こんにちは、ちゃむです。
「あなたの主治医はもう辞めます!」を紹介させていただきます。
今回は87話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
87話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 建国祭
帝国で最も大きな祭りである建国祭の規模は莫大だった。
外国の観光客もこの時に合わせて首都に遊びに来て何日も泊まるほど見物が多い。
最も人気のある見どころは、各所で直接申請して運営するブース行列だ。
各種特産品はもちろん、その地域の有名な職人たちが領地の名前を付けてブースを運営し、観光客を集めている。
ブースの運営が成功すればするほど、領地の暮らしにも役立ち、名声も上がるので、ブースの申し込みと許可は各領主が直接行うほどだ。
私もやはり「セルイヤーズ公爵領」所属でかなり良いところにブースを建てた。
「天才医師リチェ・エステルの医療相談所」という看板もきれいにつけ、看板にはきらめく星飾りもつけた。
エルアンが私を抱き上げてくれたときに手に入れた飾りだ。
『君がきれいだと思うものなら何でも私が持つようにしてあげる』
光っているのが、今でも目につく装飾だった。
『私もあなたの目にきれいに見えたらいいな』
エルアンを見て欲しいと思わない女はいないだろう。
就任式であれ宴会であれ、狩猟大会であれ、貴族の令嬢たちが堂々と欲しがるほど、彼は素敵だった。
ところが、きらめく飾りのように素敵な人が優しくして自分を持たせてあげると言ったら・・・。
私の次の考えを遮ったのはディエルだ。
「最終日の夕方には必ず閉めようね」
ディエルは私のブースに積まれている薬草の箱を見て、すでに心配しているように言った。
「私、花火は見たいんだよ」
「花火?」
「今回、爆竹を最大規模で輪入してきたんだって」
ブースに到着するやいなやディエルはあちこちをうろつき、まもなくたくさんの情報を聞いてきた。
「あそこの2時の方向に倉庫が見える?あそこに積まれているのが全部爆竹だって」
「そうなの?」
「すごい壮観だろう。その見世物を逃したくないよ」
「ここからも見えるんじゃない?」
「何言ってるの。セルイヤーズ所属の人たちは皆、簡易観覧塔の3等席に行けるというが・・・」
「ああ・・・分かったわ」
私は快くうなずいた。
大多数の人々は広場で見るのが一般的だ。
すべての使用人に3等席を許可したこと自体が、セルイヤーズの名前値を示す一例だった。-
(大したことではなさそうだけど)
そんなにすばらしい景観だったら、回帰の前にも花火がすごかったという噂があっただろう。
医院を訪れた客のうち、1人か2人は確かにほらを吹くに値するが、そのような記憶はなかった。
いや、そういえば花火があったという話さえ聞いたことがない。
(回帰後に新しくできた行事なのかな?)
物思いにふけっていると、ディエルは興奮して話し続けた。
「今回の建国祭には20年ぶりにティシリア神殿が女神様もいらっしゃるんだって」
それは回帰の前にもあったことだ。
「今度信託を受けられるのは一体誰だろう?」
「まあ、私たちと関係のある人ではないと思う」
「それはそうだ。20年前にもハエルドン皇子様だったからね」
神殿の人々はみな隠遁していて容易に見ることができなかった。
ただ、たまに不定期に建国祭に現れたりしたが、選ばれた一人に信託を与えると聞いている。
信託はその人の未来を語る神聖な言葉だというが、誰が受けるかは原則的に誰も知らなかった。
私の記憶ではこの信託はフリート侯爵に与えられる予定。
狩猟大会の時、その家門の配下の騎士を治療したことがあったが、基本的に私とは全く関係のない人だ。
その信託の内容さえも当事者にだけ知らせてくれるので、本当に私には意味がなかった。
しかし、建国祭に代神様が20年ぶりに姿を現すということだけでも、十分なゴシップのネタにはなるだろう。
(とにかく、そういうのよりは、私のブースの方が重要だ)
私は回帰前の人生では、医院を開いたばかりで、気が気でなくて建国祭に参加することさえできなかった。
でもいつかはこういうブースを開いて、医院に行くほど痛くない人でも軽く医療相談を受けられる機会を作ってあげたかった。
病気は何でも予防が重要だからだ。
もちろん、私の名声が上がり、私の実力が満天下に認められるのも良かった。
医者としての私の自尊心はかなり高かったからだ。
もっともらしく飾ったブースが完成し、私は確認のためにディエルにもう一度尋ねる。
「流通しているアモリの花、全部総なめにしてきたんだよね?」
「うん、何度も確認したよ」
ディエルはすぐにうなずいた。
「その手紙も確かに送ったの?」
「うん、送ったよ」
私の慎重な質問に、ディエルは妙な表情で答えた。
「イシドール男爵のせいで、フェレルマン子爵が娘さんと生き別れになったのと同じだから・・・。今度はこっびどくやられたらいいな」
どう考えても私は情が深すぎた。
代父という理由だけで、フェレルマン子爵とその娘の事情を明らかにすることまで手伝うことにするとは。
しかし、私によくしてくれたフェレルマン家の人々を思い浮かべると、何とか役に立ちたいと思った。
私は伸びをしながら席に座った。
ディエルは斜めのブースで売っている派手な手作りキャンディーを買って私に配って、私のテーブルの向こう側に座った。
まだ本格的な祭りが始まっておらず、お客さんが来るはずはない。
私は静かに飴を食べて、慎重に声を掛ける。
「ねえ、ディエル」
「うん、どうしたの?」
「私の友逹の話なんだけと・・・」
ディエルはまるで話すようにうなずいた。
「ある男が私の友達に自分を男として見てくれと言ったんだって。それまで私の友逹は意識的にでもそんな仲にならないように努力したのに」
「何で?その理由があるんじゃないか」
「あったけど、消えたって」
「じゃあ、何が問題なの?」
「急に男として見てくれと言うから、ぎこちないながらもどうしたらいいか分からなくて・・・とにかくそんな状態だって。自分の心を覗きたくて承諾はしたが。私の友逹はどのように行動すべきかな?」
「答えは出たようだけど」
ディエルはキャンディーをガリガリとかじりながら何の考えもない表情で話した。
「君の友達もその男のことがもう好きみたいだね」
「・・・うん?いったいどうして?」
「嫌なら最初から男として見てくれと言った時に嫌がっただろう。例えば、私があなたを見て、私を男として見てくれと言ったらどうだと思う?」
「それは本当に真剣に想像することさえ嫌なことね」
「ほら、思ったより人は理性に対しては単純だって。嫌なのははっきりしてるよね?明確でないということは、気持ちがある程度あるのに無理にそっぽを向いているということだよ」
何と反論したいが、何と言えばいいのか分からず、私は唇を震わせた。
ディエルはすぐに話し続ける。
「ねえ、リチェ」
「え?うん」
「私も聞きたいことがある」
「何?」
「医療相談なら何でもいいんだよね?」
あいにく、ディエルが座った私の前の席は、医療相談をするお客さんを座らせるために用意しておいたところだ。
「うん?それで?」
私がぼんやりと答えると、ディエルはしばらく爪をかみちぎって話を切り出した。
「ねえ、実子の検査なんだけど」
「うん」
私はあごをついてディエルの緊張した表情をじっと見た。
「髪の毛の検査と、魔力の検査を全部通過すれば、最後の段階が試薬反応ね」
「そして君が魔力検査はその・・・竜の爪が入った試薬で単純化させたし・・・」
「そうだね」
「髪の毛検査と魔力検査が一致するが、試薬反応で不一致が生じる確率はどれくらい?」
「5%未満?少なくとも近い親戚だろうね。なんで?どっちも一致するの?」
ディエルはびっくりして首を横に振った。
「いや、まだわからない。髪の毛の検査結果がまだ出ていないんだ。建国祭が終わって帰ったら分かると思う」
「ああ、そうなんだ」
私は腕を組んでため息をつく。
「もし両方一致するなら、責任を取る準備はしておいた方がいいよ」
「・・・責任だって?」
「結婚できない理由でもあるの?女性の方の意見は?」
「リチェ、もしかして本当に私が事故でも起こしたと思ってるの?」
ディエルは手を振りながらぎこちなく笑った。
「これは私の友逹のことだからだよ。私のことじゃない」
「うん、そうだね。友逹のこと・・・」
私はディエルの口元がぎこちなく震えているのをすぐに捉えたが、訳もなく私生活を調べたくはなかったので、ただゆっくりうなずいてばかりいた。
「みんな、まあ友逹のことって言うよね」
「本当に友逹のことだって!」
「分かった、分かった」
私は誠意なく答えた後、にやりと笑う。
「ところで、息子なの、娘なの?私も友達のことにちょっと介入してみよう。友逹の子供にプレゼントでもしてあげないと」
「ああ、悔しい。それは!」
「それは?」
「・・・それは!」
ディエルはもどかしそうに胸を打ったが、これ以上詳しいことは言えなかった。
ただ真っ赤な顔で、どうしていいか分からずにいるだけだ。
言うかどうか悩んでいる表情だったが、彼の悩みは長続きしなかった。
建国祭の開幕式に行ってきたセイリン卿が素早く駆けつけたのだ。
開幕式は皇居で行われるもので、貴族だけが参加することができる。
それで今までブースには、私とディエルだけだった。
「リチェ!」
ディエルは、セイリン卿を発見するやいなや、立ち上がって荷物の整理をすると言って、ブースの中に消える。
「私が1位でしょ?」
「え?」
「アルガ兄さんやセルイヤーズの狂人より、私の方が早かったということだ」
私は不器用に笑いながらうなずいた。
セイリン卿は私の隣に椅子を引いて座り、腕を組んだ。
「途中でこっそり抜け出したんだ」
「え?そうしてもいいんですか?」
「駄目だよ」
彼女はあくびをして肩をすくめた。
「だけど、建国祭にはあらゆる奴らが来るから不安だ」
「何がですか?」
「君がシオニーのように外見に弱いなら私が守ってあげる必要がある。ある流れ者のやつに間違われたりしたら・・・」
「あの、本当に、何か聞いてもいいですか?」
外国訛りが独特な観光客が慎重に近づいてくる。
「はい!もちろんです」
私はにっこり笑いながら、空いている反対側の椅子を指差す。
こうして私の医療相談ブースは最初のお客さんを迎え、その後大変な好況を享受した。
帰還後の試験結果が気になります!