こんにちは、ちゃむです。
「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。
今回は43話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
43話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 秋の最初の朝
エドワードは目的地の前に立つやいなや馬から飛び降りるように降りた。
彼が見ても信じられないという顔で目の前にある白馬と、その横に立った銀髪の女性を順番に凝視する。
「お久しぶりですね、エドワード」
長い銀髪を一つにして結んだルイーゼが落ち着いた顔で口を開く。
「・・・ルイーゼちゃん。あなたがなぜここにいるのですか?」
「考えてみました」
彼女の視線はエドワードに向けられた。
明けてくる朝日がルイーゼの顔を次第に明るく照らしていく。
「エドワードは最初から私に正直な人ではないと言っていました。マクシオンは元々嘘がつけない方です」
「・・・」
「私の前夫も、言葉では私を大事にしているように振舞いましたが、実際はそうではありませんでした。考えてみると、首都の男たちはすべて言葉と行動が他の人だらけでした。だからもう皆さんの言葉は信じないことにしました」
ルイーゼはゆっくりと目を瞬きした。
細かく長い銀色のまつげの下に隠れていた瞳が黎明に染まった空のように紫色に輝いている。
「マクシオンが嘘をつくのは、いつも私が危険な場合でした。正確には私があの子が心配するようなことをする時だけです。そしてエドワードは・・・」
しばらく間をおいていたルイーゼは、穏やかな声で話し続けた。
「あなたについては本当にたくさん考えなければなりませんでした。会ったばかりなので見当がつかなかったんですよ。ところが、どう考えてもエドワードはただの一瞬も私にむやみに接したことがありませんでした。初めて私たちが剣を狙った日に、あなたは私の実力を疑っても、傷をつけるのではないかと心配しました。他の日は、組手の中で転ぶ日をかばうために剣を捨てたりもしました。エドワードは単純に私を利用しようとしたというにはあまりにも不必要な親切をたくさん施しました」
「・・・」
「私を押しのけようとするのも、理由をきちんと話してくれないのも、エドワードが私のことを心配しているからだという結論を下しました。これが正解なんですよね?」
「・・・あの時十分に聞き取れるように説明したと覚えています」
答えるエドワードはあの時のように冷たそうな無表情だったが、ルイーゼの顔は少しも崩れなかった。
「私の力が欲しいそうですね。よく帰ってきたと喜ぶことではないですか?」
「ルイーゼ嬢を敵にしたくないとも申し上げました」
「それをすべて甘受して私があなたの味方になるという話です」
「ルイーゼちゃんはいったいなぜ・・・!そんな言葉を聞いても私のそばに立つというのですか」
こみ上げる心をどうしても隠すことができなかったエドワードの声の先が薄く震えていた。
太陽に背を向けた彼の目は暗く沈んだ。
強烈な感情の渦が彼の瞳中で熱く揺れ動いている。
「あの時エドワードがそう言いました。剣を持てば分かるんですよ。私が相手を殺したいのか、守りたいのか、それとも剣を狙う価値すらない人なのか。そして、あなたはどちらかと聞かれたのを覚えていますか?」
「・・・覚えています」
「剣を持ってみると、私は相変らず私の剣であなたを守りたかったです」
ルイーゼは落ち着いた口調で話した。
すでにずいぶん前に決定を下したように、少しも乱れることのない答えだった。
エドワードは彼女を見つめていたが、やっとの思いで唇を離した。
「ルイーゼさん」
彼は2歩で彼女の鼻の先に近づく。
ルイーゼが怪認な顔で彼を見上げた瞬間、エドワードの両腕が彼女の体を強く抱きしめた。
「あなたは、私が想像した以上に馬鹿なの分かりますか?」
「私がですか?」
「はい」
「私は私よりエドワードがもっと馬鹿みたいだと思います。そしてエドワードは今言葉と体が別々に遊んでいるんですよ」
「利己的なことは分かっているのですが、正直嬉しくて」
「・・・」
「ルイーゼ嬢がいない間、あなたが私の頭から離れませんでした。悪いことはできるくせに、私も自分の頭がどうしてそうしたのか分かりません。今まで私にとって別れは、すなわち裏切りあるいは死別だったので、この手の別れには慣れていなかったからかも知れません」
「・・・」
「あなたをとても恋しがっていました。傷つけてごめんなさい。私が悪かったです」
彼女の肩と後頭部を抱きしめた彼の腕に力が入る。
「一度は許してあげます。次はありません。説明しなくてもいいので、あんな風に傷つけて押し出そうとしないでください」
「はい」
ルイーゼは躊躇いながら、彼の腰に手を置いた。
「どういうことなのかは言ってもらえないんですよね?」
「はい。ただあの時言った言葉が全部嘘ではありません。私のせいでルイーゼさんがそんな目に遭ったのは明らかな事実です」
「それでは、私がどんどん掘り出してみます。それをもとに直接判断します」
エドワードは平然とした返事に小さく口角を曲げる。
「ここまで頑固とは知りませんでした」
「マクシオンに聞いたかどうかは分かりませんが、私はもともと頑固なんです」
エドワードは低く笑った。
「帰ってきてくれてありがとうございます」
「はい」
ルイーゼは笑顔で視線を上げた。
そして丘の上を見た時、彼女の表情が一瞬にして困ったように固まる。
「ところで、エドワード」
「はい」
「マクシオンと騎士の方々がこちらをじっと見つめているんですが」
「あ」
エドワードは慌てて彼女から身を引いた。
彼の顔が薄く上気していた。
遠くで誰かの口笛を皮切りに相次いで歓呼が沸き起こる。
「すみません。とても嬉しくて、つい・・・」
「すでにベニーは今回の出征に参加しないと言ったでしょう?」
「はい」
「それでは逃げたベニーの代わりに支援で入ってきたルイーゼ・ディ・セルベニアとして参加します。それではすべて説明可能なんじゃないですか」
ルイーゼは明るく笑う。
「だいたい私たちが恋人同士だと知っているはずですから」
「・・・いい考えですね」
エドワードは微笑んでルイーゼの手を握り、彼女の手の甲に頭を下げる。
頭を上げる赤い目とルイーゼの視線が空中で出会った。
相変わらず彼女の手を握ったまま楽しそうに笑う彼の顔を眺めながら、ルイーゼが慌てたように顔を赤らめた。
「エドワード」
「え?」
「今更ですが、本当にハンサムですね」
「知っています」
ルイーゼは上気した顔で手を取り、急いで馬に乗り込んだ。
唇が触れた手の甲が異様に火照っている。
「それでは上がって騎士さんたちと挨拶を交わしますね。邸宅で過ごす間、他の方々とは往来したことがありませんから」
「はい」
エドワードは笑顔で彼女と一緒に丘の上に向かった。
二人が近づくほど歓呼が大きくなる。
ルイーゼは先頭のマクシオンにまっすぐ向かった。
「君が嘘がつかなくて心を決めるのに役に立ったよ」
「・・・一緒に行くことにしたんだね」
「うん。ちなみに今回の出征にはルイーゼ・ディ・セルヴェニアとして参加するよ」
「うん」
ルイーゼはエドワードが歓声を上げる騎士たちに向かって笑顔で応対するのを見た。
ずっと楽に着たり征服したりする姿だけ見たからだろうか。
騎士団の制服姿の彼はいつもと違う感じだ。
ルイーゼは彼の胸にある勲章を見て、彼女を送るために悪い言葉で押し出した彼の心を推し量る。
あの勲章一つ一つにどれほど多くの裏切りと死が宿っているだろうか。
エドワードはルイーゼから離れた通りで口笛を吹く騎士団に向かって笑顔で口を開いた。
「君たちは力が溢れているようだね。私が直接マクシオンにトレーニングの強度を高めるように伝えなければならない」
先頭に立った騎士たちの顔が顔色を変える。
ロビンは隣に立っている騎士の後頭部をパチンと叩きながら言った。
「すぐに黙ります。おい、その口を縫う前に静かにしろ。」
「はい」
鋭いヘンドリックがすぐ後ろに口を閉じないと首が飛ぶというジェスチャーをすると、騎士団は一瞬にして静かになった。
「保留してもいいような気もするし」
騎士たちは口を閉じて激しくうなずいた。
エドワードは満足そうな顔で話し出す。
「あ、そしてすぐ紹介するが、マクシオンと先に挨拶を交わしているあの人は・・・」
彼の言葉が終わる前に、皆が約束でもしたかのように口を開いた。
「ルイーゼ・ディ・セルベニアさんじゃないですか?」
「ルイーゼ・ディ・セルベニアさんですね」
エドワードは当惑した顔で尋ねる。
「どうして分かったの?」
「殿下の表情が代わりに物語っています」
「私の顔がどうなんだ?」
「ちょっと気が抜けたようですが」
騎士たちは同意するという顔でうなずいた。
エドワードはルイーゼを見つめた。
「・・・そうだったのか」
覗線を感じたルイーゼは首を回してエドワードと目を合わせる、彼女は笑った。
「どうやらそうなってしまったようだ」
彼の顔に自然な笑みが浮かんだ。
完全に浮んだ太陽に世の中が明るく染まった、秋の最初の朝だった。
無事に和解した二人。
出征も無事に終わるといいのですが・・・。