こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

159話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 家族ごっこはもうやめます③
「彼女を捕まえて来い。」
暗殺者を含む魔法使いたちは混乱した状況下でも忠実に彼の命令を実行した。
彼らの瞳の奥には、いつの間にか万神殿の邪悪な気配が宿っていた。
それは暴力的な欲望を煽り立てるものだった。
ナビアは冷静かつ泰然としていた。
この状況を彼女は危機とは感じていないようだった。
『私が吸収した力は単なる魔力ではない。魔力に満ちたエネルギーを放出しても構わないが、別の力を使ってみようか?』
グムは周囲の気配を吸収し始めた。
万神殿から漏れ出す邪悪な気配を探りながら。
その時、グムが口を開いた。
—これも吸収できるわ。
ナビアは片方の口元をゆっくりと引き上げて笑みを浮かべた。
「公爵様、それをご存知ですか?」
彼女が手を伸ばすと、その手のひらには万神殿の気配を濃縮したような長い棒が現れた。
「復讐の本質って、結局は自分の内側がすっきりするかどうか、ってことですよね?」
「馬鹿げたことを言うな!今すぐ彼女を捕えろ!死んでしまっても構わない!」
ナビアは棒を空中で大きく振り回した。
男たちが彼女に向かって駆け寄ってくるのが見えた。
彼らはそれぞれ鋭いナイフを持っていたが、それでも彼女は全く怯むことはなかった。
ナビアは彼らに軽く笑みを向けたあと、瞬時に冷たい表情に変わり、その棒をさらに勢いよく振り回した。
轟音が響き渡る!
まるで死神が鎌を振り回しているように、両方の黒い三日月状の気配が彼らを襲った。
「ぐあっ!」
彼らは宙に舞い、壁に叩きつけられた。
完全な一撃だった。
その一振りで数十人の侍従たちが戦闘不能状態に陥った。
ナビアはその光景を見ることなく、周囲の状況が見えないにもかかわらず、正確にそれを把握しているかのような感覚を覚えていた。
これもまた、グムの能力なのだろう。
「ここが重要なんです。」
彼女は一歩踏み出した。
視線は邸宅の内部を見据えていた。
ニカンは凍りついたような表情を浮かべていたが、やがて冷たい声でナビアに威圧的に言い放った。
「や、やめろ。ここはアグニスだ!私に向かってそんなことを……!」
ナビアはニカンの言葉を無視し、自分の言葉を続けた。
「だから、ここを消し去るんです。」
他にも復讐の方法はたくさんある。
ただ、ナビアは自分が本当に一番やりたいことは何かを考えた。
『この忌々しい巣窟を消すこと。』
復讐するのに特別な方法は必要なかった。
ナビアは杖を一振りして、気を一つ放った。
轟音!
轟音!
「ぎゃあああ!」
爆発が起きたかのような巨大な音が響き渡った。
ビビアンが耳を覆いながら床に崩れ落ちた。
腰を折り曲げた姿勢で、彼女の体は床に崩れ落ち、散らばった瓦礫の中で震えていた。
使用人たちはすでに邸宅から逃げ去った後で、この光景を見て悲鳴を上げる者は、アグニスの三人以外にはいなかった。
ニカンは、ナビアを正気を失った女性のように見ながら叫んだ。
「今、何をしているんだ!お前、正気じゃないのか?」
ナビアは、自分が生み出した結果を確認しながら静かに歩みを進めた。
轟音!轟音!轟音!
そして本格的に邸宅を破壊し始めた。
万神殿の気運から作られた玉は回転するだけでも周囲を瓦礫と化し、大混乱を巻き起こしていった。
「やめろ……! やめて! 止めろ!」
ナビアは容赦なく玉を振り回した。
まったく優雅さも高尚さもないやり方だった。
しかし、自分の手で邸宅が破壊されていく様子を見るのは非常に楽しいものだった。
「やめろと言ってるんだ!」
ニカンは完全に我を失い、血走った目でナビアに向かって狂ったように走り出した。
轟音が鳴り響く!
「駄目だ!」
彼の叫びは虚しく響き、怒りと恐怖が入り混じった様子で声を上げ続けていた。
「やめろ、やめろと言ってるんだ!」
「父さん! 危険です!」
ナビアに向かって突進するニカンをウッドが必死に止めようとした。
ナビアの周囲では建物の瓦礫が轟音を立てて崩れ、舞い上がった埃が容赦なく空間を支配していた。
あの瓦礫の中に突っ込んでいったら、転がる石に当たって即死するかもしれなかった。
しかし、ナビアはそんなことを全く気にせず、手に持った棒で不気味な狂気を放ち続けた。
その姿には、何とも言えない高揚感が宿り、彼女の動きは楽しげだった。
誰が見ても、この建物にはただならぬ不吉な気配があると感じるに違いないと思えるほどだった。
ビビアンは、家がナビアの手で木っ端みじんに粉砕される様子を見て、絶叫に近い声を上げた。
「何をしているの? あの狂った女を今すぐ止めて!」
ウッドは素早く飛び出し、激怒して叫ぶビビアンを強引に引き離した。
彼女を睨むその目は、怒りと嫌悪感で溢れていた。
「魔法も使えないくせに、どうやって阻止しようって言うの!」
ビビアンは怒りに任せてナビアに向かって鋭い言葉を浴びせた。
「じゃあ、あいつは何なんだ?どうしてそんな能力を使えるんだ!」
「……あいつが何だって?」
ビビアンの挑発にウッドは怒りを抑えきれず、苛立ちが募っていった。
この事態を引き起こしたニカンとビビアンに対する嫌悪感が、言葉の端々に表れていた。
「それで、何だってんだ?意味不明な欲望を撒き散らしてるのか?お前のやり方が神聖だとでも?ハッ!通り過ぎる犬が笑うぞ。」
ウッドの辛辣な言葉にビビアンは唇を噛み、血が滲むほど強く閉じた。
「それなら、何もせずに台無しにして終わるのか?私は本来、皇后になるはずの人間だったんだから!」
それを台無しにしたのはナビアだった。
自分の人生は、ナビアがアグニスに足を踏み入れた瞬間から徹底的に崩壊していった。
すべてはナビアのせいだった。
あの下賤な者さえいなければ、自分はこんな不幸な目に遭わずに済んだのに!
「そうだ、抑制器だ!」
その時、ニカンは目を見開き、振り返った。
その場にはネイト伯爵の遺体が横たわっていた。
今、自分が魔法も使えず無力なまま打ちのめされている原因は、すべて魔力抑制器のせいだった。
ならば、抑制器を元に戻せばナビアを止められるはずだ!
ニカンは自分を押さえつけていたウドの手を振り払い、ネイト伯爵の遺体へと走り寄った。
「お父さん!」
彼の耳にはウッドの叫び声がまったく届かなかった。
必死に駆け寄る視界にはただ魔力抑制器だけが映っていた。
『これだけだ、これさえ元に戻せばあの怪物を止められる!そうすれば!』
抑制器を解除すれば、自分だけでなくナビアも魔力を使用できる状態になるはずだったが、ニカンはすでに理性的な判断力を完全に失っていた。
彼は作動中の抑制器に手をかけた。
ゴオオオオ……
周囲の魔力を抑え込んでいた魔法陣が解除された。
ニカンは歓喜に満ちた表情を浮かべ、魔力を集中させて巨大な水の大砲をナビアに向かって放った。
「死ね!」
人間であれば、この攻撃を受けて全身が粉々になり、即死していただろう。
大きな水の塊が突然空中で破裂し、水しぶきが地面を覆った。
魔力を抑制していた力が消えたとき、すでにナビアはニカンがどのような行動を取るかを予測していた。
そのため、飛んできた水の塊を容易く無効化してしまった。
「この女め……!」
ニカンは諦めず、再び魔法を使ってナビアに突進してきた。
ナビアは彼を相手にするのも面倒そうな表情で手を振った。
その瞬間、地面に散らばった黒い光の粒子がまるで生きているかのように静かに動き始めた。
それはニカンだけでなく、ウッドとビビアンにも襲いかかり、短い悲鳴とともに彼らを飲み込んだ。
まるで全ての力を使い果たしたかのように手足が完全に力を失った人間のようだった。







