れた。
狂証でも尽きたのかもしれない。
今見ると、マクシオンが彼のことを訳もなく心配したわけではないようだった。
彼の後を追ってきたマクシオンはエドワードのそばに立った。
「なぜ止まるのですか?」
「マクシオン。ちょっと私の後頭部を叩いてくれないか?」
「・・・私も自分の命が大事だということは知っています」
「下を見て」
マクシオンはエドワードの視線に沿って丘の下を見る。
彼の目が丸くなった。
「なんであそこに・・・」
「やっばり。私が見間違えたんじゃないみたいだね」
エドワードが腕を上げると、騎士団はすぐに動きを止めた。
「私が行ってくるから、君は騎士団とここで待機するように」
「はい」
彼は馬で坂を駆け下りる。
ルイーゼが去ってからのエドワードの落ち込み具合が酷いですね。
既に外に出ていたルイーゼですが、エドワードを待っていたのでしょうか?