夫の言うとおりに愛人を作った

夫の言うとおりに愛人を作った【105話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【夫の言うとおりに愛人を作った】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...

 




 

105話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 最後の目的地

最後の目的地はカバンだった。

そこは、新年から十日間にわたってレンシアの光栄な処遇を記念する冬の祭りが開かれる場所であり、ルイーゼ、エドワード、マクシオンにとってそれぞれ意味を持つ場所でもあった。

カバンへ向かう道中では、宿よりも旅館で夜を過ごす日が多かった。

もともと立ち寄る村は多かったが、最近は天候がひどく寒いためか、エドワードは無理をしてでも日程を調整し、村での滞在日数を増やしていた。

そのおかげで、騎士団は新しい村に到着するたびに、その場所についての情報を得ることができた。

「最近数ヶ月の間にこの辺りで神官を見かけたことはありますか?そういえば、要塞のあたりで少し見ましたね。光竜が消えた後はしばらく静かだったのに、突然また現れた理由は分かりませんが……。」

「そうだな。そしてカバンでも神官たちが滞在している期間がかなり長くなかったか?」

「そうだな。そこで何かが起こったとか……。」

「そこで怪物を見たという話を聞きました!」

目的地に近づくにつれ、その場所に関する不穏な噂が具体化されていった。

皆、あまり表には出さないように努めていたが、騎士団の雰囲気は最終目的地が近づくにつれて次第に沈んでいった。

結局のところ、「ついにこの長かった遠征も終わりますね!」と無邪気に喜んでいた以前の目的地とは違い、よくない噂が絶え間なく続いていた。

何かが押し寄せてくるような気配だった。

さらに、この遠征がエドワードを排除するために皇帝と神殿が手を組んで仕組んだ計略だと知った瞬間から、騎士団の中には最後の旅路に対する重圧がどっしりと広がっていた。

「魔法の結界が張られているかもしれませんが、村の近辺ではすでに噂が広まるだけ広まり、外部から信者を集めるためにデマを流しているのかもしれません。」

「どれほど強力な魔法なのか分かりませんが、以前の村も魔法の影響範囲に入るまでは何も分からなかったじゃないですか。」

「到着するまでは何も確実ではない。みんな備えるのはいいが、無駄に不安を煽らないように気をつけろ。」

そうして騎士団の旅は続いた。

季節は完全な冬の始まりに差し掛かっていた。

途中に山があり、迂回するため時間がかかることもあったが、冬に近づくにつれて日が短くなり、次の目的地に到着するまで力を温存するために無理に動かないようにしているようだった。

「確かに以前の村よりも暗殺者の数が減っています。」

「私もそう感じていました。」

嵐が来る前のような静けさだ。

マクシオンが険しい表情で口を開いた。

「それでも後衛の人数を減らすわけにはいかないと思う……。」

「それでも私はエリオットの後衛をやめるわけにはいかないと思います。」

マクシオンが後衛の人員について話し始めると、ルイーゼが彼の言葉を遮って口を挟んだ。

彼は震えるような表情でルイーゼを見つめた。

「……ありがとう、ルイーゼ。私も同じ考えだ。そして後衛の人員もそのまま維持するつもりだ。」

エドワードが微笑みながらのどを鳴らした。

「そうしよう。ルイーゼ、君にも頼むよ。」

「はい。」

ゆっくりと進みながらも、あと一晩で目的地に到着する予定だった。

ルイーゼが決意した表情で拳を握りしめた。

「到着する前に、必ず渡さなければ。」

彼女の手には、壊れた短剣の代わりに贈り物として準備した品が握られていた。

「それにしても、最近は本当に移動距離が短くなって、わざわざ村で夜を過ごすために休む日が多くなった。冬だからという理由もあるだろうけど、マナストーンのおかげでそこまで寒く感じないのに……。最後の旅への負担が原因なのか?」

彼女はこわばった表情で贈り物を見つめた。

ルイーゼはこの十日間、彼に贈り物を渡すタイミングを掴めずにいた。

村に到着するたびに情報を集め、村の代表と会うことでエドワードは忙しかった。

訪れる村ごとに、目的地に関する不吉な噂が広まっていたので、贈り物を渡しながらロマンチックな雰囲気を作るには適切なタイミングではないように思えた。

さらに、一息つく暇もなく、団員たちとも会議が長引くと、エドワードはルイーゼに休むようにと言って彼女を送り出すこともあった。

そのおかげで、ルイーゼは少なくとも1時間、時には3時間もの空白の時間ができることもあった。

「こんなに忙しいのに、私一人でそわそわしても仕方ないわよね。それにしても、真冬にどこからかバラの香りがするなんて。」

ルイーゼは強張った表情を解き、周囲を見回した。

どうやら今日も彼女は、彼に贈り物を渡すのを先延ばしにしなければならなそうだった。

マクシオンは路地の壁に身を潜め、目だけを向けてルイーゼをじっと見つめるエドワードを観察しながら、口を開いた。

「……何をしているんですか?」

「くそっ。どれだけ魔法で痕跡を消しても、ルイーゼ嬢はすぐに気づくんだな。」

「それはおそらく、ルイーゼがエドワード様のマナの匂いを感じ取れるからでしょう。」

エドワードは目を大きく見開き、マクシオンを見つめた。

「マナの匂いを?ルイーゼ嬢にそんな能力があるのか?」

「はい。そしてエドワード様のマナの匂いだけを感じ取れるようです。今まで他のマナには一度も反応したことがありません。」

「本人もそのことを知っているのか?」

「まだ知らないでしょうが、いずれ分かることになると思います。」

「……そうだな。もっと慎重にならないと。」

再びルイーゼの後ろを追うエドワードを見て、マクシオンが彼に尋ねた。

「もしかしてルイーゼを疑っているんですか?」

「まさか。」

「それなら、なぜ村に滞在するたびに普段しない会議を開いて、ルイーゼに嘘をついてまでこっそり後をつけるんですか?」

「ルイーゼ嬢が私にプレゼントを買ってくれると言っていたんだ。7年ぶりに私のために用意してくれる贈り物だ。何を買うのかも気になるが、まずはプレゼントを受け取るのにふさわしい雰囲気を演出しないといけないだろう?」

エドワードは興奮して話した。

二十歳の彼は、一度もマクシオンや騎士団の前でこんな姿を見せたことがなかった。

彼の人生は、どうにも単純ではなかったのだろう。

幼い頃から多くの責任と義務の中で生きてきた人らしく、落ち着いた雰囲気だった。

こうして見ると、本当に二十歳の若者らしくも見えた。

「その時、短剣を受け取られたんですね。」

「それ、黒魔法を浴びて使えなくなったからルイーゼ嬢が新しくプレゼントを買ってくれると言って持って行ったんだ。」

「……。」

「羨ましいのか?」

エドワードはからかうような笑みを浮かべた。

「いいえ。」

「まあ、当然羨ましいだろうな。理解するよ。でも仕方ないさ。ルイーゼ嬢のプレゼントは私だけにくれると約束したんだから。」

そう言って、彼はマクシオンの肩を手のひらで軽く叩いた。

「私はさっき違うと答えました。」

「そうか、そうだな。しかし、表情に出ていたぞ。お前は7年経っても嘘が下手だな。」

「……。」

「長年の友を奪われた気持ちだろうから、そうなるのも当然か。そう考えると、マクシオン、お前も初めて会った時にルイーゼ嬢に救われたと言っていたな?私はそんな状況でルイーゼ嬢に惹かれなかった者はいなかったと思うぞ。ひと目惚れして従者になったならともかく、どうして惹かれずに友達のままでいられたのか。」

「私もルイーゼに惹かれたことがあります。」

「それなら、そうか……なんだって?」

エドワードがマクシオンと視線を合わせた。

鋭く突き刺すような視線を向ける彼の下、黒い瞳が揺らぐことなくエドワードを見つめ返していた。

それは、真実であることを意味していた。

「ルイーゼは私の初恋です。初めて会ったとき、一目惚れしたと記憶しています。」

「……。」

「誤解されているようなので、落ち着いて説明させていただきます。今は気にする必要はありません。」

「そうか。」

エドワードは険しい表情で考え込むようにしていたが、やがて口を開いた。

「戻るぞ。興が冷めた。」

「……はい。」

二人は宿へと向かった。

「これが必要に見えた。君にあげる。」

その日の夕食の時間だった。

皆が集まった席でルイーゼがマクシオンに手のひらより少し大きな長方形の石を渡した。

剣を研ぐのに使う砥石だった。

それを大切に受け取った彼は、わずかに赤みの差した顔で答えた。

「……ありがとう。」

「君はどんな物でも、一度使ったら完全に使えなくなるまで捨てない性格だろう。砥石なら、少しずつ削っていけば完全にすり減るまで使えるはずだ。十分使ったと思うから、もう自然に返してくれ。」

「うん。」

「ははは! 砥石か? これなら剣がよく研げそうだな!」

「そうですね。ちょうど副団長の砥石が少しずつ削れて薄くなっていたので、壊れそうでした。助かります!」

ヘンドリックが穏やかな表情で話すと、彼らの会話を聞いていた人々も共感するように笑った。

その中には、表情こそ笑っていたが、視線は期待に満ちたままルイーゼだけをじっと見つめていた人物がいた。

「ルイーゼ嬢、とても良い砥石のようですね。」

「エリオットは見る目がありますね。その通りです。私もだからこそ、すぐにマクシオンを思い浮かべました。」

「……もしかして、他に誰か思い浮かんだ人はいませんか?」

「え?誰のことです? 砥石を見て思い出すような人がいましたか?」

ルイーゼは不思議そうな顔で、目をぱちくりとさせた。

「……いいえ。この場所は牛肉スープが美味しいですね。」

「私もそう思いました。」

ルイーゼは明るい表情で答えた。

エドワードはどこか曇った顔でスープに視線を落とした。

すると、スプーンでスープをかき混ぜるものの、一向に口にすることなくためらっていた。

彼を除いたほかの人々は、砥石についての話で盛り上がっていた。

「刃を研ぐと同時に、自動で油を塗る魔法がかかった砥石もあるそうですよ!」

「でも、それって油の塗り方がちょっと微妙じゃない?」

「フェリス商団で売っているものは、まあまあ使えるって感じかな。」

「私がマクシオンに買ってあげた砥石も、フェリス商団の街の支店で買ったものなんですよ。」

「そこは物が良いですね。」

カチャン。

エドワードがスプーンを置いた。

しばらく会話を続けていた人々の視線が、一斉に彼へと向けられた。

それはとても小さな音だったが、完璧な食事のマナーが身についている彼にとって、普段なら決して立てるはずのない音だった。

「では、私は食事を終えて先に上がります。ルイジェ嬢、ゆっくり休んでください。」

「もうですか? あまり食べていないようですが……。」

ルイーゼはまだスープがたくさん残っているエドワードの器を見ながら言った。

「みんな、今夜もよろしく頼むよ。私はこれで休む。」

彼はいつも通り、優雅な動作で席を立った。

上階へ向かったが、なぜか彼の周囲には陰鬱な雰囲気が漂っていた。

ルイーゼは心配そうな表情で彼の後ろ姿を見つめた。

エドワードが視界から消えると、一人の団員が口を開いた。

「殿下、なんだか様子が変じゃないか?」

「やはり、目的地が近づいて不安になっているのは明らかだ。」

「何よりも、殿下はまだ二十歳そこそこの若さだ。我々がしっかり支えないと!」

「そうだな。殿下も私たちを信じてくれているんだ。期待に応えられるよう、最善を尽くさなければ。」

「言葉だけじゃなく、今日から訓練を増やすのはどうだ? 夕食後に対戦する者はいるか?」

「俺、俺が!」

「俺もやるよ! 今回の村では俺たちの活躍を見せてやろう!」

騎士たちは興奮して手を挙げ、スプーンまで握りしめながら勢いよく食事をかきこんだ。

少しでも早く食べて訓練しようという気持ちのようだった。

皆が熱気に包まれる中、マクシオンは大切そうに砥石を抱えたままナイフを取り出し、ルイーゼを見つめた。

砥石によって胸の片側がわずかに盛り上がっているように見えた。

「ルイーゼェ、エドワード様に渡した剣、君がまた持って行ったって聞いたけど。」

「ああ、そうだよ。使えなくなったから返品して、新しい贈り物を買ってあげることにしたんだ。」

「その贈り物、買ったの?」

「うん、買ったよ……。でも最近、カバンについての不穏な噂が広がっていて、みんな気が立っているから、まだ渡せてないんだ。エリオットも、一日に何時間も会議をしていて忙しそうだし。こんな状況でプレゼントを渡すのは、ちょっと場違いじゃないかな?」

「……あげればいいさ。」

マクシオンは短く簡潔な言葉を残し、まるで何事もなかったかのように食事を続けた。

ルイーゼ疑わしげな表情で目をぱちくりさせていると、マクシオンは肉片を持ち上げ、一切れを彼女の皿に置いた。

「食事はしろよ。」

「あ、わかった。」

彼女はスプーンを手に取り、他の仲間たちのように急いで食事を続けた。

早く彼にプレゼントを渡したかった。

エドワードは、自分の物静かさに自分でも驚いていた。

昔から彼の周囲にはあらゆるおべっかが溢れていて、大陸の他の国の使臣たちでさえ、彼に顔を向けられなかった。

毎日のように届く、あらゆる賛辞や贈り物。

それが彼の日常だった。

むしろ人々は、彼にどんな非礼を働いても何も変わらないことを知っていた。

だから彼は、一度も誰かの贈り物を待ちわびたり、もらえなくて失望したり、他人が自分より先に受け取って嫉妬したりしたことがなかった。

それなのに、自分よりも先にマキシオンが贈り物を受け取ったとは――。

それはただのシンプルな小石だった。

どうせ騎士団で買わなければならない必需品でしかないにもかかわらず、エドワードの目にはこの世で最も価値ある宝石のように映っていた。

誰かが彼にその小石の100倍もの大きさの金塊やダイヤモンドの塊を渡したとしても、彼はタイニーがくれた貴重な宝石よりも、ルイーゼがくれたその小石を望んだだろう。

「……期待してたんだ。」

彼はまだ服も着ていないまま、ベッドの上で体を丸め、ぐったりした顔でうずくまっていた。

「忘れてしまったかもしれない。」

それも無理はない。

すでに帝国の民の大半は、彼のことを忘れてなどいなかった。

この3年間、先皇は自分の選択が誤っていなかったと弁明したくなるほどに、彼の生き別れの弟をあちこちに送り出していたのだった。

エドワードは幼い頃から皇帝の職務を誠実に引き継いでおり、十七歳からは皇帝のほとんどすべての業務を直接行っていた。

食事の時間さえ惜しむほど忙しい中、出席しなくても差し支えないいくつかの集まりは欠席して贈り物で代えたが、新しい皇太子は出席しなくてもよい席にまで丁寧に出席し、注目を浴びていた。

新聞や知らせの紙には連日、新皇太子の話ばかりだった。

そして彼は先帝を殺して皇帝になった。

「贈り物くらいは忘れてもいいさ。」

彼の存在を忘れないのがどこか。

当初、今の彼は過去7年間の記憶を失った状態で、首都でルイーゼに初めて会った瞬間でさえ、今も彼女に関する記憶の一部を忘れた状態だった。

7年間の記憶を失う前には過去の最初の出会いを、記憶を失った後には大人になった今の彼らの間であった出来事を……。

だから彼は、どうしても冷たくできなかった。

 



 

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