できるメイド様【１６９話】ネタバレ

その後、数日が経った。

まだ怪我が完全に治っていないので、マリーはもう少し静養することに。

彼女は活動できると主張したが、ラエルは断固として命令した。

「完全に治るまで部屋から出るのは禁止だ」と。

そうして彼女は強制的に休憩を取ることになり、おかげでラエルと楽しい時間を過ごすことができた。

「夢のようです」

「何が？」

二人はベッドに並んで座っていた。

彼女は彼の肩に顔をもたせかけながら言った。

「このように陛下のそばにいられるということです」

代わりにマリの書類を検討していたラエルは、片手で彼女の頭を撫でながら言った。

「これからは永遠に共にする」

「本当ですか？」

「もちろん」

「何をそんなことを聞くのか」という口調の答えに、マリはにっこり笑う。

「そうですね、永遠に」

不意の事故があったが、すべてが順調だった。

このまま行けば、クローヤン地方を安定させ、それと真に一つになることも夢ではないだろう。

その時、ラエルが窓の外を眺めながら言った。

「雨がたくさん降ってるね」

「そうですね。もう4日目なのに」

「すぐに止まりそうだけど、もしかしたら長くなるんじゃないかと心配だ」

マリも同じ心配をした。

大洪水が少し前だったからだ。

ラエルは首を横に振りながら言った。

「それでもまだ堤防やダムの水位には余裕があるだろう？」

「はい、満水位になるまで余裕があります」

「よかった。それでも万全を期していたほうがいいね」

マリもその意見に同意する。

「はい、そうします」

そのように会話を終えた彼らは、言葉なくお互いを感じた。

ラエルは彼女の頭を撫で、マリはその手を感じて雨の音を聞く。

夢のようだった。

彼と一緒にいることが胸が詰まるほど幸せで、彼女は訳もなく涙が出そうになる。

この幸せが去るのではないかと怖かったのだ。

（もう彼のいない人生は想像できないけど、彼がいなくなったら私はどうしよう？）

とても幸せで、同時に怖くて涙が出そうだった。

（私・・・本当に彼のことが好きなんだ）

マリはひそかに目の周りの涙を拭う。

「陛下、ちょっと散歩に出かけてはいけませんか？」

「散歩を？雨が降ってるよ？」

「中にいると息苦しくて。医者も少し歩き回った方がいいと言ったじゃないですか」

ラエルは書類を置いてうなずいた。

「分かった。でも、雨に濡れるかもしれないから私にくっついて歩くように」

マリは笑いながらうなずいた。

「はい」

二人はクローヤン王城を歩いた。

「絶対無理してはいけない。大変ならすぐに話すように」

「私はほとんど治りました。これくらいは平気です」

王城には最小限の管理人員しかいなかったので、彼らは他人の視線を気にせず手をつないで歩く。

「ここもそれなりに趣があるね。皇居とは違う感じだよ

「その通りです」

マリはうなずいた。

帝国の皇居が華やかで雄大だとすれば、クローヤン王城は静かで古風だった。

（王城をまともに見るのは私もほとんど初めてだ）

主に通院の宮に閉じ込められていたため、王女だった彼女も王城をゆっくりと見物したことがない。

「そういえば、君はここ王城の出身だね。行ってみたいところがあるかな？」

「私もよく分からなくて・・・」

「そうなの？じゃあ、歩いてみよう。情景がきれいだから」

二人は互いに手を取り合って、あてもなく歩いた。

雨が少し強かったが、彼と一緒に散歩すると、マリは安らかな気持ちになる。

（幸せ）

彼らは庭を散歩しているときに空いている宮殿に到着した。

「ちょっと入ろうか？雨脚がだんだん強くなっている」

「はい、陛下」

二人は宮殿の中に入った。

誰も使わない宮は寂真として静かだった。

「雨にたくさん濡れたね。帰ったら風邪を引かないようにすぐに体を乾かさないと」

ラエルは心配して、マリの体の水分を払い落とす。

「ちょっと中を見てみよう。どうせすぐ出かけるには雨足が強すぎるから」

「はい、そうしましょう」

マリはうなずいた。

二人はまるで観光でも来た気分で宮の中を見回す。

そのように長い間中を歩き、ラエルは首を横に振った。

「大したことはないね。しばらく中で休んでから帰ろうか？」

そう言いながら空き部屋を指差したが、彼女を眺める彼の目つきがなぜか尋常ではなかった。

あの薄暗い部屋につられては何だか酷い（？）事にあいそうで彼女は首を横に振る。

「また変なことしようとして・・・」

「変なこと？何？」

意地悪な問いにマリは顔を赤らめた。

「知りません。早く帰りましょう」

しかし、その瞬間、ラエルが彼女を自分の胸に抱いてキスをする。

「・・・」

突然の奇襲キスにマリの瞳が大きくなった。

彼女は彼の懐から抜け出そうとしたが、すぐに濃密な刺激に力が抜けていく。

「愛してるよ、私のマリ」

しばらくキスを止めたラエルは彼女の耳元でささやいた。

その甘い声にマリの心臓が揺れる。

「私も本当に大好きです」

二人は再びキスを続けた。

誰もいない静かな宮で、お互いを貪り食った。

やがてキスが終わり、彼の胸から離れたマリは顔をリンゴのように赤く染める。

人影のない宮でキスだなんて、訳もなく恥ずかしかった。

「どうしたんだ？」

「あ、いいえ」

「ふーん？」

「なんでもないです！」

マリはびっくりして首を横に振った。

ラエルはそんな彼女が可愛いというように口角を持ち上げる。

彼は彼女の肩を温かく抱きしめながら言った。

「もう帰ろう」

「はい」

肩に触れた彼の柔らかい感じにマリは胸がドキドキする。

わくわくしながらも、暖かい感じだった。

この幸せを逃したくなかった。

マリは宮殿の外に視線を向け、コモン城の全景を眺める。

何があってもクローヤンを安定させ彼に自分の正体を明らかにし、彼と一緒にいる。

どんな困難があっても絶対にひざまずかないと彼女は誓った。

その時、ラエルが尋ねた。

「何を考えているんだい？」

「何でもありません」

彼女は首を横に振り、心を込めて言った。

「陛下、愛しています」