乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する【１２２話】ネタバレ

「・・・」

ケルシオンと皇帝が地下牢の前で出くわしてから3時間後、参謀の一人が急いでヒーカンを呼んで彼の耳に何かを囁く。

ヒーカンはしばらく真剣に聞いてから、急いで立ち上がった。

「さあ、全部終わったよ。計画はすべて成功した。アルゲルが白状したよ」

ダリアは刑務所に入ってからどうなっていくのか知らない。

その前から参謀陣が何かを報告する度に、ヒーカンがダリアの目や耳を隠そうとするから。

それでも全部うまく終わったようだが・・・。

「早く行こう。君の教育上良くない」

ヒーカンは急いでダリアの腕をつかんだ。

アドリーシャも熱心にうなずいて手伝った。

そして立ち上がりながら、ダリアの反対側の腕に腕を組んだ。

「そうです、ダリア。もう邸宅に戻りましょう」

「・・・」

（この人たち、どうしたんだ？）

うかうかとダリアは起きた。

そして、片腕はヒーカンに、片腕はアドリーシャにつかまったまま、連行されるように馬車に乗せられる。

馬車に乗った後、二人は安心した表情で胸をなでおろした。

「・・・よかった」

「私たちがダリアを守りました」

（なんで二人で満足してるのよ！）

ダリアは一体どんな状況なのか分からず、2人を交互に見る。

ヒーカンがダリアの顔色をちらりと見て、ぎこちなく視線を避けながらつぶやいた。

「・・・洗脳だなんて。あまりにも見た目が良くない。悪者にでもなれそうなことじゃないか。そんなことを君に見られたくなかった」

原作の最高の悪党が言う。

「私もです」

銃砲屋の主人公が言う。

二人とも力なく視線を落とすと、ダリアは呆れた。

二人は一体自分をどれだけ純粋に見ているのだろうか？

彼女は堂々と宣言する。

「どういうことですか？私も知っていることは全部知っています」

「・・・」

「皇后陛下にあんなことをした人じゃないですか。どんな代価を払っても安いと思います」

何が起こっているのか正確には分からないが，ケルシオンを使ってアルゲルを騒したのだろう。

明らかなことだった。

たかがそんなことをどうしてそんなに隠せなくてやきもきするのか。

その時になって二人は少し安心した表情になる。

アドリーシャはダリアを抱き締めた。

「それでも私はダリアが私たちのすることを知るのが嫌です。私はダリアのそばでずっと優しくいたいんです」

（じゃあ、まず銃砲床から整理しないと・・・）

ダリアはそれを口にすることができなかった。

屋敷に帰った時はもう深夜だった。

それでも二人は誰が見てもダリアを極めて意識する反応を示す。

今、暖炉にマシュマロを焼いて食べようというとんでもないアイデアを出すとか、誰が見てもくだらない雑談をしばらく並べるとか。

そのように時間を過ごし、しばらくしてから気が進まないようにダリアを寝室の前まで連れて行く。

ダリアは冗談半分、本気半分でぶつぶつ言いながら言った。

「こんなに心配するなら、どうして私をわざわざ連れて行ったんですか？」

「それでも君の仕事だから、あなたも知っておくべきだと思って・・・今までも、君のことなのにあなたなしで私たちだけで話してたじゃないか」

ヒーカンが低い声で答える。

大したことない返事なのに、その言葉がダリアの感情に触れた。

呆れた心の代わりに痛ましい感情が胸を占める。

（こんなことは大したことじゃないのに）

彼が半年を越える時間の間、一人の人間を尋問したということを知っていたので、さらにそうだ。

アドリーシャもヒーカンもこれまで数え切れないほと多くのことを経験した。

ダリアが知らない間も。

その間に良心の葛藤も多く、やむを得ず敵でも他人を傷つけなければならなかったことも多かっただろう。

世の中の残酷なことをダリアが知らないでほしいという気持ち、そうしながらもダリアがいないように集まることをいつも申し訳なく思っていたこと。

ダリアは自分が本当にいい人たちと一緒にいると思った。

彼女は腕を広げてヒーカンとアドリーシャを次々と抱きしめる。

ヒーカンは最初はびっくりしたが、すぐにダリアを抱きしめ、アドリーシャは笑いながらダリアの肩に頬を当ててしばらくいた。

次の日が明けた。

「え？超越者を暴走させる薬ですか？」

「解決法を見つけたんですか？アルゲルがその鍵だったんですって？」

ダリアは自分を除いて話を進めることがどれほど腹立つことなのか本当に知ることになる。

ヒーカンが息巻くダリアを見ることができず、視線を避けた。

「そう、そしてアルトゥス公爵はメルデンを処理しようと神聖帝国と手を組んだ」

「メルデンさんにその薬を使おうと？」

「・・・親が子供を殺そうとするのは思ったより頻繁なことだよ。これも君に知られたくない話だけど」

ダリアはふと、過去にヒーカンが母親にやられたことを思い出す。

ここも本当に悲しい世界だと思った。

「ダリア、君が憂鬱になる必要はない」

ヒーカンはダリアの表情を見て彼女の髪を乱した。

「アセラスはなぜそのような薬を開発したのでしょうか？どうせ私がいればそんなことは無意味なのに」

「あなたがすべての暴走現場にいられるわけではないから。しかも、メルデンのような者は一度暴走し始めたら殺さない以上、接触自体が不可能だ」

メルデンが人を殴る姿を見たことがあるダリアは認めざるを得なかった。

「とにかく、メルデンが君のおかげでメルデン・アルトゥスになった話は、とっくに聞いただろう？」

ダリアはうなずいた。

これはケルシオンの仕事の前に彼女が最初に始めたことだ。

願いを叶えてくれるという7つの玉を集めるように、ダリアが他の超越者の助けを求めて通ってからいつのまにか約1ヶ月が過ぎた。

とっくに終わっていたことがやっと実を結んだ。

そのおかげで、3家の超越者たちは同時にメルデンを超越者に上げるようにという声明書を提出した。

皇室もそうした方がいいんじゃないかという意志を婉曲にするだけ確実に伝えて。

アルトゥス公爵は泣く泣く受け入れるしかなかった。

そうでなくても最近騒がしかった社交界は今、水を得た魚のように思いっきり騒ぎ立てているという。

しかし、とはいえ、ダリアの常識では到底アルトゥス公爵を理解することができなかった。

首都から追い出され、地方の領地で暮らすのが少し恥ずかしいとしても、自分の子供まで殺すほどだというのか？

ヒーカンは低く言った。

「まあ、あなたじゃなかったら、いつか避けられない流れだっただろう。アルトゥス公爵は自分の家門を守ろうと血眼になった人間だから。何があったとしても結局はこんな結末だったはずだ」

「・・・そうなんですね」

「他に気になることがあるかな？」

ダリアは首を横に振る。

頭が複雑で何も思い出せなかった。

「避けられない流れ・・・」

ヒーカンの執務室を出ると、ダリアは彼の言葉の中で特に気になっていた一節を口の中でつぶやいた。

何度も、何度も原作の大きな話の流れを逆なでした。

それでも原作どおりに流れることになることがある。

今回も神聖帝国の法王になったアセラスのように。

原作『ウロボロスの迷宮』すべてのルートで常に、アセラスは神聖帝国の法王になる。

原作の超越者の男性主人公たちは、みんな自分の力をコントロールできずに狂っていく。

アセラスは神聖帝国で超越者を狂わせる薬を開発した。

「・・・まさか」

一つの仮説がダリアの頭に浮かんだ。

原作で起こったすべての出来事の始まりはアセラスだったのかもしれないという、一見とんでもない仮説が。

そして、もう一つのことを悟るようになった。

「メアリー・ブルーポート公爵をそうさせたのは・・・」

アセラスだったんだ。