こんにちは、ちゃむです。
「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

45話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 貧民街にいる人材②
3日後、ナラモルは皇宮を訪れた。
それでも3日が経ったため、ナラモルは少しは落ち着いたようだった。
「皇女様。一体なぜ私を気に入ってくださるのですか?私を信じて5,000万ルデンをどーんと渡すなんて。なぜここまでして私をアレナ宮に呼び寄せたのですか?」
ここまで来てもなお、衝撃的だった。
あの厳格で有名な首席侍従キルエンが直接VIP待遇で接待してくれたからだ。
外城(宮殿の外郭)首席侍従がアレナ宮までエスコートしてくれたおかげで、ナルモルはまだ震えていた。
なぜ皇女がここまで自分に便宜を図ってくれるのか理解できなかった。
「デザートに真剣な人に悪い人はいませんから。」
「それはまあ……いや、私、今真剣ですよ?」
「前のように気楽に話してもいいですよ。」
「で、でも、皇女様なのに……。」
「同じ学友じゃないですか。」
「……そうだね、わかったよ。」
イサベルはにっこり笑った。
太陽のように暖かい笑顔で、拒むことのできない誘惑をささやいた。
「まずこれを食べてから話しましょう。」
「……。」
「美味しいでしょ?」
ナラモルは返事すらできなかった。
甘さと共にクロッフルの砂嵐が彼の体を襲った。
ユリの特製クロッフルは、ナラモルの理性を再び揺さぶり、かき乱した。
クロッフルを味わい、体と心がとろけるように緩んだナラモルを見つめながら、イザベルが本題を切り出した。
「私は『ナラコイン』にとても興味があります。」
異世界版ビットコイン。
ナラモルはナラコインの創始者だった。
クロッフルをもぐもぐ食べていたナラモルは、苦笑した。
「ナルコイン?」
「……」
私は一瞬、言葉を失った。
まだ「ナルコイン」という名前が正式に決まる前のようだった。
「あ、私が勝手に名前をつけました。ロスイルド公爵家に提案した件ですよ。今、ナル兄さんが構想を練っているもの。」
「俺が何を提案したかまで知ってるのか?」
「うん。」
「……それ、どうやって知った?」
「どうして?私が知っちゃいけない理由でもあるんですか?」
「ロスイルド公爵家には必ず秘密にしてくれって言ったのに……。」
ナルモルが歯を強く噛みしめるのが見えた。
自分の秘密が漏れたことに、少し腹が立ったようだ。
多少の誤解はあったが、これはどうしようもない部分だった。
『ここまで来たなら、ちょっと芝居を打ってみよう。』
ナラモルを完全に味方にするためには、適切な演出が必要な時だった。
「私はビルロティアンの皇女で、思っているよりもかなり融通が利きますよ。お兄さんとロスイルド公爵の間にどんなことがあったのか、お兄さんが何を提案したのか、そんなこと何一つ知らずにただお兄さんを訪ねたと思いますか?」
うーん、このタイミングでクロッフルを一口ゆったり食べれば、完璧な演出になりそう。
『クロッフルじゃなくてワインみたいな感じ?』
とはいえ、私はまだワインを飲むわけにはいかない。
だから、ワインの代わりにクロッフルで優雅な雰囲気を演出してみた。
しかし、人は生まれたからには生きなければならない。
フォークに力が入りすぎたのか、クロッフルの欠片がボロボロと落ちていった。
私は戸惑い、慌てて話を続けた。
「私はお兄さんの可能性を見たんです。お兄さんほどの才能を持つ人はなかなかいないと思います。」
「……本当にそう思うのか?」
「もちろんです。」
「どうしてそんなに確信できるんだ?」
小説で見たからですよ!
そう言うわけにはいかなかった。
『いや、そんな無関心なふりをしながら、目をキラキラさせるのはやめてくださいよ。何か褒めてほしいんでしょ?』
結局、無関心なふりをしていたものの、このお兄さんが実は褒められたがっているのは明白だった。
少し気まずくなってきたが、同時に妙な満足感も感じていた。
一つの意地が生まれる。
『絶対に満足させてみせる!』そんな意地だった。
「ロスイルドに何度も門前払いされても、結局あそこに行ったじゃないですか。お兄さんのアイディアを持って。最後に突き放されたときは、かなり大変な目にあったとも聞きました。それほどまでに必死で、執念を持った人は何かを成し遂げられると私は信じています。」
「………。」
『私は本当に執念のある人を見抜く目を持っていますから。』
私はにっこりと微笑みながら、ナラビダルの刻印を見せた。
イザベルがあまりにも太陽のように明るく温かいため、彼女が皇女であることを忘れてしまいそうだった。
手首に巻かれた砂時計のような時計を見ていると、ようやくイザベルが皇女であることを実感した。
頭の中がスッキリする感覚がした。
『だから、この高貴な身分の人がわざわざ私を訪ねて、こんなにも必死に説得しようとしているんだな。』
実際、イザベルが最初に訪ねてきたときから、何かがおかしいとは思っていた。
彼女の顔には煤がついていたが、それでもイザベルの高貴さを隠すことはできなかった。
ミハエルの高貴さは完全に隠されていたが。
イザベル自身は、自分に気品がないと思っているようだったが、ナルモルの目には、そうは見えなかった。
イザベルには見えていない何かがあるようだ。
まるで、隠れた逸品のようだった。
可愛らしく、ぱっと目を引く外見の奥に隠された価値のあるもの。
それを正確に表現する言葉はなかったが、ナラモロはそれをただ「イサベルらしさ」と思った。
『こんな人が本当にいたなんて。』
過酷な人生を送りながらも、誰よりも温かい人。
誰よりも人生に誠実な人。
だからこそ、誰よりも必然的な存在になれる人。
皇女という身分を超えて、人と人として向き合う人。
『あまりにも非現実的だ。』
ナラモロがこれまで出会ってきた人々とはあまりにも違うタイプの人だった。
非現実的すぎて、まるで実在しない人物のように感じられた。
「一体どうしてこんなにも私を助けようとするのか、理解ができない。」
何度もメディアにさらされ、多くの大衆の視線を浴びながら育ってきたイザベルは、人の心を読むのが得意だった。
ナルモルの心情をすぐに察した。
『すでに理性的で論理的な説得はすべて終えた。アプローチを少し変えなければ。』
そう思い、彼は言った。
「ロスチャイルド公爵家の鼻をあかしてやりたいんです。」
「……え?」
「ロスチャイルドに捨てられた小さな苗木が、やがて美しい大樹となって、ロスチャイルドを見下ろすことになったら、彼らはどれほど不満に思うでしょう?」
ロスチャイルドのことを考えると、むかむかとした苛立ちが込み上げた。
レイナに対する怒りなどは、もはやどうでもよかった。
そう思ったが、それでもイサベルもまた人間だった。
自分にあれほどまでに敵意を見せる相手を、ただ好意的に見ているわけにはいかなかった。
「……そんな理由なら。」
ナラモロは苦笑した。
彼はしばらくイサベルを見つめた。
『人間らしいな。』
ただ非現実的な存在だと思っていた。
まるで現実には存在しない人物のように思っていたが、それはどうやら誤解だったようだ。
今見る限り、目の前のイサベルはただの7歳の皇女だった。
顔が少し赤くなり、頬がぷっくりと膨らんでいる。
ロスイルドのことを考えると怒りが込み上げてくる様子だった。
『……かわいい。』
ナロモルは確信できた。
この世に生まれて、あんなに可愛い生命体を見たことがなかった。
今日が初めてだった。
彼は新しい事実を一つ学んだ。
「あんなに賢くて気品にあふれていても、可愛いものは可愛いんだな。」
どんな価値でも可愛さを隠すことはできない。
今日はそれが確かになった。
「あの状況でもクロッフルを諦めきれずに、うろうろしてるのがダムジュみたいでもあるし。」
ナロモルもクロッフルを一切れ口に入れた。
砂糖とパンに真心を込めたナロモルは、再び天国の味を味わった。
それはひとつの小さな合図。
これからこの場所は単なる「座席」ではないというサイン。
「私は何をどうすればいいでしょうか?」
「どうせ一度きりの人生、最善を尽くして生きてください。私の代わりにお金もたくさん稼いでくれたら嬉しいです。」
ナルモルは方向さえ定めれば、自ら成長できるキャラクターだった。
今は一時的に封印されているだけで、ナルモルは本来は驚くべき水準の才能の持ち主。
お金をバケツでかき集める大富豪になれる資質を持っていた。
だからイサベルはむやみにあれこれと干渉したくなかった。
ナルモルが自立できるように支援さえすればいいと考えていた。
「どうせ一度きりの人生、最大限に揺れ動きながら生きてみようと思ったんです。」
実はそれはロスイルドのせいで情熱が湧き上がったからだった。
本来はイサベルが言ったように生きようとしていた。
消えかけていた炎が再び燃え上がり始めた。
「一度、最善を尽くしてみます。皇女様が私を支援してくださると言ってくれたこと、後悔しないようにしてみせます。」
「ありがとう!」
イサベルは心の中で「やった!」と叫んだ。
心から嬉しかった。
保証された爆発ロケットが発射台に上がった。
「収益率123億4567万パーセント!」
実のところ、数字には意味がなかった。
ただ、なんとなく大きな数字を思い浮かべただけだ。
骨の髄まで利己的だった彼女は、具体的な数字すら曖昧だった。
ナルモルはその姿を見て、深く思い違いをしてしまった。
「俺みたいな奴のために、あんなに幸せそうにするなんて。」
あの表情は本物だった。
作り笑いや演技では出せない、真の表情。
イサベルからあふれ出る明るく輝く雰囲気が、この空間全体を明るく染めているようだった。
その雰囲気に染まって、ナルモル自身も気分が良くなった。
花の香りがこの部屋に満ちているようで、まるでお酒を飲んだように気分がふわっとなった。
イサベルにはそういう力があった。
「見た目は10代前半に見えるけど……お嬢様はまだようやく7歳だ。」
彼は心の中で誓った。
「7歳にしては、あまりに頼りすぎてはいけない。」
ロスイルド公爵に提案しただけでは足りなかった。
7歳の皇女にばかり頼るわけにはいかなかった。
「お金を稼がなきゃ。」
原作ではナロモルは少しのんびりした性格だった。
しかしそのナロモルの心が、少しだけ切実になった。
「とてもたくさん。」
ナロモルは原作よりも早く覚悟を決めた。








