こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は195話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
195話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 王女の復活②
状況がどのように流れたのか分からない。
「モリナ女王万歳!」
「クローヤン王国万歳!」
王国民は烈火のような叫び声で彼女の名前を呼んだ。
帝国第3軍団の侵攻という絶体絶命の危機に直面しているが、王国民の表情に心配はなかった。
私たちには彼女がいる。
モリナ王女、いや、今は女王に推戴された彼女と一緒なら、どんな危機も乗り越えることができると信じているのだ。
待ちに待ったモリナの帰還に、この瞬間、王国民の雰囲気は祭りのようだった。
それは一般の民だけではない。
王国の貴族たちも立ち上がった。
「モリナ王女が帰還したって?」
「総督のヒルデルン子爵がモリナ王女だと?」
帝国の顔色をうかがって息を殺していたが、王女の帰還を望んだのは貴族たちも同じだ。
呼ばなかったにもかかわらず、彼らは自発的に自分たちの勢力を集めてモリナの下に集まった。
そのように激動する情勢の中、クローヤン王国は新しい国王モリナのもとに結集し始めた。
すべての王国民の熱気の中で新しい国王に推戴されたマリは。
「・・・」
真っ黒に死んだ目つきで窓の外を見ていた。
王室騎士団の団長であり、彼女に忠誠を誓ったバルハン伯爵は、つばを飲み込んだ。
(王女殿下が女王になることをずっと願っていたが、こんな状況が起こるとは・・・)
全く見当もつかなかったことだった。
今回の出来事の元凶、ストールン伯爵はマリを奈落に落とした後、忽然と消えてしまった。
「殿下・・・」
バルハンが呼んだが、マリからは反応がなかった。
たった一滴の血の気もない顔で、死んでしまった死体のように空中を凝視するだけ。
「ケイロン伯爵とグレン子爵、ノシルト伯爵が到着しました」
バルハンが言った人物たちは過去の王室の大臣たちだ。
「北部のゲリン男爵も、テンシエン子爵も、まもなく合流するだろうと手紙を送りました。そして・・・」
そこまで話したバルハンは口をつぐんだ。
真っ黒に、死んだ彼女の瞳に涙が満ちているのを見たのだ。
「殿下」
ポトっ。
涙が一滴の底に落ちた。
そして、涙は止まらずに流れ続けた。
マリは唇をかんだ。
「・・・すみません。一人でいたいです」
「殿下」
バルハンが残念な声で口を開いた瞬間だった。
マリは苦しそうな顔で発作的に声を上げる。
「お願いです!どうか!どうか一人でいさせてください」
「・・・」
「分かっています。今こんなが時間ないってことは。それでもどうか一人でいさせてください。どうか・・・」
マリは涙ぐんだ顔で哀願する。
バルハンはためらい、頭を下げた。
「すみません」
そのようにバルハンが出て行き、一人になったマリの口から結局泣き出した。
なんで?なんで、なんでこうなったんだろう?
彼女はこのような状況を決して望んでいなかった。
いや、このような状況を避けようと果てしなく努力してきた。
しかし、運命の鎌は彼女を酷い奈落に落とした。
「陛下・・・陛下・・・」
どうしてだろう?この瞬間、マリはラエルの顔だけを思い浮かべた。
「私、こうなりたくなかった。絶対に私が望んでいたことではありません」
彼女はとめどなく涙を流した。
この瞬間、彼にとても会いたかった。
胸に抱かれて彼が自分の頭を撫でてくれるのを感じたかった。
しかしもうそうすることができなかった.
その現実が彼女を限りなく絶望させた。
引き裂かれる心とは別に、その日、マリは夢を見た。
彼女に能力を与える神秘的な夢を。
「見たくない」
マリは灰色で死んだ目で考える。
こんな夢なんて見たくなかった。
ただ、誰もいないところに逃げ出したかった。
しかし、意思と違って、夢は彼女に鮮明な映像を見せた。
「そう、船の揺れを防ぐ方法があるって?」
「そうですね、僧像」
背景は東方だった。
大殿で鋭い光を持った男がどこか醜い印象の男に尋ねていた。
「うちの清州郡は呉と違って水戦に弱い。船の揺れだけ防げることができれば大きく勝利できるはずだ。方法を言ってみなさい」
不細工な男はにっこりと笑う。
「連環系(連環計)を使えばいいです」
「連環系?」
「船同士で鎖をつなぐのです。そうすれば、船の揺れを防ぐことができます」
その言葉に「丞相」と呼ばれた男は手のひらで膝を打った。
「そうか!その方法なら揺れを防げるね。立派だ!もうすぐある赤壁大戦も我々の勝利に
違いない」
丞相は嬉しそうに尋ねた。
「あなたの名前は何だと言った?」
その問いに「臥龍、諸葛亮」と共に当代最高の策略家として挙げられたブサイクな男は微笑を浮かべた。
「ボンチュ(鳳雛)、バントンと申します」
マリはそっと目を開ける。
何か尋常じゃない夢のようだったが考えたくなかった。
今後直面する現実が彼女の胸を狂わせるように締め付けた。
(このまま逃げちゃおうか?)
本当に逃げ出したかった。
全部捨てて。
「彼と一緒に誰もいないところに逃げられたらいいのに」
マリは苦笑いする。
それができないということは彼女自身が最もよく知っていた。
「辛い」
ラエルを思い出すと、再び胸が熱くなった。
マリは涙をこらえながら部屋を出る。
「殿下?」
外ではバルハンは心配そうな顔をしていた。
「ちょっと出かけてきます」
「今ですか?」
バルハンの困った表情にマリは自分に追従しようとする貴族たちが到着したことに気づいた。
しかし、マリは固く首を横に振る。
彼女も自分が余裕を持っていられる状況ではないことを知っていた。
しかし、到底このままではいられなかった。
心が死んでしまいそうだった。
「行ってきます」
「・・・護衛します」
バルハンはどうしようもないように話した。
しかし、マリはバルハンとも一緒にいたくなかった。
「いいえ、一人で行ってきます」
「殿下?」
「考えを整理してきます」
「・・・」
バルハンは躊躇いながらうなずく。
そうしてマリは一人で王城の外に出た。
特別な目的地はない。
実は、考えを整理するために出てきたわけでもない。
王城の中にいると胸が張り裂けそうで飛び出しただけだ。
「・・・雨が降ってる」
マリはぽかんと手のひらを広げる。
ちょうど空からは小雨が降っていた。
雨を見ると彼の声が浮かんだ。
『どうしてこんなに濡れたのか?風邪を引くこともあるので、気をつけなければならないと言わなかったか?』
「雨に降られているのを見ると、彼が怒ったはずだけど」
マリはつぶやいた。
それだけではなかった。
覗線をどこに向けても、彼に対する考えだけが浮かんだ。
何も見当たらず、彼が自分に言った言葉だけが頭の中に響いた。
『ありがとう。生まれてくれて。私と出会ってくれて』
『忘れるな。あなたは私のどんなものよりも大切だ。私自身よりも。君が危ないなら私が死んだ方がましだ』
『愛してる。私の命よりもあなたを愛している』
そこまで思い出した瞬間、彼女の目から再び涙が流れた。
我慢できず、また涙が漏れた。
マリは胸に入れた指輪を取り出す。
先日の愛の誓約の後、彼からもらった指輪だ。
この指輪をもらうまでは彼と永遠に一緒にいると思ったのに。
離れないと誓ったのに。
どうしてこんな風になってしまったのだろう?
(もうしっかりしろ、マリ。こうしている場合じゃない。目の前に迫ったことを解決しなければならない)
マリは涙を流しながら唇をかんだ。
彼女も知っていた。
こんなにもめっきり泣いている場合じゃないということを。
望まないことだとしても、クローヤン王の国民は自分の肩だけを見つめていた。
自分は彼らのために先頭に立たなければならなかった。
あまりにも重い責任だった。
「知ってるよ。全部知ってるよ」
しかし、崩れてしまった心は、何も考えなかった。
気を引き締めなければならないのに、ただただ痛いだけ。
その時だった。
通りすがりの誰かが彼女を捕まえる。
「お姉さん?なんで泣いてるんですか?」
「あ・・・」
幼い子供だった。
子供は心配そうな目で彼女を見ていた。
「あ・・・た、ただ・・・」
マリは目を拭きながらどもった。
子供は悩ましい表情で話した。
「お姉さんも良くないことがあるんですよね?それで泣くんですよね?」
「え、ええ・・・」
「どうしたのか分からないけど、がんばってください。お母さん、お父さんが言うんですけど、もうクローヤン王国にはいいことだけがあるそうです」
「・・・」
「モリナ王女様がいらっしゃったから。何か良くないことがあっても王女様がすべて解決してくれるでしょう!」
その言葉にマリはがっかりした笑みを浮かべた。
モリナ王女は奇跡の天使の少女でもない。
しかも、そのモリナ王女は今ここで涙ばかり流している。
「一つだけ聞いてもいい?えっと・・・」
「ジェシーです」
「そうだね、ジェシー。お姉さんが一つだけ聞いてもいい?」
マリは力なく口を開いた。
ただとてももどかしくて誰にでも話したかった。
「もし、もし・・・ジェシーに本当に大切な友逹がいるのに、どうしようもない状況のせいで仲が疎遠になった。じゃあ、どうする?」
「ふーむ。それは嫌なんだけど・・・」
ジェシーは考えただけでも嫌なのか、指をかんだ。
「そのままずっと親しく過ごしたらダメですか?」
「どうしようもないと?二度と会えないほど仲が悪くなったらどうするの?」
「ふーむ」
ジェシーは首をかしげて、大したことないように答えた。
「ただ仲良くなろうと努力してみると思います」
「それが絶対だめなら?」
「それでも努力してみます。世の中に絶対はないと言いますから!」
ジェシーはなぜこんなことを聞くのか分からないように話した。
「本当に大切な友逹なんですって?できなくても最大限努力してみます。たとえまた仲がよくならなくても、それでも努力してみることです」
「・・・」
ジェシーの話を聞いたマリは口をつぐんだ。
ジェシーはにっこりと笑う。
そのように会話をした後、ジェシーは両親のところに戻った。
一人取り残されたマリは、ぼんやりと立って考え込んだ。
ただこのまま座り込んでいたかったが、これ以上はそうすることができなかった。
今は心を落ち着かせて前を直覗しなければならなかった。
「こうなった以上、私はクローヤン王国を離れることができない」
嫌でも受け入れなければならなかった。
みんなが自分を見つめているから。
その責任に背を向けることができなかった。
「ヨハネフ3世の西帝国に対抗してクローヤン王国の危機を乗り越えよう。そうすれば彼を助ける道になるのではないか?」
ちょうど子供のジェシーが言ったことを思い出した。
『なんとか努力してみます。たとえまた仲よくならなくても、それでも努力してみます』
そう、状況がこうなったとしても、自分は彼を愛している。
思い出すだけで胸が張り裂けそうなくらい。
あまりにも愛している。
だから何とかして彼とまた一つになりたかった。
「なんとか努力してみる。たとえだめでも最後まで努力する」
彼女は固く唇をかんだ。
そのためには、ひとまず昨今の状況を打開しなければならない。
「西帝国のヨハネフ3世がクローヤン王国にこのような混乱を起こした理由はただ一つ。まさにクローヤン地方を自分たちの勢力圏にするために。だからクローヤンを踏み台に東帝国を征伐しようとするんだよ」
その瞬間、マリは思った。
「ヨハネフ3世の野望に決して屈しない。どんなことがあってもクローヤンの危機を乗り越えるよ)
西帝国の野心に流されれば、クローヤンがどのような状況になるかは見なくても明らかだ。
彼女はクローヤンのために最善を尽くすことを決意した。
それがこの瞬間、彼女が彼のためにできる唯一のことだったから。
そして、彼と再び近づくことができる一粒の希望だったからだ。
そうしてマリは、モリナとしての自分の運命を受け入れた。
絶望からの復活。
ジェシーの答えがマリに希望を与えてくれました。
夢の内容が示唆するものとは?