こんにちは、ちゃむです。
「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。
今回は44話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
44話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 家庭教師ロックハート⑤
部屋に駆け付けたロックハートはかばんを開け、荷物をむやみに詰め込んだ。
今すぐこの嫌な屋敷を出るつもりだった。
そもそもここで彼が得るものは何もない。
その上、多少騒動を起こして去るからといって、この遠い北側の噂が他の貴族の耳に入ることはないはずだ。
もしそうだとしても、彼には正当な言い訳があった。
ロックハートは被害者だった。
敵の家族に怒ることの何が悪いというのか。
誰でも自分の肩を持つだろう。
18歳で死んでしまう生意気な囚人の子供じゃなくて。
いつの間にか鞄にすべての荷物を入れる。
彼は慌ててふたを押し閉じた。
しかし、順序もなくごちゃごちゃと詰め込んだ荷物のせいでカバンは簡単に閉まらなかった。
彼は何度もかばんを無理やり押しつぶしたが、自分の性質に勝てず、これを持ち上げて床に投げ捨ててしまった。
ガタンガタン!
「はっ、はっ・・・」
急激に押し寄せてきた呼吸に彼の体全体が震える。
彼は怒っているのにとても怯えていることに気づく。
その恐怖は猫の仮面をかぶった少年によるものだった。
いや、正確には・・・。
少年が書いた仮面の一つが流れた瞬間、ロックハートは見た。
本物の怪物を。
それは人間をかたどった格好をしていたが、決して人間とは言えなかった。
(一体何だったんだ?)
彼の知恵では答えが分からない。
ただ、一つは確かだった。
あの不快なことと共に存在するということだけでも、クラリスという子供がどれほど不吉な存在なのか証明されるということだ。
あんなことを教えるのに彼の人生を浪費することはできなかった。
ロックハートには弟が残した使命がある。
『兄ならうちの家門をもっと高くしてくれるだろう』
彼は震える手で落ちたかばんを再び整理し始めた。
ノックの音が聞こえたのはその時だった。
おそらくクラリスだろう。
謝罪に来たはずだが、彼はわざと答えなかった。
すると、再びノックの音が聞こえてきた。
「ロックハート先生?」
今度はのんびりとした執事の声が相次いだ。
彼は慌てて鞄を整理するのを止めた。
「・・・あ」
そして瞬間的な恐怖と怒りに押さえつけられて忘れていた事実が浮び上がった。
頭に冷たい水が差しているような気がした。
ここは公爵の邸宅だ。
彼の弟が言うには、王とかなり良い関係を持った王の兄、シェリデン公爵の邸宅のことだ。
ところで今彼が何をして来たんだっけ・・・?
「・・・なんてことだ」
クラリスを苦しめることはあくまでも密かなやり方で行われるべきだった。
ぼんやりと内面の底を見せながらガサガサと叫ぶのではなく!
今日、彼は償いたいというクラリスにこう話す予定だった。
「君が彼らの苦しみを直接体験する人生を生きていて死ぬことしかない」と。
こう言えば、子供はこれからやたらと微笑むことさえできなくなるだろうから。
ロックハートはそれがひどい仕打ちだと考えていない。
あの忌々しい王国の民たちは皆、苦しい生活を送っており、一部は空腹で死ぬことさえあった。
まして自分の弟は・・・。
あの不器用な王子のあがきに巻き込まれて死んでしまった。
あの王国の名残と言えるクラリスが幸せに生きる資格があるはずがなかった。
いや、そもそも生きている資格さえないと言うべきだった。
「先生、クラリスの話を聞いてきました」
ロックハートは苦笑しながらゆっくりとドアを開ける。
最後に出てきた時、理性を失った彼が本性を現わしてしまったので、クラリスが彼についてどう話したのか簡単に見当がついた。
自分の主題も知らず、酷いことでもされたように泣き言を言ったはずだ。
「先生」
切羽詰った顔をした執事が尋ねた。
「頭に怪我をしたと聞きました。大丈夫ですか?」
「・・・はい?」
ロックハートは思ったより少し違う問いにぼんやりと聞き返してしまう。
「大怪我をしたと、クラリスは心配しています」
これに対しロックハートは両目を細くして執事に質問を渡した。
「他の話はありませんでしたか?」
「それは当然、早く治療しなければならないようだと言いました。私が病院にお迎えします」
そう話す執事の顔からは、心配以外の感情は見当たらなかった。
(本当に・・・何も聞いていないのか?)
「いいえ。治療が・・・必要なほどではありません。しばらく休息だけ取ればよくなるでしょう」
彼は訳もなく私自分の後頭部をこすりながらやっと答えた。
正直に言うと、もう痛みなどは少しも残っていない。
「そうなんですか?本当によかったです」
「そ、それより・・・」
彼は計画より少し早くここから出ることにしたことを話そうとした。
せいぜい家庭教師の仕事だから、公爵に直接告げる必要もないはずだ。
しかし、執事の話が先だった。
「今日の夕方には大切な方がお着きになると思いますが、公爵様が先生も席に同席してほしいとおっしゃいました」
「大切な・・・方ですか?」
「はい」
うなずく執事の顔には、大きな興奮がこもっていた。
「王室からのお客様です。殿下の手紙とともに」
「え!?」
「やはり先生がシェリデンに来てくれたのが大きな祝福だったようです。こんなにすぐに王室からお客さんが来るなんて!」
「いや、急に何の用事でいらっしゃるんですか?」
「私たちが分かりますか。でも、奥様が盛大な晩餐をお願いされたのを見ると、きっといいことでしょう」
執事は興奮を鎮めるように自分の心臓の近くを手のひらで何度も掃いた。
「とにかく、先生も晩餐会に出席されると、奥様にお話をさせていただきます」
「ああ、わかりました」
ロックハートは戸惑いながらうなずいて、部屋のドアに背を向けて立った。
(今、一体何が起こっているんだ?)
王室から人が来るなんて。
そのような場でロックハートが一緒に食事できるということだけでも大きな光栄であることは明らかだ。
しかし、ここには一つ問題がある。
クラリスが彼の本性を見てしまったということだ。
(しかし、せいぜい囚人の身分である亡国の王女ではないか。そんな子が王室の客がするという晩餐に出席するわけがない)
それでも気まずい気持ちになるのは仕方なかった。
「こんな時じゃない、こうなった以上あの子の口を完璧に塞がないと・・・」
彼は乾いた唇をもぐもぐとかみしめながら考え込んだ。
王室から来た人物とは?
クラリスが何も話していなくても、ノアが進言するのではないでしょうか?