公爵邸の囚われ王女様

公爵邸の囚われ王女様【80話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【公爵邸の囚われ王女様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となって...

 




 

80話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 思いがけない再会

思いがけない再会に驚いていたのは、二人自身も同じだった。

どうやら状況は複雑なようだ。

彼らは反対側に現れた相手を一瞬見ていた。

特に言葉を交わすことなく、クラリスを振り返り、彼女に対して一言ずつ応じた。

「バッグで人を殴るのはダメですよ、お嬢さん。」

「おい、お前、バッグで殴りつけたら誰だって死ぬぞ。」

彼らはそれぞれクラリスのバッグを一つずつ手に取り、それが何か恐ろしい武器でもあるかのように慎重に扱う。

「・・・殴るつもりじゃなかったんです。」

クラリスは彼らに聞きたいことが山ほどあったが、まずは最も重要な事実を弁明することにした。

とはいえ、クラリスが弱そうな男をバッグで後ろから叩こうとしていたと思われても仕方がない状況だった。

「嘘はやめてください。手に握ったバッグが動くのを私は見ましたよ。」

ノアの返答に、バレンタインが指を鳴らしながら付け加えた。

「おお、俺も見たぞ。どんなときでもお前みたいな力持ちは注意しろって何度も言ってるだろ?あんなか弱そうな人間、軽くチョンと叩いただけで吹っ飛んじまうんだから。」

「王子様!一体何をおっしゃっているんですか。」

クラリスは腕を伸ばし、バレンタインの腹を軽くつついた。

本当に軽くつついただけなのに、彼はなぜかそれを大きな攻撃と受け取ったらしく、片手で腹を押さえながら膝をつき、息を整えていた。

「・・・うっ。俺はもう死ぬ。」

「ふざけないでください。本気で怒りますよ。」

「わかった、わかったよ。どうせお前が公爵家の護身術を受けて無駄に強いのは事実だからな。」

「無駄に強いなんてことはないですよ。」

「いやいや、君は確かに強いさ。少し前にどこかの魔法使いの子孫まで懲らしめようとしたんだろ?」

ノアの説明に、バレンタインは手で口を覆う仕草をしながら、ゆっくりと息を吐いた。

「まさか、あのとんでもない発射機を壊したのか? それだけは絶対にやめてくれって何度も言ったのに、どうしてそんな無茶を・・・!」

「本当にやってません!やってないってば!やってないですよ!」

クラリスは両側に鋭い視線を送りつけた。

ノアとバレンタインがぎこちなく後ずさりすると、クラリスは勢いよく歩き、エイビントンに近づいた。

「急に騒がしくなってしまい申し訳ありません。これについては私が代わりに謝罪いたします。」

「あ、いえ。」

彼はかなり慌てた様子で、眼鏡を直しながら言葉を続けることができなかった。

「ただ、一つだけ確かなことを申し上げます。」

クラリスは冷静に彼を見つめた。

「私だってこの試験に人生をかけているんです。」

「どうせ私たちに比べたら覚悟が足りないのではありませんか?」

「決して冗談や気まぐれではありません。もしそうなら、ここにすら来なかったでしょう。私は本気です。それを一緒に勉強しながら証明することができますよ。」

「見たところ、あなたは全額もらったお金で一生楽に・・・」

彼は少し躊躇いがちに話していたが、すぐにノアとバレンタインを意識したのか声を潜めた。

「おや、面白い意見ですね?」

すぐ後ろに立っていたバレンタインがクラリスの片方の肩を軽く叩きながら近づいた。

「全額もらったお金で楽に暮らすことが、この王国で私が一番得意なことなんだよ?」

「王子様。」

クラリスが彼を静止するように振り返ったが、彼は話を止めなかった。

「ところで、昨日案内してくれたとき、どうして『気まぐれな自己実現』って聞かなかったんだ? おい、魔法使い。お前には聞いてみたのか?」

バレンタインは皮肉っぽくノアに質問を投げかける。

彼は首都で指定された服を着てはいたが、マントの代わりに魔法使いの白いローブを身につけていた。

魔法使いは外部活動の際に必ずそれを着用しなければならないという、魔法使い団の規則のためだ。

そのため、彼が卓越した魔法使いであることは誰にでも一目でわかるだろう。

「私には聞かれませんでした。」

「じゃあ、どうしてあいつにだけ聞いたんだ? ねえ、あいつがちょっとだけ気に入らないのか? 差別してる?」

それは理不尽だった。

バレンタインは王の直属の部下であり、ノアは最も強力な魔力を持つ白いローブの魔法使いの一人。

つまり、彼らとクラリスを区別するのは当然のことだった。

「それは、そういう意味ではありません。王子様は誤解されています。」

「誤解? おかしいな。」

「ここには本当に覚悟のある受験生たちが集まっています。私は、受験生代表として全体の雰囲気を維持することが重要だと思って、そうしたのです。」

「それで、クラリスが雰囲気維持の役に立たないってことか?」

「そんなことは・・・。ここは覚悟を基に高得点を目指す場所だからです。」

「ああ、そうか?」

バレンタインは肩をすくめ、クラリスを振り返った。

「それで?」

「・・・はい?」

「うまくいったんだろ?お前も高得点を目指してるじゃないか。」

「そ、そう・・・ですよね?」

バレンタインの意図が分からず、そう答えると、彼は手の甲で一度軽く拍手した。

「それなら証明すればいい」

突然、それは一体どういう意味だ?

クラリスが目をぱちくりさせて見つめると、彼が説明を続けた。

「君が高得点を目指しているということさ。」

「それをどうやって証明するんですか?」

「簡単だ。この月末評価でこの子よりも高い点数を取ることだよ。どう?」

それは当然あり得ない話だとクラリスは思った。

学問は探求の対象であり、自分の対象ではないのだから。

「もし君がこの子より点数が低かったら、僕はここを辞めるよ。」

「え?! どうして突然王子様が辞めるんですか?」

「ん?じゃあ一緒に辞めるのはどう?君はどうする?」

バレンタインはノアに振り返りながら尋ね、その視線をじっと見据えた。

一緒に辞めるという意味らしい。

「我々三人の首がかかっているんだ。それならクラリスが君に勝てばいいということだな。」

バレンタインは腕を組んだままエイビントンをじっと見つめながら、軽く笑みを浮かべた。

「君が辞めるべきだろう? 高得点を目指す雰囲気によりふさわしいのは、点数が高いクラリスの方じゃないか?」

「王子様!」

クラリスの制止にも関わらず、この理不尽な話は続けられていた。

「そんなに雰囲気が大事だって言うなら、このくらい自分も出すべきじゃないか?な?」

「あ、分かりました。そうします・・・やります。」

渋々約束を受け入れたクラリスを見て、バレンタインは薄く笑みを浮かべる。

「いいね、楽しみだ。どちらが辞めることになるのか、ちょっと見ものだな。」

エイビントンはしばらくの間クラリスを冷たく見つめた後、本を一冊取り出して机の上に無造作に置いた。

「おい! 案内をやめて行くのか?」

「大丈夫です。」

「俺は大丈夫じゃない。」

「私も大丈夫じゃない。」

「いいぞ、『大丈夫じゃない』が過半数だな。これからあいつは敵だ。」

ノアとバレンタインが同時にため息をついた。

つい最近まで「絶対に会わない」と頑なだった二人だったのに。

いざ出会った途端に妙に意気投合し、今では冗談まで言い合う仲になりつつある。

「バレンタインと呼んでもいい。」

「ノアと呼んでください。」

彼らがきっちりと呼び名を決めている間、クラリスは深く息を吐いて両手を差し出した。

「・・・私のカバンを渡してください。」

しかし、二人はなぜかカバンを渡すつもりはなさそうだった、同時に、背中にカバンを抱えたまま捨てていく様子を見ると。

とにかく、ここで彼らとこれ以上争うのは良い考えではない。

何より、こちらを意識して見ている視線も徐々に増えてきていたのだから。

クラリスは受付で割り当てられた数字を確認すると、すぐに自分の部屋を探して入った。

机と本棚、そしてベッドしかない小さな部屋で、非常に簡素な雰囲気が漂っていた。

たぶん装飾や家具がない壁のせいだろう。

「窓が少し歪んでいるみたいだ。」

部屋までついてきたノアはカバンを下ろすと、すぐに窓を上に押し上げて開ける。

彼の言う通り少し歪んでいるらしく、どれだけ力を入れても完全には開かなかった。

「管理室に窓を直してもらえるよう頼まないといけませんね。」

「椅子もちょっと揺れているみたいだ。こういうのも直してもらうべきだな。」

「・・・」

彼らは部屋のあちこちをざっと確認していた。

「さあ、座ってください。」

クラリスはひとまず二人にベッドを勧めた。

ソファがあれば良かったのだが、ここにはそういった豪華な家具はなかった。

二人が素直に座ると、クラリスは足がぐらつくという椅子を引き寄せ、二人の前に向かい合って座る。

 



 

 

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