こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

165話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- エピローグ③
エルキンもナビアの誕生日パーティーにそれほど遅れることなく到着した。
「アグニスの判決を終わらせてから来たから少し遅れた。誕生日おめでとう、ナビア。」
「いらっしゃいませ。」
ナビアは明るい笑顔を浮かべながら彼をしっかり抱きしめて歓迎した。
エルキンは喜びを隠せずに笑顔を浮かべる一方で、どこからか視線が鋭く突き刺さるのを感じた。
それはまるで、ラルクが彼をじっと睨んでいるようだった。
『静かにしてろ、この野郎。』
エルキンは大きな目をパチクリさせて疑わしげに視線をそらした。
「さあ、これが君へのプレゼントだよ。アグニス公爵の領地を君の名義で譲渡する手続きを終えてきた。」
「えっ……そんなことが可能なんですか?」
「我々の姪のためなら、何でもやります。」
ナビアは信じられないような表情で一瞬口元を押さえた後、ぱっと笑顔を浮かべた。
「ありがとうございます。」
「さて、席に着きましょうか?」
エルキンは姪の手を取って、軽快な足取りで上座の隣の席に一瞬のうちに座った。
当然ラルクもクリードも不満そうな視線を送り始めた。
その時、クリードが直接椅子を動かしてナビアの隣に置いた。
厳しい視線を背後から送るラルクは、クリードを追い出そうと必死になっていた。
「なんだい?私の許可もなくナビアの隣に座るつもり?」
「でも僕は姉さんの婚約者だから隣に座る権利があるんじゃないですか?」
「……。」
ナビアは何を言い返すべきかわからない表情で、ただ耳をふさいでしまった。
それはまるで、決定的な先見の明を持つような態度だ。
「えっ?婚約者ですか?」
「お二人は婚約されたんですか?いつですか?結婚はいつされるんですか?」
「私の許可もなく、何の婚約だって?この無礼者たち!婚約がそんな簡単なものだとでも思っているの?」
「どうせ許可されるんだから、そんなに大騒ぎしないでください、殿下。」
ダイニングルームはさらに混乱の渦に巻き込まれていった。
クリードは余裕のある勝者の微笑みを浮かべていた。
彼はポケットからケースを1つ取り出した。
「これは僕のプレゼント。」
「プレゼント?」
ナビアの視線は彼の手にあるケースに引き寄せられた。
それは誰が見ても指輪のケースだ。
彼女が戸惑って視線を上げると、クリードがケースの蓋を開けた。
まばゆい輝きを放つダイヤモンドの指輪がその中に収められていた。
「僕たちの婚約指輪だ。」
彼は慎重にナビアの表情を観察した。
「4月の誕生石がダイヤモンドだから、ダイヤモンドの指輪を用意したんだ。」
『どう?気に入った?』
そう尋ねるような表情に、ナビアは何も答えられず、ただ左手を差し出した。
それは指輪をはめてほしいという意味。
クリードは一度深呼吸をしてから、わずかに震える手で指輪を取り出し、彼女の薬指にそっとはめた。
震える手から、彼が無表情ながらも緊張しているのがかすかに伝わってきた。
ついにダイヤモンドの指輪はしっかりと彼女の指に収まる。
ナビアは指輪を見つめた後、じっと見守っていた彼に向かって笑顔を見せた。
それは、静電気が弾けるようなとても明るい笑顔だった。
「私たち、幸せになりましょう。」
こうして二人は、まるで自分たちだけの世界に入り込んだかのように寄り添った。
その光景を見守っていた人々の中には、思わず涙を拭う者もいた。
『一体どうやってあの子たちはここまで育ったのだろう?』
誰かが呟いたその言葉に、感慨深い新たな一日が始まった。
ラルクはただ無表情で腕を組み、冷静に微笑むだけだった。
「ふん、小さなものどもが何を分かるんだ。」
クリードが用意したプレゼントを公開するとき、皆の視線はラルクに注がれた。
人間界に戻ってきてからそれほど経っていないにもかかわらず、ラルクが間違いなくナビアのための贈り物を用意しているに違いないという強い期待が彼らの表情に表れていた。
しかし、その期待に反して、ラルクは何も用意していなかった。
彼はナビアに向かって優しく笑みを浮かべ、祝福の言葉を贈った。
「誕生日おめでとう、ナビア。」
ナビアはラルクが戻ってきたという事実そのものが、彼女の人生で最大の贈り物であると感じた。
その一言の挨拶だけで、彼女の心は大きく揺さぶられた。
「ありがとう、お父さん。」
しかし、ラルクはそれが終わりではないかのようにほほ笑んだ。
「老人の趣味のようなこの家をもっと爽やかに見せる方法がある。」
ナビアは少しぼんやりした表情を引き締め、その言葉を真剣に聞こうとした。
「どんな方法ですか?」
その問いかけは、少し気難しいティーンエイジャーのようにそっけなく返された。
ラルクはその反応に笑いながら、片手を上げた。
パチン!
手を鳴らす音に、ナビアは自然と心臓が高鳴るのを感じた。
ラルクのいたずら心がどんなことを考えているのか、彼女にはわからなかったが、その瞬間、何かが始まる予感に包まれた。
控えめな表情で手を鳴らすと、素晴らしい魔法が繰り広げられる。
そして。
「……わあ!」
突然、部屋が明るくなった。
なんと、エセルレッドの邸宅を覆っていた黒い魔力が一気に取り払われていたのだ!
さらに、壁や床は元の明るい色を取り戻していた。
まるで新しい朝を迎えたかのような明るさで、目を見張る光景が広がっていく。
ナビアはその場に立ち上がった。
この驚くべき景色をダイニングルームの中だけで見守ることはできなかった。
彼女はロビーを通り抜け、邸宅の外に出ると、遥かに壮大な景観が目に飛び込んできた。
この巨大な邸宅の外壁が新たに清らかに変わる様子は、圧倒的な迫力を感じさせるものだった。
「……きれい。」
黒い邸宅も荘厳で美しかったが、ナビアには魔力が取り払われたこの姿のほうがもっと素敵に見えた。
これで本当に辛かったことは全て終わった気がする。
過去の苦しみや苦悩が終わりを迎えたのだと、確信させてくれる気がしたから。
「……」
涙があふれてきた。
喜びを超え、感動に浸るその光景に目を奪われ、ナビアの頬を涙が伝って流れ落ちた。
「泣くなよ。」
いつの間にかナビアのそばに近づいていたラルクが驚いた表情を浮かべた。
ナビアはふいに駆け寄り、ラルクに飛びつくようにして抱きしめた。
「最高のプレゼントです。」
本当に、今まで受け取ったものの中で、これほど幸せを感じる贈り物はなかった。
『これで父がもう苦しまない。だから、それが私の幸せ。』
ラルクだけでなく、クリードとエセルレッドの家臣たちも全員外に出てきた。
彼らはナビアを優しく見守りながら微笑み、次々と彼女に駆け寄って抱きしめた。
ナビアを取り囲むようにして、まるでサンドイッチのように皆が彼女を抱きしめた。
当然、ラルクは苛立ちながら文句を言った。
「おい、お前たち!正気か?離れろ!」
「ははは!今日は本当に楽しい日ですね!」
「お誕生日おめでとうございます!」
「お前、一体何回『誕生日おめでとう』って言うつもりだ?」
「うるさい!」
ナビアは再びその騒々しさに圧倒されると、鼻先が赤く染まったまま笑い声を上げた。
『幸せ。』
エセルレッドに来たばかりの8歳の少女だった頃、信じられないほどの幸せを感じた。
その時と比べられないほど今は大きな幸福感に包まれていた。
それがとても不思議に思えた。
『私がこんなにも幸せになれるなんて信じられない。』
確かに、この場に集まった人々はみんな微笑みであふれていた。
そうだ。最初は、私たちがお互いの家族になるなんて信じられなかった。
私たちは皆、家族という存在によって深く傷つけられてきた人たちだったのだから。
それでも驚くことに、私たちは本当にお互いの家族になった。
だから、もう不幸ではなかった。もう悲しくもなく、切なくもなかった。
『そうなるしかなかったんだ。』
これから私たちの幸せは、確かな家族として始まっていくのだから。
<完>







