オオカミ屋敷の愛され花嫁

オオカミ屋敷の愛され花嫁【33話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「オオカミ屋敷の愛され花嫁」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【オオカミ屋敷の愛され花嫁】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「オオカミ屋敷の愛され花嫁」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介とな...

 




 

33話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 判決結果②

「アルセン、リンシー。」

ケンドリックが穏やかな声で子どもたちのもとへ歩いていった。

リンシーとアルセンはケンドリックを見つけると、遠くからパッと走り寄ってきた。

その後ろには、ケンドリックに従っていた騎士二人がぴったりとついていた。

『遠くから見守れって言ったのに。』

近くまで来ているところを見ると、何かあったようだ。

素早く状況を把握したケンドリックは、まずエイデンを呼び寄せた。

「何があったのか。」

「はい、ラニエロの後継者であるゲイル・ラニエロがお嬢様を連れていくと言って、一時騒ぎになりました。」

「ゲイル?」

目を細めたケンドリックが周囲をさっと見回した。

そのとき。

少し離れたところに座っていた大きな茶色のオオカミが目に入った。

成長した守護獣よりはまだ小さいが、体格はかなり近づいていた。

『あれがゲイルのようだな。』

急に守護獣の姿になった理由は、リンシーの能力が不安定だと感じたからかもしれない。

だからリンシーが収印化されたら、誘拐されたように思われるだろう。

リンシーはまだ幼く、収印化された姿もぼんやりとし始めたから。

毒鳥にとっては、ただの小鳥をさらっていくのと変わらないだろう。

ラニエロの従者たちは、なぜあんなに考えなしで愚かなのか。

ケンドリックがふっとため息をつき、エイデンに尋ねた。

そして座っている子どもたちに向かって足早に歩み寄った。

「お父さん。」

「ケンドリック様―!」

リンシーとアルセンがケンドリックの足元にぴったりと飛び込んだ。

ケンドリックはまずリンシーを抱きかかえて状態を確認した。

「エイデンから聞いた。君のお兄さんが来たって?」

リンシーがしばらく様子を伺うようにしながら、こくりと喉を鳴らした。

「はい、でも……大したことはなかったです。」

「大したことないだと!?」

アルセンが反射的に声を張り上げた。

リンシーはびっくりして飛び上がり、手で口を押さえた。

「シッ 静かにして、アルセン!」

「大きなオオカミが来て、リンシーを押し倒したんだ。それで無理やり連れて行こうとしたんだよ!」

アルセンはリンシーの制止を無視して、むすっとした様子でぼそぼそと話し始めた。

少し不機嫌だったようだ。

ケンドリックが息子の髪を優しく撫でてやった。

「それで、怒ったのか?」

「うん。」

「リンシーを連れて行こうとしたのか?」

ケンドリックの質問に、アルセンは困ったような表情を浮かべた。

青い瞳が焦点を失ったまま、わずかに揺れた。

迷っていたアルセンは、リンシーをそっと見つめながら首元のスカーフをいじった。

「僕の友達だから、連れて行こうと思ったんだ。」

アルセンは「僕の友達だ」という言葉を強調する。

ぷっと笑ったケンドリックがアルセンの頭にもう一度ぽんと手を置いた。

「それじゃあ、誰にも連れていかれないように、お前が守らないとな。さあ、立ちなさい、アルセン。」

自分の息子の銀色の髪をなでるケンドリックの視線は、午後の日差しのように温かかった。

「帰ろう。」

ケンドリックの口から出たその言葉に、胸が締めつけられていた少女が口を開いた。

「……あの家に、帰ってもいいんですか?」

転びそうになったのか、きれいに結んでいた薄い髪は、左側にほどけていた。

ケンドリックはその髪を手で丁寧に整えながら答えた。

「じゃあ、邸宅に帰らないとね。」

「……本当ですか?」

小さな少女の淡い瞳が大きく揺れる。

「そう、しばらくは何も問題ないはずだ。」

ケンドリックはにっこり笑いながらリンシーのドレスを整えてやった。

まだ完全には取り除けていない小さなほこりがたくさんくっついていて、かなり汚れているようだった。

リンシーは信じられないというようにケンドリックの首にぎゅっと抱きついた。

少し興奮したのか、わずかに手足がバタバタしていた。

彼はリンシーとアルセンを連れて馬車へ向かう。

毒狼は遠くから彼らを見守るようにしていたが、いつの間にかふっと飛び去って姿を消した。

馬車に到着したケンドリックは、アルセンとリンシーを馬車に乗せ、最後に自分が乗り込んだ。

御者が合図すると、馬車がぎしぎしと動き始めた。

エクハルトの紋章が刻まれた大きな馬車の後ろを、一列に並んだ騎士たちが付き従い、護衛した。

ぼんやりと窓の外を見ていたリンシーが、おそるおそる聞いた。

「本当に、ラニエロに戻らなくてもいいんですか?」

「そうだってば。」

「ああ、よかった……。本当によかった。」

淡い夕焼け色の瞳に、透明な涙がぽろぽろとこぼれる。

ケンドリックは手慣れた様子でハンカチを取り出し、リンシーに差し出した。

リンシーはようやく落ち着いたのか、涙をぬぐってぱっと明るく笑った。

その姿を見ていたアルセンもつられてにっこり笑う。

そのとき、

「お父さん。」

アルセンがぱっと顔を上げた。

まるで急に何かを思いついたような様子だった。

「どうした、アルセン。」

「神殿から帰ったら、村を案内してもいい?」

アルセンはうるうるした目でケンドリックを見つめた。

ケンドリックはアルセンとリンシーを交互に見つめた。

『もう出発する時が来たな。』

アルセンは能力がいつ発現するか分からず、11歳になるまで一度も邸宅の外に出たことがない。

リンシーもまた同じだった。

初めて狼族の邸宅に来て以来、今日初めて邸宅の外に出たのだった。

ケンドリックは穏やかに笑って言った。

「そうだな、戻りながら話そう。」

「本当ですか?」

アルセンは信じられないというように目を見張った。

「でも少しだけ遊んで戻ってきなさい。また今度もっといっぱい遊ばせてあげるから。」

ケンドリックがきっぱりと言うと、アルセンとリンシーは同時に頷いた。

その時。

「でも、その……」

リンシーがもじもじしながら口を開いた。

アルセンとケンドリックはリンシーの次の言葉を待つように目を大きく見開いた。

少女はドレスの裾をぎゅっと三回握ってから放し、顔を上げて言った。

「寒いから……上に着る服、ありませんか?」

リンシーの背後では、淡い色のマントがひらりと揺れていた。

ケンドリックは、まさかそこまでとは思っていなかったようで、ため息をついた。

「恥ずかしいとかじゃなくて、ただ……ここは狼族の村だから。」

つまり、生存本能のようなものだという話だ。

「じゃあまずは仮設宿舎から案内しないとな。」

ケンドリックはリンシーの派手なドレスの裾をじっと見つめながら言った。

タクタク、タクタク。

馬車は一生懸命走って、狼族の領地にすぐに到着した。

エクハルトの印章に、風の異能を使うライオン族の護衛がついていたおかげで、可能だったことだ。

馬車は狼族の領土の首都、ペルリフェの広場の真ん中で止まった。

「降りよう。」

ケンドリックは先にアルセンをひょいと抱えて降ろした。

そしてリンシーに手を差し出した。

リンシーがその手を取ろうとしたそのとき。

「え? ああっ…!? ダメ!」

鼓膜が破れそうな悲鳴が通りに響き渡った。

私は反射的に声のする方を振り返った。

エクハルトの騎士エイデンが乗っていた軍馬が、興奮して前足を激しく踏み鳴らしていた。

そしてその下に。

多くて十歳ほどに見える、華奢な体格で褐色の肌の少女が、馬車のすぐそばにじっとした表情でしゃがみ込んでいるのが見えた。

おそらく少女が走ってきて、馬車の前に立ちはだかろうとしたところ、馬がそれを警戒して立ち止まったようだ。

「ダメ!エイデン!」

見守っていた騎士たちが一斉に叫んだ。

誰もが手を出す間もなかった。

すべてがあまりにも一瞬のうちに起こった。

馬の前足が少女に向かって振り下ろされようとしたその瞬間——

パッ!

馬の胴体のあたりで黒い光がきらめいた。

すると、少女の頭上に落ちかけていた馬の蹄が黒い光を受けて空中で方向を変えた。

ケンドリックの異能だった。

問題は――

ドサンッ!

巨大な軍馬が倒れた。

馬に乗っていたエイデンもそのまま地面に叩きつけられた。

「うわっ……!」

エイデンが鋭く叫んだ。

彼の体が苦痛で地面に投げ出された。

「エイデン!」

私は目をぐるぐるさせながら、地面に倒れたエイデンを見つめる。

あの巨大な軍馬の背から落ちたのだから、下手をすると脚の骨が折れているに違いなかった。

私はすぐにエイデンと倒れている馬の元へ駆け寄ろうとした。

ケンドリックが私を止めなかったならば。

「ダメだ。」

ケンドリックがきっぱりと言った。

彼は腕を伸ばして道の人々を遮った。

人々は一定の距離を保ち、ざわざわとこちらを見つめていた。

最初は物珍しさから集まっていたが、先ほど起きた騒動で皆が引き寄せられたようだ。

だが、その視線は。

馬から落ちたエイデンと、その前にいた少女ではなく、私に向けられていた。

 



 

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