こんにちは、ちゃむです。
「あなたの主治医はもう辞めます！」を紹介させていただきます。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
１２６話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 家族として⑪
「そ、それはそうですね。」
ベルロンは、ここまで事態が大きくなるとは思わなかったのか、顔が青ざめていた。
しかし、私の言葉に誤りない。
「平民を捕らえよ」という従来の命令を「貴族を起訴せよ」と置き換えることには特に矛盾がなかったからだ。
「では、そのように処理をお願いします。今日、父が戸籍登録をしてくれるので、明日には私が起訴状を受け取れるでしょう？」
ベルロンがため息をつきながら了承し背を向けようとしたとき、馬に乗って駆けつけてきた人物が私たちの前に立った。
息を切らしながら駆けてきたその人物は、素早く馬から降りてエルアンと父に礼を表し、気まずそうに後頭部を掻いた。
「ちょうどいいタイミングで到着したね、ディエル。」
私は満面の笑みを浮かべながら、乱れた髪を整えるディエルの前に立とうとしたが、エルアンの燃えるような視線と目が合い、足を止めた。
彼自身も私に近づけないのに、ほかの男性が私に近づいているのを見るのは我慢ならない、という表情がそのまま読み取れた。
ディエルもまた、私が近づくのを望まないのか、そろそろと後ろに下がった。
「えっと、私は……あの、お嬢様が呼んだからです。」
「お嬢様だなんて、ただタメ口を使ってもいいのに。これまでずっと友達として過ごしてきたじゃない！」
「私は……細く長く生きたいだけです。これからは友情を証明したいときはお金だけで表現していただければありがたいです。」
「うん。普通こういうときには、私の気持ちはすべて分かっているから、友情をあえて表現しなくてもいいって言うものじゃないか？」
「前回の給料の500％ボーナスをもらったとき、自分がいかに資本に弱いかが分かった気がします。最初は友情で始めたのに、結局は論理的にお金の味を覚えたら、むしろやりがいを感じます。」
私が娘だということが完全に明らかになってから、ディエルにさらに大きな金額を支払ったと聞いた。
いずれにせよ、この話題については後で父とエルアンがいないときに再度話し合う必要があると思われた。
「私が伝書鳩で送ったのは……。」
「もちろん、頼まれた通りすべて処理してきました。」
「それから、もう一つお願いがあるんだけど、とりあえず宿で腰を落ち着けてから話そう。」
「はい？」
「どうやら首都で名前を広める必要がありそうだ。」
以前、首都で開かれた建国祭に参加した際にも、「リチェ・エステル」のブースが最も有名だった。
今回も「リチェ・シオニー・フェレルマン」の名前が確実に話題になる予定なので、自分の存在を知らせるためにデビュタントの儀式を行わなくてもよさそうだった。
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父と叔母、エルアンまで一人ずつ見つめたディエルは、なぜ自分がこの人たちの中に呼ばれたのかというような恨めしそうな目をした。
そのためか、彼は私の話を注意深く聞いた後、すぐに宿を出て行った。
父は戸籍登録の手続きをしに行きながらも、なかなか足が離れない様子だった。
しかし秋が訪れており、エルアンの状態を見守り続ける必要があったため、父の代わりに私がそばにいる状況だ。
「どんな計画なのかは帰ってから聞くとしよう。しかし……まさか皇室裁判だなんて……リチェ、お前が危険な目に遭うのは嫌だよ」
「私はフェレルマン家の唯一の後継者じゃないですか。」
私は堂々と言った。
「私が危険なことをするわけないでしょう。心配しないでください。」
唯一の後継者がいなくなったとき、領地がどれだけ混乱するかをよく知っている私は、とにかく自分の安全を最優先に考えるつもりだった。
『考えてみれば、いつもそうだったけど。』
それに、フェレルマン家がどれだけ多くの財産を持っているか。
絶対に危険にはならない。
「まだきちんとした復讐もできてないんですよ。母はある農家で悲惨な形で亡くなりましたが、まだハエルドン王子の最後も見届けていません。私は必ず目にするまで、無事でいることをお約束します」
「まあ……リチェは自分の身を守るのが驚くほど上手いからね。」
叔母はゆっくりと頷いた。
おそらく、勝利の宴でエイビック子爵に突っ込もうとした叔母に、「私を巻き込まないで」と言ったことを思い出したのだろう。
「そうだよ、リチェ。それに、まだちゃんとした、心穏やかなデートもできていないわ。」
エルアンが素早く話に割り込んだ。
そして、エルアンが回復してからは親子鑑定の件で忙しく、恋人らしく一緒に過ごす時間がなかったことを思い出した。
建国祭の夜に上った都の丘が、最後のデートだ。
改めて都に来ると、その時の記憶が蘇り頬を赤らめたときだった。
「一生無理だと思ってください。私の娘のそばにはいつも私がいますから。」
エルアンの言葉に、父はすぐに目を剥いて応えた。
どうやらエルアンが父の心を少しでも和らげるまで、気楽なデートは難しそうだ。
「体が完全に寒さに慣れるまでは、公爵様も無理をしないでください。特に呼吸に注意してください。」
私はその言葉を百回は繰り返し、心配そうに言った。
「もし全力で走ったりして呼吸が乱れたらどうなるの？」
「すぐに幻覚状態に入り、目を覚ますことができなくなるかもしれません。」
父はぶっきらぼうに言った。
私の隣にいた叔母が驚いて問い返した。
「それじゃあどうすればいいの？」
「もし幻覚状態に陥ったら、元に戻るのは難しい。いっそのこと、事前に1級毒物で全てを封印してから解毒する方がいい。」
「1級毒の解毒って簡単なの？」
「簡単だと思うか？『1級』って言葉を理解できないのか？耳に呪いでもかかってるの？」
「それならお前は口に呪いでもかかってるのか？」
エルアンも私も一人っ子だから、父と叔母の容赦ない言い争いには慣れていなかった。
1級毒の解毒は、父の言う通り簡単ではなかったが、私と父の腕前なら数日苦労した後にはやり遂げることができるだろう。
「ディエルに1級毒を持ってくるように言わないといけないな。念のため、持っておくのが良いだろう。」
「はい。それでも公爵様が注意されるのが一番ですね。もちろん、私はもっと強い毒も解毒しましたけれど。」
私はついに成分が完全に分かった問題の菓子を思い出し、得意げに言った。
「でもお父さん、薬を毒に変えるのがどれほど簡単だとしても、完全な効果を出すためには相当多くの試行錯誤があったのではないでしょうか？」
「当然だ。公爵様に投与された毒はかなり成功裏に改良されたものだ。その過程で時間が少しかかっただろうな。一部だけ効果があったり、特定の方向に偏って奇妙な効果を引き起こしたり
「数多くの試行錯誤があっただろうね。しかも、その頃の公爵様は若かったじゃないか。」
父は、目の前で自分の研究が悪用されたことに憤りを感じているようだった。
「そういった類の毒は、幼いほど効果が出やすいからな。未熟な子供たちに悪事を働く大人ほど嫌悪すべき存在はいないよ。」
「それは本当にそうですね。」
「だから幼少期、主治医に嘘をつくのが日常だった公爵様のことも問題にはしないわけだ。」
ウェデリックが密かにお菓子を渡していた事実について父に告げなかったことや、それ以外の症状を正直に伝えなかったことについても、父は特に非難しなかった。
「とにかく私が戻るまで、リチェのそばにいてください。セイリン、お前がしっかり守るんだ。」
「わかった、離れる。」
「急いで戸籍を整えたいから行くんだ。今回もお前がしっかりしているからと言って、そうしないわけにはいかない。」
父は私の肩を一度叩き、その後数度エルアンを見やり、控え室を出ていった。
