夫の言うとおりに愛人を作った

夫の言うとおりに愛人を作った【73話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。

今回は73をまとめました。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【夫の言うとおりに愛人を作った】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...

 




 

73話 ネタバレ

夫の言うとおりに愛人を作った【72話】ネタバレ こんにちは、ちゃむです。 「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。 今回は72話をまとめま...

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 自身の決断④

朝食の席の雰囲気が妙に昨日とは異なっていた。

エドワードはまるで何事もなかったかのような穏やかな表情で言った。

「その間、お世話になりました。」

「我々の領地の大きな問題を解決していただき感謝しています。カリオド部隊長は本当に健康そのものでした。状態を保つ魔法によるものか、3日間絶食したまま動かなかったにもかかわらず、全く体調を崩さなかったとは。」

「・・・体力があるというのはありがたいことです。」

マキシオンがエドワードを見つめながら言った。

状態維持の魔法をかけた張本人が彼と目を合わせると、にこりと笑う。

ロレインの視線がルイーゼに向けられた。

「それはそうと、ルイーゼ。」

「はい、何ですか?」

彼女がぱっと驚いてロレインを見つめた。

先ほどから紅潮した顔で目を逸らせない様子は、まるで初恋の相手を前にした子供のようだった・・・。

(不思議ね。)

ロレインが鋭い目つきでエドワードを見やると、彼が上機嫌そうに微笑みながら彼女に応えた。

彼女は大きく息を吐き、言葉を続けた。

「今日、出発するの?」

「はい。」

「楽にしなさい。いつでも望むときにここへ来なさい。セレベニアはいつでもあなたに開かれている。」

「ありがとうございます、陛下。」

「そしてこれを。」

ロレインがエドワードにセレベニアの紋章が押された白い封筒を差し出した。

「カッセルが渡してほしいと言ったものです。彼が任命した代理として伝える公式文書です。今後、シルバーメギー騎士団はセレベニアとの関係を深め、すべての議会でどのような場面でも最高の待遇を受けることでしょう。」

エドワードは封筒を受け取った。

茶目っ気のあった彼の瞳が真剣に変わった。

「この書簡と、食事の前に交わした会話については、ルイーゼさんと別件として扱わせていただきます。」

「はい。」

疑問を抱かせるような会話が進む中で、ルイーゼはひそかに二人の話に耳を傾けていたが、それ以上の話が彼女の耳に入ることはなかった。

そんな彼女の反応を見ていたマキシオンが、食卓の下で足を伸ばし、つま先でルイーゼの足首を軽くつついた。

子供の頃によくやっていた悪戯だった。

(なに?)

ルイーゼは声を出さず、口の形だけでマキシオンに問いかけた。

「表情がなんか変だけど、もしかして昨夜なにかあった?」

「なにもない!」

全員の視線が一斉にルイーゼに注がれる。

その中で、エドワードと目が合った彼女は驚いて顔を赤らめながら、その場で立ち上がった。

「すみません、急に気になることを思い出しました! 先に立ち上がらせてもらいますね。」

「ええ。」

「・・・そうか。」

「それでは。」

ルイーゼが去ると、今度はロレインとマクシオンの視線がエドワードに向けられた。

彼は口元を引き上げて笑みを浮かべ、自然体でからかうような口調で言った。

「ええ、私の顔に何かお尋ねになりましたか?」

「・・・昨晩、随分と深くお休みになられたようですね。」

「ええ、奥様が『回復には睡眠が一番』とおっしゃった通りでしたよ。」

エドワードの顔が妙に明るく見えるのは、本当に睡眠のおかげだろうか。

ロレインとマクシオンの視線が交わった。

やはり、睡眠だけが理由ではないようだ。

 



 

天気が晴れ渡る中、銀灰色の石畳に白い制服を着た整然とした騎士団が並んでいた。

ロレインは城門の前まで出向き、騎士団を整列させた。

彼女はエドワードの前に立ち、礼を尽くした。

「ご足労をお掛けして申し訳ありません、殿下。」

「その件に関して気を煩わせる必要はありませんよ。」

「はい。セレベニアの気持ちはしっかり受け取りました。」

「次回、お会いできる日を楽しみにしています。」

「はい。」

「どうか健康でお帰りください。どこかで怪我などされませんように。」

「承知しました。」

エドワードが微笑んだ。

先頭に立つエドワードを中心に、騎士団がセレベニア城を出発し、アイレンの街並みへと向かった。

エドワードとマクシオンから少し離れた場所で、白馬に乗るルイジェが彼らの後をついていった。

ヘンドリックが彼女のそばに馬を寄せた。

「ルイーゼさん、何か心配事でもありますか?」

「いいえ、全くありません。」

「はは、そうですね。今日は天気がいいですね。いつもより体調が良さそうに見えますが・・・いや、気分がいいのでしょうか?」

「そうかもしれませんね・・・」

ルイーゼはそっとエドワードの後ろ姿を見つめる。

どうしてこんなにも自然体なのだろうか。

彼女はその動揺を振り払おうとしたものの、自分の体を抱きしめるようにしていたエドワードを思い出すと、顔が熱くなるのを止められなかった。

「はい。あの、カリオド副団長が無事に回復されて、本当に良かったです。原因が精神的な問題だったとは・・・黒魔法が精神に影響を与えるものだという噂はどうやら本当のようですね。警戒が必要だと思います。」

「そういえば、ヘンドリックと私は無事だったみたいですね。私たちはみんな家族を失った経験があるでしょう?先の件は、それと関係があるんじゃないですか?」

さらにルイーゼは最近、離婚まで経験していた。

喪失感を感じるべきなのは、マクシオンではなく、むしろ彼女であるべきではないだろうか。

「私の考えでは、喪失感というのは切り傷に似ていると思います。」

「切り傷ですか?」

「ええ。普通、傷ができると、以前とは違った形かもしれませんが、やがて新しい皮膚が再生しますよね。たとえ傷跡が残ったとしても。何かを失った後も、時間が経つと、結局その空いた場所にはまた何かが埋まるものです。」

ヘンドリックは微笑みながら、後頭部を掻いた。

「それに、今の私にとっては、騎士団が新しく再生した皮膚のようなものです。彼らは私の家族と同じような存在なんですよ。きっと皆もそう感じていることでしょう。」

ヘンドリックの言葉に、ルイーゼはマクシオンとエドワードの背中越しに、静かに目を合わせるだけだった。

「・・・そうですね。ヘンドリックさんの言う通りだと思います。」

「生きているうちに、神様がくださった最高の贈り物は記憶だという言葉は本当のようです。最初は、良い記憶も悪い記憶も忘れられなくて苦しみましたが、今では普通の生活を送れるようになりました。去った人たちと過ごした良い思い出が、時には力になることもあります。もっとたくさん良い思い出を作れたら良かったのですが。」

ルイーゼはふと、遥か昔に聞いた言葉を思い出した。

『過去は道を作り、未来は方向を描く。私たちは記憶の上を歩きながら、明日へと向かって生きていくんだ。』

その時はまったく理解できなかったが、今なら少し分かる気がする。

なんだか冷気が襲ってくるようにも感じられた。

騎士団は村を抜け、広々とした平原に入った。

ゆっくりと速度を落としていた時、近くの森から野生のカナリアのさえずりが聞こえてきた。

ルイーゼはしばらく森に目をやっていたが、再び正面へ視線を戻した。

速く走る馬の背後に、さえずりはすぐに遠ざかっていった。

 



 

青い宝石がちりばめられた金の鳥かごの中で、黄色いカナリアが歌を口ずさんでいた。

金髪をなびかせた男が、頭痛を抱えたかのように手でこめかみを押さえ、眉間にしわを寄せた。

「夜通し酒を飲んで得たものが、あの廃退者が嫌う香料だと?シナモン?ハッ、笑えないな。」

ルイーゼと最後に顔を合わせた会談以降、王女は確かに彼の心を掴んでいるようだった。

だが何というか、廃退者についての話題が出そうになるたび、巧妙に話をそらすばかりだった。

最初は偶然だと思っていた。

だが、彼が廃退者に関する内容を取り上げようとすると、王女は長年商業界で培った経験を生かし、上手に別の話題に切り替えてしまうのだった。

運よく話がそれたとしても、彼女は彼の望む結果を容易に渡そうとはしなかった。

同じ状況が何度か繰り返されるうちに、レイアードは彼女が意図的に廃退者に関する話題を避けていることに気づいた。

「それでも再起不能ではないだけ幸運だと思うよ。」

皇帝はエドワードを首都から追い出した後、王女に彼の存在を忘れさせるかのような振る舞いをした。

堅牢な王城の奥深く、最も内密な空間で、皇帝は女たちや酒に溺れ、毎日を宴のように過ごしていた。

彼はエドワードが二度と戻ってくることはないと確信していたようだ。

「ここで躊躇している場合じゃない。」

皇帝の再起が見込めなくても、これは生涯の誇りや名誉に関わる問題だった。

レイアードはクラバットをゆるめ、迷路のような庭園に向かった。

気分転換が必要だった。

妙なことに、ルイーゼが去ってからというもの、一日たりとも気分が晴れることはなかった。

「きっとあの薬が悪かったんだろうな。副作用がひどい。」

迷いなく歩みを進めていた彼の足音が、赤い花が広がる庭の前で止まった。

そういえば、バラが散る季節だった。

遅れて咲いた数輪のバラを除けば、大半の花は枯れるか散るかして姿を消していた。

「・・・この花、廃退者の瞳の色に似ているな。」

レイアードは神経質そうに数少ない花の茎を引き抜くように摘み取った。

トゲで刺された彼の手からは赤い血が滲み出たが、彼は気にすることもなく、赤いのは色褪せた花びらだけで、あとは葉だけが残っていることに気づいた。

彼は小枝をちぎって地面に投げ捨て、その後、靴の裏でぐりぐりと踏みにじった。

「偽物が本物のふりをしてやがる。皇帝なんてものは、卑劣な人間どもに囲まれた汚れた政府の飾りにすぎないのか?」

ルイーゼが廃退者と争う前に都を去ったのは、ただただ幸運だった。

最後の会合以降、彼女はエドワードが遠征に出るまで戻ることはなく、おそらくペリルスの家へ向かったのだろう。

持つものもなく、行くあてもない彼女が向かった場所といえば、それ以外に考えられなかった。

レイアードは荒い息を吐きながら頭を両手で覆い、うなだれた。

「はあ、はあ・・・」

彼の胸が激しく上下した後、ようやくその感情は落ち着きを取り戻していった。

レイアードはゆっくりと顎を上げ、曇り空に覆われた重々しい空を見上げた。

「ルイーゼ。もうバラがすべて散ってしまった。」

この花が再び咲くまでに、どれほどの長い時間がかかるのだろう。

春が満開を迎える時期まで、花の蕾が再び芽吹くことはない。そして彼女が戻るまでには、あと二つの季節が必要だった。

彼の視線は一度下に落ちたが、その後、しっかりと目の前にある大きな邸宅と広々とした庭園に向けられた。

クロエット邸宅は首都にある豪華な邸宅の中でも、特に美しい場所としてその名を知られていた。

「約束を守れ。」

澄んだ空を思わせる青い瞳に彼は目を向け、言葉を続けた。

「ここで僕をあまり長く一人にしないでくれ。」

送り出したのは自分なのに、どうしてこんなにも見捨てられた気持ちになるのだろうか。

彼は慎重に手入れされたバラの上に黙って立っていた。

 



 

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