こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
146話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 神を討ちに向かう足取り
「クウウウーン!」
地面に雷が落ちたような音が轟き、大地が揺れ動いた。
間もなく煙が立ち上り、ラルクが姿を現した。
彼はイライラしているような表情を隠せず、周囲を見回した。
地面の近くに垂れ込めた雲のような不思議な雰囲気と、黄昏のような色をした空の様子を見て、事態の異常さを明確に感じ取った。
「人が来たら誰か迎えに来るもんだろう?どうして誰も来ないんだ?」
彼のぼやきが虚空に響き渡り、が割れるようにしてニクスが飛び出してきた。
「二度と会わないつもりでいたのに、何しに来たの?」
その言葉にラルクが手のひらを広げてニクスの顔に向ける。
「ここはニアルラトテップだ。少し騒がせに来ただけ。」
「・・・あなたの力があれば、人間界でも十分やれるでしょう?どうしてわざわざここまで来て騒ぎを起こすの?」
「まだやるべきことが残ってるんだよ。」
その言葉にニクスは何ともいえない不安を感じる。
ラルクが神界でやるべきこととは、一体何を意味しているのか?
ニクスは無表情を保ちながらもラルクをじっと見つめ、その間に暗く静かな洞窟のような雰囲気が漂い始めた。
「ここに押し込めろ。」
ラルクが腕を動かして手を振ると、荒れ狂うような気運が吹き上がった。
それはまさにニアルラトテップの気運だった。
ニクスはその光景を冷たい眼差しで見守っていた。
「まだ信じられないわ。あの男が人間界に留まれるなんて話、本当なの?これってただの神様の力じゃない?」
神の力を使う人間だなんて、生態系の破壊そのものではないか?
ラルクはその点について考え込みながら答えた。
「神格を取引して代価に変えたところで、それが歪めばほとんど反神に近い存在になる。反神が問題なのではない。お前たちの無力さが問題なんだ。反神のような浅はかな外部神程度なら簡単に片付けられるものだろう?」
ニクスは「そうですか?」と皮肉たっぷりに返答した。
そのとき、ラルクが何かを思いついたように人間界の情報を伝えた。
「おい、人間界で万神殿をつなごうとする狂った奴らがいるんだ。」
ニクスは呆然とし、口をぽかんと開けた。
「なに?それを放っておいてここに来たの?さっさと処理しなきゃ!」
「どうせ失敗するだろうが、な。」
その声には確信が満ちていたため、ニクスは一瞬戸惑ったが、ゆっくりと頷いた。
考えてみると、彼が自信を持っている理由がわかる気がする。
ラルクは満足げに微笑みながら、視線を遠くに向けた。
いまだ暗闇に包まれている最北端のどこかに隠れているであろう万神殿を目指しているのだ。
「その瞬間、俺の位置が暴かれるだろうけど、狂った外部神たちが人間界に来るつもりか?」
ラルクが人間界を彷徨うことになれば、万神殿の連中が他の目的を抱いて、人間界に入り込む可能性がある。
『それを阻止するためにも、クリードを俺の確信として・・・』
彼の痕跡が人間界に残っている以上、容易に動くことのできる神は存在しなかった。
ラルクを相手にするには、必然的に人間界で神格を奪取する必要があり、それによって地上の神々に対抗する力が生まれる。
外部の神々にとって、人間界は神界よりも遥かに制約が厳しいため、ラルクに対しては細かな策を講じる必要はなかった。
ニクスは苦々しく警告した。
「でも・・・アザトースクラスの神格でもない限り、格下の連中にネームバリューなんて大した意味を持たないだろうけどな。」
その瞬間、ニクスが作り出した牢獄の中で、歪んだ姿勢のまま蠢いていたニアルラトテップが動き出した。
――キーアアアアアッ!
ニアルラトホテプが苦痛の中で悲鳴を上げると、ラルクは冷淡にそれを無視し、監獄に閉じ込めた。
「うわ、耳が壊れそうだ! もう殴られたくなければ静かにしろ、このバカめ。」
ニアルラトホテプはラルクに恐怖を感じているかのように、怯えた様子でシュッ、シュッとした音だけを立て、声を潜める。
あまりにも不快で耳を塞いでいたニクスは、ラルクを見ながら呆れたように苦笑した。
「君も本当に・・・。」
ニクスは肩をすくめ、そのまま監獄ごとニアルラトホテプを消滅させようとした。
しかし、その時ラルクが手を振り上げてそれを制止する。
「その前に聞いておきたいことがある。」
「何だ?」
「二人の化身が子供をもうけたら、どうなるんだ?」
ラルクは、自分の娘とクリードが結婚することを確信していた。
そうなると、二人の間に子供が生まれる可能性もあるのではないか?
それが問題だった。
一つの神に対して、一つの化身しか存在することができないからだ。
ニクスが答えた。
「じゃあ、その子はたぶん私の化身になるだろうな。お前は半神で、神格そのものは完全な神である私の方が上だ。それに、ナビアより弱いその子は耐えられないだろう。」
「おそらく、そうなるだろうな。」
ラルクは大して気にすることもなく、さらに提案を続けた。
「だからさ、法律をもう一つ追加しよう。ほら、あの条項あるだろ?一つの神には一つの化身。そのルールを、私の娘にだけ適用されないように変えろ。」
ニクスは一瞬、言葉を失ったが、ゆっくりと口を開いた。
「・・・正気か?」
人間界の法律すら、このように勝手に変えるのは無理だろうと思った。
「まさかこのためにここまで来たのか?」
ラルクは当然のことだと言わんばかりの表情で、微かな笑みを浮かべる。
「じゃあ、俺が許可したからこんなろくでもないニアルラトホテプの下っ端をここまで連れてきたとでも言うのか?」
「・・・」
ニクスは今回ばかりは本当に何も言えなくなった。
ラルクは肩をすくめながら手を振り払う。
「俺だって良心はある。ただ頼むだけじゃない。俺がなぜニアルラトホテプを消滅させずに、こんなふうに連れてきたと思う?」
彼は一瞬目をそらし、沈黙していたニアルラトホテプを振り返った。
「おい、もう少し根性を見せて、何かしらやってみろ。」
「根性を見せる」というのは、即ち死を意味していた。
ラルクは遅れて思いついたように小さく笑った。
「話さないなら楽には死なせないぞ。」
これは、死ぬまで何度も殴り続けるという意味だった。
ニアルラトホテプは自分が知っていることを全て話した。
その従順な協力にニクスは言葉を失う。
ラルクはポケットから髪紐を取り出し、乱れた髪をひとまとめに結んだ。
それは戦いへの準備だった。
「何人か殺してできた神格なら、律法を修正するくらいはいいだろう?」
「いいだと? 神格の問題じゃなく、保守的な神々の反発が問題なんだよ!」
「そんな奴らがいるなら、俺と話し合いで片をつければいい。」
「話し合いだって?違うだろ、叩き潰すんだ!」
ラルクは答えず、肩をすくめただけだった。
ニクスは「ああもう」と声を上げながら髪をかきむしった。
どうせあの男は言いくるめることなどできないのだから、いっそ徹底的に懲らしめるつもりでいるのだ。
「他の神々を説得しよう・・・」
ラルクはニクスの表情を見てにやりと笑う。
「じゃあ行ってくる。仕事を片付けたら娘と遊ばなきゃいけないからな。」
神を討ちに向かう足取りは、無敵ともいえるほど揺るぎないものだった。