大公家に転がり込んできた聖女様

大公家に転がり込んできた聖女様【78話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【大公家に転がり込んできた聖女様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

78話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 1年と2ケ月

それから1年と2か月の時間が流れた。

季節は次第に移り変わり、12歳だったエステルは14歳になった。

帰還してから21か月が経っていた。

本来なら死んでいるはずのセスピア聖女は、まだ生きていた。

いつも苦しんでいた回帰とは大きく違う点だ。

不安を抱きながらも、エステルは忠実に仕事をこなし、いつの間にか完璧に大公家に適応していた。

「ふう。」

窓から差し込む暖かい陽射しを浴びながら、深く息を吐いた。

椅子に寄りかかってうたた寝をしていたエステルが、ふと唇を動かした。

眠りながらも何かを食べている夢を見ていたのか、小さな口が上下に忙しく動いていた。

しかし、その静かな時間を邪魔する誰かが、早足で廊下を駆けてきた。

そして突然、ドアが勢いよく開いた。

「お嬢様、大公様がもうすぐ到着されるそうです!急いで降りてお迎えしないといけません!」

「・・・ん!寝てないよ!」

同時にエステルの目がぱっと開き、飛び起きたエステルは鏡の前に立ち、服装を確認する。

朝から準備を終えて待っていたおかげで、慌ただしさもなく完璧だ。

鏡に映るエステルは、この1年で大きく変わっていた。

不足なくたっぷり食べてよく寝たおかげで、ずいぶんと健康的に見えた。

肌に艶が出て、体重も増え、身長も少し伸びた。

肌には健康的な輝きがあった。

以前の面影はすっかりなくなり、さらに美しくなったエステルは、相変わらず明るく活発だった。

「行こう。」

エステルはドロシーに続いて急いで部屋を出た。

久しぶりに父に会えるという考えに胸を躍らせていた。

「お待ちだったんですか?明日まで外出の予定があるとおっしゃっていましたよね?」

「日差しがとても暖かくて。」

階段を駆け下りたエステルが、ふと袖を軽く引っ張った。

普段の年齢よりも子供っぽく見える仕草だった。

幸い、遅れずに到着することができた。

1階に降りると、ちょうど玄関のドアを開けて入ってくるドフィンが見えた。

エステルの顔がぱっと明るくなった。

「お父さん!」

「エステル。」

ドフィンは、自分に向かって駆け寄ってくるエステルをそのまま抱きしめる。

二人のこんな姿を見慣れているのか、見守る侍従たちの顔にも温かい微笑みが浮かんでいた。

「元気にしていたか?」

「はい。」

エステルは頭を上下に小さく動かしながら、ドフィンを見上げた。

「会いたかったです。」

そのキラキラした瞳を見たドフィンは、堪えられずエステルをしっかり抱きしめた。

「私も会いたかった。」

こんな感傷的な言葉を口にするのは久しぶりだったが、今では何のためらいもなく伝えられるようになっていた。

家をひと月空けていたドフィンは、東側の国境地帯で任務を終え帰ってくる途中だった。

これは皇帝からの特別な依頼でもあった。

エステルはドフィンに抱きついたまま、彼の肩越しに目を輝かせていた。

普段はあまり見ることのないエステルの幼い顔つきに、ドフィンは穏やかに笑みを浮かべながら、何度もその頭を優しく撫でた。

その後、エステルをそっと下ろしたドフィンは、周囲を見回しながら尋ねた。

「ジュディはどこにいる?」

その言葉が終わるか終わらないうちに、外からドタバタと物音がした。

大公家でこんな音を立てるのはジュディ以外にいなかった。

「お父さん!!」

ジュディがドアを勢いよく開けながら大声で叫んだ。

運動をしてきたのか、顔は汗でびっしょりだった。

ドフィンは一瞬目を細めながら、ジュディをじっと見つめた。

一か月ぶりだったが、確実に筋肉が増えているのがわかった。

「一体どれだけ運動したんだ?」

「ただ毎日少しだけ・・・へへ。でも、境界地帯はどうでした?本当にモンスターが出てきたんですか?」

ドフィンは、自分も抱きしめてほしそうに身をよじるジュディに向かって手を伸ばそうとしたが、厳しい表情で首を振った。

「これは無理だな。」

今やジュディはドフィンが抱きかかえるにはあまりにも大きくなっていた。

抱き上げようとすれば腰を痛めそうだったため、両肩を軽く叩くことで挨拶を代えた。

「そうだな。モンスターはいたよ。国境地帯の状況はあまり良くなかった。」

「本当ですか?うわぁ・・・詳細を教えてください!」

「まずは食堂へ行こう。」

立ち話では長くなりそうだったので、ドフィンはスムーズに子供たちを誘導し、食堂へと向かった。

食堂の中には料理長が腕を振るって作ったさまざまな料理がすでに準備されていた。

3人が席に着くとすぐに、前菜から順に料理が運ばれてきた。

エステルの好きなスープも用意されている。

エステルは食事が始まると目を輝かせながら食べることに集中した。

一方でジュディは料理には目もくれず、何がそんなに気になるのかドフィンに質問攻めを始めた。

「どんなモンスターがいたんですか?僕もモンスターと戦ってみたいんですけど、次回は一緒に行っちゃダメですか?」

「ダメだ。お前には危険すぎる。」

「危険だなんて。最近は僕の剣技に勝てる人がいないって話ですよ。」

エステルは2人の会話を聞きながら、気分良くスープをすくった。

最近、デニスが学びたいことがあると言ってアカデミーに入ってから、こうしたにぎやかな時間は久しぶりだった。

二人がいなかった一か月間、家の中は空っぽのように感じられた。

ジュディがいたおかげで退屈ではなかったが、それでも静けさが漂っていた。

しかし、楽しく動き回っていたエステルのスプーンが、ドフィンの続く言葉にピタリと止まった。

「・・・それで神殿にも報告されたらしい。そのモンスターが現れたということは、国境に均衡が崩れたようだ。」

口に運ぼうとしていたエステルのスプーンは、そのまま力なく落ちてしまった。

この1年余り、努力して不安を押し込めてきたが、国境に均衡が崩れたという言葉は無視できなかった。

『聖女の力がすべてなのだろうか?』

エステルは口をきゅっと閉じた。

国境を守るのは神殿と聖女の役割だ。

神殿の権威が非常に高い理由もそのためである。

その重要な国境で問題が発生したということは、神殿が持つ力が弱まったと言えるだろう。

最近さらに悪化している体調もまた、その影響の一部なのかもしれないという考えが頭をよぎり、心が重くなった。

「どうしたの?美味しくないのか?厨房に別のものを準備させようか?」

ドフィンはエステルがぼんやりしているのに気づき、皿に盛られた料理を近くに寄せた。

「いいえ、美味しいです。」

エステルは微笑みを浮かべて再び料理を口に運んだ。

久しぶりに会ったドフィンを心配させたくなかった。

 



 

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