こんにちは、ちゃむです。
「偽の聖女なのに神々が執着してきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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2話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- プロローグ②
「これは何?」
目の前に青いウィンドウが突然現れ、文字が表示された。
ゲームの対話ウィンドウのように見えるそれを見て、驚いて体が震えた私は、手を伸ばして触ってみた。
しかし、それはまるで自分にしか見えていないかのように、私の手はそのウィンドウを軽くすり抜ける。
そのとき、新たな文字が表示された。
[沈黙していた太初の存在たちが、あなたの優れた適応能力に興味を持っています。]
「太初の……存在たち?」
なぜかその文字を読むことができた。
[沈黙していた太初の存在たちが、あなたの優れた適応能力に興味を持っています。]
もう一度読み返してみても、これが何を意味するのか全く理解できない。
「一体どういうこと?」
しばらくすると、半透明だったウィンドウが徐々に透明になり、文字が消えた。
私は目をしばたたきながら、自分が夢を見ていたのではないかと思った。
コンコン。
外からノックの音が聞こえたかと思うと、その後、扉を開ける音とドアノブが回る音がした。
ドアの前に立っていた私は、振り返り開かれた扉を見つめた。
「……!」
銀色のトレイが日差しに反射して輝いていたため、まさかアニーだと思ったが、食事を持って現れたのは初めて見る男性だった。
白い制服を着た彼は非常に背が高く肩幅が広かった。
目元は少し厳しい印象を受けたが、その黄金色の瞳は温かみのある光を湛えていた。
彼の髪は瞳と同じくらい輝く金色で、私が宝石商で見た最高級の金の輝きと比べても遜色がないほどだった。
「アリエル。」
彼は私を見つめながらトレイをテーブルの上に置き、私を呼んだ。
その瞬間、私は彼が誰なのか一目で理解した。
「食事を持ってきました。」
原作の中でカミーラが成人した後も、彼女に常に名前で呼びかけていた人物。
帝国で皇室に匹敵するほどの強い影響力を持つ神殿、その最高責任者である男性は……。
「レイハス・ド・エル。」
アリエルを神殿に連れて行った男性であり、彼女に偽りの身分を与えた人物だ。
ぽつりと、その名前が自分の口から自然と出た。
ド・エルは大神官にしか許されない特別な称号だ。
私の言葉に彼の金色の瞳が輝き、すぐにその赤い唇にほのかな笑みが浮かんだ。
「今日は名前で呼んでくれるんですか?」
「え……。」
その瞬間、私はようやく理解した。
この偽りの聖人であるアリエルが彼と関わる運命にあることを。
彼が「大神官様」という称号を使っていたことを覚えていた。
そしてその金色に輝く姿は、確かに威厳を放っていた。
本物の聖女であるカミーラでもなく、自分自身が偽りであることを知っているアリエルが、彼を親しげに名前で呼ぶのは奇妙なことだ。
「申し訳ありません、大神官様。私があまりにも愚かで……。」
「聞いていて気分がいいですね?」
しかし彼は柔らかい声で私の言葉を遮った。
少し驚いた表情で彼を見つめると、彼は微笑みながら冗談のように言った。
「実のところ、私には名前があるということさえ忘れて過ごしていました。」
開かれた窓を通して心地よい風が吹き込み、彼の金髪がかすかになびいた。
「これからも名前で呼んでいただければ嬉しいです。」
私は彼を呆然とした目で見つめ、一瞬してからやっと正気を取り戻した。
その眩しい金色に心を奪われていたのだ。しばらく考え込んだ後、私は口を開いた。
「先ほどの発言は行き過ぎでした。」
元のアリエルなら、その場の雰囲気を楽しむように笑顔を見せたかもしれない。
しかし私は、彼とこれ以上近づきすぎてその境界を越えることを避けたかった。
「どうして私が大神官様の尊厳を損なうことができるでしょうか。」
どうせ一生神殿にいるつもりはないし、いつか本物のカミーラが現れれば、彼とは接点を持てなくなる日が来るのだから、私はその線を超えないようにすることを決意していた。
彼は穏やかな微笑を浮かべながら私を見つめ、一瞬の沈黙の後に口を開いた。
「以前にも言いましたが……」
「……」
「ここはこれからアリエルの家です。アリエルが望むことなら、何を持ち去ろうと、何をしようと構いません。」
レイハスは小説の中で描写されたように、華やかで柔和な男性だった。
「自由には責任が伴うという点だけ理解していればいいのです。」
しかしそれは、カミーラに向けた言葉のように感じられる。
そして私は思わず呆然としながらも、「ただの男性としてレイハスと呼んでもいいですか?」などとアリエルが言ったかもしれない光景を想像してしまった。
もちろん、そんなことを言うのはアリエルではなかった。
「もちろんです、大臣閣下。」
「アリエルにいつか私の名前を呼んでほしいと思っていましたが、少し残念ですね。」
彼の口元には微笑みが浮かんでいたが、その奥からは押し寄せるような圧迫感が伝わってきた。
「食事をお持ちいただき、ありがとうございます。」
私は言葉を濁しながら頭を下げた。
この大臣閣下は、この神殿で自分が偽物であることを唯一知っている存在であり、平穏な神殿生活を維持するためには彼に好印象を与える以外に選択肢がなかった。
「何日ぶりに見たからか、今日は少し特別ですね……。」
出て行こうとした彼の足が、何かを言おうとする前に止まった。
厳かな黄金の瞳がきらめきながら私を見つめ、言葉を発した。
「普段とは少し違って見えますね、アリエル。」
私は動揺することなく、最もアリエルらしい無表情を装いながら彼を見つめ、ぎこちなく微笑んだ。
・
・
・
それから数日が過ぎた。
私は机に座り、ここ数日間に確認したことを整理してみた。
『現在は聖暦722年で、帝国暦82年。』
真の聖女カミーラが登場する5年前だ。
私がいる場所はイライド帝国で、王政と神々が共存する宗教国家だった。
国民の99%が神を信じていたが、だからといって国教が存在する唯一神の体系ではなかった。
各神は異なる称号と名前を持つ9柱が存在し、多くの神殿がここに点在していた。
- 正義の神ヘトゥス
- 知識の神ヘセド
- 愛の神オディセイ
- 芸術の神モンド
- 破壊の神シエル
- 慈愛の神オマン
- 死の神カイロス
- 永遠の神レイド
- 偽りの神ベラトリクス
このように9柱の神々がいた。
そうすると、現在この神殿と聖女が信じている神が何なのかという疑問が浮かぶ。
私も小説を読んでいるとき、カミーラがいくつかの神を言及しているのを見たが、彼女が正確にどの神を信仰しているかはわからなかった。
何よりも、物語が聖女としての役割よりも男性主人公たちとの恋愛に集中していたからだ。
私が得た答えは、エリリウム神殿は特定の神ではなく、9柱全ての神々を祀る場所だということだ。
そのためエリリウム神殿は、全ての神殿の中でも最も特別であり神々との高い親和性を持って生まれた聖女は特別な存在だった。
それゆえ、聖女は帝国の総体的な宗教指導者として定義されるに値するのだろう。
そして、神殿の書庫で本を読んでいて発見した興味深い部分があった。
神託を受けることができるのは聖女だけであり、九柱の神のうち一柱から直接知恵が込められた神託が下されるというのだ。
神々が授けた『七大聖女が神託について語る』という雑誌では、神託を受ける過程がこのように描写されていた。
幕のような四角い形状の青い光が目の前に現れ、瞳孔に染み込むように神言が荘厳に現れたかと思うと消えてしまった。
そして、それが消えた後も、煌びやかな神言は胸に刻まれるように深く残った。
神の言葉は人間には理解できないため、このような形で神託が降りてくるのだろう。
『まあ、どうでもいいわ。私は偽物の聖女なんだし。』
どうせ本物の聖女はカミーラで、私はあと5年間演じたら去ればいいだけの偽物の聖女に過ぎない。
神託もたまにしか降りないと聞いているし、数年受けなくても問題はなさそうだった。
『それにしても、原作には神託についての話はなかったはずだけど。』
私は机に肘をつきながら考えに沈んだ。
原作ではカミーラが「聖力」という力を使う場面があったとしても、神託についての描写は一度もなかった。
思考が深まり、私は椅子から立ち上がった。
「まあ、どうでもいい。これからは実際に役立つ本を読まないとね。」
今私がいるのは神殿の図書館だった。
この場所は皇宮の図書館にも匹敵する蔵書があり、聖女であれば自由に利用できるという特権がある。
さらに神殿は日程が厳格で、人がほとんど来ないため、こっそりと隠れるにはうってつけだった。
私は空白の紙を取り出し、これからの計画を書き始めた。
前世で見た収支明細書や不動産の書類が役に立った。
正確には「月別の生活費予算」という名目だが、私はそれを収入や生活費とまとめて呼ぶことにした。
◎ 聖女の月給 1,000フラン × 12か月 × 5年 = 60,000フラン
◎ 聖女の追加予算 年間10,000フラン × 5年 = 50,000フラン
◎ 首都の一等地にある2階建て店舗の価格
大規模:100,000フラン
中規模:70,000フラン
小規模:50,000フラン
私が把握したところでは、1フランは韓国での約1万ウォン程度に相当するようだ。
フランより小さい単位に「ピン」というものがあり、1ピンは約100ウォンほど。
つまり追加予算まで合算すると、私は年間で約2億2千万ウォンに達するお金を受け取ることになる。
いずれにせよ、食事や生活用品はすべて神殿で支給され、贅沢品は神殿に揃っている。
借金を返済しながら熱心にお金を貯めれば、10億ウォンを超える蓄えができ、引退後も十分に余裕のある生活を送れる計算だった。
貴族たちから贈られる贈り物や、個人所有の財産もあるので、それを売ればまとまったお金になるだろう。
私が憑依する前のアリエルは、月給をもらうとすぐに使い切り、残高が300フランを超えることはなかったが、私は違う。
「適度に貯めて首都の一等地にある建物を買えば……」
そう考えていたその瞬間、突然目の前に青い何かが現れた。
[これを見て好奇心を持ちました。]
私は驚いてその窓を見つめた。
「何かのエラーのようなものだろうか?」
慎重に手を触れてみると、依然として透過している。
私が憑依したのは小説の中なのに、このゲームのような窓は一体何なのだろうか?
さまざまな表情でそれを探っていると、突然「ノック」の音が聞こえた。
「どうぞ。」
扉が開き、アニーが入ってきた。彼女が持ってきた銀色のトレイには、新鮮な果物とクッキーが盛られていた。
「聖女様、おやつをお持ちしました。」
アニーは毎日同じ時間におやつを持ってきてくれる。
「もしかしてこれ、見える?」
私は窓を覆い隠しながら尋ねた。するとアニーは小さく息を吐き、心配そうに私を見下ろした。
どうやらこの窓は私にしか見えていないようだ。
「聖女様……少し休まれたほうがいいのでは?」
どうやらアニーは、私がどこか体調を崩して幻覚でも見ているのではないかと考えているようだった。
「こんなにお体が弱いのですから、聖女としての本来の任務を果たすのも相当ご苦労でしょうね。」
彼女はテーブルにトレイを置くと、そっとため息をついた。
妙だ。
私は目を瞬かせて考え込んだ。
彼女の声の端々に微妙な苛立ちが混ざっていたからだ。
だが、アニーの言葉を聞いてから、自分がこの間、食事と読書以外は何もしていないことに気が付いた。
小説の中の本物の聖女カミーラは、各地の神殿を巡り、皇帝や皇太子と頻繁に顔を合わせ、忙しい日々を送っていた。
『たぶん、本物の聖女ではないから公式な仕事がないんだろうな。』
体が弱いというのは、大神官が適当に言い訳に使っただけだろう。
『本物の聖女として果たすべき任務をしていないから、そういう言い訳でもして神殿に引きこもっている理由を正当化しているのかもしれない。』
彼らが偽の聖女を立てたのは、数年前に前代の聖女が世を去った後、新しい聖女が現れなかったためだ。
民心の混乱を防ぎ、政治的安定を図るためだったのだろうか。
少し考えに沈んでいたところ、アニーの声が聞こえてきた。
「えっと……それで、聖女様。」
私はアニーをちらっと見た。
彼女の茶色い瞳がかすかな光を帯びて輝いていた。
「以前、私の弟が怪我をしたって言ったじゃないですか。でも、その後分かったんですけど、彼に借金があって……。もっと助けが必要みたいなんです。」
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