こんにちは、ちゃむです。
「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。
今回は69話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
69話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 再会と誓い
時間は流れ、気づけばエドワードは成人となった。
今回は皇帝が世を去った。
彼は永遠に皇太子として戻る道を失った。
すでに帝国民は、彼の後を継ぐ新しい皇太子を唯一の皇帝と考え、彼が自然と皇位に就くのを望んでいた。
その後、エドワードには夜も休む暇なく刺客が現れる。
彼を守る者たちは皆、彼の安全を心配していた。
体よりも精神の状態が良くない日々が続いていた。
エドワードは深刻に追い詰められていた。
彼は時折、怒りで制御を失いそうになりながら、ある日ぼんやりとした様子を見せた。
暗殺者やスパイは彼の命だけでなく、エドワードが知る「何か」についての情報を引き出そうと企んでいたのだ。
記憶を保存できる装置のような仕組みで、彼の思考を破壊しようとする試みは何度も繰り返され、自然と彼の不眠症は深刻化していく。
「みんなが私にこう言うんだ。私は帝国民が唯一安心して頼れる皇孫であり、将来の皇帝になるべき人間だと。国民を愛し、彼らのために生きるのが次期皇帝としての責務だと。そう言われ続けている。」
顔に付いたスパイの血を手の甲で拭き取り、大衆の前でエドワードは疲れ切った表情で重々しく口を開いた。
「自分たちは血筋の正統性を疑われ、権力と名誉を失ったまま、彼らの記憶から消え去るべき存在だと今でもその責務が残っていると思っているのか?」
マクシオンはその問いにすぐには答えることができなかった。
いまや国を転覆させない限り、彼が皇帝になる道は残されていなかったのだから。
「それでも私は帝国を見捨てたくない。どんな子孫であっても、この国を導く視野を持った人に仕える国家を築きたいんだ。」
エドワードが唇を噛みしめた。
「記憶の一部を消さなければならない。放っておけばきっと失敗してしまう。」
「・・・そんな魔法には重大な副作用があると聞きました。あまりにも危険です。」
「それでも試してみるさ。精神が少しやられるくらいのことだろう?自分の体は自分で守るさ、自分のために。1,100人の命のうち、最初に守る命が君なんだ。」
「・・・」
「ああ、それとマクシオン、おめでとう。今日から全てが整ったな。自分たちの罪は全て清算したよ。だからこれからは同僚であり友人として一緒にやっていってくれるとありがたい。」
「殿下が望まれるのであれば、そのようにいたします。」
実のところ、今もエドワードは彼を単なる部下以上として扱っていた。
他にもいくつかの部下がいたが、マクシオンが最も付き合いやすいと感じていたからだ。
「これからは名前を呼びなさい。特別に許可するよ。命令だ。さあ、やってみろ。」
「はい?」
「早く。」
上官の再促にマクシオンは困惑した顔で口を開いた。
「・・・エドワード様。」
エドワードが口元を歪め、風に乗るような軽やかな声で笑った。
「いいだろう。魔法を解く条件も記憶を完全に消す考えだが、いずれ記憶は戻ってくる。いつかはまた完全な姿で君を見る日が来るだろう。その時まで『私』をよろしく頼むよ。」
「はい。」
エドワードはまだ笑みを浮かべた顔で、手で軽く頭を撫でた。
彼の驚くべきほどの強大な魔法の実力は、帝国で最も有名な魔法使いが使う魔法以上に卓越していた。
翌日、エドワードは器に水を注ぎ、神妙な面持ちでそれを持ち上げた。
「よく眠れたか? 昨夜のことを思い出していたら、まるで空っぽになったような感じだな。久々によく眠れたようだ。」
「・・・そのようですね」
その日以降、彼は表面上は普段と変わらないように見えたが、しばしば遠くを見るような目つきをしていた。
しかし、以前よりははるかに安眠できる日が増え、彼から引き出せるものが何もないことを確認した皇帝は、暗殺者やスパイの手配を減らした。
しばらくして、エドワードは騎士団とともに首都の邸宅に戻る。
「彼が傭兵出身の騎士だって? どうやって大公殿下にまで仕えるようになったんだ?」
「彼こそがカリオード家の唯一の正統な血筋です。」
「え? でもカリオード伯爵は後継者を持てない体になったと聞いていたけど・・・」
「結婚前にコルティジャンから授かった子供だそうです。北部ではそのようなことに寛大だと聞いています。」
「馬鹿げている! コルティジャンだと!」
エドワードの隣にいる、興味深い過去を持つ男。
しかし、あまり話題にしたくない貴族階級の庶民。
それがマクシオン・デ・カリオードを称える噂だ。
彼らが何を言おうと関係なかった。
必要な場所でない限り、集会に出席することはあまりなかったからだ。
彼は南部に戻った後、頻繁にルイーゼのことを思い出していた。
彼女はどのように過ごしているのだろうか、まだ自分のことを忘れていないだろうか。
「まだあの場所で平穏な日々を過ごしているのだろうか」
「皇帝は私たちに死ねと命じているような、なんとも過酷な命令ですね!」
数年後、皇帝はエドワードに彼の騎士団と共にペリルスへの出征を命じた。
皆が顔を曇らせ反対したが、マクシオンほどその知らせを喜んだ者はいない。
未だ彼を注視する目が多く、ペリルスに戻ることはできずにいた。
手紙さえ送ろうとしたが、追跡されるのではないかと恐れ、ついに何もできないままだった。
そしてついに、ルイーゼとレンシアに会う機会が訪れたのだ。
騎士団がペリルスに到着した後、エドワードの許可を得て、静かに抜け出し荒野へ向かう。
しかし、そこには誰もいなかった。
人が住んでいないのは久しい様子で、近くにあったアレンの墓も彼が気付かなかったなら、草が茂った平地や枯れた木々に紛れて見えなかったことだろう。
その上に立てられていた木製の板も壊れ、破片が周囲に散らばっていた。
動物が通り過ぎて踏んだようだ。
彼は空っぽの荒野をしばらく茫然と眺めた後、呆然と帰るしかなかった。
「マクシオン?」
「・・・ルイーゼ?」
彼女に再び会ったのは、騎士団の無事な帰還を祝う宴会でのことだった。
ルイーゼは帝国で最も自由奔放な風雲児だった。
そんな彼女が妻になっていたなんて。
彼女を幸せにすることも、そばにいることもできない彼だったから、ルイーゼの幸せを祈るだけだった。
彼女の笑顔を見て、10代の頃に顔を赤らめたあの時から、彼はあまりにも遠く離れてしまった。
そして、今に至る。
マクシオンは寝台から抜け出し、窓の方へ向かった。
治療士の検査を受け、簡素なジャガイモスープで食事を終えた後、体を洗って部屋に戻ると、すでに暗闇が降りた時間だった。
澄んだ月明かりが世界を幻想的に照らしていた。
ルイーゼに会いたいと思う夜には、彼は月が浮かぶ夜空を見上げたくなった。
月明かりが鮮やかに輝くある日、彼女の髪のように柔らかな月を眺めていると、目の前で自身をしっかり守ってくれた銀色の騎士が思い浮かんだ。
「ルイーゼ。僕にとって君ほど大切なものはない。」
君は僕の唯一の家族であり、友人であり、最初の愛だ。
君がいる場所こそが、僕が辿り着くべき終着点にほかならない。
だからこそ、君の盾となり、剣となり、君が生きるこの世界を清らかに磨き上げてみせる。