こんにちは、ちゃむです。
「あなたの主治医はもう辞めます!」を紹介させていただきます。
今回は93話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
93話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 花火
「リチェちゃん!」
私は思ったよりファーストクラスの人の数が少なすぎてかなり戸惑った。
今回の花火大会のために建てられたという簡易観覧塔はピラミッド型の構造で、階が高ければ高いほど狭く、人の数が少ない。
それで1等席の欄干に立つとすぐ下の階である2等席が見え、2等席の下に3等席が見えた。
フェレルマン子爵は地位で言えば2等席には行くことができる。
しかし、花火を見に行くのかという私の質問に、彼は「空からお金を爆発させることなどには関心がない」と一蹴した。
ファーストクラスには人の数が絶対的に少なく、人がうようよしている3階席より相対的に空間が広く見えた。
さらに、どれほど華やかに装飾されたのか、あちこちに大理石で作られた大きな彫刻像が並んでいる。
欄干にもたれて下の階の3等席をのぞき込んでいると、ジェイド皇太子が近づいてきた。
「思ったより遅かったね。もうすぐ始まるのに。聖女の神託を受けたからだよね?」
「あっ、噂が早いですね」
私は恥ずかしそうに少し笑った。
「いい内容だったことを願うよ」
ジェイド皇太子は私にシャンパンを1杯渡して青い目を瞬かせた。
「ハエルドン兄さんが信託を受けた時が20年前だったか・・・」
遠くでハエルダン皇子が自分の皇妃と一緒に欄干にもたれかかっている。
この前、私のブースに訪ねてきたイスエラ夫人だ。
二人ともかなり年をとっているように見えるが、子供がいないということを改めて思い出した。
「私は若すぎてよく思い出せないが、その時も聖女が近づいてきて、ハエルドン兄さんにささやいたそうだ。そして、それを聞いたハエルドン兄さんの表情が無残にしわくちゃになったという。いい言葉ではなかったようだね」
ジェイド皇太子は頭を掻きながらため息をつく。
「私たちは皆、時間が経っても子供が見られなくなるという話を聞いたのではないかと推測したりしたよ」
そうするにはまだイスエラ皇太子妃の顔に希望と切実さがにじんでいたが・・・。
とにかく、私が皇族についてあれこれ言うわけではないので、私はただ中途半端に首を横に振った。
「リチェさんはいい言葉を聞いてほしい。そうしてこそ今日気分がいいじゃないか」
「いい言葉でしたよ」
私は通り過ぎる使用人が持っていたフィンガーフードを一つ食べながら明るく話した。
事実、引き続き信託を考えるために頭がくらくらしたが、ひとまず今は意識的にでも忘れてしまわなければならないようだ。
「それは別として、気分もいいですし」
よく準備しておいたイシドール男爵の手形を考えると、再びにやりと口角が上がった。
ところで、多くないファーストクラスの人たちを皆目を通したが、エルアンが見えない。
何があったのか、心の中で考えるとジェイド皇太子が話を続けた。
「よかった。もちろん私を見て気持ちがいいんだろうね?私も今日、リチェさんに言いたいことがあるんだ」
エルアンもいないので、ファーストクラスで私が知っている人はほとんどいないと言っても差し支えない。
上級貴族と皇族の間で私はかなり異質である存在だ。
「皇帝陛下が病気で来られないので、開会の辞は私がしなければならないと思う。ここにいて、また来るよ」
皇帝は老衰のため、数年前からこのような大きな行事によく出られなかった。
ジェイド皇太子は私の手の甲にキスをして素早く中央に移動する。
史上最大規模となる花火に対する祝辞とともに開始を宣言する予定だった。
私は誰も知らないふりをしてシャンパンを飲む。
(エルアンがいると思ったのに・・・)
思わず思ったことに私はびっくりした。
無意識にファーストクラスに来た瞬間から彼を探していたのだ。
もう私がこれ以上気遣って拒けることもつける理由もないのに、後で花火大会で会おうという言葉をずっと思い出していた。
(知ってる人がいないからだろうね?)
私は訳もなく手すりに寄りかかって下の3等席を見たる
ディエルのピンク色の髪でも見つけたら、薬を上げるのを兼ねて手でも振ってあげるつもりだった。
3等席だけでも人がかなり多く、すぐ下の階でもないので目を通すのに時間が少しかかる。
ジェイド皇太子の開会の辞を片耳に流しながら下を見下ろしていると、鮮やかなピンク色の髪が見えた。
「え?」
ディエルだと思って片手を上げていた私の目が大きくなる。
ディエルではなく長いピンクの髪を結い上げた黒っぽい女性だった。
驚くべきなのは、彼女のそばに寄り添うエルアンの存在。
(エルアンが3等席になぜ・・・?それも女性と?)
目を細めて見たが、私の知り合いではなかった。
少なくとも、セルイヤーズ公爵城にあんなピンク色の髪はディエルしかいない。
私はエルアンが他の女性とあんなに二人きりで長い間一緒にいるのを初めて見た。
彼らをじっと見つめている間、彼らはお互いのそばを歩き回り続けた。
(多分、私が3等席にいると思ってるみたい)
ジェイド皇太子にファーストクラスの招待券をもらったことを知らず、他のセルイヤーズ公爵領の人々と一緒にファーストクラスにいると思っているようだ。
私は手すりにくっついて手を振ろうとしていた。
「あの・・・」
ここで私のことを知ったかぶりをする人はいないだろうが、誰かが注意深く私に声をかけた。
「お嬢さん?」
「・・・あら」
私は後ろを振り向いて嬉しさににっこり笑う。
「もうお体は大丈夫みたいですね」
私の前に立った青年は、前回の狩猟大会で私が治療してあげた「エッセン・レイジ」だった。
十分に休めば治ると言った通り、彼の体調はとても良さそうに見える。
「ここに何かあったんですか?」
嬉しくてにこにこしながら笑う私とは対照的に、彼の顔は当惑しているようにこわばっていた。
「ええと・・・皇太子さまがお招きしてくださいました」
平民のくせに、「なぜここに来たのか」という意味かと思い、私は瞬きしながら答える。
「エシオン卿はここに何の用事で・・・」
「私はフリート侯爵の護衛騎士として来ました」
彼は堅苦しく答え、周囲を一度見回し、しばらくためらった。
特に対話を続ける意志があるわけでもないようで、私たちの間にはぎこちない静寂が漂う。
私はしばらく黙っていたが、それから注意深く尋ねる。
「何かお話でも?」
エシオンはためらった表情をしてため息を一度ついて声を低くして言った。
「ここを離れた方がいいですよ、お嬢さん」
彼の目は不安そうに震えていた。
「え?」
「他の所に行ってください」
私の表情も固くなる。
彼は何の理由もなくこのような警告をしないだろうという気がした。
「ルウェリッチ家の令嬢ではなく、リチェさんが私を引き受けてくれたのは、私の人生で一番運がいいことでした。」
「後で恩を返すことがあれば、忘れずに返してください」
エシオンは騎士であり、恩を着せた私に無駄なことを言うはずがない。
私が理由を聞こうとしたら、遠くから彼が仕えているフリート侯爵が叫んだ。
「エシオン卿!一体どこに行っているの?」
エシアンは私の目をしばらく見つめ、もう一度目配せして振り返った。
「ああ、リチェお嬢さんがいらっしゃって・・・。ご挨拶をしたかったのです」
彼が答えると同時に、ジェイド皇太子の開会の辞が終わる。
「そして、誰もが期待していた今回の建国祭の花火を始めたいと思います!」
広場の人々まで歓声を上げ始め、大きな爆竹の音とともに華麗な花火が一斉に舞い上がった。
夜空いっぱいの花火は確かにすばらしい絶景だ。
皆が嘆声を上げながら、ぼんやりと夜空を眺めている。
私はエシアンの警告を無覗したくなかったので、気を引き締めてあたりを見回した。
いつの間にか開会の辞を終えたジェイド皇太子が近づいてきた。
「リチェさん、どう?私、開会の挨拶上手くなかった?かっこよかったでしょ?」
「・・・ええ、まあ」
どうしても良心的に聞いていないとは言えず、適当に答えた後、エシオンの言葉通り、この場を離れる言い訳を無理やり絞り始める。
「ところで、公爵様が見えませんね。会うことにしたのに・・・」
「3等席にいたけど」
彼は無邪気に答えた。
「たぶんセリアナのせいでファーストクラスに来られなかったんだろう。外国人はファーストクラスに来られないんだ」
「セ、セリアナですか?もしかして、ピンク色の髪の毛に肌がちょっと黒っぽい・・・」
今、そういう時じゃないのに、私の声は少し緊張していた。
「うん、建国祭の間ずっとくっついていたのを見ると、普通の仲ではないみたい。イルビア王族の傍系なんだけど、公爵がイルビアで過ごす時、近くに住んでいて親しいんだって」
全く初耳の話だ。
そういえば、エルアンはイルビアで5年間暮らしていた。
近い隣人ぐらいはいるはずだ。
「私は公爵があんなに長い間、女性と一緒にいるのは初めて見た。南に良心を置いてきたせいで、他の貴族の令嬢たちにそんなに関心がなかったようだ。みんなそう思ってる」
私はエルアンが私にどんなに誠実なのか知っていたので,当然誤解があるだろうと思った。
それでも私の表情が少し固まり始めたことを感じることができた。
(ピンクヘアが嫌いなのに・・・)
本能的な不快感は仕方なかったのだ。
ジェイド皇太子は気がつかず、浮かれて話を続ける。
「まあ、公爵が少しもったいないけど、忠臣だから絶対にお祝いしようと思って。女性に関心がないと思ったが純情派だったようだ。遠い所の情人を忘れられずにいたんだね」
私はもう一度下を見下ろした。
本当にエルアンとセリアナという女性が二人きりで一緒に歩き回っている。
私が知らない女性と一緒にいる彼の姿が見慣れないものだった。
「リチェさんは同じ城に住んでいて知らなかったの?」
「はい・・・名前も初めて聞きますね」
礼儀ではないことを知っていながら、私はずっと下にいるエルアンから目を離すのが難しかった。
「確かに、主治医にそんな私生活まで話してあげる必要はない。もちろん私はケインズ卿にいろいろ話をしたりするけどね」
そんな中でも私の頭の上では美しい花火が爆発していたが、私はずっと下だけを横目で見ていた。
エルアンもやはり花火には関心がないように空を見ていない。
セリアナはエルアンに何かきれいに包装された箱を渡した。
エルアンは遠くから見ても大喜びの表情を隠せず、それを受け取っている。
私がつまらないシャツをプレゼントした時に作った表情のように純粋に喜びに満ちた顔で。
妙に心が冷えて気分が悪くなった。
「だからケインズ卿は私がリチェさんにどんな気持ちなのか全部知っている」
もちろん、そんな中でも私の頭の中は忙しく動いていた。
エルアンとセリアナも心を騒がせたが、ひとまずエシアンの警告が急だ。
彼が命を助けてくれた私に嘘をつく理由はない。
その上、精一杯迷っていた表情を見れば、明らかに非常に難しい決定をしたことが明らかだった。
当然その警告を受け入れて避けることは避けなければならないのに・・・。
「私の立場が立場だから、リチェさんは私に気持ちを表現するのが難しいと思う。理解するよ。しかし、私は全部知っている」
ジェイド皇太子の言葉を聞き流し、私は素早くエシアンがどこにいるかを見た。
彼と一緒にいるフリート侯爵は、ハエルドン皇子と遠くで話を交わしている。
(遠くから?)
彼は私に別の場所に行くように言ったが、ファーストクラスにずっと座っていた。
(それならとりあえず避けなければならないのは・・・)
花火そのものが回帰前と違う状況だったので、知るところがなかった。
「ちょうど、フリート侯爵が花火と観覧塔を企画したので、今日がこの日だと思った。なんてロマンチックな夜なんだろう」
「え?」
「いろいろな状況のため、これまでとても慎重に迷っていたが、お姉さんが言っていた。人の心はどうしようもないものだって」
ジェイド皇太子は首を整え、顔を赤らめたまま話し続けた。
「リチェちゃんも私が男としていいんだけど、実は私もリチェちゃんを初めて見た瞬間から」
「殿下、避けてください!」
私はジェイド皇太子を激しく押した。
私たちが立っていた床はひび割れていた。
彼と私の間に巨大なひびが入り、私はすぐに後ずさりし、乾いた唾を飲み込んだ。
運動稗経があまり良くもない私ができるだけ怪我をしない方法は何だろうかと考えた時だった。
(きっともっと大きな衝撃が来るはずなのに・・・)
案の定、ドーンという音とともに目の前が大きく揺れた。
見る時は美しいと思っていた大きな大理石の造形物が破裂音と共に割れ、私の頭の上に倒れていた。
(どうせ私が目的ではないから、静かに隅で生き残ればいい。頭を最大限保護して打撲傷程度に仕上げてこそ、フェレルマン子爵様がなんとかしてくれる・・・)
「リチェ!」
散発的に響く人々の悲鳴の間に、突然ここにいるはずのない人の声が聞こえた。
巨大で親しみやすい体格が私を包み込み、そのまま転がる。
そして、彼の背中には大理石の破片があふれた。
エルアンとセリアナの二人の姿を見て嫉妬するリチェ。
爆破の犯人は間違いなくフリート侯爵でしょう。
エルアンとリチェは無事なのでしょうか?