こんにちは、ちゃむです。
「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。
今回は39話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
39話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 王への交渉
クラリスが首都を離れる前日の夜。
マクシミリアンは弟であり、この地の主人である王に謁見した。
「私の愚かな弟が美色に弱いという新しい事実を知って嬉しい」
彫像のように美しい男、ライサンダーはソファーの上に半分ほど横になり、あごをつんだままため息をついた。
「女とは一生母しか知らないと思っていたわが子のアヒルが、囚人の前で男の真似をするなんて。可愛いこともある」
満面の笑みを浮かべながら、マクシミリアンは落ち着いて答えを聞かせてくれた。
「バレンタイン王子様は寂しさが深かっただけです。.同じ年頃の人と会う機会が少ない分だけです」
「ああ、まったく」
ライサンダーが立ち上がった。
半分ほどいた衣類がソファーの下に流れ落ち、ほとんど裸身に近い姿になる。
「うちの兄さんは本当に雑種に弱いんだから!あの子まで気の毒に思ってくれるなんて」
「私ならその子供をこっそり殺してしまったのに」とライサンダーは小さくつぶやいた。
マクシミリアンは何の返事もしなかった。
「先日伺ったことで、答えを聞きに来ました、殿下」
「また別の若い雑種のことだよね?本当にこのままじゃ、兄さんのそばに雑種博物館でも建てようか」
ライサンダーはくすくす笑う。
「あの子が立派な18歳になりたがっているって?」
「はい、そのための一時的な身分整理をお願いしました」
公式的な身分が「囚人」である以上、クラリスが何かを学ぶのに制約があるしかなかった。
マクシミリアンは彼女を説明する別の地位を求めたのだ。
18歳の誕生日前までに使う一時的なものだが。
「ちょっと複雑なんだけと。やっぱり今からでも殺してしまった方が・・・」
「私の被後見人ぐらいならいいです」
マクシミリアンがライサンダーの言葉を絶ち、強い口調で答えた。
「ほぉ」
ライサンダーは興味深いかのように目を細めたまま尋ねる。
「兄さん、本当にそれに情でもあったの?」
「子供が安全と教育を保証されなければならないということは法に出てくる事項です」
「まあ、そうだね」
「何ものも子供が学ぼうとする意志をくじくことはできないと、初代王もおっしゃったことがあります」
「うん、でもそれは無限の可能性を持った子供たちの話じゃない?」
ライサンダーは楽しそうに微笑んだ。
「18歳で兄さんの手で殺してしまう子じゃなくて」
「・・・」
「その子が何を学んだとしても、どうせすぐに落ちてしまう花だ。そんな不良植物に良い土と澄んだ水を提供しても、そこに何の意味があるの?」
「たとえそうだとしても、殿下」
マクシミリアンは腰をかがめた。
「私たちの判断によって、子供に当然与えられるべき機会さえ剥奪するのは間違っています」
「ふーむ」
「18歳まではあと約9年も残っています。何かを学び、花を咲かせるのには十分な時間です」
マクシミリアンの目から妙な熱意が沸き起こったのが面白かったのか、ライサンダーはにっこりと微笑んだ。
「ちょっと考えてみてもいい?」
「あまり長くかからないことを願います」
「知ってるよ、私もこのような問題を9年も悩むつもりはないから、安心してもいいよ、兄さん」
ライサンダーは席から立ち上がり、ベッドによろよろと向かった。
「じゃあ、もう帰って寝てもいい?睡眠時間が足りなくなると肌が荒くなるんだ。兄さんも知ってるじゃん、俺は顔以外は特に長所もない王だから」
「・・・」
「要請の件についてはシェリデンに人を送って答えをあげる」
そしてライサンダーは頭の上まで布団をかぶった。
これ以上対話しないという意味のようで、マクシミリアンは仕方なく頭を下げて挨拶をする。
「それでは、お待ちしております」
応答のないライサンダーを後にして、マクシミリアンは彼の寝室を出た。
「あ」
そして、ちょうどその前で思いもよらない人物と出会うことになった。
王妃、デビナ・サッパーズ。
かつてはマクシミリアンの婚約者だった人物のことだ。
実際彼らはこれまで互いの立場を尊重して、別々に会ったり、出くわすことを避けてきた。
でも、こうやって廊下でばったり会うとは。
「あの、殿下がお呼びになって」
彼女はどもりながら言い訳のようなことを言った。
マクシミリアンは、この出会いがもしかしたらライサンダーの意図ではなかったのではないかと考える。
「すみません、マックス」
ふと彼女が謝罪をした。
マクシミリアンはそれが何のための言葉なのか分からないまま、ただうなずいた。
「マックスが来るという話を聞いて、できれば会わないようにしました。もし公爵夫人が私を見たら気分が悪いかもしれません」
彼女の言葉には多少語弊があったので、マクシミリアンは真顔で答える。
「私の妻、ブリエル・シェリデンは王室に忠誠を尽くす淑女です」
「相変わらずですね、マックス。それが本気だと思いますか?」
デヴィナは長い緋色の髪をかき回し、苦々しく微笑む。
「あなたは女の心なんて、全然知らないわ。そもそも私の考えを気にしたこともないでしょう?」
「はい、ありません」
マクシミリアンは当然のように答えた。
「・・・薄情よ」
「これで失礼します」
彼は不快感を抑えながらやっとまっすぐな挨拶をした。
「マックス」
帰り道に後ろから呼び戻す言葉が聞こえてきたが、彼は足を止めなかった。
「ごめんなさい」
そうしてまた聞こえてきたお詫びの言葉もやはり、マクシミリアンは片耳で聞き流して、別宮へ帰っていく。
公爵とクラリスがシェリデンに戻った日には、ちょうど雨が降った。
それはもうすぐ春が来るというシグナルでもある。
シェリデンの春はクラリスが今まで経験してきたどんな春よりもはるかに寒かったが、それでも一番楽しい時間だった。
冬眠から覚めた蛙を見に行ったり、新しく育つ爪ほどのインゲン豆の新芽を観察しながら日誌を完成したりもした。
しかし、何よりも楽しいのは、月に一度ずつ報告のために訪ねてくるノアに会うことだ。
ノアとは特別な遊びをしなくても楽しかった。
狭くて破れた窓枠に一緒に体を丸めたままおしゃべりをしてそのまま眠りについたのも何度もある。
そうやってお互いに遊んでいると、たまにノアの猫の仮面が少しだぶたぶになる時があったけど・・・。
その度にクラリスは、湧き出る好奇心をぎゅっと抑えて、素早く視線をそらしたり、仮面を直したりするように手伝ってくれた。
そんな短い春があっという間に過ぎ、いつの間にか夏になる。
クラリスはもう丸毛の服から完全に抜け出して、ひらひらとした着心地のいいワンピースを好んで着ていた。
だが、今回城壁から到着したばかりのノアが発見したのは、なぜか宴会でも行くように素敵なドレスを着たクラリスだ。
「少女は暑くもないの?」
彼はクラリスの手を取って、熱を冷やす魔法を使う。
魔法のおかげか、少女の鼻にぷるぷるしていた汗がすぐに消えた。
「暑い、でもしょうがないよ」
クラリスは握った手を振りながら頬を赤らめる。
ノアは咳払いをした。
「ふむふむ、私が来るといって急にそんなに丁重に着飾るなんて、まったく・・・」
「今日先生がおいでになるの!」
クラリスはノアの両手をしっかりとつかんだ。
「先生?」
「うん、うん!ねえ、この前私が公務試験の準備をすると公爵様に申し上げていると言ったじゃないか」
「も、もちろん覚えています」
「私は一人で勉強すると言ったけど、公爵様が私のために先生を助けてくれたんだ」
「・・・そういうことだったのかな」
「先生にいい姿をお見せしたくて、丁寧な服を着たの。ねえ、私の先生は大学を出たとても賢い紳士なんだって」
「しょ、少女の言葉には語弊がある。大学を出たからといって必ず頭がいいという保障はないものだ!」
「でも・・・」
クラリスは彼を玄関に導きながら答えた。
「公爵夫人がそうおっしゃったんだ。だから間違いない事実だろう。奥様は私に嘘は絶対つかないから」
「・・・ふん」
「あ、私が育てたインゲン豆とアサガオがどれだけ育ったか見ていく?公爵様に報告は夕方に差し上げるんだよね?」
ノアは普段、シェリデンに到着するとまず大きくなるクラリスに会って一緒に遊ぶ時間をごしたものだ。
これは冬から今まで一度も変わっていない暗黙のルール。
「今日は公爵に報告するのが優先です」
しかし、ノアはなぜか瞬間的な衝動でそのように答えてしまった。
「何か重要な発見でもあったらしいね」
「まあ、別にそういうわけではないけど・・・」
「じゃあ、執事のおじいさんに公爵様にすぐにお会いできるか聞いてみよう」
クラリスは数歩先で彼らを見守る邸宅の執事の方へぐるりと向き直った。
その瞬間、真っ白なリボンがノアの目の前にひらひらと浮かんだ。
彼の手首に巻かれたのと同じもので、彼らが初めて友逹になった時にクラリスと分け合ったリボンだ。
「あ」
彼は思わず長いリボンの先を手で握った。
ひらひらとした音とともに解けたリボンが彼の手にひらひらと落ちてきた。
「・・・?」
「あ、いや・・・」
ノアはすぐにリボンに魔法をかけ、クラリスの髪の毛の間にこれを送り返した。
魔法にかかったリボンはまるで生きている蛇のょうに自らきれいな結び目を作る。
「リボン・・・したとは知らなかった」
「当たり前じゃない」
クラリスは戻ってきたリボンの先を指でいじった。
「ねえ、実は先生が私を引き受けるとはっきり決めたのではないんだって。直接会ってから決めるつもりみたいだね。それで実はずっと緊張してたんだよ。でも・・・」
クラリスはノアににっこりと微笑んだ。
「ノアと交わしたリボンを一瞬からは少しずつ落ち着いていくみたい」
「・・・」
「ありがとう、ノア」
「・・・少女のようにかわいい子を弟子として受け入れない馬鹿はいない」
「え?何だって?」
「いや、何も」
ノアは首を横に振り、クラリスの腕をつかんだ。
「やはり植物の成長を先に見たほうがいい」
「でも公爵様に重要な報告があるんじゃなかったの?」
ノアは返事の代わりに、近くにいた執事に頼みの言葉を残した。
「公爵に私が夕食後にお目にかかると伝えて」
嬉しそうに笑って老執事が「分かった」と答えようとする時。
庭から馬車の音が聞こえてきた。
クラリスとノアはお互いに向き合う。
ライサンダーが得体が知れなくて不気味ですね・・・。
ノアとは順調に親交を深めているようです。
クラリスの先生はどんな方なのでしょうか?