こんにちは、ちゃむです。
「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。
今回は51話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
51話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- セバスチャンからの招待②
「本当にごめんね。私のリンゴを受け取ってくれる?」
セバスチャンが真っ赤なリンゴを取り出す。
謝る時にあげようと思って用意しておいたとても実のある謝罪だった。
それを反対側に顔を向けたエスターに突き出す。
リンゴを持った指先はぶるぶる震えていた。
予期せぬ贈り物にエスターの目が大きくなる。
謝ったからといって、本当にリンゴを持ってくるとは思わなかった。
「これは本当のリンゴじゃないですか。ふふっ」
結局、エスターは大笑いしてしまう。
セバスチャンが間違ったことが消えるわけではないが、この程度の謝罪で見逃してあげることにした。
「一番大きくて硬いものを選んだんだ」
セバスチャンは恥ずかしそうに後頭部を掻く。
「いただきます」
「じゃあ、リンゴを受け取ってくれるんだよね?」
「はい」
「ありがとう。そして、本当にごめんね」
リンゴを渡すセバスチャンの手とエスターの手がそっと触れる。
セバスチャンはその瞬間、頭が立つのを感じながら後ずさりした。
「そ、そ、じゃあ、またね」
その道を後ろも振り向かずに逃げ出した。
すでにセバスチャンの心臓はドンドン走っていた。
「どうしたんだろ?」
エスターは走っていく後ろ姿を見て首をかしげて、リンゴをちゃんと取って周辺の散歩に出る。
どこかに消えたジュディを探すために歩いていると、誰かが後ろから声をかけてきた。
「あなたがエスター?」
エスターは声をなぞって振り返る。
ぱっと見ても尋常ではない中年女性が優しく笑っていた。
誰だかわからないが、ひとまず頭を下げることに。
「そうです。こんにちは」
「まあ、礼儀正しいこともある。私はセバスチャンの母よ。みんなローズって呼んでいるわ」
エスターの口が少し開いた。
もしかしたらと思ったが、ローズの華奢な体つきと豊かなセバスチャンは全然マッチしていない。
「今日は来てくれて本当にありがとう。セバスチャンが君たちに過ちを犯したんだって?」
「ちょっと前に話して解決しました」
「そう?よかったね」
ローズは喜んで目を輝かせる。
「セバスチャンは表現が下手で、それでも本当に悪い子ではないのよ。これからもよろしくね」
「はい、奥様」
いつの間にかエスターの両手がローズにつかまっていた。
エスターはぎこちなく微笑み,そっと手を引く。
「そういえば、あなたはアイリーンによく似ているわ。アイリーンの幼い時の姿そのままだよ。どうしてこんなに?」
アイリーンが誰なのか知らないエスターは、大きな目だけばちばちした。
「私はアイリーンと幼い頃の友逹だったの。まだあの子のことを考えると残念だよ」
ローズは手を伸ばしてエスターの頬を軽く撫でる。
その手が冷たくてエスターの腕に鳥肌が立った。
「ところでアイリーンとは誰ですか?」
「あら・・・知らないの?大公が死別した奥さんよ」
エスターが全く知らない様子で、ローズは自分が余計なことを言ったことに気づき、急いで口をつぐんだ。
「ああ、私の言うことは気にしないで、楽しく遊んで行きなさい」
ローズはぎこちなく笑う。
たまたま屋敷の中から女中が走り出て、ローズ夫人に耳打ちした。
すると、ローズが思索になって走り込んだ。
エスターは首をかしげてローズの言葉をかみしめた。
(似ているって?)
その時、こっそりと近づいてきたジュディが前にいきなり首を押した。
「ジャーン!私だよ。じっと立って何してるの?」
「お兄ちゃん」
エスターは驚きもせずにぼんやりとジュディに尋ねる。
「亡くなったお母さんと私に似ていますか?」
「急にお母さんはどうしたの?」
にっこり笑っていたジュディの表情が細かく固まった。
「奥様がそうおっしゃいました。亡くなったお母さんと私が似ているって」
「似てるかな?私も絵だけだからよく分からない。でも、髪と瞳の色が同じだね」
「そうだったんだ」
エスターは憂鬱な気分で無理やりに微笑んだ。
ドフィンが自分を選択した理由が前妻が思い浮かんだからではないか、という考えが頭を支配する。
そうだとしても何の関係もないが、訳も分からずに済むことを知った気分だった。
「もう私たちもテーブルに行こう」
ジュディはエスターの手を取って芝生に戻った。
ところが、屋敷のそばを回った瞬間、突然上の方から赤ちゃんの泣き声が大きく聞こえてきた。
「ウエン・・・ウエン!ウアン!」
びっくりしたエスターが立ち止まる。
「お兄さん、今聞きましたか?赤ちゃんが泣いてるみたいだけど」
「私は聞こえてないけど」
エスターは聞き間違えたのかと思い、再び歩き始めた。
しかし、数歩歩いた後、今度はジュディが止まった。
「本当だ。私も今聞いた。赤ちゃんの泣き声だね。今も泣いてるみたいだけと?」
「どうしましょう?」
無覗するには泣き声があまりにも深刻だ。
すぐにでも息が切れる直前に聞こえる。
「中に入ってみようか?」
「でも、パーティーが・・・」
「セバスチャンもさっき走って行ったんだ。どうやら何かあったようだ」
両手をぎゅっと握ったジュディとエスターが気をつけて邸宅に入った。
「うえ・・・うえ!ンエ工工!」
中に入ってきた瞬間から赤ちゃんの泣き声がりんりんと響き、侍女たちは深刻な表情で廊下を走り回っている。
「ついて行こう」
ジュディはエスターの手を取り、侍女たちを追いかけた。
屋敷の奥深くに入るほど、赤ちゃんの泣き声が大きくなる。
そして、もうすぐ到着した小部屋。
ドアが大きく開いている中から、声が聞こえてきた。
「あれ?セバスチャンじゃない?」
部屋をのぞき込みながらジュディはつぶやいた。
「公爵夫人もいらっしゃいます」
部屋はセバスチャン、ローズ、白いガウンを着た医者、侍女でいっぱいだ。
「セバスチャンさんに弟がいると言っていませんでしたか?」
「そうだね。名前がジェニーだっけ・・・?」
お互いを見つめ合っていたエスターとジュディは、赤ちゃんの正体に同時に気づく。
「あいつか!」
「そうみたいですね」
年もぴったりで、セバスチャンの弟でなければ、こんなに多くの人が集まっている理由がなかった。
「でもおかしい。弟が病気だという話は聞いてないんだけど」
セバスチャンはジュディに毎回弟の自慢ばかりして、体調が悪いと言ったことはなかった。
さっき庭で会話をした時も弟の話は出なかった。
変だなと思って部屋をのぞいていると、赤ちゃんがまた大きく泣き出す。
「ウエエン、ウエ・・・ママ!」
「し一っ、大丈夫だよ。お母さんは、ここにいるよ。うん?お願いだから泣き止んで」
ローズ夫人はジェニーの若い体力が衰えることを恐れて、ずっとなだめていた。
しかし、何の役にも立たなかった。
「ハルバート?どうしてじっと立っているの?早く次の薬を持ってきて!」
「はあ、でも、大体の薬は全部使ってみましたし、ご子息の年齢が若いですから、これ以上薬を使うのは危険です」
ハルバートと呼ばれた医者はどもりながら頭を下げた。
「じゃあ、どうしろっていうの?熱が下がらないじゃん!もう3日目なのに、こんなことで大変なことになったら・・・はあ・・・」
精一杯敏感になったローズ夫人は声を荒げ、めまいを感じ、手のひらで壁に触れる。
「お母さん!」
驚いたセバスチャンが母親の腕をつかんで涙ぐんだ。
「本当にすみません・・・こんな場合があまりにも稀で・・・」
「・・・分かったから、もう出て行って」
口ーズ夫人は唇をかみしめながら手を振る。
無能な医師たちはこれ以上顔も見たくなかった。
ローズ夫人は温厚な方のようです。
そしてエスターと亡くなった夫人が似ている?