こんにちは、ちゃむです。
「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
75話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 二人の関係
疑問に満ちた会話の後、最初の目的地に到着するまでの間、二人の関係に大きな変化はなかった。
ルイーゼの頭の中はさらに複雑になったが、彼がただ彼女を一時的に気にかけているわけではないという事実が彼女の安堵につながった。
エドワードはその場を離れて、ルイーゼを見つめ直した。
「ルイーゼさん、これを受け取ってください。」
「ありがとうございます。」
エドワードが上手に焼いたマシュマロをルイーゼに差し出した。
ルイーゼは赤く染まった顔で彼からマシュマロを受け取り、一口かじる。
外側はカリカリで中はしっとり柔らかく、とても美味しかった。
彼女が照れながらマシュマロを食べる姿を見守るエドワードは、そっと彼女の隣に温かいお茶が入ったマグカップを置いた。
ルイーゼはお茶を一口飲んでから、ぱっちりと目を開いた。
「美味しい。」
「よかったです。」
ルイーゼは焚き火の炎に照らされた彼の横顔をじっと見つめた。
その表情には、何を考えているのかわからない微笑みが浮かんでいた。
広い肩と引き締まった体格。
エドワードはその外見だけでも人々の目を引く人物だ。
さらに声のトーンまで心地よく、
彼は真摯で優しさを兼ね備えた人物だった。
「ルイーゼさん。社交界で私に興味を示さなかった女性は、おそらく三本の指に収まるでしょう。」
ルイーゼは今や、彼の自信満々な発言に完全に納得していた。
しかし、ルイーゼは自分の心のときめきが正しいと信じたかった。
たとえ、二人の間には多くの障害があったとしても。
旅はまだ始まったばかりで、ルイーゼにはエドワードとマクシオンが隠している秘密が何か分からなかった。
それだけではなく、他にも隠された事実が一つ存在していた。
元夫、レイヤード・ディ・クロエット。
彼と離婚してからわずか一ヶ月ほどしか経っていない。
庭のバラが再び咲くころ、彼の邸宅で再会する予定だったが・・・。
離婚についての未練は少しもなかった。再婚を考えることさえないだろう。
しかし、それはルイーゼの個人的な問題だった。
エドワードは彼女が気にしていないのだろうか?
ルイーゼは困惑した表情でマグカップを手に取りながら飲んでいた。
エドワードは、依然として本心をうかがわせない表情で彼女のそばに寄り添っていた。
遠くから、今晩の夕食を担当している三人が、その二人の後ろ姿を見つめていた。
ヘンドリックとエイヴン、そしてロビンだった。
・
・
・
「おお、青春だね!」
「最近これが任務なのか恋愛の章なのか分かりませんよ。お二人、かなり前から付き合ってるように見えますけど、どうして急にこんなにラブラブしてるんですか?」
「・・・付き合ってるわけじゃないからですよ。」
「え?」
エイヴンの言葉に、ヘンドリックが真剣な顔で飲み物を一口飲み込んだ。
「そういうことみたいだな。」
「ええええええええええ?」
ドン。
ロビンは衝撃を受けた表情で手に持っていた水筒を落とした。
ヘンドリックが水筒を拾い上げ、ロビンの手にそっと渡した。
「ははは!俺も最近になってやっと気づいたんだ。どうやらエイヴンは最初から気づいてたみたいだな?」
エイヴンは静かにコーヒーを飲みながら頷いた。
「何それ、僕だけ知らなかったってことですか?」
「はは、多分な?」
「うん。」
ロビンは困惑した表情でエイヴンとヘンドリックを交互に見つめた。
「じゃあ、あの二人は実際には付き合ってるんですか?」
「まあ、正確にはお互いに気持ちはあるけど、その状態で止まってる感じだな。」
「えええ?じゃあ、どうして付き合わないんですか?恋人関係って必ずしも燃え上がる恋愛から始まる必要なんてないでしょう?」
「・・・二人の状況を考えてみて。」
エイヴンの言葉に、ロビンは二人を見渡した。
「そう言われてみれば、ルイーゼさんは離婚されてからそれほど時間が経っていないんですね。前のことを色々考えているのかもしれませんね。」
「・・・そうでなくても、しばらく二人で過ごした帝国の雰囲気を思い返すと、その事実だけでも気を使ってしまうでしょう。」
「でも、前線ではそういうことを気にするような方々ではないでしょう?」
ロビンが不思議そうな表情をすると、今回はヘンドリックが口を開いた。
「ふむ、それでも一気に近づくのは難しいだろう。遠征はまだ始まったばかりだし、無事に終わったとしてもその後があるんだから。」
「・・・威厳を称賛している間に、首都でルイーゼさんがが元夫と対峙することになりそうですね。」
「そうだな。ただし、もし二人が完全に結びつくとすれば、それはすべてが整理された後、もしくはルイーゼさんが私たちの目的を知った後のことだろう。だが、前線ではルイーゼさんを無用な争いに巻き込みたくはないはずだ。」
「関係を続けながら、ゆっくりと進展させていくのはいいかもしれませんが、それ以上のことには慎重になられるでしょうね。」
「出発したばかりの段階の前線なら話は別だが、今のような平常状態では、今回の遠征中にそれ以上進展する可能性は低いだろう。それでも、心がある人を無理に引き留めるような性格ではないだろうから、誰が止められるものでもなく、あの広い野営地を歩き回ることになるんだろうな。」
ヘンドリックの総評に、ロビンはコーヒーをすすることで応じた。
「殿下が出発されたばかりの時代だ。想像もつかないね。当時、私は騎士団にいなかったからよく知らないけれど、その頃の話を誰かが持ち出すと、みんなの表情が一変するんだ。」
ロビンの言葉に、ヘンドリックが重々しい表情で口を開いた。
「混乱の時代だったよ。皇城を出発してから、騎士団の半数近くが犠牲になった。その後、ミルレッドでは暗殺者やスパイの影響で眠ることもままならなかった。殿下と関わる全てを失わないようにするのに必死だった。」
ロビンの表情に戸惑いが浮かんだ。
「あの時期は、私たちも未熟だった。殿下を守るというより、殿下が私たちを守ってくださると言った方が近かった。その頃に、殿下が実は優れた魔法使いであることを知ったんだ。」
「殿下がどうしてその事実を隠しておられたのか試すつもりですか?」
「現皇帝が即位した後、黒魔法使いとの戦いを宣言しましたよね。実際に殿下を黒魔法使いに追いやり、命を奪おうと計画したこともあったとか。弱点を見つけようとして失敗したとも聞きました。」
「・・・本当に壮絶な方ですね。殿下はその時間をどうやって乗り越えられたのでしょう?」
「さあな。」
ヘンドリックは静かな目でエドワードの後ろ姿を見つめた。
「私もその点は少し気になるな。」
三人は野営地へと向かった。
彼らは、あたかも約束されたかのように話を切り上げ、夕食の準備を始めた。
・
・
・
地図に表示されている最初の目的地は、この近辺でもかなり大きな村だった。
ルイーゼは再び地図を確認する。
どうやら近くまで来たようだが、村はカニングの家のような建物の並びが見当たらなかった。
森の道が続く中、ヘンドリックが困ったように笑った。
「ははは!これじゃ今日も迷いそうですね。村が出てくる頃合いで道を間違えたみたいです。」
「そんな感じですね。なんだか妙な話だ。」
最初に違和感を覚えたのはエドワードだった。
彼は真剣な顔で正面を見据えた。
「マクシオン。」
「はい。」
「正面に見えるあれ、かなり巨大なもののようだが、見えるか?」
「・・・見えます。」
その言葉を受け、遠くのその場所に集中して目を凝らしたマクシオンが顎を引いた。
雑談を交わしていたヘンドリックとルイーゼも、さらに近づいていく中で、森の道がそのまま続いているわけではないことに気づいた。
村があるはずの場所にたどり着いた一行は、巨大な建造物が立ち並んでいるのを目にした。
「正面が壁で覆われていますね。」
「いつできたんだ? こんな建物が話題にならないはずがないんだが。」
ヘンドリックが眉間にしわを寄せる中、その様子を観察していたエイヴンが前に出て口を開いた。
「・・・魔法で作られた建物のようですね。」
「・・・魔法だと?」
「まずは近づいて調べてみよう。話をしながら、一周回ってみるつもりだ。」とヘンドリックは言い、行動を決めた。
「エイヴンは私に従い、残りはここで待機するように。」
三人は出発した。
今夜は村でゆっくり休めるだろうと思っていたルイーゼは、少し残念な気持ちでその場を後にする。
一行が休憩していた頃だった。
遠くから人々のざわめきが聞こえてきた。
「え? マクシオン、あそこに人が向かってきてるみたい。村の住人かしら?」
「・・・小規模の商隊のようにも見える。」
荷物でぎっしり詰まった馬車一台と、疲れ切った顔の人々が彼らに近づいてきた。
「またこうなったか。」
「厄介ごとでも起きたのか。」
「はぁ、今回は本当に引き返そう。」
異変に気づいたマクシオンは、軽やかに馬上で身を起こし、何かに引き寄せられるようにその集団に向かって進んだ。
「その建物について、何かご存じですか?」
「騎士の方々も、ここで足止めを?」
「はい。私たちもここは初めてで、ちょうど到着したばかりです。」
「ふむ、それはお気の毒に。騎士の皆さんもすぐに私たちのようになるでしょう。私たちはもう三回目の道を戻ってきましたが、あの建物に行こうとするといつも半分の行程で飲み込まれてしまいます。」
「飲み込まれるとは?」
マクシオンの隣に来たルイーゼが、不審そうな顔で尋ねた。
「ええ、ここで少し滞在していると、時々誰かが引き寄せられるようにあの建物の中に入っていくのです。近づかない方がいいですよ。そこに近づくと、見たこともない扉が現れます。そして、中に入った人が戻ってくるのを見たことはありません。」
ルイーゼは驚いた顔でマクシオンを見つめた。
彼は商人に慎重な表情で尋ねた。
「危険だと知りながら、なぜ戻って来たのですか?」
「それが非常に奇妙なのです。その建物から離れると、この場所に関するすべての記憶を失ってしまうのです。そして、ふとした拍子に村へ戻ると、なぜか物を持ち帰ったのか気になり、相談役にまた届けに行こうとするのです。そうしてまたその建物がある村へと引き寄せられ、その行為を繰り返してしまうのです。あの建物に近づくと、失われた記憶がふと蘇るのです。」
「何か理由があるのか。」
行商人らしき男が口を開いた。
「ここを抜け出すには、あの建物に飲み込まれた人たちを・・・」
「その場所に関する記憶も消えてしまいます。驚くべきことに、村に戻ってもその場所を覚えている人はいません。その場所で消えた人たちは完全に消え去ってしまうようです。」
「戻ろう。また誰かが飲み込まれる前に。」
「今回は相談役も諦めて、他の場所に移ってくれるといいのですが。正直、恐ろしいですね。」
男たちは話を終えると、彼らから離れていった。
「なんて恐ろしい魔法だろう。エドワードや他の人たちは大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ。エドワード様は魔法に対する抵抗力が強いですし、ヘンドリックとエイヴンも簡単にはやられる人たちではありません。」
マクシオンとルイーゼは騎士団に戻った。
「部隊長!大変なことが起きました!」
一瞬の間に騎士団の雰囲気が一変し、深刻さを帯びた。
「・・・どうしたんだ?」
「ベンがあの建物の中に入っていきました。止めようと声をかけたんですが、全然聞こえなかったようで・・・建物の近くに行ったら、突然扉が現れて・・・。」
「分かった。みんなで隊を組んで建物の近くへ行き、入ろうとする者がいたら引き止めるんだ。」
マクシオンは深刻な顔で壁のようにそびえ立つ建物を見つめた。
ルイーゼが口を開いた。
「建物に背を向けているほうがいいかもしれません。視覚的に引き寄せられる仕組みなら、それを防げるかもしれません。」
「いい考えだ。ルイーゼの意見も伝えておく。」
「はい!」
隊員たちが戻ってきた。
マクシオンは冷静な顔で建物を見つめながら、軽くため息をついた。