こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は198話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
198話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 開戦
ラエルが出陣の準備を整えている間、マリは第三軍団と対峙し戦う準備を進めていた。
「第三軍団の位置はどこですか?」
「イアノ城から出て、こちらへ向けて進軍中です。」
現在、第三軍団は王国南部のイアノ城付近に陣を敷き、進軍を遅らせていた。
おそらくストーン伯爵との交渉を待っていたのだろう。
しかし交渉が絶望的な結末を迎えた以上、第三軍団を迎撃しなければならなかった。
しかし、現実的に見て、私たちの兵力で正面から戦って勝つのは無理だ。
会戦を始めれば一気に壊滅するだろう。
マリは重い表情で考えた。
「策を練らなければならない。」
彼女は少し前に見た「鳳雛(ホウスウ)、龐統(ホウトウ)」の夢を思い出した。
夢の中の人物は、少ない兵力で強大な敵を打ち破る素晴らしい策略を持っていた。
そんな策が必要だ。
「どうすればいい?」
彼女は地図を眺めながら思案にふけった。
「まずは客観的に比較してみよう。私たちの軍と第三軍団の戦力差を。」
その差は絶望的だった。
兵力の差は三倍以上で、質も比較にならない。
「帝国軍は馬に乗った騎士だけで5,000人以上おり、そのほかの兵力も重装備の重装歩兵と弓兵が主体だ。」
一方、王国軍の騎士は手元に少ししかおらず、装備も貧弱だった。
ただし、クローヤン王国の伝統的な商人たちは弓の扱いに長けている。
だが・・・敵軍は弓兵だけでも1万人を超え、その戦力差を埋めるのは非常に難しい。
「これは卵で岩を砕こうとするようなものだ。」
重い気持ちが胸にこみ上げた。
「いや、それでも諦めるわけにはいかない。何か方法があるはずだ。」
彼女は歯を食いしばった。
諦めてしまえば、すべてが終わりだ。
ラエルや自分のためにも、絶対に方法を見つけなければならなかった。
「籠城は無理だ。時間を稼げば、帝国からさらなる増援が押し寄せてくる。」
マリは考えを巡らせる。
あの第三軍団に歯向かうのは無謀だが、時間が経てば帝国の本隊が到着する。
だから、それまでに第三軍団を打ち破らなければならない。
「敵の強みを弱点に変え、私たちの弱点を強みにする方法を考えなければならない。」
そう思案していたとき、夢に出てきた策略家の助けを得たかのように、彼女の目に地図の一箇所が目に留まった。
「ある! 絶対的不利な状況の中でも、私たちが有利に戦える方法が! 私たちに有利な場所で戦えばいい!」
自分たちに有利な地形を利用する。
それは戦術の基本中の基本。
「第三軍団の最大の強みは、鉄甲で固めた重装備だ。でも、その重装備がかえって邪魔になるような場所で戦えばいい。」
まさに険しい地形にはそうした条件を満たす場所があった。
「問題は、第三軍団をそこに誘導することだけど・・・。」
マリはその方法もすぐに思いついた。
「私を囮にすればいい。」
第三軍団の最優先目標は、他でもなく彼女、モリナ女王だった。
彼女が計画した地点で陣を張っていると分かれば、間違いなく第三軍団はやってくるだろう。
「そして、その戦いを始まりとして、別の戦略を・・・。」
続く展開を考えながら、マリはバラハンを呼び寄せた。
「お呼びですか、陛下?」
マリはバラハンに自身の作戦を説明する。
バラハンは目を大きく見開いた。
彼女の作戦に驚いたのだ。
彼は感嘆の眼差しでモリナの顔を見つめた。
それは見事な戦略だった。
もし彼女の計画通りに進めば、第三軍団を撃退することも夢ではない。
ただし、ひとつ問題があった。
バラハンは不安げな表情で言った。
「本当に陛下が直接お出になる必要があるのでしょうか? あまりにも危険です。」
「私が行かなければ、第三軍団を誘導することはできません。」
「それでも・・・。」
あまりにも危険だった。
作戦の過程でほんの少しでも何かが狂えば、彼女の命が危うくなる。
「陛下は我々クローヤン王国の王でいらっしゃいます。」
「だからこそ、なおさら先頭に立つべきではありませんか。それが王の役目ではないでしょうか?」
彼女の毅然とした返答に、バラハンは深いため息をつく。
まるで、また同じ状況が繰り返される予感がしたようだった。
バラハンは言葉を飲み込み、もはや説得が通じないと悟ったため、彼は決心した。
どんなことがあってもモリナを傷つけさせないという決意を胸に、静かに答える。
「従います。」
マリは第三軍団のアルベロン伯爵に書簡を送った。
「カーマン城南部のイノスン地域で決戦を行うと?」
アルベロン伯爵は苦笑しながら答えた。
興味深そうにこう言った。
「イノスン地域は、豪雨による洪水で地形が泥濘化しており、騎兵の機動力が著しく制限されるでしょう。」
「つまり、我々の部隊には不利な地形だ。しかし、これはまさにマリ・フォン・ヒルデルン、いや、今やモリナ女王らしい考えだ。頭を使った戦略だな。」
「それで、応じるのか?」
アルベロン伯爵は静かにうなずき、こう答えた。
「いいえ、受け入れます。」
「どうしてでしょうか?」
アルベロン伯爵は重い声で話し始めた。
「彼女がどんな策略を使おうと関係ない。」
「・・・!」
「戦力差は3倍以上。実質的な戦力差は10倍近くにもなる。地形が不利だとしても関係ない。ただ正攻法で押し通せば終わりだ。」
彼の言葉は揺るぎなかった。
王国の策謀や戦力差は小手先の策略では埋められるものではない。
「ただし、今回の戦いで有意義なものが一つある。」
「それは何ですか?」
「マリ・フォン・ヒルデルン、いや、モリナ。彼女を必ず捕らえなければならない。」
そう語るアルベロン伯爵は、西帝国との密約を思い起こしていた。
『必ず彼女を生け捕りにしてください。』
アルベロンは東帝国を裏切る代償として、この命令を受けていた。
ヨハネフ3世に対し、大功を立てることを約束していた。
その際に彼が承諾した依頼。
それは、クローヤンの女王モリナを殺さず、必ず生け捕りにするというものだった。
彼はモリナが回戦を提案した場所を示した地図を見つめる。
(あんな不利な地形で回戦を挑むとは愚かなことだ。どちらにしても楽になった。城で籠城されれば時間がかなりかかっただろうに。)
アルベロンは今回の回戦を利用し、王国軍を殲滅することはもちろん、モリナを捕らえて完全に王国を支配しようと考えて命じた。
「進軍する。モリナが提案した回戦場所へ。この戦いでクローヤン王国を再び滅ぼす。」