こんにちは、ちゃむです。
「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。
今回は48話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
48話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 絶望の公爵邸
大公邸の正門に到着したエスターが馬車から降りるやいなや、執事がそわそわと迎えに出てきた。
「ああ、どうしてこんなに遅く来たんですか」
エスターは彼の態度に戸惑い首をかしげる。
「半日くらいですが・・・」
「その半日、殿下が・・・とにかく早く帰らなければなりません」
「すぐにですか?部屋に行って身なりでも見て行きます」
「いいえ、すぐに行かなければなりません」
デルバートはとても焦っているように見えた。
何日か夜でも明かしたように目の下が真っ黒でどんよりしている。
「ビクター、ありがとう。先に行くね」
「はい、どうぞ」
エスターはビクターにきちんと挨拶する暇もなく、すぐにデルバートについて熱心に歩かなければならなかった。
「お父さんはどこにいらっしゃいますか?」
「応接室に集まって会議中です」
「え?それなのに私が行ってもいいのですか?」
エスターは目を丸くして立ち止まる。
訳もなく今行って会議の邪魔になるのではないかと負担になったのだ。
「はい、必ず行かなければなりません」
しかし、デルバートの態度は頑固だった。
彼の顔は疲れ果てていて、彼は自分の髪を指差す。
「私の髪の白いのが見えますよね?」
「はい」
「これはすべて2日間に受けたストレスのために変わったのです」
「う一ん、もともと白くなかったですか?」
「いいえ」
エスターは首をかしげた。
確かに元々そうだったと思うけど・・・とにかくデルバートがいつもよりはるかに疲れて見えたので、じっとついて行くことに。
「殿下がとても心配していました」
「私をですか?」
エスターの口が少し開く。
誰かが自分を待っていたと思うと、胸が熱くなった。
「はい。よく眠れませんでした。つられて私も寝れなかったけど・・・」
デルバートは2日間に積もったものが多いのか陰鬱につぶやいた。
その姿を見てエスターがくすくす笑う。
二人はすぐに大会議室に到着した。
前で待機中の侍女たちと使用人たちの表情には緊張が歴然としている。
どうしたんだろうと思うほど凍っていた。
その瞬間。
がちゃん!!
会議室の中で何か割れる音が聞こえてきた。
ところが、これが見慣れた状況なのか誰も驚いていない。
当惑したエスターがぼんやりと立っている間、デルバートは素早くドアを叩いた。
「誰?」
ドフィンは内側からかっと声を上げる。
猛烈な音に驚いたエスターは後ずさりした。
「お嬢さんがいらっしゃいました」
デルバートは慌てずに素早くエスターが帰ってきたという便りから知らせた。
すると、いらいらしていたドフィンの表情が一瞬にして解ける。
日差しに雪が溶けるように急激な変化だった。
「エスターが?」
椅子に斜めに身を寄せていたドフィンが、そのままぱっと立ち上がる。
彼は終始イライラしながら会議に臨んでいた。
何の案件も決裁をしなかったため、会議の進行が遅かった。
ところが、エスターが来たという話を聞いた瞬間、彼が押されていたすべての決裁書類にサインして会議を終えてしまった。
「会議は終わった。もう出ていけ」
「ええ?本当ですか?」
「そ、それでは失礼します!」
死んだ顔をしていた家臣たちの表情が明るくなる。
気分の悪い大公と同じ部屋にいたため、皆疲弊した顔だった。
一様にドフィンの心が変わるのではないかと、さっさと応接室を抜け出す。
「お嬢さん!無事に帰ってきて嬉しいです!」
「本当にありがとうございます!」
エスターは自分に挨拶する家臣たちに戸惑った。
(どうしたんだろう?)
一様に自分を救世主でも見る表情で眺めていた。
首をかしげて一瞬で空っぽになった応接間に入る。
「帰ってきたのか?」
ドフィンの低い声がかすかに震えていた。
エスターは少し前まで何も考えていなかった。
たった二日しか行ってこなかったのが大したことない、そう思っていた。
ところがドフィンと目が合った瞬間、感情がこみ上げた。
あるべきところに戻ってきたという安定感が全身を包んだ。
「はい。ただいま・・・お父さん」
慎重に、慎重に吐き出したエスターの言葉に、ドフィンが明るく笑う。
さっきの冷静な彼とは、誰も考えられないほど優しい微笑だった。
「こっちにおいで」
ドフィンが両腕を大きく広げた。
エスターの足は彼の落ち着いた口調に自然に動きだす。
ゆっくりと、しかしもう少し速く歩いて前まで行くと、ドフィンがエスターをさっと持ち上げた。
「お帰り」
エスターはよろめきながらドフィンの腕をつかんだ。
力強い腕が与える安定感に安心する。
「どこか具合の悪いところはなかったの?倒れてはいない?」
「はい。私は完全に元気です」
エスターが力強くうなずき、腕をまくって自分が丈夫だということを見せてくれた。
その愛らしい姿を眺めるドフィンの口元には、彼も知らないうちに満面の笑みが浮かんだ。
ドフィンの体があまりにも大きくて、エスターを膝に座らせると、胸の中にすっぽり入る。
ドフィンはエスターをひざの上に座らせ、注意深く観察した。
見たことのない新しい服を見てしばらく首をかしげたが、エスターには聞かなかった。
服装よりも怪我をせずに帰ってきた方が大切だから。
「無事に帰ってきてよかった。何もなかった?」
聞くやいなやエスターの頭の中に衣装室の夫人たちが浮び上がる。
しかし、親切だったドロレスを思い、首を横に振った。
「ありませんでした」
会話を交わしている間、テーブルの上にはエスターが好きなデザートがいっぱい用意された。
「それじゃあ、溜まっていた話を聞かせておくれ」
エスターは両手にパンを握って神殿に行ってきた話を始める。
途中途中、ドフィンがイチゴジュースを飲ませてあげた。
ベンとデルバートは2人を見守りながら、涙混じりのハイタッチをした。
「今夜はゆっくり眠れます」
「はい。お嬢さんが帰ってきてくれて本当によかったです」
エスターがいない間、ドフィンがどれほど鋭敏に振る舞ったのか。
それを合わせるために二日間ですっかり年老いた2人だった。
「ふわあ」
エスターは話の途中で長いあくびをする。
長い馬車の移動に疲れた状態で、半分目が閉じていた。
エスターの目の先に涙がぶらりとぶら下がると、ドフィンが長い指でさっと目を通しながら頬を撫でる。
「眠いみたいだから、今日はもう帰って休みなさい」
「そうします」
エスターは目をこすりながらドフィンの膝から降りた。
その時、エスターのあごについた生クリームを発見し、白い目を輝かせる。
「ちょっと待って」
ナプキンで拭いてあげればいいものを、あえて手で拭いてあげてにっこり笑った。
「まだ子供だから私の手が必要だね」
双子は男の子たちだから、自分でするように話している。
しかし、エスターはあまりにも小さく、割れる可能性が高い。
「ありがとうございます」
エスターは後になってあごの下をゴシゴシと拭きながら笑った。
「では、おやすみなさい」
「部屋まで送ろう」
「歩いていけますよ?」
言葉とは裏腹に、エスターの歩みは危なっかしいものだった。
眠くて一直線に歩けず、しきりにギザギザ線になる。
ドフィンはそのようなエスターが倒れるのではないかとそわそわしながら後に続いた。
「キャッ!」
「この方がずっと早い」
結局、エスターは会議室をすべて抜ける前に、ドフィンにさっと持ち上げられておんぶされた。
ドフィンはエスターを部屋のベッドに寝かせた後、最後に抱擁した。
双子ともいつものおやすみの挨拶だ。
「おやすみなさい」
「お父さんも」
今、このような抱擁に少しは免疫ができたエスターが、手を上げてドフィンの背中を抱きしめる。
「・・・」
その瞬間、ドフィンはそっと唇をかんだ。
自分がこの小さな温もりをどれだけ恋しく思っていたかに気づいた。
ずっと神経が尖ったのが、エスターが心配だからという事実を自ら認め、さらに強く抱きしめる。
しばらくして。
眠っているエスターを置いて、ドフィンが静かに部屋を抜け出した。
すべての心配がなくなりスッキリした顔だった。
「やっと少し楽に見えます」
廊下で待っていたベンはニャリと笑ってドフィンのそばに立つ。
「私が?まったく同じだけど」
「いいえ、昨日からこのようにいらっしゃいましたが、今はこうですよ」
ベンは自分でドフィンっぽい真似をして額まで目尻を上げ、再びあごまで引き寄せた。
「そんなことはない」
ドフィンは恥ずかしそうに背中を向けて,とても速く歩き始めた。
足が長いため、数歩でベンとの距離が大きくなる。
「殿下!一緒に行きましょう!」
ベンはそのようなドフィンを追いかけるために息を切らしながら走り出した。
エスターが数日不在なだけで大混乱ですね。
ノアが滞在する話をエスターにもするのでしょうか?