こんにちは、ちゃむです。
「あなたの主治医はもう辞めます!」を紹介させていただきます。
今回は94話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
94話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 瓦礫の下で
エルアンは3等席でリチェを熱心に探していた。
セルイヤーズ公爵城の人々は皆3等席に出入り可能だったので、リチェはおそらくディエルのようなやつとここにいるだろう。
そして同じように3等席にいるジケルを探すためにセリアナがそばに追いついた。
「いつまで避けられるか見てみましょう」
セリアナが隣でつぶやいた。
とにかくエルアンのそばにいると、セリアナはジケルを何度か見ることができた。
ジケルがいつまでもエルアンのそばを空けることはできなかったからだ。
「おかしいな」
エルアンもやはりセリアナがそばにいようがなかろうが、自分の用事だけを考えているところだった。
「どうして見つからないんだろう?」
「誰をですか?」
「リチェ」
「3等席がとても広いのに、もう探していますか?当然、少しかかりますよ」
「いいや」
エルアンは眉間にしわを寄せながらつぶやいた。
「私がこんなに探せないわけがない。どこでも私はリチェを一目で分かるんだよ」
彼の言葉を聞き流していたセリアナも、他の目的で周りを見回しながら、目標対象を探して明るく笑う。
「さすが!私は見つけました。可愛いジケル、あそこに隠れているなんて」
建国祭の終わりが近づいていた。
セリアナはもうこれ以上エルアンのそばにいる必要がないと判断し、カバンから小さな箱を一つ取り出す。
「さて、約束した改良種です。もう専用の容器も必要なくなりました」
顔をしかめてあたりを見回していたエルアンは、嬉しそうにセリアナを見た。
いや、正確に言えば、セリアナが持っている箱を。
「おかげさまで、ジケルとよく話せました」
箱をすぐに受け取るエルアンの顔がいつのまにかニコニコになっていた。
リチェが欲しいものを手に入れることができて、どんなに嬉しいことか分からなかった。
彼女は通りすがりに言っただけだが、エルアンは彼女が少しでも欲しいものがあれば、無条件に持っていくつもりだ。
「一日でも早くくれればよかったのに」
「それには公爵の人柄を信じられなくて」
残念だというエルアンのつぶやきにセリアナはすぐに答えた。
おそらく、ジケルがそばにいたら、賢明な選択だったと言って、それを渡していただろう。
確かにエルアンは目的を達成するやいなやセリアナがついて来れるかどうかにかかわらず、全力で走ってでもリチェを探しに出るという顔をしていた。
「それでは、私はジケルときれいな花火を見に行きます。炎が爆発する時、ジケルの心臓も爆発することを願っています」
「破れた心臓は、リチェでもどうしようもない。葬式の準備をしなければならないね」
「公爵様も幸運を祈ります。あれを見てください」
セリアナは上を指差して言った。
「あんなに花火が綺麗なんですもの。男女が雰囲気を整えるのにぴったりのロマンチックな夜です。私はもう最後のくさびを打ちに行きます」
思わず彼女の指に沿って視線を移したエルアンの顔がそのまま固まった。
リチェとジェイドが最上階に並んで立っていたのだ。
「・・・リチェがどうしてあそこにいる?」
「え?」
セリアナは眉をひそめ、上を見上げた。
「あんなに上なのに、何か見えるのですか?」
エルアンはセリアナに返事をしないまま、急いで階段を上り始める。
「皇太子がいつあんなことを・・・」
いくら距離があっても、エルアンはリチェを一目で見分けることができた。
彼女がファーストクラスにいたので、これまでファーストクラスで見つけられなかったのだ。
セリアナが今言った「男女が雰囲気を盛り上げる」「ちょうどいいロマンチックな夜」という言葉が頭の中で響き続ける。
彼もリチェと一緒に花火が見たかったので朝からしっかり約束をしておいたのに・・・。
このような夜、ジェイドとリチェが二人だけの思い出を作ることは受け入れられなかった。
階段を3、4個ずつ飛び越えながら、彼は歯ぎしりをする。
無理にリチェを降ろすことはできないが、どうにかして二人の間に挟まって雰囲気を絶対に掴めないようにしなければならないという考えで彼の足がますます速くなった。
「ちょっと待ってください。ここは誰でも入ることができる・・・」
ファーストクラスの出入り口を守っていた騎士が彼の前に立ちはだかったが、すぐに彼の
恐ろしい顔を確認した後、すぐによけた。
「すみません、公爵様。お見逸れしました」
彼が冷たい顔で飛び込んだ時だった。
「殿下、避けてください!」
リチェはジェイドを激しく押しのけた後、危うく後ろに下がっていた。
彼らの間から床ががらんと割れる。
巨大な破裂音が聞こえ、リチェとジェイドがいた場所の上に、あらゆる大理石の造形物が崩れ始めた。
「リチェ!」
エルアンは飛ぶように走り、考えることもなく彼女を抱きしめる。
気がついた時、最初に感じたのは私を巻いている硬い腕だった。
視野が暗くてよく見えなくても、私をぎゅっと抱きしめた男が誰なのか分かる。
彼に抱かれたのは初めてではなかったからだ。
周りを見渡すと、観覧塔が崩れてできた空間の中に閉じ込められているようだった。
頭の上に積もった破片の間から月の光が入ってきている。
暗闇に目覚めて目を瞬きをした後、私はかすかに見えるエルアンの顔を見てびっくりした。
真っ黒な髪の毛の間から血がだらだら流れていたから。
「公爵様、公爵様!」
「気がついた?」
彼が目を細めて囁く。
「怪我はない?」
「私は大丈夫ですが!」
そうしてやっと、しっかりと私を縛り付けていた腕の力が抜けた。
私は慌ててエプロンをはがして、彼の頭の傷を確認した後、急いで止血する。
私たちが閉じ込められている空間は思ったより狭かった。
それでも私が彼の状態を几帳面に確認できるほどに。
彼はひどい顔をしていたが、この混乱を見たとき、この程度の怪我で済んで本当に良かった。
あまりにも運動神経が優れているからだが、もし平凡な人だったら、この程度の負傷で終わることはなかっただろう。
「助けてくれと叫ぶ前に応急処置だけちょっとしますね」
「声はさっき出してみた。周りに人がいないみたい」
私たちの上に積み重なった大理石と木の板を見ると、救助が容易ではなさそうだ。
エルアンも体を起こすことができないほと怪我をしている。
「麻酔剤がないので少し痛いと思いますが、我慢しなければなりません」
エルアンはうなずいて、私は急いで彼の骨を調整し始めた。
かちかちという音がするにもかかわらず、彼は呼吸の音を一つも崩さない。
負傷した物理的な状態で精製されていない魔力を受け入れるのは非常に難しいはずだが、彼の表情は穏やかだった。
「声は出してもいいのに・・・」
「君が我慢しろと言ったじゃないか」
明らかに途方もなく痛いはずなのに、うめき声を一度も出さない彼を見て、思わず目に涙がたまった。
背中の後ろは頭よりもっと凄惨で服が血でいっぱいだ。
いくら私が応急処置をよくしたとしても、今すぐはまともに体を健康に保つことが難しいことが明らかだった。
「あまり心配しないで」
そんな中、彼は優しい声で話した。
「セルイヤーズ騎士団が絶対に探しに来るから。こんな時に備えて、私が訓練をどれだけ一生懸命させたか」
「どうしてですか?」
私は彼の手を取って、魔力の流れを探りながら尋ねる。
「確かに3等席にいたのに・・・」
「私を見た?」
狭い空間が不便で私は再び彼のそばに並んで横になった。
そして、握った手でゆっくりと繊細に磨かれた魔力を注入し始めた。
「あなたと皇太子が一緒にいるのを発見するやいなや走ってきた」
「え?」
「ひょっとしてその火傷がおかしくなりそうで」
ジェイド皇太子が言った言葉が今になって思い浮かぶ。
別のことを考えてまともに返事さえしなかったが、エルアンの基準では気が狂った音が正しかった。
私が自分を男として好きなことを知っているとか・・・いったいどうしてそんな錯覚をするようになったのか分からないことだ。
ジェイド皇太子の言葉を思い出し、しばらく躊躇う刹那を逃さなかったエルアンの目に火花が散る。
「やったね、変なこと」
「・・・はい、確かに」
私はうなずいてため息をついた。
「皇太子さまは大丈夫でしょうね?私が押したから・・・」
「そんなにバカだったら、逆になっても構わない」
エルアンは眉間にしわを寄せ、いらいらした。
「狩りの大会で襲撃を受けても何も考えずに全滅させてしまい、終わらせるつもりだったのだ。私が背後を知らなければならないと言って、「足を踏み入れる人間」を投げたにもかかわらず、成果がないとは・・・。帝国の未来は暗漁たるものだね」
「そんな話は私の前でだけしてください」
「事実じゃないか。私はもう知らない。あの頭の中の花畑のやつの代わりに、ハエルドン皇子が皇位に上がるかどうか」
「公爵様!」
証拠がなくてあえて口に出すことができなかった言葉だった。
ジェイド皇太子に良くないことが起きれば、皇位はハエルドン皇子に行く。
エルアンとウェデリックの関係と同じだったのだ。
何の証拠もなかったし、ただ溌剌としたジェイド皇太子も彼を少しも疑わなかった。
しかし、最も疑わしい人にならざるを得なかった。
さっき、フリート侯爵とハエルドン皇子が一緒にいるのを見て気づいたことだ。
前世と違って、突然フリート侯爵がこのような巨大な行事を企画した理由も分かるような気がした。
以前とは違って、狩猟大会でジェイド皇太子がエルアンの助言を受けて刺客2人を捕らえて閉じ込めたためだ。
もしかすると反逆を本格的に起こす前に、早く後に続くのではないかと新しいことをしたことが明らかになった。
(フリート侯爵も仲間だったんだ・・・)
フリート侯爵とハエルドン皇子がジェイド皇太子とは非常に遠い距離を保っていたことを思い出しながら、私はため息をつく。
もしエシアンが事前に警告しなかったら、私はジェイド皇太子のそばにいて崩れるところだった。
床から墜落したり爆発したりする彫刻像の下敷きになって犬死にあったことが明らかだ。
「もう反逆のようなことは忘れよう。私の領地は私が軽く守ることができる。私が公爵の上に上がった以上、これからあなたの偽の親騒動などは絶対に起きない」
エルアンの目は私を誘惑するように細くなる。
「あなたさえ無事ならいい。だよね?だから皇太子のような人間は永遠に気にしないで」
「ふむ」
「もしかして皇太子が気に入った?どこが気に入った?私が変わるよ。あの人間のように頭の中を空けと言うなら、空にする」
声はますます低くなり、人為的な甘さが混ざり始めた。
暗くてお互いの顔だけが辛うじて見える中で、まだ外では静寂が流れている。
彼はそっと頭を上げて私の目と合った。
「だから二人きりで花火なんて見るな」
私はエルアンの目を避けて、妖艶な雰囲気を漂わせ始めた。
「まあ、公爵も他の女と二人きりでしたよ」
「うん?」
「3等席でですね」
エルアンはしばらくぼんやりした表情をしてから、ゆっくりと口元を上げた。
「ああ、セリアナのことか」
彼の顔に広がる真心のこもった微笑に瞬間、イライラがぐっと上がってきた。
ジェイド皇太子の言葉のように、セリアナが彼の長年の情人だとは思わなかったが、ただ彼が微笑ましいという口調で他の女性の名前を呼ぶのが気になったのだ。
「なんで?気持ち悪いの?」
「・・・」
「イライラしてもどかしいの?」
彼はあごを上げて私の顔の近くに彼の顔を押し込んだ。
姿勢を全く変えられない体の状態にもかかわらず、彼が向かい合った手の指で私の手の甲をそろそろ撫で始める。
「全部壊してしまいたいし、その相手を殺してしまいたい?」
「ちょっと待ってください。それほどではありません」
「そうなんだ。では、今回の言葉は取り消そう。とにかく私が他の異性と一緒にいるのが気持ち悪くて気になるなら・・」
今や彼のまつげを数えるほどお互いの目が近づいた。
私は彼の垂れ下がった目尻を魅惑されたように見つめる。
「あなたも私のことが好きなんじゃないかな?」
彼の息づかいが鼻先に感じられた。
誘惑するようなゆっくりとしたささやきに私は息が詰まりそうだった。
ジェイド皇太子の「リチェちゃんも私のことが好きで何とか」という話を聞くのとは気分が完全に違う。
ディエルの言うとおり嫌いなのは確かに嫌なものだった。
エルアンがこうするのは嫌ではなかった。
ただ、こうしてはいけないとずっと考えてきただけで。
(いいや、嫌じゃないだけじゃなくて、もしかしたら私も・・・)
私が何の返事もしないと、彼は続けた。
「リチェ」
「はい」
「この奥、右ポケットに箱が一つある。出してみて。私が今、手足を動かすのが難しくて」
私は震える手で彼の懐を探り、セリアナが彼に渡した小さな箱を見つけた。
立ち止まって箱をいじっていると、彼がにっこり笑う。
「プレゼントだよ」
「え?」
「私がセリアナと付きまとう対価として得た贈り物。君にあげたかったんだ。セリアナも苦労して手に入れたんだって。それも王族だから可能なことだった」
慎重に箱を開けてみると、芽が出始めた種が綿に絡みついていた。
「改良の種だって」
「あ・・・」
「もう専用の容器もいらない。イルビア研究陣から苦労して引き出してきたんだよ」
「これを・・・どうやって・・・」
「欲しがってたじゃないか。最後まで研究して調べたいんだって」
私が何も言わずに箱をじっと見つめていると、彼は甘くささやいた。
「君が望むことは何でもしてあげたい。これからも、少しでも欲しいものがあったら言ってね」
「あえて・・・ここまで・・・」
「当然命も捧げるし」
普段ならこの機会を逃さずに私の髪の毛を撫でてくれたりするはずだが、負傷がひどくて彼は身動きもできずにいた。
「子供の頃、君が私を守ってくれたように、もう私がずっと守ってあげたらいけないかな?」
エルアンは許可を求めるかのように私を見つめる。
彼は自分の命を捨てる覚悟までして、私をぎゅっと抱きしめたまま身を投げたので、私は毛先一つ怪我をしないことができた。
皇太子と二人きりでファーストクラスに立っているのを見たにもかかわらず、一寸の迷いもなく私を救うと駆けつけてきた真心に胸がいっぱいになる。
これも彼の誘惑の一環なら、しっかり成功したわけだ。
「・・・あえてここまで求めなくても大丈夫でした。適当に私だけ怪我をして終わることもできたんですよ。フェレルマン子爵が何とか治してくれるほど身を避けたはずで、公爵はセルイヤーズの主です。私のためにこのような危険を冒す必要はありません」
「君が怪我をするなんて、そんな酷いことを言うな。また時間を戻しても私の選択は同じだから。セルイヤーズの主だから何だ、あなたよりもっと重要ではない」
寒くもないのに私の唇がぶるぶる震える。
男女関係に無知だという理由でずっと先延ばしにしてきたが、これからは私の気持ちもはっきり分かるような気がした。
彼の確信に満ちた言葉に妙に胸の奥から何かがこみ上げてくる。
少し変に大きくなったが、今は幼い時のその可愛さを見られない男になったが、私もやはり彼と一緒にいるのが良かった。
「約束した一ヶ月が過ぎようとしているが・・・」
彼は私の表情を見て私の答えに気づいたに違いなかった。
にもかかわらず、彼の声には緊張した様子がありありと見える。
「どう?これからは私が男として少しはいいと思う?」
エルアンの献身に、さすがのリチェも心を動かされたようです。
約束の1ヶ月を過ぎようとしていますが、彼女は何と答えるのでしょうか?