こんにちは、ちゃむです。
「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

99話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 嬉しい報告②
「今日は良いことだけがありましたよ。」
少し目を伏せながら、クラリスは少し前に宝石が話したことを思い返した……。
【クラリス、そんなに強く握らないで!クラリス様が見えないと寂しいよ!お嬢様、お嬢様!】
……と言いたかったが、あまりにも騒がしかった。
【お嬢様!お嬢様!】
もはや状況を整理する余裕すらなくなるほどだった。
「クラリス、本当に大丈夫?」
公爵夫人が再び心配そうに尋ねると、クラリスは明るく答えた。
「もちろんです!侯爵夫人はとても親切にしてくださいました。その方もグレジェカイヤのご出身だとおっしゃって、これから私と仲良く過ごしたいとおっしゃっていました。」
本来ならば、驚くべき話題として詳しく説明すべき内容だったのだが……。
クラリスは今日の突然の出会いを軽くまとめて説明するしかないこの状況に、少し絶望していた。
「そうでしたか。それでは、次回は私が侯爵夫人を訪ね、正式にご挨拶を……。」
【クラリス!見えない! うわーん!お嬢様、お嬢様!】
「ふ、夫人!私、課題があったのを思い出しました!」
「え?首都でも課題があるのですか?」
「あ……はい、家庭学習みたいなものです。夕食前までにまず課題を終わらせてから、またお話しに来てもよろしいでしょうか?」
クラリスはそっと後ずさりしながら、そう言った。
「私は、大丈夫ですけど……クラリス、顔色が良くないですね。どこか具合が悪いんですか?」
「そんなことないですよ! ただ、すごく気まずくて……いや。」
「気まずい?ここがですか?」
「いえ!私の気持ちが、早く課題をやりたくて落ち着かないだけです! 私、課題の熱心な支持者なんです! 違う……!」
「え?」
「ああ、本当に。失礼します。本当に申し訳ないです!」
クラリスはちゃんとした挨拶もできないまま、廊下の外へ駆け出してしまった。
『だから、ポケットのない服を着るとたまに困るのよね。』
ブローチを置く場所がないので、クラリスはやむを得ず、絶えず「お嬢様!」と叫び続ける宝石の声をすべて受け止めながら、急いで部屋に向かった。
部屋に着いたクラリスは、まずベッドの上にブローチを置いた。
「はぁ。」
頭の中がようやく静かになった。
こんなに騒々しくて落ち着かないのは本当に久しぶりだ。
クラリスはまだ少し残る頭痛を手で軽く押さえながら、首都から持ち帰った鞄の前に座り、モチを取り出して口に含んだ。
聞きたいことがあった。
「ねえ、モチ。」
「コォォォォ……!」
しかし、モチはクラリスの呼びかけよりも、ブローチの方を警戒するように鋭い視線を向けていた。
どうやら、さっきクラリスが聞いたあの騒がしい声をすべて聞いていたらしい。
「ごめんね、ちょっと……うるさい友達でしょ?」
「コォ?(友達?)」
「ははは。」
「コォ!(どこでまたそんな騒がしいものを拾ってきたのさ!)」
モチはピョンピョンと飛び跳ねながらブローチを素早く掴み上げ、クラリスの寝具用の鞄の中に勢いよく押し込み、そのまま適当に布団の端を引っ張って閉じてしまった。
「コォ!(静かにしろ、私は原種隊なんてやらないぞ!こんなの関係ない!)」
モチは鞄の上で数回跳ねた後、前足をポンポンと叩いてパッとクラリスの前に戻ってきた。
「コォ。」
「え、処理した……?」
クラリスは不安そうな表情で自分の鞄をチラリと見た。
「コォ。」
「……あぁ、眠らせたってことね。でも、あんなに大声で叫んでいたんだから、どんな宝石でもしばらくは起きてこないわね。」
クラリスの膝を登って手の上に座ったモチは、じっと彼女を見つめていた。
説明を要求しているのだ。
クラリスは仕方なく、ブローチとの出会いから今までの出来事を説明した。
「コォ。」
「返すわけにはいかないわ。奥様が心を込めて贈ってくださったものだから。」
その温かい気持ちが「騒がしさ」に変わるとは思わなかったが。
クラリスはしっかりと閉じた鞄をしばらく見つめてから、モチを抱えたまま立ち上がった。
しかし、ベッドの上でふと体が震えた。
同時に、彼女の手から落ちたモチは、淡いピンク色の髪の隙間からこっそりと髪飾りを咥えた。
「モチ。」
「コォ?」
「ほら、これはもしもの話なんだけど。」
モチは髪飾りをぎゅっと咥えた。
さぁ、話してみなさいというように。
「もし、私と長い間離ればなれになって、再会したとしたら、私を見分けられる?」
「コォ。」
クラリスが慎重に質問を投げかけたのに対し、モチはまるで当然だと言わんばかりに簡単に答えた。「当たり前じゃないか。」と。
「でも、もし私がすごく幼い頃……つまり、4歳くらいのときに離れ離れになったら? そして、大人になってから再会したら?」
「コォ。」
「問題ないって? どうしてそんなことが言えるの? 匂いもきっと大きく変わっているはずなのに。」
モチはすっと駆け寄り、クラリスの鼻先にその固い額を「コツン」と当てた。
「痛っ。」
「コォ?」
「疑ってるわけじゃなくて……その、ほら。歳を重ねれば背丈も変わるし、顔の輪郭や声の響きも違ってくるじゃない? それでも私を……一目で見分けられるの?」
「コォ。」
モチは再び髪飾りをぎゅっと咥えた。
「どう……いうこと?」
再び問いかけられると、モチは少し考えた後、まっすぐにクラリスを見つめて答えた。
「コォ。(クラリスは世界で一番愛すべき人間だから。)」
「……え?」
突然の照れくさい褒め言葉に、クラリスの顔は一瞬で真っ赤になった。
「コォ!(当然のことに恥ずかしがるな!)」
しかし、そう言うモチ自身も、布団の中で全身をくねらせながらもじもじしていた。
「……私をそんなふうに思ってくれるの、きっと世界であなただけだわ。」
クラリスは照れくさそうにするモチの頭を優しく撫で、そっと微笑んだ。
「ありがとう。」
「コォ。」
クラリスは再び天井を見上げながら横になった。
実は最初にブローチが公爵夫人のことを「お嬢様」と呼んだとき、クラリスはただ驚くばかりだった。
しかし、その後図書館から抜け出し考えを巡らせるうちに、ある程度の可能性があるのかもしれないと思い始めた。
二人とも美しい銀髪を持ち、優しい目元をしている点で少し似ているとも言える。
『もしそれが事実なら、私が無理に動かなくても、自然に解決する問題ではないだろうか?』
二人とも、魔法師団に家族を探すための血縁検査を依頼している状況だった。
つまり、問題は一つだけだった。
その結果が本当に一週間以内に届くのかどうか、ということだ。







