こんにちは、ちゃむです。
「乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する」を紹介させていただきます。
今回は151話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
151話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 告白の返事②
セドリックは馬車から降りて、護衛に少し待つように言った。
そして、ダリアの窓の下まで歩いていった。
彼が思っていた通り、彼女はぱっと笑顔を見せた。
彼女は窓から身を乗り出してセドリックを見下ろしている。
当然ながら、その笑顔は彼の想像以上に美しかった。
「セドリック様!どうして私を見つけられたんですか?」
すぐ近くにいたため、彼女の声がセドリックにも聞こえた。
セドリックは少し戸惑った様子で答える。
「ただ偶然で・・・。どうしたんだ、ダリア?」
そう言うと、ダリアの表情に少し笑みが浮かんだように見えた。
彼女は目を軽く細めた。
「それが・・・」
「うん。」
ダリアはためらい続けていたが、返事の代わりにセドリックの両腕を掴んだ。
「私を降ろしてください。近くで話したいんです。」
「えっと・・・。ここまで素足で来たなんて大変だっただろう。俺が上がろうか?」
「いいえ。私が降りて行きたいんです。」
ダリアがそう言ったので、セドリックには断る術がなかった。
彼は周囲を見渡して、ダリアを安全に降ろせそうな場所がないか探したが、適切な場所は見つからなかった。
(何か召喚するしかないのか?)
セドリックは思いつくままに大きなバスケットのようなものを想像しながら手を動かす。
すると、彼の目の前に光る台座が現れた。
大きな浴槽が現れた。
(・・・なぜ浴槽なんだ?)
一瞬、ダリアが彼を疑うのではないかとセドリックは少し緊張したが、彼女は深く疑う様子もなく、彼の意図を信じているようだった。
セドリックはダリアを宙に浮かせ、そっと浴槽の上に降ろす。
寒そうに見えたので水桶も召喚してそばに置いてあげた。
ダリアはセドリックが渡した水桶を抱きしめながら、困惑した表情で自分が入っている浴槽を見つめる。
「・・・これ、浴槽・・・ですよね?」
「君を置ける場所がなかったから、適当に召喚しただけだ・・・。」
ダリアはしばらく呆然とセドリックを見つめていたが、やがて軽い笑い声を漏らした。
その笑い声は弾けるように響き、やがて両手で口を覆いながら浴槽に座り込んで目を閉じ、セドリックを見る。
セドリックは最近、ダリアが笑う姿を見るたびに頭が痛くなり、胸が締め付けられるような気持ちになることに気付いていた。
この状況が彼には決して楽ではなかった。
しかも、彼女がこうして笑っているのを見ると、余計に心が揺れるのだった。
耳を隠して俯いたまま、彼女が躊躇しているのを見て、セドリックはこの屋敷のすべての家具を吹き飛ばしたい衝動に駆られた。
「私・・・セドリック様。」
「うん、話して。」
セドリックは後ろで手を組んで指を一つずつ曲げながら、落ち着いた声で話しかける。
ダリアは言葉がうまく出てこないのか、浴槽の底をじっと見つめたまま、ついに言葉を発した。
「私、ついに決心がつきました。」
「どんな決心?」
その問いにダリアはまたしばらく黙った。
そして、ぐっと緊張したような声でぽつりと話した。
「あの、その、あるじゃないですか。」
「うん。」
「私、たくさん考えたんですけど・・・。」
「うん。」
「セドリック様が・・・その・・・以前おっしゃっていた提案のことです。」
「・・・うん。」
「もし今回のことがうまくいって・・・アセラスも罪を償い終えて・・・誰も傷つかないで済むなら・・・。」
「・・・。」
「私、あなたと・・・。」
「君と?」
ダリアの耳は夜中でもわかるほど赤くなりかけていた。
彼女はぎゅっと掴んだ両手に力を込めたまま、湯気に包まれるように顔をうつむけ、セドリックにダリアの震える声だけが伝わった。
セドリックは胸の奥から湧き上がる衝動に耐えきれず、両手でダリアの頬を包み持ち上げる。
ダリアは震える声を出しつつも彼を見つめ返した。
彼女はほとんど意識を失いそうなほど見えたが、依然として美しく、こんな状況でも透き通るような瞳は輝いていた。
互いの目がじっと見つめ合ったまま、彼女がかすれた声で話し始めた。
「私、あなたと・・・け、結婚を前提にした交際を・・・。」
「・・・ダリア。」
セドリックが短い声を上げながら彼女を腕に抱き寄せる。
ダリアの心臓が新たに速く脈打つのを感じた。
セドリックは彼女を抱きしめながら、その背中越しの髪の間に手を差し入れてさらに近づけた。
ダリアは壺を握りしめたままどうしていいかわからず、凍りついたように握りしめていた。
セドリックは彼女の頭を押さえつけることなく、そっと壺を取り、彼女の手を自由にしてやった。
壺は浴槽の床に静かに落ちる。
それでやっと手が自由になったダリアはセドリックの首にしがみついた。
彼の胸元に耳を寄せると、彼女の浅い呼吸が耳に心地よく響いた。
セドリックはさらに力を込めて彼女を抱きしめた。
「僕のダリア。」
「・・・。」
「僕が・・・僕が・・・君を・・・愛している。」
すべての感情が渦巻き、セドリックの胸は高鳴る。
しかし、頭の中で巡る言葉をどうすることもできず、口から飛び出したのはそのたった一言だった。
何十回でも話せる。
何百回、何千回でも、この世界が終わるまで繰り返し話すことができる。
彼は泣きたくなるような気持ちに駆られたが、それをこらえた。
「ルウェイン、彼が僕は死ぬって言った。その言葉は本当だと思う?」
「・・・。」
ダリアは何も言わず、彼の背中をしっかりと抱きしめる。
セドリックは自分が馬鹿げたことを言っているとわかっていたが、その言葉を止めることができなかった。
「もし僕が死んだら、他の人と恋をして結婚しても構わない。君が一人ぼっちにならないように。それでも僕が生まれ変わって君をまた見つけたら、そのときはもう一度僕と一緒になってくれる? 僕が・・・また君に振り向いてもらえるように頑張るから・・・。」
ダリアがセドリックの胸を押し退けた。
彼が驚いていると、彼女は両手で彼の頬を包み込んだ。
顎を掴むと、ダリアはこれまで見たことのない表情で笑みを浮かべていた。
彼女の目に涙がほんの少し溜まっていたが、セドリックが指先でその涙を拭き取ると、それで終わりだった。
彼女の顔を見ると、ようやくセドリックの震えが止まる。
すべてが上手くいくような気がしたのだが、その理由はわからなかった。
「セドリック様、今日は少しバカみたいですね。」
「・・・そうだね。」
「でも、セドリック様がいてくださるおかげで本当にうれしいです。」
ダリアが微笑んだ。
その言葉にセドリックの目元が少し赤くなる。
再び泣きたい気持ちが湧き上がった。
しかし彼は相変わらず渋い表情を浮かべながら、微笑みを見せた。
そして顎のラインを軽く持ち上げ、ダリアの顔を自分の顔の近くに寄せた。
ダリアの目が一瞬大きく見開かれたが、すぐにギュッと閉じられた。
セドリックは彼女の唇ではなく、その隣に短く口付けをする。
慌てたダリアが目をぱっと開くと、彼は穏やかな笑みを浮かべながら手でダリアの前髪を軽く整えていた。
「次は、すべてが終わったらその時にしよう。」
「・・・また私をからかうんですね。」
「僕と一年間も口を利かないつもりかい? お父さんみたいに?」
ダリアが少し困った表情を浮かべた。
「はい。」
しかし彼女は穏やかに微笑みながら再びセドリックに腕を伸ばした。
セドリックは素直に彼女を再び抱き寄せる。
その小さな体の柔らかさと繊細な感触を感じていた。
彼はこのまま世界が滅びても構わないとさえ思った。
永遠に終わらないように感じられる夜だった。