できるメイド様

できるメイド様【214話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「できるメイド様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【できるメイド様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「できるメイド様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっておりま...

 




 

214話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 決死④

別動隊の主力はキエルハンが率いるシルト騎士団と精鋭の義勇兵たちであった。

実戦を通じて鍛えられた彼らは、東帝国内でも指折りの精鋭であり、他の兵士たちにとっても大いなる士気の源であった。

高い機動力を活かし、短時間で西帝国の内部深くまで侵入することが可能であった。

『今は時間との戦いだ。西帝国が気づく前に一気に首都を制圧しなければならない』

マリは騎馬兵たちの後を追い、歯を食いしばった。

乗馬にはあまり慣れていなかったが、自分の速度が落ちるわけにはいかないため、懸命に馬を走らせる。

しばらく駆けた後、一息つこうとしていると、キエルハンが心配そうな顔で彼女に近づいてきた。

「大丈夫ですか、陛下?進軍速度を少し緩めても……。」

マリは険しい表情で彼を見つめた。

「いいえ、大丈夫ですから、心配しないでください。」

「ですが……。」

「本当に大丈夫です。多少疲れても、何があってもついていきますから、気にしないでください。」

キエルハンは深いため息をついた。

急を要する状況とはいえ、彼女が疲れた姿を見るのは胸が痛んだ。

(陛下にはここに残っていただいてもよかったのに……。)

彼は心の中でため息をつきながら言った。

実際のところ、首都を制圧するのにマリがいる必要はなかった。

戦闘はキエルハンと兵士たちが担うべきことだったからだ。

「いいえ。私も絶対に同行しなければなりません。」

しかしマリはきっぱりと言い切った。

「首都を制圧して終わりではありません。西帝国と講和を結ぶために、私が直接行うべきことがあるのです。」

キエルハンは疑念の表情を浮かべた。

彼女が何を考えているのか気になったが、マリはそれに答えず周囲を見渡してこう言った。

「幸い、ここまでは特に問題なく来られましたね。」

彼らはすでに西帝国の深部まで侵入していた。

今しばらく馬を走らせれば、ヨハネフ3世がいる首都に到達するところだ。

「迂回路と障害を避けて進軍していますので、大きな支障なく首都までたどり着けると思います。」

キエルハンは安堵の表情を浮かべながら話した。

「現在、首都を守る兵力は500名に満たない近衛兵だけですから、制圧するのに大きな困難はないように思われます。」

西帝国の首都を守る兵力は非常に少なかった。

すべての主力はクローアン王国へ進軍している状態だった。

『まさかこんな状況になるとは思いもしなかっただろう。』

キエルハンは感嘆の眼差しでマリを見た。

彼女がいなければ、西帝国の首都を直接攻撃するなどという発想すらしなかったに違いない。

『大きな変数がなければ、西帝国との戦争は勝利で終わるだろう。』

そう考えたキエルハンは、マリに少し慎重な口調で尋ねた。

「殿下、確認したいことがあります。」

「何でしょう?」

「西帝国との戦争が終わった後、ラエル様とはどうするお考えでしょうか?」

マリの表情がきっぱりと引き締まった。

ラエル。

その名前を聞いた瞬間、胸が締め付けられるように痛みを覚えた。

「おそらく、ラエル様は間もなく同盟諸国を撃退するでしょう。」

マリは拳を固く握りしめた。

彼女もそう考えていた。

ラエルはクローアン王国との戦争の際、どんな困難な状況でも一度も敗北を許さなかった天才的な軍略家だった。

西帝国の侵攻をマリが阻止した以上、同盟諸国程度ならば容易に撃退されるだろう。

実際、現状の戦況も有利に進んでいた。

「西帝国の降伏宣言を受け入れたら、今度は東帝国との問題を解決しなければなりません。」

マリは無意識に拳を握りしめた。

キエルハンの言葉に心が揺さぶられた。

独立したクローアン王国の敵は、西帝国だけではなかった。

つい最近までクローアンを強制的に支配していた東帝国もまた、王国にとって根深い敵だったのだ。

『両国が同盟を結べれば一番良いのに。』

マリは心の中で考えた。

国の未来を背負う者として、クローアンの行く末に思いを馳せるのだった。

東帝国と同盟を結ぶこと。

それが彼女とクローアン王国にとって最も良い方法だった。

それが叶えばラエルも一緒に結び付き、クローアン王国は血を流すことなく安定を取り戻すことができる。

『しかし、状況はそう簡単ではないわ。』

マリは冷静に考えた。

東帝国の立場から見れば、容易には信頼できない同盟を選ぶ理由はない。

いくら国を挙げての同盟でも、その同盟がいつか破れる可能性があり、それがどんな結果をもたらすか分からないためだ。

むしろ確実に征服して属国化するほうが、長期的に見て利益をもたらす選択だろう。

現在、クローアン王国の国力は弱く、まるで幼子が必死に足掻いているような状態だった。

また、現状の関係を弱体化したまま、弱い同士の同盟を結んでも意味は薄い。

仮に彼女とラエルが同盟を望んだとしても、東帝国の貴族や国民が簡単に受け入れるはずがない。

彼らはきっとラエルにクローアン王国を攻撃し、降伏を迫るよう求めるだろう。

『殿下……。』

マリは険しい表情で考えた。

『東帝国との問題もどうにかして解決する方法を見つけなくちゃ。』

簡単にはいかないとしても、マリは決して諦める気持ちを持っていなかった。

彼女はどうにかして東帝国との難題も解決することを心に決めた。

そのためには、まずは西帝国に勝利しなければならない。

東帝国との和平はその後に解決する問題だった。

「ありがとうございます。まずは西帝国に勝利することが最優先なので、そのことだけを考えます。」

「はい。」

「それにしても、随分と長い間休んでしまいましたね。すぐに出発しましょう。」

マリは決然とした眼差しで言葉を発した。

それから、マリとキエルハンが率いる別動隊はそのまま進軍を続け、大きな都市を目指して行軍を続けた。

そして、ついに目の前に現れたのは、西帝国の首都、エルフェロン城だった。

エルフェロン城に到着した別動隊は、予想外の状況に直面した。

「城壁の上に兵士たちがいる?」

彼らの到着を事前に知っていたかのように、防御態勢を整えていたのだ。

城門を固めたエルフェロン城の城壁には、中鎧を着た近衛兵たちが警戒して立っていた。

「どうやら我々の進軍が途中で目をつけられたようですね。」

最大限慎重に進軍していたものの、5,000名の兵力が移動するとなると、途中で誰かに見つかってしまったようだ。

「まあ、大した問題ではありません。どうせ大部分の兵士はクロアン王国へ出払っている状況ですから。」

キエルハンの言う通り、城壁に立つ近衛兵たちの数は非常に少なかった。

彼は一歩前に進み、堂々と城門に向かって声を張り上げた。

「全員武器を捨て、城門を開けよ!君たちもこの城が持ちこたえられないことは分かっているはずだ!一般市民はもちろん、誰一人として傷つけるつもりはない。だから恐れることなく、すぐに城門を開けるのだ!」

その言葉に城壁の上がざわついた。

するとまもなく、少年と思われる人物が現れた。

キエルハンとマリは驚いた表情を隠せなかった。

『少年?』

13歳くらいだろうか。

黒髪に黒い瞳を持つ少年だった。

鉄甲を身にまとった少年の姿を見て、マリはその正体に気付いた。

『ヨハネフ3世の弟であり、西帝国の第一皇位継承者、ステファン大公!』

ヨハネフ3世が病に倒れ、意識を失った今、そしてストーン伯爵が死んだ今、この少年こそが事実上の西帝国の指導者と言える存在だった。

少年は赤い唇を引き結び、叫んだ。

「お前たちの言うことなど聞くものか!今すぐに引き下がらなければ、特別に慈悲をかけて首だけは繋いでやろう!」

まだ幼い年齢のため、多くの敵を前にして緊張しているのか、声は震えていた。

それでも、その目は揺るぎない決意を秘めていた。

「仕方がないようですね。攻城を開始します。」

マリは口を閉じたまま黙っていた。

血を流す戦いは避けたかったが、これは戦争だ。

彼らも後退するわけにはいかなかった。

「攻撃開始!城を陥落させよ!」

キエルハンの声が響き、戦闘が始まった。

しかし、戦闘が始まって間もなく、予想だにしない事態が起きた。

「我らも出陣せよ!ヨハネフ3世陛下を守れ!」

「敵が陛下を狙っている!止めろ!」

「皇帝陛下万歳!」

ヨハネフ3世を呼ぶ声とともに、多くの人々が城壁に登り始めた。

その姿に驚くべきことに、彼らは武装した兵士ではなく、一般市民だった。

「なんだと?」

その光景にキエルハンとマリは動揺を隠せなかった。

城壁に登ってきた市民たちの中には老人や女性も多く、彼らは自らの皇帝であるヨハネフ3世の名前を叫びながら、別働隊に対抗し始めたのだ。

『一部の民衆が支援しているのか?』

しかし、そうではないように見えた。

少年大公も民衆の突発的な行動に戸惑いを隠せない様子だった。

別働隊の勢いは、この予期せぬ抵抗により一気に崩れ去った。

マリは即座に指示を出した。

「まずは兵士たちを退却させてください。被害が大きくなります。」

こうして別働隊は攻城を中止し、後退を余儀なくされた。

マリとキエルハンを中心とする指揮部は、急いで作戦会議を開いた。

「全く予想外の展開ですね。まさか民衆がこのように立ち上がるとは。」

キエルハンは呆然としていた。

マリもまた、これほどの展開は予想していなかった。

『ヨハネフ3世がこれほど尊敬を集めているとは。』

彼女の脳裏に、民衆が叫んでいた言葉が蘇る。

「皇帝陛下を守れ!」

彼らは他の何よりも、自分たちの皇帝であるヨハネフ3世を守るために立ち上がったのだった。

『敵には手強い相手でありながら、民衆には慈悲を施す名君と評される人物か……。』

マリはヨハネフ3世に関する評価を思い返した。

手段や方法を選ばず敵を圧倒する一方で、民衆の間では大きな尊敬を受けていると聞いていた。

『内政と施策によって困窮していた民衆の生活を大いに安定させたとか。民衆の間ではまるで英雄のように称賛される名君だと……。』

彼女が目にしてきたヨハネフ3世の姿は、どうしても「名君」という言葉にはそぐわない印象を受けた。

しかし、民衆の態度を見る限り、それが事実のようだった。

そのとき、キエルハンが口を開いた。

「明日の朝になったら再び攻城を開始します。今回のように不意を突かれて退いたものの、結局は武装もしていない一般民衆です。問題なく制圧できるでしょう。」

しかし、マリはすぐには頷けなかった。

制圧自体は可能かもしれないが、無防備な民衆を相手に攻撃を加えるという選択が、彼女の心に引っかかっていたのだ。

『子どもや女性も多かった。無理に城を攻撃すれば大きな血が流れることになる……。』

最終的に、それは考えもしなかった難題だった。

彼女はためらいながら口を開いた。

「できるだけ血を流さずに済む別の方法はないでしょうか?」

「殿下?」

キエルハンは彼女の心情を察し、困惑した様子を見せた。

彼もまた名誉ある騎士として、一般市民に剣を向けることに気が進まなかった。

しかし、いくら考えてみても特別な方法が浮かばなかった。

「彼らが自ら城門を開けない限り、方法はないと思われます。」

その言葉を聞いた瞬間、マリの頭にある一つの方法がひらめいた。

『ある!彼らが自ら城門を開ける方法が!』

「交渉してみる必要があります。」

キエルハンは疑念を抱いた表情で彼女を見つめた。

「受け入れられるとは思えません。彼らはヨハネフ3世を守るという強い信念を抱いており、そのためには命を賭してもよい覚悟です。」

しかし、マリは意外な言葉を口にした。

「いいえ、彼らは受け入れるしかないと思います。」

「殿下?」

「彼らが守ろうとしているのは、自分たちの象徴である皇帝ヨハネフ3世です。だからこそ、彼らは受け入れるしかないんです。」

キエルハンの目が見開かれた。

彼は彼女の意図を理解した。

「まさか……殿下自らここに来られた理由が?」

「はい、その通りです。」

マリは確信に満ちた表情で彼を見つめた。

「私がここでしようとしていることを知れば、彼らは反対することはできないでしょう。」

すぐに交渉の場が設けられた。

交渉には、女王である彼女が直接出席し、対する相手側では少年大公ステファンが現れた。

以前、東帝国でヨハネフ3世の側近だったロイスも同行していた。

別動隊の前線とエルペロン城の中間地点に設定された会議の場に到着したステファンは、まず口を開いた。

「最初に言っておくが、我々に降伏の意志はない。無駄な話をするつもりなら、すぐに立ち去るがいい。」

少年は敵意に満ちた目つきでマリを睨んだ。

とはいえ、まだあどけない顔立ちからは恐怖を煽るというよりもむしろ愛らしさが漂っていた。

身体に纏った鎧も、どこかぎこちなく父親のものを無理やり着たように見える。

「交渉について話し合いたく、この場を設けました。」

「交渉?何のことだ?」

「私はクローアンの王、モリナとして、帝国の民が無意味に血を流すことを望んでいません。無駄な犠牲を避けるためにも、城門を開けていただけないでしょうか?」

その言葉に、少年大公の顔が赤く染まった。

彼女の言葉を侮辱と受け取ったようだった。

少年は立ち上がり、怒りを露わにする。

「奇跡の聖女だと?一体何の話をするのかと思えば、やはり我々を侮辱するために呼んだのだな。ふざけるな!我が西帝国を一体何だと思っている!」

彼は振り返り、荒々しく交渉の場を去ろうとした。

しかしその時、彼女の声が彼の足を止めた。

「もし城門を開けていただけるなら、あなた方の皇帝であるヨハネフ3世を私が治療して差し上げます。」

 



 

 

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