残された余命を楽しんでいただけなのに

残された余命を楽しんでいただけなのに【74話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【残された余命を楽しんでいただけなのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...

 




 

74話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 完璧なトッポッキ

ナルモルはアルフェア王国と契約を結んだ。

ユリモル製菓店で生産されるデザートを、アルフェア王国の各地にまで販売するという契約である。

最初、ユリはそれに反対し、強く抗議した。

「私たち、最初の約束を忘れたの?私のデザートは皇女様だけのためって言ったでしょう。でもお兄様が説得して、限定数量だけ販売することにしたのよ。皇女様のためになるって。それなのに、今さら何?大量生産ですって?」

「心配するな。これはユリモール製菓の名前じゃなく、ただナロモールの名前で出すんだ。俺が売ろうとしてるのは、お前のデザートの粗悪な模倣品にすぎない。」

ナロモールは大量生産体制を整えていた。

それはイサベルとテイスロンが創案した交流技術のおかげでもあった。

効率が飛躍的に高い工場を設立できたのだ。

国王ラヘルラの積極的な支援のもと、ナロモール製菓はあちこちに流通し始めた。

そうして数か月が過ぎた。

ナロモールは二つ目の工場を設立するに至った。

アルフェア王国の雇用創出のためという名目で、第二工場はアルフェア王国領に建てられた。

……というもっともらしい名分はあったが、実際にはナルモルがイサベルに秘密裏に協力したかっただけ。

いずれにせよ、工場は昼夜稼働し、製菓がリアルタイムで販売された。

ラヘルラはナルモル製菓店のショートケーキを口に入れ、感嘆の声を漏らした。

「テイサベル転移ゲートの力はすごいな。生クリームがとても新鮮だ。」

「はい。作りたてをすぐ転送するからです。」

「まるで現地で作ったものと変わらないな。」

テイサベル転移ゲートは人々の生活に深く浸透していった。

それに伴い、多くの人々が積極的にテイサベル転移ゲートを利用し始めたのだった。

「人命事故は?」

「今のところ全くありません。」

「そうか。それでも移動関門を利用する者たちを綿密に調べて、確実に管理するように。」

魔法の連邦側がどんな策略を仕掛けてくるかわからない。

テイサベル移動関門を使って深刻な副作用により不治の病にかかったとか、テイサベル移動関門のせいで命を落としたとか。

そうした事態が起こらないように、ラヘルラは国家の次元で事案を管理していた。

少なくともアルフェア王国内においては、テイサベル移動関門は完全に定着していた。

そのおかげで最も大きく笑ったのはナルモルだった。

「ふふふ。」

テイサベル移動関門は急速に地位を確立し、今やなくてはならない新文明の産物となっていた。

そして、そのテイサベル転移ゲートを活用した流通網の主はナルモルであった。

ナルモルはユリモル製菓、ユリモルホテルから始まり、ついにはナルモル・コーポレーションを設立するに至った。

小説の中で最大の富豪になる予定だったキャラクター、ナルモルの頭の中で歯車がカチリと回った。

「これでアルフェア王国はさらに豊かになるだろう。」

交通と物流こそが力である。

アルフェア王国は西には果てしない海――通称「黒海」と接し、南には凶悪な異種族の境界と接していた。

北は過酷な寒冷山脈地帯であり、唯一交易が可能な場所は東側だけだった。

だがその東側も、決して交易に有利な地形ではなかった。

ところが、テイサベル転移ゲートを積極的に使用され始めると話が変わった。

交流に不便だという言葉は、外部からの侵略を防ぐにも優れているという意味でもあった。

「平時には移動がとても便利だが、戦時には移動関門を閉鎖すれば、そのまま戦略的要衝から脱皮するだろう。」

交易には良いが、侵略されない天恵の貿易都市が築かれたのだ。

「何であれ、要所は重要だからな。」

結局、アルフェアはますます強大になり、周辺諸国は好きであろうと嫌であろうとテイサベル移動関門を使わざるを得なくなる。

黙っていては後れを取るのだから。

だが、笑っていたのはナルモルだけではなかった。

眼鏡をかけた一人の女性が、暗い路地でナルモルよりさらに明るく笑っていた。

【テイサベル転移ゲート、新文明時代を切り開く!】

彼女は大陸最大のニュース誌『囁き』の記者出身であるユリだった。

ユリは今や『囁き』に所属せず自由記者となり、王宮からの援助もすべて拒否していた。

それこそが報道の自由と透明性を高める道だと主張したのだ。

【聖王ラヘルラ、これを「テイサベル革命」と名付ける。】

自由記者となったユリは、素早くアルフェア王国のニュースを広めた。

その知らせに、当時魔法連邦の動向を窺っていた七人の王と、多くの貴族たちがテイサベルに興味を抱く。

国際情勢は日ごとに変化していたが、イサベルは現在の経済や政治などには大きな関心を持っていなかった。

イサベルはそれよりもはるかに壮大で重要なことに興味を持ち、話をしていた。

「うん、だからね、こうやって作ってみたらどう?」

イサベルの瞳は星のようにきらきらと輝いた。

「……こんなの、本当にできるでしょうか?」

「もちろんよ!ユリお姉さまの力があれば、きっと作れるわ!」

イサベルはテイサベル移動関門と同じくらい、いや、テイサベル移動関門を超えるほどの偉大なものを発明しようとしていた。

今のイサベルは、世界で一番幸せそうに見えた。

「名前はトッポッキにするって決めたの!」

幼い頃から私は食欲がかなり旺盛なほうだった。

病室に閉じ込められ、厳格な食事管理を受けていたせいで仕方なかったのだ。

……というのが私の主張だけれど、実際にはもともとこの国の人々は美味しいものに熱狂する性質を持っているようにも思える。これは秘密。

とにかく私は食べ物に真剣なタイプであり、幼い頃に食べたトッポッキの味はいまだに忘れられない。

『食べられないトッポッキ……外界に出たら絶対にレシピを探し出す!と必死に願っていたら、こんなふうに運命が爆発するなんて!』

幸せに包まれた私は、両頬を手で覆いながら希望に満ちた言葉を口にした。

「今日は天気が少し肌寒いから、スープがぴったりね!」

私ひとりでは大変なことだった。

最近気づいたのだけど、私は料理にまったく向いていない方だった。

料理するよりも、むしろ数学の公式を暗記して証明する方がずっと簡単で面白いくらいなのだ。

どんなに優れたレシピがあっても、自分で作れば台無しになる。

「ユリお姉さまがそばにいてくれて、本当にありがたい。」

ユリお姉さまは数学の天才でありながら――最近は数学から手を引いて――料理の天才だった。

アレナ宮殿では、ユリお姉さまを「料理研究家」と呼ぶほどだった。

立派な料理研究家として知られるユリお姉さまは、私が1をお願いすると10を作って返してくれるような天才中の天才。

まさに完璧で比類のない優れた天才だった。

「煮干しと昆布で出汁を取って……。」

するとユリ姉さんは、一つ聞けば十を知る天才だった。

「うん、それなら煮干しの頭と内臓は取り除いて、身を炒ってから細かく砕いて準備するといいですね。」

「そ、そうなの?」

そんな細かいことまでは知らなかった。

私はただレシピだけを知っているだけ。

「以前作っておいた出汁パックがあるので、それを使ってもいいと思いますよ。」

「それはいい考えだね!」

ああ、本当に大好きだよ、姉さん。

パチン。

「長ネギを入れるんだけど……。」

「一部は細かく刻んで、一部は長めに切って入れればいいですね。」

「それから、お餅を作らなきゃいけないんだけど……」

実のところ、私もどうやって作るのか正確にはわからなかった。

でも、大まかなイメージを説明してみたら、ユリお姉さまが実際に餅を作ってきてくれた。

「やっぱりお姉さまは天から与えられた天才だわ。」

「ただ、私が嬉しいからやっているだけですよ。」

ユリお姉さまはそう言って微笑んだ。

その澄んだ笑顔に、私は思わず少し気恥ずかしくなった。

――私がこんなに愛されていいの?

そんな考えがほんの一瞬よぎったけれど、その思考はすぐに、もうすぐ出来上がるトッポッキの前で無力に吹き飛んだ。

「餅を入れて、水を注いで、出汁も入れて……ふふっ。」

子どもの頃、一度だけ食べたことがあった。

ドラマで同年代の子たちがトッポッキを食べているのを見て、どれほど羨ましかったことか。

私はいつも味気なくて美味しくない病院食しか食べられなかったから。

それでも、ユリ姉さんはついにトッポッキを完成させてくれた。

「これで合ってる?ちょっと質素すぎない?」

「そう、これだ。」

私が覚えていた香りと見た目。

完璧なトッポッキだった。

〈時限悪女が死んだ後に〉の世界に、完璧なトッポッキ様が降臨なさったのだ。

「うぅぅぅん!」

味はまさに幻想。

この世をひっくり返すほどの衝撃だった。

「辛い、辛い。」

辛かったが、幸せだった。

人生で二度目のトッポッキは、とても強烈で美しい体験だった。

「でも、すごく美味しい。」

ビロティアンの肉体はとても頑丈で、辛いものもある程度は難なく消化できた。

胃が痛くなったり、胸やけしたり、腹を壊したりするようなことも起こらなかった。

「ユリお姉さまは、本当に作れないものがないんですね。」

「それは皇女様が素晴らしいレシピをくださったからです。」

そして数日が過ぎた。

最初の一歩は難しいが、一度始めてしまえば大抵のことはすらすらと進むものだ。

トッポッキは幻想的なほどに美味しかったが、その代わりに何かを失ったのだと、私はふと気づいた。

 



 

ある晩。

私はある真実を悟り、気づいてしまった。

「ラーメンの麺を入れ忘れたじゃないか!」

私の腕の中ですやすや眠っていたラーちゃんが、びくっと驚いて私を見つめた。

[ラーメンの麺?]

[地名?それとも呪文?]

ほんの一瞬だけ警戒心を爆発させたラーちゃんだったが、3秒も経たないうちに再び眠りに落ちた。

相当眠かったのだろう。

「そうだ。ラーメンの麺。あれが必要なんだ。」

もちろん私はラーメンの麺をどうやって作るのかは知らない。

大体、麺を揚げてどうにかこうにかするのだろう。

……と話したら、

「そうだ!これ!私が欲しかったのはこれよ!」

パッとラーメンの麺が現れた。

こうしてラッポッキが誕生したのだが、これもまた奇跡的なことだった。

まさかこの不思議なファンタジー世界でK-ラッポッキを食べられるとは。

私はトッポッキと同じくらいラーメンが好きだった。

医者の先生に隠れてラーメンを食べたこともあった。

その時はひどい腹痛を起こして脱水症状になり、とても苦労したけれど、それでもラーメンを食べている間は幸せだった。

『でも、そんな魔法の粉が本当に作れるのかな……』

この世界には「ラーメン」という概念が存在せず、当然ラーメンスープもなかった。

私はラーメンスープがどうやって作られるのか全く知らなかった。

「皇女様がおっしゃったコンセプト通りに一度作ってみたのですが、口に合うかどうかはわかりません。」

私はスープをひと口すすると、まるで新世界を見たような気がした。

「えっ?」

「どうしました?美味しくないですか?また作り直しましょうか?」

実際、ラーメンに対するこの食欲のような渇望は、私の内側にある劣等感の産物だと思っていた。

ほとんど食べたことがなかったから。

いつも他人が食べているのを羨ましがるばかりだったから。

だから、これは巨大な「思い出補正」がかかっているのだと考えていた。

『思い出補正なんかじゃなかった!』

そうじゃなかった。

断言できる。

ユリ姉のラーメンは、今まで食べた料理の中で最高に美味しかった。

「本当にすごいよ。どうしてこんなに美味しく作れるの?」

ズルズル―

私はテレビでしか見たことのなかった麺をすする動作を実際にやってみた。

もちろん初めてなのでうまくはできなかった。

「ちょ、ゆっくり召し上がってください。熱いですよ。口を火傷しちゃいます。」

まだ沸騰している麺を口に入れたままの私を心配そうに見つめるユリ姉。

ふふ―私は笑った。

なんだかくすぐったくて、またとても気分が良くなった。

『ほら、口の中だって全然火傷してないじゃん?』

かなり熱かったのに、という話だ。

以前の私の体は無力で繊細で弱かったから、こんなことは想像すらできなかった。

きっと以前の体でこんな真似をしていたら、すぐに緊急手術台に運ばれていただろう。

『健康で丈夫であることは、本当に幸せなことなんだな。』

私は幸福感で胸がいっぱいになり、ユリ姉さんはとても頼もしそうにしていた。

ユリ姉さんは、美味しそうに食べる私を見て微笑みながら、少し気になったように尋ねた。

「皇女様。本当にこんなことで、そこまで幸せになれるんですか?」

「うん?そんなに分かりやすく出てる?」

「はい、とても。皇女様の隣にいると、幸せに包まれて私まで心がぽかぽかしてくるみたいです。」

「うん。私にとっては、この全部が奇跡のように感じられるんだ。」

こういうものを何の問題もなく好きなだけ食べられるなんて奇跡だった。

しかももっと奇跡的だったのは、このとてつもない体は全然太らないということだった!

圧倒的に優れた肉体で、カロリー消費量自体が桁外れだったのだ。

餅でも、小麦粉でも、麺でも、揚げ物でも、好きなだけ食べてもダイエットの心配がないなんて、本当に奇跡だった。

一方で、ナルモル兄さんはラーメンに目を輝かせていた。

「匂うぞ、匂うぞ、金の匂いが!」

ナルモル兄さんはこれを見た瞬間に、大ヒット商品だと気づいた。

そしてすぐに大量生産すると宣言した。

「見てみろよ、価格も驚くほど安く出せそうだし、調理時間も短いし、水と鍋さえあれば均一な味を出せるじゃないか。そうだ。これはまさに大革命です。」

うんうん、美味しい。本当に美味しい。

私はナルモル兄さんの言葉に、ただうなずくだけだった。

私は経済に関する知識がそれほどあるわけではなかったし、ナルモルは黙っていても大富豪になるような人物だった。

だから、私は余計な口出しをせず、応援してあげるのが最善の方法だと思った。

無理に「ああしろ」「こうしろ」と指示をするよりも、その方がずっと効率的で良い方法のはずだから。

「うん。いつも言っているように、王室の名誉を損なったり帝国法に背くことでなければ、ナルモル兄さんの好きなように全部やっていいよ。」

 



 

 

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