こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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153話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 原初の存在
とりあえず、二人が部屋を出ていかなければならないが、どうしたらいいか迷っていた。
泣き顔のままの彼と一緒に出て行ったら、誰が見ても不自然だと思われるだろうと考えた。
だから何らかの手を打つ必要がある。
ナビアがクリードに近づき、顔を上げると、自然に互いの鼻が軽く触れ合い、唇が触れた。
微かな静電気が唇の表面をさっと走り抜け、胸が高鳴るような感覚。
驚いたクリードが唇を離そうとしたその瞬間、ナビアが彼の後頭部を引き寄せた。
「……!」
その唐突な手の動きに、クリードの肩がびくりと震えた。
だがそれも一瞬で、クリードはナビアを抱き寄せ、しっかりと彼女を引き寄せた。
そして、その唇を重ね合わせ、瞬く間に熱い息が唇にこもった。
唇が触れ合い、二人の息遣いが混ざり合った。
キスはそれほど長くは続かなかった。
ナビアは必要なだけの感情を吸い取ると、唇を離した。
「さあ、出よう。」
クリードはしばらくナビアを抱きしめたまま放さず、小さな声で呟いた。
「姉さんって本当に冷たい人だよね。」
ここまで熱くさせておいて、あっさりと唇を離してしまうなんて。
クリードはわずかな未練を込めてナビアを可愛らしく見つめながら言った。
「早く。そうしないとすぐに姉さんの部屋に行っちゃうよ。」
彼女が望むことを叶えるために、自分を抑えつつ再び促した。
クリードは安堵に満ちた顔で彼女の唇に軽くキスをしてから身を離した。
彼は日記帳だけを持ち、その他の遺品はそのまま置いた。
それらは係員を通じて後で彼の家へ送るつもりだ。
ナビアは部屋を出るとすぐに、兵士たちの記憶を操作し始めた。
「うーん……」
兵士たちはその場に立ったまま一瞬静止した。
その間に、ナビアが望む新しい記憶が彼らの頭に植え付けられた。
兵士たちは、自分たちがただ公式の任務を終え、王室の部屋を出ただけだと記憶することになっていた。
クリードは不審そうに言った。
「こういうのは俺にやらせてくれ。」
もちろん、どんな魔法であれ、ほとんど使用できるものだったが、クリードなら、このような記憶操作の魔法も簡単に処理してくれただろう。
ナビアは彼の手を握りながら、落ち着いた口調で言った。
「ただ、私がそうしたかったから。」
その言葉だけで、彼女が両手で差し出した甘い砂糖に酔いしれていたクリードの頭はさらに混乱し、心を落ち着けることができなかった。
彼は困惑した表情でナビアに明確な説明を求めた。
「そうしたかったというのは、具体的にどの部分のこと?キス?それとも魔法?」
彼が少し苛立ちながら言うと、ナビアは戸惑いの表情を浮かべながら彼の顎を軽く持ち上げた。
クリードは自分を持ち上げようとする彼女の仕草に衝動的に反応し、彼女を抱き寄せて唇に軽くキスをした。
「……何?」
ナビアの表情は今や空っぽで、感情が一切ない仮面をつけているようだった。
クリードは、彼女が自分を優しく見つめるときに感じる強い愛情や、このように自分を叱責するような真剣な表情で見つめるときに感じる何かしらの感情の揺らぎを覚えていた。
どういうわけか、それが変態的でさえあるかのような奇妙な興奮を覚えた。
「姉さんの表情が可愛くて。」
その言葉は弁解とは到底言えないものだったが、ナビアはクリードの肩を軽く揺らし、笑みとも驚きともつかない表情を浮かべた。
「バカ」
さっきまでの厳しい空気が和らぎ、ぎこちないながらも微笑ましい瞬間が訪れた。
「かわいい表情をしていたからキスしたって?そんな理由で?」
彼を叱ろうとしたが、心の中でかすかにざわめきが起きた。
それでも、こうした行動はすぐに正さなければならないと思った。
「こういうことを続けたら困るわよ。もうすぐ葬儀が始まるんだから。今は他の人から見ても、しっかり振る舞うべき時よ。」
その言葉にクリードは微笑んだ。
「説教する姉さんも好きだよ。」
「……。」
ナビアはそれ以上言い返さず、その場を離れるべきだと考えた。
騎士たちの視線が直に戻る前に、その場から離れようとした。
ラケットを振るようにして、彼女は手のひらを弾き、さっさと動き出した。
彼らの位置は、謁見の間の前からクリードの私室に変わった。
クリードはいつも自室に人が入ってこられないようにしていたため、周囲の誰もが彼らの登場を見ても驚くことはなかった。
それゆえ、ナビアがこの場で空間移動を行ったことに驚く者もいなかった。
空間移動の魔法は非常に精密な制御を必要とする能力だったにもかかわらず、彼女はこれを難なく成功させた。
まるで日常的に使い慣れた魔法であるかのようだった。
クリードは驚きを隠せず、感嘆の声を上げた。
「魔力を持つのと、それを使いこなすのは全く別の話なのに、こんな時を見ると、姉さんは魔法使いよりももっと魔法使いらしいよ。」
「そう?周りに魔法使いが多いからそう思うのかもね。」
これだけで、魔法の制御をこれほどまでに自在に操れるのかと、彼は改めて感心せざるを得なかった。
もしこれが原材料として使えるなら、この世に大魔法使いでない者はいないだろうが、クリードはそこまで説明しなかった。
何であれ、彼にとって重要なのは、ナビアが素晴らしいという事実だった。
「じゃあ、後で会おう。」
「うん。」
二人は軽く抱きしめ合い、一瞬の別れを告げた。
その軽い触れ合いだけでも、互いの間に流れる支援は不変で、ナビアは自分が完全無欠の魔法使いになったような気分を味わった。
そして彼女は再びクリードの部屋へ移動するために指を鳴らした。
パチッ!
父親をからかうのは、なかなか面白いことだった。
ナビアが目を一度閉じてから開けたとき、予想外の景色に適応しようとしていた。
停止。
ナビアはその場で驚き、立ち尽くした。
「……ここはどこ?」
何かがおかしい、何かが確実に間違っていた。
ここは彼女が黄室から移動しようとして辿り着くはずの、華やかで整えられた別室ではなく、何もない暗く無機質な空間だった。
『魔法に失敗があったのか?』
しかし、彼女のコントロールは非の打ち所がないほど完璧であり、ミスが起こったとは到底考えられなかった。
ナビアはしばらく周囲を観察する。
暗い部屋の中で、何か特別な何かを探るような視線を巡らせた。
そして、その空間の異様さをゆっくりと理解し始めた。
もしかしてこの空間が外部の神と関連する場所ではないか、という考えが彼女の脳裏をよぎった。
しかし、外部の神特有の不吉な気配が全く感じられなかったため、その考えをすぐに否定した。
では、ここは一体どこなのだろう?
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