悪役に仕立てあげられた令嬢は財力を隠す

悪役に仕立てあげられた令嬢は財力を隠す【40話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「悪役に仕立てあげられた令嬢は財力を隠す」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【悪役に仕立てあげられた令嬢は財力を隠す】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「悪役に仕立てあげられた令嬢は財力を隠す」を紹介させていただきます。 ネタバレ...

 




 

40話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • あなただけの芳香剤②

先日セリアンに言ったように、研究開発に力を入れるという私の言葉は、決して口先だけのものではなかった。

建国祭に参加した私は、思いがけず他の人たちの肌の悩みを聞くことができた。

―「妊娠したら妊娠線ができるって聞いたけど……ちょっと不安ですね。こういうのって化粧品でケアできるんでしょうか?」

―「プリムローズ公爵夫人からユネットの代表様にお伝えいただけたら、本当にありがたいです!」

母が言葉を代弁する必要はなかった。

その場でユネットの代表である私がすべて聞いていたからだ。

だから私は、従来のクリームよりも保湿効果の高いマッサージオイルを発売することにした。

「すでにできた妊娠線はどうにもできないとしても、予防はできると思います。」

そうであれば、肌の悩みを持つ人たちに少しでも役立つだろう。

そして妊娠線だけでなく、各種マッサージにも使えるため、多くの人が効果を感じられるはずだった。

ただ単にマッサージオイルを開発して妊婦たちに「ありがとう」と言われるのは、あまり気が進まなかった。

無料で物を配るわけでもなく……自分の母親にあれほど切実に頼んでいた婦人たちの表情を思い出すと、なおさらだった。

「妊娠線クリームの売上の一部を、事情が苦しい妊婦たちのために寄付したいと思っているんですが、どう思いますか?」

妊娠線クリームの価格は高くないが、経済的に余裕がなく購入できない人たちにも製品を購入できるように支援したいのだ。

エノック皇太子は、そんな私の言葉にほんの少し戸惑いながらも、あっさりと笑った。

「時々思うのですが、ユネット代表は皇太子である私よりも、帝国の国民をより想っておられるようですね。」

「それは違います。」

とんでもない称賛に、私はすかさず否定した。

私はエノック皇太子の隣にいるアルロカシア公爵をちらりと見て、困惑した。

『どうやら今日は皇室の上級官僚たちも会議に出席しているようね。』

何気なく言ったことではあるが、エノック皇太子に忠誠を誓う者たちが聞いていたら、どう思ったかわからない。

私は恥ずかしさをごまかしながら、急いで話題を変えた。

「では、寄付先を追加で調べてみましょうか。」

「そうですね。でも実際、福祉施設はたいてい神殿と関わっているのが問題で……」

「確かに。最近も神殿で寄付金を私的に使ったという告発がありましたよね?問題が起きたのは一度や二度ではないのに、うまく切り抜けていますよ。」

様子を見守っていたアルロカシア公爵が提案した。

「ポリサス公爵の財団はいかがでしょう?女性福祉に多くの力を注いでおられる方です。」

「確かに。何年も特に問題のなかったところですね。」

「私も、そこなら信じられます。」

いくつかを追加で調整していたら、時間はあっという間に過ぎていた。

私は壁に掛けられた時計を見上げた。

『夏だから日が長いと分かっていたはずなのに。』

一緒に来た皇室の上級官僚たちやユネットのスタッフたちも、私の周りを片付けていた。

「もう夕方ですね。では、私はこの辺で失礼します。」

「おや、代表。もうお帰りになるのですか?」

他の人たちが会議に出席してから、エノック皇太子は私のことを「代表」と呼ぶようになった。

不用意に「令嬢」と呼んで、私の正体を多少なりとも推測されてしまうよりは、それが正解だった。

私は顔を隠すためにかぶっていたフードを少しだけ深くかぶった。

そしてそのとき、エノック皇太子から穏やかな提案があった。

「よろしければ、夕食をご一緒にいかがですか?」

「え?」

「周りの人々から聞いたのですが、この近くに良いレストランができたそうですよ。」

「うーん……会議まではフードを被っても大丈夫ですが、食事のときには顔を見せることになりそうです。」

私は戸惑いながら断ろうとした。

「職員は除いて、私と代表様の二人だけです。」

思いもよらない言葉が彼の口からこぼれた。

だが、エノック皇太子のその言葉に驚いたのは私だけではなかった。

隣にいたアルロカシア公爵も動揺した様子だった。

「え、殿下?まさか今……」

エノック皇太子は何も言わなかった。

しかし、公爵は無言の視線だけでも力があり、目つきを見て慌てて口をつぐんだ。

「……」

―この前、私に髪の毛を引き抜いて渡そうとしたのも……。

手を差し出した瞬間を思い出した。

あの時、私がどれだけぎこちなく、もたついていたか。

以前、護衛騎士のセリアンが手を差し出してきたときは、何とも思わなかったのに。

『認めたくはないけど……意識してる相手だからってことよね。』

ただのビジネスパートナーの前で、そんなことしても意味ないのに。

そんなことは分かっているのに。

「では、行きましょう。」

私を見て期待している様子を目の当たりにしたら……断ることなんてできなかった。

輝く瞳。

温かな美青年の期待を込めた視線。

『あんなふうに見つめられて、どうやって“嫌い”なんて言えるの?』

顔をすっぽり隠したフードの奥からでも、エノック皇太子の視線を無視することはできなかった。

『断ればよかったのに!』

後悔しながらも、手術をする前に、エノック皇太子はすぐに顔を明るくした。

「代表と一緒に食事ができてうれしいです。」

イケメンが私の一言で喜ぶなんて……それが皇太子ともなれば……。

意味のない笑みかと思われる表情だが……。

『落ち着け。ビジネスパートナーとして、食事一緒にするくらい当然のことだ。』

しかし、レストランに到着するや否や、落ち着いていた気持ちは再び崩れてしまった。

有名だというのはそれなりの理由があるのだろう。

入口はレストランに合った花と高級な装飾品で満たされており、天井が高く、まったく窮屈さを感じさせなかった。

気品があり優雅な照明、私たちを見た瞬間に親切に案内してくれるスタッフ。

誰がどう見ても高級レストランだったけれど…。

私がいくらなんでも公爵令嬢なのに、こんな場所に来たくらいで戸惑うわけない。

今の私は、ただ高級レストランに来たからといって動揺しているのではなかった。

問題はこの場所の「雰囲気」だった。

『ここ…まるで恋人たちがデートに来る場所じゃない?』

入ってくる途中にすれ違った人たちは、みんな二人一組だった。

甘い雰囲気を漂わせるカップルばかり。

私が生まれてから、皇太子殿下とこんな場所に来るなんて、考えたこともなかった。

これはもう現実離れしてる。

「……」

特に私とエノック皇太子が案内された場所は、その中でもかなり私的で静かに食事ができる席だった。

同時に、夕日が沈む風景が最もよく見える場所でもあった。

窓から差し込む柔らかな陽の光は、いつかの記憶を呼び起こさせた。

「ルーム形式ですので、気軽にお食事いただけます。」

エノック皇太子は、呼んでもいない限り他のスタッフが入ってくることはないので、私が緊張せずに食べてよいと言った。

そして、にこやかに笑いながら、もじもじしている私とは違い、自然に会話をリードしていった。

和やかに見えていた彼の瞳にも、夕焼けの深い赤が映っていた。

『ユネットを開業する建物を見ながら一緒に歩いた時を思い出すな。』

魔力灯が灯る頃まで付き添って私を見つめてくれていたエノック皇太子の姿もまた、あのときと同じく今もエノック皇太子はふたりきりだった。

「この前、代表からいただいたルームスプレー、効果が良かったです。」

「まあ、それはよかったです。」

「よく眠れました。おかげさまで。」

一語一句に込められた吐息まで、
細やかに気を使っている。

そういえば、今日の長い会議中、エノック皇太子の声が枯れず、機嫌のよい美声を保っていた。

そうでなくとも、今日は体調がいつもより良さそうに見える気がしていた。

『ルームスプレーのおかげだったなんて。』

気のせいかもしれないと思いながらも、結局はそのことだけを考えていた。

隣にいながらもドキドキする気持ちは隠せなかった。

あまりにも親しげに接するのではと思い、ついテスト目的だという言い訳まで考えてしまった。

『夜遅くまでルームスプレーを作った甲斐があるわね。』

しかし今日のエノック皇太子の様子を見て、後悔はしなかった。

「感謝の気持ちとして、お食事をご一緒したかったのです。」

もしかして二人きりで、何か重要なビジネスの話でもするのか…そんなことも考えたけど、幸いだった。

『…いや、幸いと言える?私と特別な条件もなしに食事しようって言うんだよ?』

一時ぼんやりしていた頭が再び動き出した。

『それでも、いいことだよね。』

デートの場所みたいに感じてしまったとはいえ、事業パートナーとして来られない場所ではない。

感謝の意味で接待するというのだから、良い場所に連れてくるのは当然だ。

『あんまり舞い上がらないで。』

夏が苦手で、よく眠れないという話に気を配って作ったものだったけど。

こんなにちゃんと使ってくれるなんて。

作った者として最高の返事ではないか。

「香りは気に入りましたか?」

「一つ残らず、私の好みでした。」

シンプルに返ってきた答えだった。

香りを選ぶのにずいぶん時間をかけたが、気に入ってもらえたようで、苦労したかいがある。

私は追加で作るのは難しくないから、次回にもっと持ってくると言った。

「市場でこのまま販売するつもりはありませんか?」


「…ああ。ルームスプレーはもう少し研究してみたいです…。殿下はテストして満足されたとはいえ、もう少し大衆性を引き出す必要性を感じていまして。」

私はうなずいた。

ただエノック皇太子を思って作ったものだ。

いつか手放すかもしれないが、最初から計画はなかった。

『ラベンダーの香りが平凡じゃないから、好みが分かれそうだけど?』

エノック皇太子は気に入ったと言っていたけれど…あくまで個人的に。

「この前お渡ししたルームスプレーの香りは、皇太子殿下を思い浮かべながら作ったんです。」

もし将来的に発売することになったとしても、その香りではなかっただろう。

ラベンダーを基調にしつつ、もう少し無難に。

『私もほんと。調香師でもないのに、どうして皇太子殿下の好みや雰囲気を思い浮かべながら、こんなに細かく作ったのか分からないわ。』

そのためにエノク皇太子が気に入って使ってくれたのは良かったが、正直に言えば、好みが分かれる香りだった。

安らぎを与えるというラベンダーやハーブを入れたけれど、その香りは焦げた布のように少しピリッとしていた。

退廃的ではない程度にゆるく、それでも無骨な一部が生きている。

『正直、エノック皇太子ほどの人でなければうまく使いこなせない香りだわ。』

ほんのりとした普通の好みを好む人にとっても、実際に似合う人にだけよく合うものを好んでいた。

扱いが難しい香りだからこそ、専門の調香師でもない自分がこれほどのクオリティで作ったのは奇跡だ。

やはり人を惹きつけてはいけないということに間違いはない。

『せっかく作ったんだから、後で本人が香水のように一度吹きかけてくれたら嬉しいのに。』

まあ、心の中で思ってるだけで、口に出すことは一生ないだろうけど。

ルームスプレーは香水のように使ってはいけないから、こんなことが起きる可能性はまったくない。

自分が作って渡さない限りは。

『…でも、あとでこっそり作ってくれたらダメかな?』

だめだ。余計な妄想はやめよう。集中しよう。

『雰囲気のあるレストランに、恋人たちばかりの場所に来たから、変なことばかり考えてしまう。』

赤くなった頬を見られたくなくて一時的に視線を逸らしていた私は、ふとエノック皇太子と視線を合わせた。

いや、正確に言うなら、合わせようとしたのだ。

「…殿下?」

「うん。」

だが、エノック皇太子の表情がどこかおかしかった。

『何かをずっと考えていたみたい。』

絶対に、自分が作った香りが皇太子の想像以上に気に入ったから、気を良くしてそう見えたわけではない。

むしろ、そのせいで皇太子の表情の微妙な変化に遅れて気づいたのかもしれない。

『…もしかして、私が皇太子殿下のためだけにこの香りを作ったとでも思った?』

単に、似合いそうな香りにしたと伝えたかっただけなのに。

私も不眠気味だという言い訳を添えて。

なんとなくこじつけたような話にすぎなかったのに…。

どういうわけか、エノック皇太子はずっと顔を見つめていた。

沈黙が続いた。

まるで、自分の表情を見られたくないかのように。

波紋のように揺れる瞳で。

『……何?』

どうしてだか、あんな表情は初めて見る気がする。

恥ずかしさを隠そうとしているようで。

『耳まで赤くなってるみたい?』

なぜか皇太子殿下が恥ずかしがっているように感じる。

このレストランの照明のせいで、私の目が錯覚してるのかも。

『あんな表情見せられたら、こっちも気にしてしまうじゃない。』

二人きりでここにいるということが、妙に意識されてきた。

皇太子殿下は、こういう場所にたくさん来られているようだけど。

たぶん……他の恋人とも。

ルーム形式のレストランであることも把握し、予約した席へと迷いなく進んでいく様子。

それに、私に見せる立ち振る舞いを見て。自然で慣れてる感じがする。

ここに慣れてるように見える。

なのに、私なんて男の人と二人きりで来るのは初めてだから、むしろこっちが恥ずかしい。

「ええっと。ちょっとフードをかぶってもいいですか?」

幸いなことに、少し漂っていた気まずさを料理が消してくれた。

アミューズ・ブーシュ(前菜)から始まり、メインの子羊ステーキまで。

公爵令嬢の私からしても思わず感心するほど、何一つ抜けのないコース料理だった。

ところが――

「令嬢、エビは召し上がらないのですか?」

「実は甲殻類アレルギーがありまして。重症というほどではなくて、ちょっと赤くなるくらいなんですが……。」

内にあった柔らかなエノック皇太子の表情が一瞬で消えた。

急に変わった表情の変化に、当事者である私の方がむしろ驚いたくらいだ。

「最初から気をつけるべきでした。これは失礼しました。」

「いえ、大したことではないので、横に避けておいて食べればいいですよ……」

「でも調理過程で影響を受けた可能性もあるのでは?」

急にそんなことを言われて私は驚いてしまった。

「レストランで販売している料理からは、エビの材料をすべて除外しなければなりませんね。」

「えっ?」

さっきは「最近できた場所だから一度行ってみた」と言っていたけど?

『……見覚えのあるこの感じ、もしかしてこのレストランって本人の所有なのでは?』

私は自分の耳を疑った。

いや、そんなに深刻なアレルギーでもないのに。

『私だけ食べなきゃ済む話で、なんで他の人まで食べられなくなるの!?』

私は内心で冷や汗をかきながらエノック皇太子を止めた。

「そ、それはやめてください。今後はスタッフに、食べられないものがあるかだけ聞くようにしてください!」

私が慌てて止めると、エノック皇太子はようやく興奮を鎮めた。

「令嬢と来るときは、事前にエビは絶対に使わないよう言っておきました。」

あまりにも断定的に伝えていることが少し心配だったが、それでもメニューが台無しになるよりはマシだ。

『いや、父や兄でさえ知らないアレルギーなのに。』

ここまで真剣に気遣ってくれるなんて。

少しおせっかいに感じたかもしれないけれど、それでもありがたかった。

…誰かがここまで考えてくれたのは初めてだ。

『どうして私にこんなによくしてくれて、髪の毛まで取ってくれるの?』

他の人にもこうするのかな?

この世界ではアレルギーを特に重大な問題と考えず、大したことないと扱うのが普通なのに。

どうして私の言葉一つひとつに耳を傾けてくれて、反応してくれて、心配までしてくれるの。

どうしてこんなにも人をしんみりさせるのか分からない。

私はどうにか赤くなりかけた顔を隠すようにして、食事に集中しようと努めた。

そして、そんな私に意識が集中する前に話題をそらすことにした。

攻撃は最大の防御!

「殿下は、もともとそんなに感情的になるタイプなんですか?」

「えっ?」

幸いにも、エノック皇太子の一言で気まずかった雰囲気が和らぎ、デザートを食べる頃には私の方から小さな話題を振ったりもした。

楽しい食事の席だった。

『……でも次に、皇太子殿下とまたここに来ることなんてあるのかな?』

もちろん、エノック皇太子と私は依然としてビジネスパートナーだ。

会う機会も多いし、話す時間もたくさんある。

だけど、意外にも私とエノック皇太子が二人きりで過ごす時間は徐々に減っていった。

ユネットが席を取ってくれるほど、以前のように二人きりで話して解決するようなことはなくなったからだ。

『どうせ今回だけ特別なんだろう。』

しかし意外にも、その時間は早くやってきた。

ただし、それはユネットの用件ではなかった。

 



 

 

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