こんにちは、ちゃむです。
「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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79話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 自身の過去②
主を失い、朽ちていく森の中で黙々と眠る墓があった。
日差しが差し込み、草と動物が息づく森の傍らに、ほんの少し距離を置いて始まるその黒い森を眺めると、ルイーゼは自分でも分からない理由で悲しい気持ちになった。
「ルイーゼ、できるだけ森には入らないで。」
レンシアは幼い頃からルイーゼにそう言い続けていた。
『できるだけ』という言葉がいつもついていたことを考えると、ルイーゼが運命のようにその場所へ引き寄せられるだろうという事実を、彼女自身も漠然と感じていたのかもしれない。
ある日、2本の角を持つ巨大なシカが森の入り口でルイーゼをじっと見つめていた。
「こんにちは。」
ルイーゼが挨拶すると、シカはぎこちなく角を下げた。
まるで人の言葉を理解しようとしているかのような仕草だった。
また別の日、足を怪我した黒ウサギがルイーゼのもとへやってきた。
ルイーゼはアレンから教わった治療用の薬草を使い、ウサギの傷を手当てした。
森の動物たちはルイーゼに好意的だった。
ただし、彼女の体が大きくなるにつれて、深刻な恐怖に駆られるようになり、最終的には彼女に近づかなくなった。
ペリルス地方のどの動物も、森の外から来た者に対しては警戒心を捨てきれなかったのだ。
敵たちは無条件で攻撃を仕掛けてくるようだった。
そのためルイーゼは幼い頃から死体や傷ついた人々を見ることが多かった。
彼女がそういったものに無感覚になるのは当然のことだった。
「お母さん、今日はとても大きなクマと遊びました。名前もつけてあげたんです、‘カマギ’って。でもあの子、よく気が散ってるみたい。怪我をすると正気に戻るみたいだけど。」
「何?クマ?見たわね。その子たちは私を見ると逃げるのに忙しいわ。」
「その子たちはお母さんやお父さんをちょっと怖がってるみたいです。」
「……まあ当然だろうね。私が彼らの巣を壊していると思ってるだろうから。」
微笑みながらレンシアはルイーゼの髪を撫でる。
ある瞬間から、ルイーゼはフェリルスの森で自由に過ごすようになった。
人間の言葉をある程度理解しているのか、動物たちはルイーゼが望むことを簡単に察することができた。
小さな動物たちほど、彼女に特に従順だった。
「おやすみ。また明日会おうね。」
ルイーゼが黒いダラムジーに挨拶して眠りにつくとき、彼女はその場で横になった。
彼女は毎朝、夜のように静かな森を歩き回り、日が一層強くなる時間になると、近くの高い崖の上に登った。
崖の上では、輝く光の中で活動を繰り広げる村の姿が一望できた。
その光景を眺めながら、ルイーゼは「寂しさ」と「孤独」という感情を学んでいった。
それでも奇妙なことに、彼ら(動物たち)から目を離すことができなかった。
あるとき、崖の近くにある桑の木がたくさんの桑の実をつける季節がやってきた。
森の近くからざわついた気配を感じた。どうやら突然、森に訪問者がやってきたらしい。
「まあ、カマキリが来る時間だね。」
昼間に訪れる者たちは、大半が険しい表情と荒々しい身体を持つ者たちだ。
強そうな姿に、彼らは周囲から避けられ、近づくことはないようだった。
興味を引かれたルイーゼは引き続き桑の実を摘み取った。
ついに、バケツがいっぱいになったときだった。
「ぎゃあああああ!」
突如として上がった悲鳴を皮切りに、数人の訪問者が混乱し、森の外へと逃げていった。
それにしても、とてつもなく大きな熊がカマキリを前にして出会ったようだった。
適度に血を見て怖気づくくらいの場面でも、少年が逃げる様子に誰も向き合うことができなかったのだろうか。
ルイーゼはすぐに森へと足を向けた。
森の中の状況は非常に深刻な日だった。
光の中に囚われた熊はすぐに逃げようとしたが、その途中で足を滑らせてしまった。
ルイーゼは滑った足元よりも遠くで聞こえる巨大な熊の悲しげな鳴き声により強く心を動かされた。
カマキリは彼女の剣によって負った傷以上に、彼女の心を痛ませているようだった。
「生きていてくれてよかった。本当に……怪我はしていない?」
その場所でルイーゼは、青白い肌に銀色の髪を持つ少年、マクシオンと出会った。
彼はルイーゼが逃げ延びるために費やした努力を称賛した。
仲間が目の前で無残に殺されていく様子を目撃したためだろう。
しばらくの間、少し精神的におかしくなったようだったが、幸いにも時間が経つにつれて正常を取り戻した。
マクシオンは良い友人であり、家族のような存在だった。
ルイーゼの世界は彼のおかげで少し広がった。
「他に何か不思議なものを見たことはないの?」
「特に何もなかったよ。」
「あの村だけでもあんなにキラキラと輝いているのに、他の場所はどれだけ美しいのか想像もつかない。」
ルイーゼはそんな言葉をつい口にしてしまったが、すぐにその口を引き結んだ。
森を出るなんてありえないことだった。
両親は、彼女がここで過ごすことこそが彼女のためになるのだと言っていた。
それでルイーゼは、この場所で両親とともに幸せに暮らしていくのが正しいと感じた。
「……もしペリルスの森もあんなに輝いていたなら、子供たちの胸が痛むこともなかったでしょうに。」
森の片隅にある小さな林で平和に暮らす動物たちのように。
ルイーゼはほんの少しの間、光が差し込む平和なペリルスを思い浮かべた。
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