こんにちは、ちゃむです。
「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。
今回は41話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
41話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 家庭教師ロックハート②
ロックハート先生と挨拶を交わした後、クラリスは興奮してノアの客室に駆けつけた。
彼に言いたいことがいっぱいある。
しかし、いざドアを開けて入った彼の部屋は、多少暗くて静かだった。
「・・・ノア?」
小声で呼んでみても返事がない。
こっそり部屋の中に入ってみると、ベッドの上で仮面を斜めにかぶったまま横になっているノアの姿が見えた。
「・・・不便だと思うんだけど」
一人でいる時さえ仮面を脱げないのは、こんなに誰かが出入りするのを心配しているからだろうか?
「それなら、誰も入ってくるなと言えばいいのに」
寛大なノアはいつも一緒に遊びたいクラリスに「いつでも訪問しても良い」と承諾した経緯がある。
『どうせ魔法使いの城ではいつも仮面をかぶって生きていた。むしろ脱ぐのが私にはぎこちないことだ。少女も急に靴下を履かないと寂し気持ちになりませんか?それと同じです』
でも、寝るまで靴下は履かないんですけど。
クラリスはノアのベッドに注意深く登り、曲がった仮面をまっすぐにした。
「やった」
彼女は広いベッドの片側にあごを当ててうつ伏せになる。
「ねえ、ノア、君の言うことが正しかったんだ」
そして、なぜか話したい気持ちを抑えきれず、そう囁いてしまった。
だが、返ってくる答えがないのは少し寂しかったので、クラリスはポケットからモチを取り出し、そっとキスをする。
すぐに普段の姿に戻ったモチは、ノアのベッドの上をちょこちょこ歩いていたが、クラリスの腕の上に座った。
「コオ?(猫の子はどうして昼間から寝てしまったの?)」
「疲れたからだよ」
「コオ?」
「私?そりゃあ、ノアと一緒にいると、不思議なほど気分がいいんだよ」
それはかなり本気だったが、その気持ちがモチにも伝わったようだった。
「コー」
腕組みをしたモチは首をかしげ、クラリスの鼻先に当たるところにうつぶせになって横になった。
「こう(まあ、それよりまともな先生が来てよかった)」
「もしかして心配したの?」
「こう(いや、君が先生に会っている間、内壁のやつらがうるさいから、いらいらしただけ)」
「うるさかったって?」
「こう!(どうも君には言わんとしなかったらしい・・・内壁!あなた、静かにしろ!クラリスには何でも知る権利があるんだ!)」
話していたモチは内壁に向かって大声を上げる。
「こう(公爵夫妻が君の先生を呼ぶのにかなり苦労したんだ)」
「え?」
「こう(君が知っていたよりずっと前から先生を探していたという意味だ。まあ、こんな田舎に仕事に来ようとする人がいるはずがないから、苦労するのも当然だけど)」
「シェリデンは田舎じゃないよ」
「コー」
「何より公爵様のそばで働く栄光を拒む人はいないものだ。もし先生方がここに来るのをきまり悪く思っていたらそれは・・・」
自分の身分のせいかもしれない。
「コー!」
それでもモチは彼女が言おうとした話を十分に理解したようだ。
クラリスはベッドにうつぶせになってにっこり笑った。
「とにかくもう私にも先生がいるんだもの。それもとても素敵な方だよ」
「コー」
「見るまでもない。これから先生と一緒に過ごす時間はとても有盆だろうから」
クラリスはモチを捕まえて心臓の近くに抱きしめる。
少し冷たいノアの腕に額をもたれると、なんだか気持ちがよくなって、彼女もすぐに眠ってしまった。
公爵夫妻に会って帰ってきたロックハートは、客室で荷物を解いた。
彼が直接作って製本までした子供向けの教育冊子、数着のスーツ、そして家族の肖像画まで。
古くて色褪せた男作家の肖像の中には両親と少年時代のロックハート、そして彼の弟が一緒だった。
彼は窓辺に置かれた小さな肖像画をしばらく見つめていた。
「・・・こんなことがあるなんて」
彼は弟の顔を切なく見つめ、寂しく微笑んだ。
兄ならうちの家門をもっと高くしてくれるだろう。
いつもそのように話していた弟は長男のロックハートが行かなけれはならない戦争まで代わりに参戦してくれた。
グレゼカイアとの戦争のことだ。
腐敗した王家によって苦しむ不幸な土塊と繰り広げる戦争では、毎日のように勝利の知らせが聞こえてきた。
そもそもその土地の住民たちがサッパーズ王国軍を歓迎するほどで、兵士たちがすることはただ王宮に行軍することだけ。
状況がこうなので、ロックハートは一人だけの弟が無事に帰ってくると信じて疑わなかった。
時間が経ち、サッパーズ王国軍が帰ってきた。
ほとんど血を流さない戦争だと言って、皆が喜びを享受している中。
・・・ロックハートは弟がグレゼカイア王子が振り回した剣に刺されて戦死したという悲報を聞く。
「ほとんど」死ななかったという戦争で、彼は「全て」に等しい弟を失ってしまったのだ。
それなのに。
ロックハートは窓越しを見ながら苦笑いする。
少し前に彼は公爵夫妻からクラリスの正体について聞いた。
「・・・は」
彼が弟の死以後、それでも慰めを受けたことがあるとすれば、そのむなしい王家の人間たちがすべて踏み倒されてしまったという事実だった。
最後の王女が生きているとは想像もできなかったのに。
「ところで私に・・・その残党を教えろと?」
これが何の運命のいたずらだというのか。
ロックハートは、一日も早くこの呪われた北から逃げなければならないという考えしかしなかった。
弟のことでクラリスが気まずいのはもちろん、死刑囚なんかを教えた経歴が知られても、すぐに仕事が途絶えてしまうから。
しかし、彼はすぐにここから飛び出すことができなかった。
すでに公爵と体験学習という名目で3日間契約した後だったからだ。
その間はどうしようもなくあの憎らしい女の子の授業を担当しなけれはならなかった。
次の日、朝。
ロックハートは不快感を抑えようとしてクラリスの部屋に向かう。
「こんにちは、先生!」
「・・・そうだね、こんにちは」
ロックハートはやっとのことで挨拶をした。
(この子の兄が・・・私の弟を殺した)
彼は吹きすさぶ衝動で子供の細い首筋をちらつかせながら見るようになる。
妙な殺意がロックハートを苦しめるのもつかの間、彼は残酷な考えはやめることにした。
(どうせ死ぬ子だ)
敢えて自分の手を汚す必要もない。
(だから・・・今は)
適当に教えて、3日後にもっともらしい理由を残して去るのが最善だ。
彼はテーブルを挟んでクラリスと向き合った。
ペンを持った子供は、依然として期待の目で彼を見つめていた。
「う一ん、字を見てみようか?とりあえず君の名前を全部書いてみるといいね」
彼は普通の子供たちにするように書体を確認することから授業を始めた。
「はい、先生」
クラリスはシャキシャキという音を立ててペンを動かす。
[クラリス・レノン・グレゼカイア]
「ああ、本当だ」とロックハートは、子供が書いた最後の文字を今更ながら見下ろした。
ただでさえ弟の死以後、ずっと歪んでいた心のどこかがさらに痛くなるように締め付けられてくるようだった。
弟を殺されたロックハート。
彼がクラリスに余計なことをしないか心配です。