こんにちは、ちゃむです。
「悪役なのに愛されすぎています」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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2話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- プロローグ②
メロディは諦めずにロレッタの面倒を見ようと努力を続けた。
そして1週間ほど経った頃、ロレッタはメロディに少しずつ視線を向けるようになる。
もちろん、それもほんの数秒のことで、すぐにまた目をそらしてしまったが。
それでも、メロディは少しずつでも子供と目を合わせられるようになったことが嬉しかった。
自分の努力が少しは通じたような気がして。
「ロレッタ、お腹空いた?」
今度はメロディがバスケットを持って近づくと、ロレッタはもう隅に隠れたりはしなかった。
それでもまだ、心の壁が完全に消えたわけではなく、警戒するような目つきでこちらを見ていた。
ロレッタは目が合うと壁の方へと駆け込んで隠れる。
しかし、以前のように震えることはなかった。
「ここにパンと牛乳を置いておくから、好きなときに食べてね。」
メロディはいつものようにバスケットを置いて部屋を出た。
子供はすぐにパンを食べ始めた。
残さずすべてを食べた。
「かわいい。守ってあげたい。」
メロディはパンを夢中で食べる姿をこっそりと見ながら、少し微笑んだ。
すると、パンを持ったロレッタと目が合った。
「……」
「……?」
今回は少し長かった。
大きな瞳が何度かぱちぱちとまばたきをするほどの間。
「……」
「……」
まさか、これって。
ロレッタが少し心を開き始めた証拠?
どういう状況?
「メロディ! すぐに来なさい!」
しかし、外から母親の怒鳴り声が聞こえてきて、この奇妙な「視線の交錯」の時間はそこで終わってしまった。
「ごめんね、母さんのところに行かないと。ゆっくり食べて。」
メロディは席を立ちながらそう言ったが、子供はパンをしっかり握ったまま何も返事をしなかった。
・
・
・
その夜、また夏の雨が降った。
メロディは日中の暑さを和らげてくれる雨に少し喜びを感じたが、一方で心配もあった。
「雲が厚くなってきた。雷が鳴ったらどうしよう。」
実際、メロディは雷や稲妻を特に怖がるわけではなかった。
しかし、前世の自分がそうだったのだ。
雷を怖がる様子を思い出すと、何とも言えない心苦しさが込み上げてきた。
まるで前世の記憶と気持ちが彼女を追い詰めるかのように。
空がさらに暗くなった。
母親の部屋からいびきが聞こえてきた頃、メロディはそっとロレッタを探しに行った。
子供はメロディを待っていたのだろうか、彼女が扉を開けるとすぐに立ち上がって近づいてきた。
最近のロレッタは以前のように震えながら眠れないということがなかった。
これは、ロレッタが少しは安心できるようになった証拠だ。
「こっちにおいで。私の部屋で一緒に寝よう。」
小さな声で呼びかけた言葉が終わる前に、ロレッタはメロディの前に駆け寄ってきた。
「……ほら。」
近づいてきたのは良かったが、子供の顔には何かを恐れているような表情が浮かんでいた。
もしかして、母さんに何かされたの?
メロディは心配そうな気持ちを抱えながら、ロレッタを自分の部屋に連れて行き、ベッドを勧めた。
子供は体を小さく丸め、静かに震え始めた。
まるで、ここに最初に来た日のように。
本当に何かあったのかしら?
メロディは動揺してどうしていいかわからず、今回は子供の頭を撫でてあげることさえ思いつかなかった。
「どうしよう? どうしよう?」
周囲を見回しながら戸惑うメロディは、ひとまず窓を少し開けることにした。
雨が少し降っていたが、涼しい風が吹けばロレッタの気持ちを少しでも和らげてくれるかもしれないと考えたのだ。
そっと窓を指先ほど開けると、湿った風がカーテンを揺らし、涼しげな雨音が部屋に届いた。
それがロレッタにとって良い慰めになるはずだったのだが……。
「ふ、うええ……。」
いや、違った。
むしろ泣き声がさらに大きくなってしまった。
メロディは急いで窓を閉める。
雨の音が弱まり、ロレッタの泣き声も少し落ち着いた。
「……あれ?」
どうしてだろう。
雷や稲妻は怖くても、雨音は静かで心地よいはずなのに。
メロディは体を丸めたままの子供に近づいた。
すると、母親が言った言葉がふと思い出された。
ロレッタを初めて連れてきた日に聞いた言葉だ。
『今日は本当に運が良いわ。競馬場から帰る途中、雨で滑って事故に遭った馬車を見つけたのよ。メロディ、これを見て』
雨……。
「雨が……来たんだね。」
ロレッタの人生が完全に変わってしまった悲しい日に。
メロディはようやく、ロレッタがなぜ布団の中に縮こまってしまったのかを理解した気がした。
恐ろしい事故が起きたとき、鳴り止まなかった雨音からどうにかして逃れようとしたのだ。
どうすればいいの?
メロディは窓を閉め、カーテンを引いた。
それでも雨音は部屋の中にしっかりと入り込んでいた。
「怖がらせる音を聞かせたくないのに。」
メロディは悩んだ末、ロレッタの側に戻った。
2週間ぶりに子供に手を伸ばした。
しかし、その指先はついに触れることができず、わずかに震えただけだった。
気配を感じたのだろうか、子供の体はさらに小さく丸まった。
「ご、ごめんね!」
メロディはびっくりして急いで手を引いた。
しかし、すぐにロレッタが自分のせいで怯えたのではないと気づいた。
雨音がドンドンと響く音は、おそらく子供が馬車の中で聞いたものと似ているのかもしれなかった。
「すごく……怖いよね? あのね、私も雷と稲妻が怖くて、そのたびに君みたいに耳を塞いでたんだ。」
何か切羽詰まった気持ちのせいか、メロディの口から自然と声が漏れた。
今まで誰にも話したことのない事実だ。
「そうだよ、私もやったことがある。でも両手で耳を塞いだら、少しは聞こえなくなるかもしれないよ。」
「……。」
「だから、君の手の上に私の手を重ねるね。」
普段とは違う、メロディの言葉が長く続いたことが不思議だったのだろうか。
ベッドの隅に縮こまっていたロレッタがゆっくりと身体を動かし、メロディの方に視線を向けた。
まだ小さな両手で耳を塞ぎながら、微かな蝋燭の明かりに頼るようにして、二人は互いを見つめ合う。
その光景は、まるで昼間にあったことを再現しているようだった。
「うん、そうだね。」
メロディは勇気を出して、両手をロレッタの耳に重ねた。
「こんなふうに塞いだらどうかな?」
「……。」
「雨音が少し小さく聞こえるでしょ?」
メロディは涙でびしょびしょになったロレッタの顔を見ながら、優しく微笑んでみせた。
少しでも安心させたいと思いながら。
「……。」
「多分……そんな感じ。」
しかし、しばらくして返ってきたロレッタの答えは、メロディが期待していたものとはまったく違っていた。
「そ、そうなの?」
メロディは少し戸惑いながらも、再び手を引っ込めようとした。
だが、その手が少し離れただけで、ロレッタがまた泣きそうな表情になったため、急いでその小さな手を包み込むように耳をふさぎ直した。
『また泣かせることにはならないよね?』
そんな心配とは裏腹に、ロレッタの顔には少しだけ安心したような様子が見えた。
「良かった。」
メロディは小さな声でそう呟き、安堵の息をついた。
それで、子どもが少しだけ後ろに動いた。
まるでメロディにベッドの片側を譲ろうとしているかのように。
ベッドの端にぎこちなく立ちながら耳をふさいでくれる子どもの行動は、腕が痛むようなものだったが、メロディはその親切をありがたく思わなかった。
狭いベッドだったが、まだ小さな二人の少女が共有するには十分だった。
「ロレッタ。」
メロディは優しく子どもの名前を呼びかけた。
耳をふさいで聞こえないかもしれないと思ったが、ロレッタの固まったような目は彼女をじっと見つめていた。
「大丈夫。第1章はとても短いから。」
「……?」
「うん、だからね。」
これをどうやって説明したらいいのだろう。
たとえ二人が同じベッドの上に横になっていても、実際にはまったく違う状況であることを。
メロディは、この世界に生まれる前から、今に至るまで、こうした貧しい生活以外には知らなかった。
これは避けられない運命だ。
しかしロレッタは違う。
この短い第1章は、読者の共感を得るための軽い通過点に過ぎない。
メロディにとって、この小さな手に永遠に抱きしめることができない幸福と安らぎが詰め込まれているようなものだ。
「だから私が言いたいのは……ロレッタはきっと幸せになるってことだよ。だからね。」
「……」
「怖がらずに、眠りなさい。」
メロディの心が伝わったのだろうか。
ロレッタは小さな顎をうなずかせた。
時間が経つにつれて雨音は次第に激しくなっていった。
しかしロレッタの呼吸音は徐々に落ち着いていった。
眠っていると言ったのだろうか。
どのくらいの時間が経ったのか、メロディもやがて眠りに落ちた。
雨は朝になるまで降り続いた。
しかし二人の少女は、その雨が止まずに降り続いていた事実を知らなかった。
夜を共に過ごした後、ロレッタはメロディに少し心を開いたように見えた。
「メロディ。」
ぎこちない声だったが、名前を呼んでくれた。
「ロレッタと一緒にご飯を食べよう。」
一人で食べていた食事を一緒にする提案だ。
メロディは「ロレッタに優しく接する」という計画を進めることにした。
母親に隠れて美味しいおやつを用意してあげたり、髪をきれいに結ってあげたりした。
道端で拾った新聞を一緒に読もうとしたりもした。
もっとも、読むのはほんの一瞬で、その後すぐに紙を折りたたんで遊ぶことに夢中になったが。
そうしてさらに2週間が過ぎると、ロレッタとメロディの間はすっかり親しい関係になっていた。
その証拠に、ロレッタはメロディの後ろをついて歩くようになった。
メロディが何をするにしても、ロレッタはそれを真似しようとし、目が合うと笑顔を向けた。
そして母親の目が届かない時には、突然メロディの手を握ってこう言うのだった。
「メロディ、大好き。」
その素直な告白は、愛らしくて恥ずかしくなるほどだったため、メロディは思わず照れ隠しに笑ってしまうしかなかった。
主人公からこんなことを言われるなんて、もし公爵様がロレッタを迎えに来た時、何とかして許してくれるのではないだろうか?
そんな甘い妄想が頭をよぎった。
いや、それはあまりにも楽観的すぎる考えだ。
これまで母親が積み上げてきた悪行を考えると、それを簡単に乗り越えられるわけがない。
罰を受ける可能性もあるだろうが、それでも、原作と比べれば遥かにマシな結末ではないかと思える。
「よし、公爵様が来るその時まで、できる限りロレッタに尽くそう。」
死を回避できる最低限の方法を考えてみよう!
まるでロレッタが「メロディ、大好き」と言いながら抱きついてくるような可愛らしい子であるかのように、メロディは思わず微笑みながらその小さな背中を優しく叩いた。
「この可愛い子が早く家に帰れたらいいのに……」
無愛想だが公正な父親や、さまざまな性格を持つ義理の母たちが、この子をきっと愛してくれるだろう。
そんな家に連れて帰ることができれば、この狭苦しく埃だらけの家のことなどきっと忘れてしまうだろう。
「家……?」
メロディがそんな思いにふけっていると、ふいにロレッタが小さな声で彼女に尋ねた。
「そう、家に帰りたい?」
ロレッタはメロディの顔を見つめながら、頭をこくんと動かしてまた静かに聞き返してきた。
「メロディも?」
「私はもう自分の家に住んでいるわ。ここが私の家なの。」
メロディの返答に、子供の目が驚いたように大きく開かれた。
まるで何か衝撃を受けたかのようだった。
「え、え……?」
メロディが動揺している間に、その子供の目には涙がいっぱいに溜まり、やがて床にぽたぽたと滴り始めた。
「メロディとロレッタ、ひょっとして、家……ちがう家なの?」
思いがけない場所でロレッタの涙を見たメロディは、言葉を失ってしまった。
「えっと……その……そうね。」
いや、それは違う。
家は当然違う。
あなたは主人公で、私は悪役の娘なのに!
それよりも、初めからここが家ではないことはわかっていたはずじゃない!
本当に、それで泣かれたらどうしたらいいのよ!
「違……うわああああ!」
今や子供は床に座り込んで大声で泣き始めた。
メロディと一緒にいないなら、これから誰が怖い雷鳴から耳を塞いで守ってくれるのかと訴えるように。
……いや、雷鳴から守ってあげたことはないけれど、雨の日に部屋で何度か耳を塞いであげたことはあるけど。
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