余命僅かな皇帝の主治医になりました

余命僅かな皇帝の主治医になりました【46話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「余命僅かな皇帝の主治医になりました」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【余命僅かな皇帝の主治医になりました】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「余命僅かな皇帝の主治医になりました」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載...

 




 

46話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 命日③

しばらくしてジャックから返事が来た。

前にもらっていた通信具で連絡すればよさそうなものだが、わざわざ手紙を送ってきた。

【ペリアヌス神殿で訪問してもいいそうだ。】

「おっ!」

セリーナは短く感嘆の声を上げた。

もしかして連絡がつかないかもしれないと心配していたが、やはり大商人は違う。

待っていた中で最も嬉しい知らせだ。

簡潔な返信の下には、近々神殿を訪ねてみるようにという内容が書かれていた。

人気のない神殿であるため、いつでも祭司に会えるわけではなかった。

特に神聖な力を使える高位祭司であれば、なおさらだ。

セリーナは特に意識することもなく日付を見返していたが、ふと気づいた。

『あれ、この日はメデイア様の誕生日じゃない?』

もう一度確認してみてもその日で間違いなかった。

外出許可を事前にもらわなければと思っていたが、もらう必要のない日だった。

ちょうどその日はセリーナを含めた皇宮の宮人たちが休む日だったのだ。

アジェイドが早朝から宮を空けていてやることがないため、非番と変わらなかった。

その日であればセリーナも気軽に神殿へ出かけることができた。

アジェイドに報告すべきか一瞬考えたが、最近の彼の様子を見るに、はっきり覚えていないかもしれないと思った。

普段より鋭さがなく、ぼんやりすることが多く、それが少し心配でもあった。

『うん。ただ静かに行ってこよう。』

セリーナはすぐさまその日訪問する旨の返事を送った。

 



 

ジャックはセリーナの手紙を受け取り、にっこりと笑った。

そばにいたレオナルドが彼をからかって笑った。

「お前、恋愛でもしてるのか?」

「恋愛なんて、誰が人の恋愛を手伝えるって言うんだ、この野郎。」

ジャックは呆れたようにくすくす笑った。

だがその笑い声には、まるでトラブルの予兆のような不吉さも感じられ、少し気味が悪かった。

「まさか、ふざけてるわけじゃないよな、ジャック?」

「俺がただのトラブルメーカーに見えるのか?」

「うん。」

レオナルドが少しの躊躇もなく答えると、ジャックは「へえ!」と鼻で笑った。

しかし、特に反論もしないところを見ると、彼も自分の性格をよくわかっていた。

『まったく、これってひどい話よね。私が今誰のために権力を使ったと思ってるの?』

実際、使徒に助けてもらうのはそう簡単なことではなかった。

堅実に信頼関係を築いてきたからこそ、ようやく顔を貸してもらえたのだ。

もちろん、ペリアヌス神殿がアジェイドに対して好意的である以上、ある意味アジェイドのおかげでもあった。

紹介してくれた使徒たちの大半がアジェイドと関係のある者たちだったから。

『そう、友達っていうのはこういうときに助け合うものよね。』

ジャックは自分の計画がなかなか良いと思った。

彼はメデイア様の機嫌が悪くなるたびに、アジェイドが崩れていくのを、まるで水に浸かったティッシュのようにだらしなくなる様を見たくなかった。

そんなとき、アジェイドを助けてくれる非常に優れた人物を見つけた。

セリーナ・ヴィンセント。

アジェイドの行動パターンに初めて突破口を見つけた女性。

アジェイドのあの鉄壁のような頑なさを破っただけでなく、性格までも柔軟にした彼女の行動力には驚かされた。

『それにアジェイドも、彼女に気があるように見えるしな。』

ジャックの目には、アジェイドがセリーナに特別な感情を抱いているように映った。

長年親しくしてきたリリーに対してさえ、そうした独占欲を見せたことがなかった彼が――異性に対して。

あいつは好感を持ったことすらない奴だから、おそらく寮のどこかでごちゃごちゃ言いながら無駄なことをしてるだろう。

『この兄貴がいなかったらどうするつもりなんだよ、アジェイド。』

ジャックは心の中でひとつため息をついて、皮肉な笑みを浮かべた。

レオナルドがそんな彼を冷ややかな目で見ているのも気に留めなかった。

ジャックは書信を封筒に入れた後、レオナルドの前にドカッと座った。

「準備はできた?」

「一応な。とはいえ万が一緊急事態が起きるかもしれないから、交代でしっかり警戒しておこう。」

「今回もまたあいつが変なことやらかしたら、本当に見て見ぬふりはしないぞ、あの野郎。」

ジャックが辛辣な言葉を吐くと、レオナルドは深くため息をついた。

いつもなら不敬だと叱っていたレオナルドでさえ、今回ばかりは肯定していたほどだ。

その日のアジェイドは絶望的だった。

この時期に事故が起きなかったのは、すべてレオナルドとジャック、ノクターン、リリーが交代で彼を見張ってくれていたおかげだ。

リリーは今回、突如現れた魔物の出現により、トバルでの対応に追われて首都に来られなかった。

すでに何度も連絡が来ているのを見ると、彼女が来られないのは何かしらに引っかかっているようだった。

レオナルドが言った。

「それでもセリーナ嬢はうまく見守ってくれているみたいだな。彼女の言うことにはよく従っているし。」

「まだ連れて行くつもりはないのか?」

「うん。あいつ自身が来るなって言ってるのに、注意対象を連れて行くわけがないだろ。」

心の中ではセリーナ嬢と一緒に行きたいと思っていたが、それを言えばアジェイドに殺されかねない。

こういうところではレオナルドは慎重派だった。

しかしジャックは違った。

「ふふん。」

ジャックはすべてが計画通りに進んでいると思うと、つい口元が緩んだ。

するとレオナルドが堪えきれず、思わず叫んだ。

「おい!なんだよ、ずっとニヤニヤして!気持ち悪いぞ、この野郎!」

「笑うのもダメなのか?お前らだって、宮中でこそこそニヤニヤしてただろ。」

「俺がいつだよ。」

「ふん!」

ジャックは説明する気などさらさらないといった様子で鼻を鳴らした。

「とにかく、そんなに心配しなくていいよ。」

「油断するなよ?前にお前が一瞬目を離したせいでアジェイドが怪我しかけたの、覚えてるだろ。」

「それは俺が悪かったって、姉さんが言っただろ。いつまでその話をするつもりだよ?」

「お前が死ぬまで。」

「うわあっ!」

ジャックが飛び起きてドアを塞ぎながら叫んだ。

「おい!出てけ!お前みたいなやつを友達にした俺がバカだ、バカ!」

「もともとお前がバカだったんだよ、ジャック。」

「出ないのか?」

「出るよ、出る。」

レオナルドはぶつぶつ言いながら蹴りを入れられたジャックを見て、にやりと笑った。

そしてドアノブを掴んで、振り返って言った。

「遅れたら死ぬぞ。」

「わっ、遅れてない!」

ジャックがちょうどソファにあったクッションをつかんで投げようとした瞬間、レオナルドがバッとドアを開けて出て行った。

「アイツのどこがそんなにいいのか、俺にはさっぱり分からない。」

ジャックはまだもやもやした気持ちを抑えきれず、ついにクッションをドアの方へと投げつけた。

「うわっ!」

ちょうどその時、入ってきたブハがクッションにぶつかり、情けない声を上げた。

ブハは慣れた様子で尋ねた。

「またケンカですか?」

「俺たち、いつもこんなふうに遊ぶんだよ。」

ジャックは一度目をぐるっと回し、独り言のように呟いた。

「あとで全部、あのジャックさんに感謝しないとな。」

ブハはその独り言を完全に無視してお茶だけ飲んで去っていった。

いつものことなので、聞き流したのだ。

 



 

時が流れ、メデイアの命日がやってきた。

予想通り、アジェイドは夜明け前に皇宮を空け、宮殿内は静かになっていた。

セリーナは朝食を終え、雑務を片付けた後、ペリアヌス神殿へと向かった。

会うにはちょうど良い昼下がりの時間を選んだのだ。

ペリアヌス神殿は首都の郊外にあり、山頂聖域は上にあった。

巡礼者の道とあって、道が険しく、体力をかなり使った。

セリーナは静かに山頂聖域へと登った。

散歩は彼女の特技なので、この程度の険しさは苦にならなかった。

あちこちで木々の香りが鼻をくすぐり、鼻歌が自然と出てきた。

どれほど歩いただろうか。

あの遠くに淡い青色の光が見えたかと思うと、その前に門番が立っていた。

セリーナが神殿の入口に近づくと、門番が立ちはだかった。

「申し訳ありませんが、今日は外部の方には神殿を開放しておりません。」

「え?でも今日は来てほしいと連絡を受けたのですが?」

セリーナはぽかんとした返答に目を瞬きながら戸惑った。

すると、ジャックが大切に保管していた書信に同封されていた品物のことを思い出した。

「ちょっと、お待ちください。」

セリーナはかばんの中をごそごそと探り、一枚の紙切れを取り出した。

それは訪問を許可するという印が押された紙だった。

文官はその書類を受け取ると、すぐに確認した。

「おお、今日はご訪問されるお方だったのですね。失礼いたしました。いつもお越しになる方ではなかったので、無礼を働いてしまいました。」

文官は丁寧に謝りながら道を空けた。

セリーナは不思議そうな顔で尋ねた。

「今日は何か特別な日ですか?いつも祈祷室は開放されていると思っていたのですが。」

「今日は重要な祭儀がある日なので、神官たちも入れないのです。」

「祭儀……ですか?」

いずれにせよ、なぜか貴族が神殿全体を借りている祭祀のために過ごしているようだった。

「はい。入って右側の分かれ道をまっすぐ行けば接見室があるはずです。」

「はい、ありがとうございます。」

セリーナは軽くお辞儀をして神殿の中に入った。

皇宮近くにある華やかなアグニス神殿とは違い、ペリアヌス神殿は質素そのものだった。

場所もあまり人が通らない道の先にあった。

淡い光に照らされた柱の上には、天井画が控えめに描かれていた。

淡い水彩のような色彩で描かれており、古びた神殿の趣を漂わせていた。

パステルトーンの天井画は、ペリアヌス神が啓示を下したという絵のようだ。

以前、協力していた医療奉仕の時には、たいてい神殿の裏手にある仮設テントで用事を済ませており、直接神殿を訪れるのは初めてだった。

たいていの患者は、山の頂上にあるこの神殿まで登る体力がなく、ふもとで行われているようだった。

セリーナは辺りを見回しながら、案内板に従って接見室の方向へと進んだ。

時おり神官たちが通りすがりに彼女を見つけ、軽く十字を切って挨拶した。

文官の言ったとおり、神殿内はがらんとしていた。

神殿に留まっている神官や聖騎士たちがちらほら見える程度だった。

セリーナがちょうど接見室に入ろうとしたそのとき、まるで彼女を待っていたかのように、ある神官が後ろを振り返って目を見開いた。

「えっ?」

「ん?」

二人は同時に声を漏らした。

セリーナが驚いたのと同じくらい、その神官も驚いた様子だった。

『どうしてこの人がここにいるの?』

セリーナはここで会うとは思ってもいなかった相手に、不意を突かれて戸惑った。

「もしかしてベンジャミン公子様ですか?」

「やはりリナ、お前だったのか。」

ベンジャミンは自分の名前が呼ばれると、にっこりと笑って席から立ち上がった。

思い出したのだ。

かつてリディアが片想いしていた人々の中の一人である、マルク伯爵家の次男だった。

社交的なリディアがかなり熱心に好いていた人物として記憶に残っていた。

当時、リディアは社交パーティーに行くたびにセリーナを侍女として連れて行っていた。

自分の妹であることを隠し、何かと無難に取り繕っていた心の狭い姉のおかげで、セリーナも社交の集まりに何度も同行した記憶があった。

そしてその場でリディアがベンジャミンに恋慕を送っていたのも見たことがある。

『私のこと、覚えているなんて思わなかったのに。』

セリーナは彼が自分を覚えていたことに驚いた。

昔の侍女の名前まで覚えていてくれたことに。

もちろん彼女はリディアの侍女ではなく妹だったが、ベンジャミンがそれを知っていたとは限らない。

いや、今やセリーナの方がリディアよりも有名人なのだから、知っていた可能性もある。

『司祭になったって言ってたけど、それがペリアヌスの司祭だったの?』

実は、ベンジャミンが司祭になると宣言したとき、リディアは食事の手を止めて号泣した。

司祭になるというのは、神に仕える者になるということ。

つまり、マルク家の次男として得られる名声を捨てるということに他ならなかった。

虚栄心の強いリディアが、そんなつましい生活を共にしたいとは思うはずもなかった。

貧しい生活を嫌がる彼女にとって、司祭の清貧な暮らしは到底耐えられるものではなかった。

もちろん、当のベンジャミン本人は何も考えていなかったが、リディアが一方的に惜しがっていたのだ。

『親しげすぎる感じがして、むしろ距離を置こうとしたのに。』

セリーナにとって、彼は過剰に優しすぎてむしろ落ち着かない存在だった。

その優しさがリディアに向けられていたことを思い出すと、なおさら気まずかった。

しかしベンジャミンは彼女と会えたことが嬉しそうだった。

彼は歓待の言葉を述べた。

「僧侶様が貴いお客が来ると言っていたので誰かと思ったら、まさか君だったとは。」

聞いてみると、ジャックが紹介すると言っていたのはベンジャミンではなく、彼の側近のようだった。

セリーナは穏やかに微笑みながら答えた。

「偶然のご縁ですね。貴族になったとは聞いていましたが、ペリアヌスの僧侶になられていたとは思いませんでした。」

「ここに来たのは、まだそれほど経ってないんだ。」

ベンジャミンは少し恥ずかしそうに後頭部をかいた。

どうやら途中で希望神殿に移ったようだった。

セリーナはそれ以上深く考えるつもりもなく、軽く相づちを打った。

「そうだったんですね。祭服、よくお似合いです。」

「とりあえず座って。司教様もすぐいらっしゃるから。」

ベンジャミンの案内で、セリーナは向かいに腰を下ろした。

彼はあらかじめ用意していたお茶を彼女の前に置きながら言った。

「それにしても本当に久しぶりだね。都でも君の話はよく聞いてたから、元気にしてるんだろうなと思ってたよ。」

「そうだったんですね。」

「聞いたよ。ヴィンセント城を出てから少し経ったって。」

「ああ。」

「君がヴィンセントの令嬢の妹だとは知らなかった。これまで無礼があったなら、すまない。」

ベンジャミンはしきりに喉を鳴らしながら、ぎこちない表情を浮かべた。

彼女を軽んじるつもりはなかった。

彼が僧侶になった頃には、セリーナはすでに医師になっていた。

そして彼がセリーナがヴィンセントの令嬢の妹であることを知ったのは、もっと後のことだった。

セリーナは手を軽く振って言った。

「いえ、私もはっきり言ったことはありませんから。」

「こうして再会したのも縁だし、これからも顔を見られたら嬉しいな。ねえ、リナ?」

ベンジャミンは穏やかに笑みを浮かべながら、親しげに尋ねた。

彼は相変わらず、少し馴れ馴れしく思えるほど親切だった。

以前も彼は侍女として来たセリーナに対してかなり親切に接していた。

侍女にまで親切な紳士とは。

彼が人気があったのは、すべてその優しい性格のおかげだ。

問題はその優しさが、むしろリディアの嫉妬心を刺激した点だった。

リディアはベンジャミンが誰にでも親切にするのを快く思っていなかったが、中でもセリーナにまで親切だったことが爆発の引き金になった。

『本当に面倒くさかった。』

セリーナはリディアの気性に辟易してため息をついた。

もう二度と関わりたくないと思っている。

セリーナの反応に気づいたベンジャミンが言った。

「もう“リナ”って呼んだらダメかな?慣れちゃっててさ。」

「はい。今後はお気をつけください。」

セリーナがきっぱりと線を引くと、ベンジャミンの目が少し戸惑った様子だった。

しばらくしてから、彼は目を細めて笑いながら言った。

「相変わらず、距離があるね、君は。」

「公子様の距離感がなさすぎるんですよ。」

「“公子様”とは…その呼び方も本当に久しぶりに聞くな。じゃあ公平に、君も“ベンジャミン”って呼んで。いいかな?」

ベンジャミンはセリーナの肩を軽くポンポンと叩きながら、にっこりと笑った。

セリーナが何か言おうとためらっていたそのとき。

「遅れて申し訳ありません。」

低く落ち着いた声とともに、年配の僧侶が入ってきた。

 



 

 

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