こんにちは、ちゃむです。
「偽の聖女なのに神々が執着してきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

100話ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 神の怒り③
しばらくして、強制黒魔法が施された首飾りが私の手に渡った。
ディエゴが言った。
「死の世界にも行ってきたのに、魔界にも一度行ってみるべきじゃないですか?」
「しきりに自分が誰なのか混乱してるようなんですけど、あの聖女が。」
彼がふっと笑ったのが妙にぎこちなかった。
実際には笑ったが、少し寂しさを感じさせた。
『魔界ってどんな姿なんだろう?』
恐ろしい魔族たちと魔物たちがうろついているのか?
それとも幽霊や未練がたくさんあるのか?
後者なら一度行ってみる価値はあるかもしれない。
「これは大切に使います。」
私はネックレスを首にかけた。
ディエゴのおかげでドレイブに再び会うためにわざわざ時間を割かなくても済みそうだ。
「ありがとう。」
そのとき、トボトボと私に近づいてくる足音が聞こえた。
すぐ耳に馴染みのある声も聞こえた。
「ここにいらしたんですね。お嬢様。」
いつの間にか現れたカッシュが私の横に立っていた。
「あっ。」
彼の顔の上の方に薄く浮かぶ皺が見えた。
私は彼に体調が悪いという嘘の手紙を送ったことを思い出し、体がびくっとなった。
だが、カッシュはそれについて問うよりも、眉をひそめて私の隣にいたディエゴに言った。
「ご一緒でしたか。ベステレ卿。」
なぜかとても冷ややかな声だった。
「はじめまして、ロイド侯爵。近くでしきりにうろうろしていたら、聖女様がいらっしゃったので。」
微笑むディエゴに、カッシュは軽く頭を下げて挨拶をした。
「そうですか。」
ディエゴの紫がかった瞳とカッシュの青みがかった灰色の瞳から出た視線が交差した。
「うーん……思いがけない縁ですね。」
皮肉っぽいカッシュの言葉に、ディエゴの口元の片方がかすかに上がった。
【死の神カイロスがひとりでくすっと笑い始めます。】
【慈愛の神オーマンはカイロスをどうしても気に入りません。】
[愛の神オディセイは「二人の男はどちらもあなたのものだ」と言って、カイロスに微笑みかけました。]
『今また何を言ってるのよ……』
二人の視線はしばらくぶつかり合っていた。
私は雰囲気を変えようと、ハハと笑ってディエゴを見た。
カッシュの眉が少しひそめられたのが見えた。
彼がやがて口を開いた。
「先ほどの件について聞きました。お怪我はありませんか?」
優しい声が耳に入った瞬間、心臓がドキドキと高鳴った。
「だ、大丈夫です……」
突然顔が熱くなって、頬が赤らんだ。
オーマンの呪いにでもかかったのか。
「ふう……」
私は気のない目でカッシュを見つめるディエゴの口からこぼれたため息のような音に、ハッとして正気を取り戻した。
「本当に大丈夫ですか?」
──でも、カッシュってこんなに声が良かったっけ?
「はい、本当に何もありませんでした。心配してくださってありがとうございます。」
私は頭を軽く下げた。
「ロイド侯爵様。」
しばらくして、ディエゴの声が割り込んできた。
カッシュが視線を上げてディエゴを見るのが感じられた。
「ご覧になりましたか?」
鋭い目で問いただすようなカッシュだったが、ディエゴはただ静かに彼の目を見つめ返した。
再び二人の視線が交差した。
[死の神カイロスは二人の視線の衝突を好み、死を見守ります。]
ディエゴが低い声で口を開いた。
「光の柱についてご存知ですか?」
ディエゴの口から出た言葉は幸いにも私が考えた“敵対的な何か”ではなかった。
私は目を細めながら記憶をたどった。
以前、ディエゴから聞いたことがある話のようだった。
カッシュが何かをつぶやくようにディエゴに尋ねた。
「光の祈祷?」
「えっ、知らないのか?」
ディエゴは薄く笑って、軽く肩をすくめた後、まるで何でもないことだと言わんばかりに手を振った。
「大したことじゃありません。」
ディエゴの視線が再び私に向くと、カッシュが目を細めて言った。
「お会いできて嬉しかったです、ベステレ男爵。用件がなければ、これで失礼します。」
彼がディエゴの近くに立っていた私の体を自分の方へ引き寄せ、私の肩に手を置いた。
「……私たち?」
「その言葉に問題がありますか?でも短くなった気がしますね。」
ディエゴの眉がピクッと動くのが見えた。
彼の紫色の瞳に魔気のようなものが漂っているのを見て、私は思わず驚いて口を開けた。
「そうだ、思い出しました。今日はロイド侯爵とお話ししたいことがありました。お会いできてよかったです、旦那様。」
『だからその魔気、ちょっと引っ込めてよ。あなたが魔王だってこと、誰も知らないんだから。』
「…………」
「男爵様、次にまたお会いしたときにゆっくり話しましょう。」
カッシュが目を細めたが、まずこの二人を引き離すのが良さそうだ。
『お願い。』
私はディエゴに口の動きだけでそう伝えた。
しばらく私をじっと見つめていたディエゴが、ようやく軽く頭を動かした。
「……次に会うという言葉、お忘れなく。聖女様。」
[愛の神オディセイは、世の中で一番面白いのはやはり三角関係だと語っています。]
[慈愛の神オーマンもオディセイの言葉に同意しています。]
[死の神カイロスは、愛とはこうしてぶつかり合いながら深まるものだと言います。]
[慈愛の神オマンは、カイロスに「誰と誰を選ぶのか」と尋ねます。]
私は彼に手を振って背を向けた。
ディエゴの視線が背中にずっと感じられるようだった。
でも私は何も言わず、どこか気まずい気持ちでカッシュについて行った。
『この二人、なんでこんな雰囲気……』
こっちが緊張しちゃうじゃないの。
「神殿を出るなら、私にお知らせくださるべきではありませんか?」
再びカッシュの声が聞こえたとき、私は足を止めた。
いつの間にか、私たちは自然と人気のない裏通りに来ていた。
「………」
「なぜずっと連絡を避けていたのですか?」
非難するような口調ではなかったが、非難のように感じられた。
「ディエゴ、ベステレとはもともと親しい関係だったのですか? 婚約者がいるというのは知っていましたけど。」
私は握りしめた手をもぞもぞと動かした。
「それは……その、私が侯爵様を避けていた理由から申し上げますと……」
さっきは人前ではよく話せていたのに、カッシュの前に立った今は、まるで喉の奥に言葉が引っかかって出てこないような気分だった。
[正義の神ヘトゥスがあなたを祝福します。]
「少し変なんです。」
私はもじもじしていたが、ついに本心を打ち明けた。
私の言葉にカッシュが眉をぴくりと動かしたのが見えた。
「わかりません。ただ……ただ、心が……」
変だった。
私が知っている表現では、それ以外にぴったりくる言葉がなかった。
[慈愛の神オーマンが、早く熱くキスしたいと言えとあなたを祝福します。]
【愛の神オディセイが「早く■■へ行ってほしい」と言わせようとして、あなたを誘惑しています。】
「侯爵様のことを考えると……」
【慈愛の神オーマンが「早く熱くキスしたいと言え」と言わせようとして、あなたを誘惑しています。】
【愛の神オディセイが……】
「お前ら狂ってるのか! いい加減にしろ!」
もはやこれは、色欲の悪霊なのか妨害者なのか、判断がつかないほどだった。
「だから私は……」
私は少しだけお辞儀をする。
そんな気分だ。
そんなことは初めてで、どう表現すればいいのか分からなかった。
そしてちょうど口を開こうとした瞬間、誰かの呼びかけが聞こえた。
「お嬢様があそこにおられます!」
私は思わず驚いて振り返った。
皇宮の管理官だった。
「通りで何かあったと聞いております。皇帝陛下が馬車をお遣わしになりました。一緒に参りましょう。」
彼はカッシュを見ながら言った。
「おや、ロイド侯爵様とご一緒でしたか。」
[知識の神ヘセドは、あなたを妨げた管理官に寛容さを授けます。]
【愛の神オディセイが「早く■■へ行ってほしい」と言わせようとして、あなたを誘惑しています。】
「侯爵様のことを考えると……」
【慈愛の神オーマンが「早く熱くキスしたいと言え」と言わせようとして、あなたを誘惑しています。】
【愛の神オディセイが……】
「お前ら狂ってるのか! いい加減にしろ!」
もはやこれは、色欲の悪霊なのか妨害者なのか、判断がつかないほどだった。
「だから私は……」
私は少しだけお辞儀をした。そんな気分だった。
そんなことは初めてで、どう表現すればいいのか分からなかった。
そしてちょうど口を開こうとした瞬間、誰かの呼びかけが聞こえた。
「お嬢様があそこにおられます!」
私は思わず驚いて振り返った。
皇宮の管理官だった。
「通りで何かあったと聞いております。皇帝陛下が馬車をお遣わしになりました。一緒に参りましょう。」
彼はカッシュを見ながら言った。
「おや、ロイド侯爵様とご一緒でしたか。」
[知識の神ヘセドは、あなたを妨げた管理官に寛容さを授けます。]
【慈愛の神オーマンがヘセドを召喚します。】
【正義の神ヘトゥスが慌ててオーマンとヘセドを止めようとしています。】
私は気まずい表情でカッシュに言った。
「ええっと、実は今、皇宮に向かう途中なんです。また今度お話しましょう。」
そして、役人に従って歩き出そうとしたとき、後ろから彼の声が聞こえた。
「今夜。まだ聞けていない返事を聞きに伺います。だから、心配せずに待っていてください。」
その声に、再び胸がドキンと高鳴った。
[慈愛の神オーマンは、やはり昼より夜の熱い場面を見るのが好きだと照れています。]
「………」
私は黙って一度喉を鳴らした。









